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天使の少女と海の街  作者: 兎季
第一章
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幻の街

テンポが悪いです

「ああ、もうっ!!レオーネのお説教が長いせいであんなにお日様が高くなってるじゃない。」

ルーは軽く頬を膨らませながら文句を言い、飛ぶスピードを上げる。

「説教されるような日ごろの行いをしている方が悪い。…それで、さっきの鳥はじいさんの呼び出しか?」

隣を飛ぶレオーネが質問、というよりは確認という意味で尋ねる。

先ほどレオーネの説教中にフェレルの使いである青い鳥がやってきたのだ。

「うん。でも、呼び出しというよりは『雑用』のお願いだけど。

これから、おじいちゃんのとこ行って軽く指示受けたらすぐにしなきゃ。

あ、レオーネも付き合ってね。」

「俺はかまわないけど。…じいさんの許可がでたらな。」

「でるでる。というか、今までも何度か一緒にいったじゃん。」

ルーは何を今更、という顔をしレオーネの方をちらりと見る。

「それより羽、大丈夫?違和感ない?」

「ああ。もう小さいころから慣れっこだからな。」

レオーネが空を飛べる、その理由は簡単でルーがレオーネに魔法をかけたからだ。

ただ、誰しもにかけれるというわけではない。それなりの相性が必要で相性が悪いとかけてもすぐにとけてしまうし体力を大幅に削らせてしまう。

「まあレオーネとは相性もいいんだけどね。一応。

あっ、おじいちゃんー!!」

ルーは学校の屋上に立っていたフェレルを見つけると声をかけながらレオーネと一緒に舞い降りる。

またすぐに飛ぶので魔法は解かない。

二人が手をつないで(ルーが一方的にレオーネをひっぱって、とも言う)自分の前に降りたのをフェレルはにやにや、といっては語弊があるが笑顔で迎えた。

「相変わらず仲がよいのう。」

からかうように言うフェレルを華麗にスルーしてルーは要件だけを聞く。

「いつもの通りでいいの?」

「…むう、ここで赤くなったりしたら可愛いものを…。」

「おい、じいさん。」

レオーネもそんなフェレルを無視して、続きを促す。

「二人そろってひどいの。…いつも通り誰も傷つけずに頼む。今日は祭りだからのぉ浄化も念入りに頼むぞ。ああ、あとレオーネや。」

「なんだ?」

「5年に一回の祭りくらい、ゆっくりやりたいからの、できるだけ相手の武器を壊しておくれ。あとはあやつらの国の首都から遠いところへ飛ばしてくれるとうれしいの。」

「わかった。じゃあ俺も付いていっていいんだな?」

レオーネは確認するように聞くと、フェレルは笑顔で頷く。

「もちろんじゃ。防御と浄化だけならルーで十分なのじゃが…それ以外は…のぉ?」

フェレルの言葉にレオーネは成る程と納得する。

「お前、そういう魔法苦手だもんな。…というか壊滅的だもんな。」

「う、うるさい。ほら、さっさと行くよ。」

ルーはレオーネの手を再び引っ張りながら空へと飛び立つ。

レオーネはいきなりのことで少しよろけたが、すぐに体勢を戻しルーに文句を言っているようだった。

「二人ともケガなんかしないようにくれぐれも気を付けての~。油断は絶対にしないように。」

ルーとレオーネはまったく同じように手をひらひらと振るとすぐに結界の外へと出て行った。

「…本当に小さいころからとはいえ、仲が良いのう。将来が楽しみじゃ。」

フェレルは、ふぉっふぉっふぉと、ひとしきり笑うといつになく真剣な顔つきになった。

…最近、外の国に見つかることが多くなってきた。わしの結界が少し、…ほんの少し弱っているとはいえこんなに頻繁に見つかるはずはないのだ。

〝外゛の世界は戦争をやっている。いよいよ、このくにに目を向けるくらいに統一が進んできたということか…。

フェレルは昔、まだ彼が若かったくらいの大昔にその目で見、体験した戦争の光景を思い出して、眉を顰めた。

…このくにの者たちをあんな目にはあわせない。

そして、魔法をこの街の外にはもう二度とださせない。

魔法これは人殺し…世界殺しの道具ではないのだ。

戦争は自分たちの守りてんしすらも殺した。

…だからこの街は天使が去った、その日から世界から姿を消したのだ。

天使ともの死を悼むために。

憎しみを広げないために。

外ではこの街はどこにあるか、存在するかすらわからない幻の街。

目に見えず、たとえ何らかの方法で見つけられても次にその場所に来れば消えている。…そういう結界を張って世界からこの街を『守って』いるのだ。

「幻の街…いずれはその名すら消えればいいんじゃがの。」

フェレルは誰にも聞こえないようなかすかな声で呟いた。

読んでくださってありがとうございました!

本当は魔法のお披露目までの予定だったんですけど、手違いでデータをとばしてしまったためその直前までです。


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