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1話目

一週間に一度くらい更新できたらいいと思ってます。

見切り運転です。

長編を書くのは初めてなので温かい目で見守ってやってください。

 パチリと目を開いた。

 俺はベッドで寝ていた。

 おそるおそる、と言った様子で俺は辺りを見渡す。

 見たことの無い家具、見覚えの無い部屋……。


 そして、茫然としながら呟いた。


「ここは一体、どこだ……?」


 落ち着け、と状況を整理する。何故だか頭痛がする。頭が酷く痛みを発し、まともな考えができない。確か、俺は、昨日……


「あ、あ、ああ……そうか……そういうことか……!

 失敗したのか、俺」


 最後の最期で、失敗したのか。

 それならば、この頭痛の意味も分かる。どうして知らない部屋に居るのかは分からないが、ここは精神病院か何かなのだろう、きっと。


 昨日の夜、俺は全てから逃げようと決めた。最後の夜だった。

 入念に準備を捧げ、まさに人生の全てを賭けたといっても過言ではない。そう、自分はあの夜の為に生きていた。だが、失敗したのだ。


 あの夜、俺はまず最初にビールを飲んだ。そしてほろ酔い気分になった後、頭痛薬と睡眠薬を大量に摂取した。吐き気がしてきて、猛烈に苦しかった。やはり、楽に行けるというのは嘘だったのだろう。それでも、此処に居るよりはずいぶんとマシだった。だからこそ、俺は最後までそれを飲み続けた。ビールと一緒に。そのうち朦朧とした気分になった。頭痛薬を呑んでいるというのに頭痛はしたし、睡眠薬なのに眠くはならなかった。体は動かせないのに頭痛と吐き気と悪寒が繰り返し自分を苛み、何度も嘔吐した。そのうち吐瀉物が喉に詰まり、自分は死ねるはずだったのだ。だが、なかなかその時はやってこなかった。永遠とも思われる時間が続き、やがて意識が飛んだ。


 そうして俺は目覚めたのだった。


「どうしてなんだよ……」


 どうして、どうして俺は肝心なときに失敗するんだ。馬鹿だ。最後まで失敗してどうする。なんで、どうしてだ。


「くそッ!」


 吐き気がする。気分が悪い。

 取りあえず身を起こして、また襲ってきた悪寒にぶるりと身を震わせた。


「にしても……どこだよ、ここ」


 辺りをぐるりと見渡す。何度見ても部屋の様子は変わらない。自分の知らない部屋だった。

 立ち上がろうとして身を起こし、激しい痛みに襲われる。


「……ッ」


 ゲホ、と一回咳をし、痛みを無視して立ち上がった。

 眠気と、悪寒と。正直きつかったが、それよりもここがどこだか知る方が先だ。

 ベッドから降りると、ひやりとしたフローリングの床の感触がじかに伝わる。自分は裸足だった。

 おかしいな、裸足で自殺したっけ。

 あまりよく覚えていない。

 辺りを見渡して、ふと机の上に載っている物が目に入る。


「なんだ、これ……」


 それは手紙だった。恐らく、自分を知っている人に宛てた。


 しかし、俺はその手紙を書いた記憶がない。

 しかも、手紙にのっている字だって、俺の字とは違う。

 ならば別人が書いたものだろうか。それにしては、なぜこんな所にある?やはり、ここは誰かの部屋なのか?

 でも、それならば。

 この手紙のタイトルは、どうやって説明をつける。


 その白い封筒には、大きな文字で「遺書」と書かれていた。

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