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天使の少女と海の街  作者: 兎季
第一章
8/25

変わった友人

登場人物が増えると扱うのが難しくて困ります…

そのうちまとめて直したい…

「…大丈夫じゃ。ルー、お前の判断は間違ってはおらん。」


満点、とまではいかないじゃがな。

と付け足して、ルーの頭を撫でるフェレル。


「姿を現すのは避けたかったが、ばれてしまっていたなら仕方ない。これからはもっと結界を強固にして……外の情報を本格的に集めるとするかの。情報がなければ降りかかる火の粉を防ぐことはできん。

しかし、反撃をしなかったのは偉かったぞ。

例え向こうから攻撃してきたとしてもこちらが仕返しをしたらそれで傷ついたり、死んでしまう人間がでてくる。最初は強制されて仕方なく従う者も最後には自らの意思で戦う、そんな恐ろしいものなんじゃよ、戦争は。」


遠い目をしながら話すフェレル。

それはかつて彼が体験した本当のことで戦争をしらないルーにとってその言葉は重い。


「まあ、それはとりあえず置いといてだな。もう昼じゃ。昼代をやるからレオーネと一緒に食べておいで。祭りの露店がちらほらやっておるぞ。」


フェレルは小さな皮袋をルーとレオーネに渡す。


「じいさん、俺まで……。」


「なあに。『雑用』の対価じゃよ。素直に受け取っておけ。それにお前といれば、たいがいの奴はルーに手出しできないじゃろ。」


最後はレオーネにも聞こえない声で呟く。

フェレルは成長した孫娘が可愛くて可愛くて仕方ないのだ。


「なんだ?」


不思議そうに聞き返してくるレオーネにフェレルはふぉっふぉっふぉと笑ってごまかし、二人を押した。


「ほれほれ、さっさといかんか。昼を食べ損ねるぞ。」

「ごまかされると余計に……。まあいいか。ほら、さっさといくぞ。」


レオーネはルーの手を取り、無理やり引っ張っていく。


「あ、ちょっと引っ張らないでよ!ってか、私、髪も結びなおしてないんだけど!」


「うるさいな、俺はお腹が空いたんだ。」


「そこは、腹が減ったとかって言わないの!?微妙に言葉が丁寧だよね、レオーネ。」


ぎゃあぎゃあと言い合いながら部屋を出ていく二人をにやにやしながらフェレルは見送った。


「レオーネの食いしん坊。」


結局、髪を再びツインテールにしてから露店が並ぶ場所へと歩くルーとレオーネ。


ルーはじいっとレオーネを睨んだが、当のレオーネは涼しい顔で受け流す。


「食事は大切だ。」


何故か胸を張っていうレオーネ。


「いや、確かにそうなんだけれども。」


ルーは諦めたようにはぁっと溜息をつき、そして何気なくレオーネと手をつないだ。

特に何かあるというわけではないが、幼いころからずっと一緒にいるせいで癖になっているのだ。


「……。」


レオーネは困ったような、でもどこか嬉しそうな、といった複雑な表情をした。

(……こいつの精神年齢はいつまで経っても上がらないのな。

普通は精神年齢こういうのって女子の方が成長が速いって言うんだが。)


「何よ?どうかした?」

胡乱げに聞くルー。


「いや?」


しかしレオーネはため息を押し殺し、何食わぬ顔で答えた。


「え、ほんとに何よ?」


そのあからさまな対応に思わず聞き返すルーだったが、レオーネは何も答えない。

しばらく粘ってみたが本人に答える気がゼロだと分かると、ルーの興味は見えてきた露店に向かった。


「おっ、結構やってるねー!あっ!鈴かすてら!!鈴かすてらがあるよ!!あれ、食べるっ!絶対食べるっ!!」


看板を見た瞬間、レオーネを引っ張って走る、ルー。

露店の前に着くと、元気に挨拶した。


「こんにちは!もう販売はじめてますかー?」


「あらあら。ルーちゃんにレオーネくん。二人そろって、いらっしゃい。」


中で袋詰めをしていた女性は声に気付いて顔を上げる。

にこやかに話す女性には覚えがあった。


「アミリスさん!」


ルーは顔を輝かせて女性の名を呼んだ。

――アミリス・ロクシ―。ルーの友達の母親だ。

お菓子作りが得意でルーはよく友達づてでお菓子をごちそうになっている。


「ふふふ。ご所望は鈴かすてらね?今、ルーちゃん専用の大きな袋にいれるわ。」

「わーい!それにしてもアミリスさん、お店だしたんだねぇ。」


ルーはほへぇと露店を見回した。

カウンターの上には様々な種類のクッキーにパウンドケーキ。色とりどりのちょこんとしたマカロンが並び、その中央にはメインである鈴かすてらがきらきらと(※ルー視点)佇んでいた。


「沢山あるんだな。」


レオーネも感心したように呟く。


「そうよー。今日はお祭りだから張り切って沢山作ったの。…いい小遣い稼ぎにもなるしね。」


一瞬、黒い笑みを浮かべたがすぐにその笑みを消し、ルーに大きな紙袋を渡す。


「はい、どうぞ。それにしても可愛らしいワンピースね。ルーちゃんによく似合ってるわ。」


瞬間。固まるルー。

……そうだった。

色々あって忘れていたけど、ワンピース…。


「うううう。そうだった……。」


しょぼんと肩を落とし本気で落ち込む。


「忘れてたのか。俺はてっきり開き直ったのかと。」


「うるさいわねっ!あんた相手だったら諦められるけど…。」


「大丈夫よ。とっても似合っているから。ルーちゃんは元が可愛いんだからそういう格好をすると一層それがひきたつわ。」


「うっあ、えっとありがとうございます。こ、こういうの、あんま着ないから恥ずかしくて。」


「いいえ、あんたはもっとそういう格好をしなさい。」


聞きなれた声に顔を上げると、ルーの親友ともいえる友達、ノーチェが大きなかごを持ってこちらにやって来た。


「ノーチェ!」

「やっほー、ルー。それにレオーネも。」


ひらひらと手を振るこの少女、ノーチェ・ロクシ―。アミリスの娘だ

明るい茶髪にショートに切りそろえた髪。服は、深緑のワンピースで、大人っぽい顔立ちをしている彼女によく似合っていた。


「ノーチェ、早かったわね。ちゃんと持ってきてくれた?」

「ええ。はい、これ。これで約束通りノルマ達成したから自由にするわよ。」


ノーチェはかごをアミリス渡すとうーっと伸びをして、ルーを感慨深めに見た。


「はあ……やっぱり、あんたは私が見込んだ美人だけあるわ。もう本当に可愛いわね。お持ち帰りしたいくらいだわ。」


しみじみと危ない発言をし、しかしレオーネが警戒した目で自分をみていることに気付くと、ああ……と首を振った。


「でも駄目ね。人のを横取りするのは私の主義に反するわ。」


幼馴染ってもう最初から反則じゃない?と心底残念そうに肩をすくめるノーチェ。

そんな彼女にルーは冷静に指摘した。


「ノーチェ、そっち側から戻ってきて。レオーネとアミリスさんがドン引きしてる。」


「あら、本当。レオーネはいつものこととして。ママまでひどいわね。それは娘を見る目じゃないわよ?」


「本当、どこで育て方を間違えたのかしら。」


いまいち会話がかみ合っていない親子の会話にルーは乾いた笑みを浮かべ、皮袋の中から鈴かすてらの代金を払おうとする。


「あら、いやだ。お金はいらないわよ。いつもこんな娘と仲良くしてくれてるんだから、それだけで十分。いえ、おつりを渡さなきゃいけないぐらいよ。」


「え、でも……。」

「そうそう。遠慮なんていらないわよ。ねね、ルー私もこれからお昼なの。混ぜてもらっていい?」

「別に全然いいよ。ね、レオーネ?」

「ああ。目に届く範囲にいれば、何かあってもどうにかできるからな。」


レオーネはちらりとノーチェを見る。

ノーチェは素知らぬ顔でルーと腕を組んでいた。


「まったく、あんたは人の邪魔をして。そのうち馬に蹴られるわよ。」

「ふふん。そんなヘマは踏まないわ。さ、いきましょ、ルー。あっちにサンドイッチが売っていたわ。」


ぐいぐいと引っ張っていくノーチェにルーはあわててアミリスにお礼をいう。


「ありがとうございました!おいしくいただきますー!!」

「いえいえ。娘にはくれぐれも気を付けて頂戴ねー!」

アミリスは去っていく三人に手を振った。


「それにしても、相変わらずあんたたちは目立つわね。」


ノーチェは半ば呆れたように周りを見た。

男女問わず、ちらちらとこちらを見ている気配が伝わってくる。

男はルーの可愛さに、女はレオーネの格好よさに振り返るのだ。


「そう?」


ルーは不思議そうに首を傾げるが、レオーネは渋い顔をする。


「レオーネは気付いているみたいね。それに対して……ルーは鈍感ねぇ。」

「むっ。失礼な。」


ぷくっと頬をふくらますルー。

しかしレオーネもノーチェの側にまわった。


「それについては俺も賛成だ。お前、もっと色々気をつけろ。」

「何よレオーネまで。別にいいもん。生活に支障がないんだから。」


ルーの言葉にノーチェとレオーネは同時に複雑な表情になった。

彼女は知らない。

レオーネの幼馴染、そしてその可愛さから嫉妬で嫌がらせをされそうになったのをノーチェが裏で潰し、その人物に反省文を53枚書かせたことを。


ルーをナンパしようとした品のない輩をレオーネが魔法で潰したことを。

――そのほかにもいろいろとあったのだが、それは割愛。


「……。とりあえず、人が少ないところに行くか。」

「……ええ。ここよりもっと海に近いところに穴場があるの。そこに行きましょ。」


どこか哀愁ただよう二人にルーは首をかしげるばかり。


「じゃあ、俺が適当に食べ物買っていくから、先行っててくれ。」

「え?本当に穴場だから、普通に行ったらわからないわよ。」

「大丈夫だ。ルーの魔力を追えば場所は分かる。」


レオーネは問題ないといって、さっさと行ってしまった。


「いや、そんなあっさり言われても。」


魔力を追うなんて繊細な作業、学生の、それも一年生が簡単にできることではないというのに。

いくら学年主席で魔法が得意だって言っても限度がある。

ノーチェは「飲み物も忘れないでねー」と声をかけているルーを見ながらぽつりと、


「愛されているわねぇ。」


誰にも聞こえない声で呟いた。



読んでくださってありがとうございました!

眠くて眠い中書いたのでいつもよりおかしいかもです…

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