102話目
どうしてこんな気持ちになるのか、自分でもわからない。ただただ、しにたいと思う。どうしようもなくこの世は無情で、生きていたって仕方がないと感じる。これから先、ずっと希望のない感情が回る気がする。だから、だから、もう……。
気付くと引出しを開いていた。カッターが入っていた。あの、血がついた刃物がたくさん入った段だった。
違う、ちがうんだ、こんなこと、したい訳じゃ、なくって……。
いつの間にかカッターを握っていた。手首が焼けるみたいに熱い。カッターの先端に血がついていた。でも、死ぬほどの量じゃない。本当にちょびっとの血。死ぬ勇気もないのかよとなんだか無性に笑えてきた。意気地なしだ。どうしようもない野郎だ。……本当に。
はあ、と息をついた。傷跡を、増やしてしまった。もうするなって、言ってたのは俺だったのになあ。これ、若杉由布の体なのに。ごめん、と呟いた。若杉由布にはほんと、迷惑かけっぱなしだ。死んでからも尚迷惑をかける。最低だよ、生きてる価値、ないのに。なんで。
ああ、駄目だ、だめだ。気分がどんどん重くなっていく。どうすればいいのかわからない。なにをすればいいのかわからないまま、どんどん落ち込んでいってしまう。こういう時は、どうしてもだめなのだ。なにをしても。
ああ、もう。こういう時は、寝よう。寝てしまおう。
手首から流れる血もそのままに、ベッドに潜り込む。おやすみと返事のない一言を呟いて、眠りにつく。そういえば、今日も日記を書いていないとぼんやり思った。




