10話目
夏休みだから早く更新できるといいな……。
そんなことを言われても、と掠れた声で言う。俺には関係ない。すくなくとも、田代晃には関係ない。
それでもその人には聞こえたのだろう。太い眉を吊り上げて、俺を睨み付けた。
「言い訳何てどうでもいい。さっさと学校へ行け。引きこもってたとしても勝手だが、お前の為には絶対ならないんだからな」
いや、そうなのかもしれないけど。偶々体調が悪くて休んでいるだけかもしれないじゃないか。それか、この変な状況のせいで行けなかったとか。もしかしなくても、俺のせいなのかもしれない。
「あ、え……ごめ、んなさ」
「謝るくらいなら学校へ行け」
俺の台詞を遮り、その人は冷たく言い放った。あまりにも冷たい目だったので、思わず怯んだ。なんだコイツ。つうか、誰だ。怖い。
年齢的に考えて、父親か? だが、親ってそんなに冷たいもんだっけ。もっと、優しいもんだと。そう思っていたけど。
その人は俺を見下した後、部屋から出て行った。
俺はしばらく身震いが止まらなかった。あの目。ああいう、目。皆俺を見下して、わらっていやがるんだ。くそ、嫌だ。大嫌いだ。くそ、くそ。
「畜生……」
必死で震えを抑えた。臆病な自分が大嫌いだった。
震える指で、ペンを手に取る。彼に、若杉由布に、聞きたいことを書かなければ。
『知らない人が部屋に入ってきました。
聞くと、春休みが終わったのに、君は学校に行っていない、とか……。
いや、別にそれは俺が口に出すことではないと思ったけど。
あの、そもそも彼は誰でしょう。
それから……えっと、日付を教えて貰えると助かります。このままじゃ、全然よく分からないので。それと、君は暇なときに何をしているの? することがないからどうすればいいのか分からない。長い付き合いになると思うので、教えてくれると嬉しいです。』
そして、ベッドに倒れこむ。疲れた。人と話すのは、いつも疲れる。
おやすみなさい、口の中で小さく呟いた。




