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106話目
すっげえ嫌な気分で目が覚めた。ひどい頭痛。吐き気。
……夢と、同じだ。俺の体は夢と、リンクしていたのかもしれない。
過去の若杉由布と。俺の。今の若杉由布の体と。三人かよ、なんて少し笑った。だって、多すぎるだろ。
「……にしても」
今回の夢は、どういう意味だったのか。
ベッドの上に座ったまま考える。普通に考えて、恵登と裕美が付き合い始めて家を出て行ったあとの、家の話だろう。……けど正直、あそこまで母親がヒステリーだなんてびっくりしたぞ。しかも、相当恵登に執着してる。怖いな、女は。ぼんやりと考えた。
……俺はひとつの仮説を出す。
若杉由布の記憶というものは、あまりはっきりしていない。顔がぼやけていたり、といったことは結構ある。それに、過去を見た感じでは、若杉由布はあまり母に会っていない。
下から母親の鼻歌が聞こえる。洗濯でもしているのだろうか。
やはり―――――、違う。どう考えても同一人物に、思えないのだ。
若杉由布の母親は――――二人、いるんじゃないか。




