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彼と彼女の長い長い1日。  作者: 白猫
馬鹿話! 過去編
28/38

プレゼント。

要&菜乃、高校入学直前。エイプリルフールの日に活動報告に載せていたお話です。



*転載ですが、がっつり加筆修正しております。2300字程増量。

 

 高校入学を間近に控えた二人は、本日揃って『新入生に必要なもの』を買いに、近場の繁華街まで足を運んでいた。といっても、制服や教科書など本当に必要なものはもう既に揃えている。用はなんやかんや言い訳をしては遊びに出掛けたかっただけなのだ。その証拠に、菜乃が購入したものは新しい筆記用具一式とハンカチやタオル、一目惚れしたブラウスと携帯ストラップも購入リストに入っているのはご愛敬、ってなものだが、要が最終的に購入したものは何処でも売っているシャーペンの芯のみ。はっきり言って家から五分のコンビニでも買える。




 「あー!楽しかった。もう最近までずうっと勉強漬けだったもんね?ほんと久々に遊んだなぁって感じ!」


 「ああ、まぁ二人とも無事合格したからなー。」


 「ほんとほんと、もう生まれて初めてってくらい脳に単語詰め込んだもんね。今じゃ毎日一個ずつ脳から出て行ってるのが自分で分かるもん。」


 そうおどけた顔をして菜乃は顔を振った。


 「アホか。学校始まったらすぐ実力テストだぞ。せめて入試問題くらいは復習しとけ。」


 「うへぇ。」


 「・・・帰って飯食ったら俺んち集合な。」


 「えぇ!?まさかでしょ?もう今日は疲れたよ!」


 「駄目だ。お前、即効落ちこぼれるつもりか?大して時間掛かんねぇからとにかくやるぞ。」


 「うー・・・わっかりましたぁ。要せんせー。」


 「分かればよろしい。」


 「・・・・・鬼っ」


 いくら小さく言おうが聞こえないわけがない。真横を歩く菜乃を横目でギロリと睨みつけた。


 そのレーザーのような熱視線にヤられる前にさっと視線を逸らした菜乃は、すかさず話題を変える。



 「あっ、そっ、そうだ!ねぇねぇ!」


 「ん?」


 「昨夜お父さんがね、『要君の本気は十分分かったから、そろそろ許してあげるよ。』って言ってたよ。」


 「ん・・・?何の話だ?親父さんが俺に言ってんの?」


 唐突過ぎて話が見えない。


 「そう。そのまま言えば分かるって言ってたけど・・・。何かうちのお父さんにお願いしてたの?」


 お願い、ねぇ?菜乃の父親とは最近夕食を伴にしたばかりだが、そんな会話をした覚えはない。というか、自分の親ならともかく、なんで菜乃の?思いだそうとするも欠片も出てこない。


 菜乃の親父さんに頼む事・・・?俺が?




 ・・・・・・・・・・っあぁ!?




 「・・・・って!まじでっ!?親父さんマジでそう言ったのかよ!!?」


 思い付いた事柄に心臓が跳ねる。嫌、まさかな。あの親父さんがそんなこというわけが・・正確には許す訳がない。


 何故なら・・・許可するってことは・・・俺と菜乃が・・ゴニョゴニョ・・てな、訳で。


 「うん、そう言ってたけど。一体何ごと?」


 マジかよ!!


 「・・・・・っんでもねぇよ。」


 何でもないふりをしてそっぽをむくが、正直それどころではない。

 頭の中には毎日のふれあいの中で溜まりに溜まった怪しい妄想が一気に駆け巡る。下手をしたら今すぐそこの壁に押し付けて、あの柔らかそうな唇に思いっきり噛みつきそうなくらいだ。


 「何なのー二人して、あーやしー」


 ああ、思いっきり怪しいよ!


 「あっ!あと今日うち、皆帰り遅くなるから家に誰もいないの。朔は部活の合宿だし、お父さんとお母さんはラブラブデートでディナーだってー!狡すぎる!!一人じゃ寂しいし、晩ご飯からそっち行ってもいい?」


 誰 も い な い だ とっ?


 何だこの謀ったような据え膳。わざと?わざとなのか?前携帯買った時は確かに高校卒業までは駄目だとかきっっつい鬼のような事言っていたのに。何がどうしてこうなった?


 はっ!まさか菜乃の入試を合格させたからか!?

 確かにそれならば納得できる。あれは我ながら頑張った。

 

 要にしたら自分の高校生活が掛かっているんだから当然のことなのだが。菜乃がいない高校など行く意味がない。


 じゃあ、この誂えたような状況は・・・高校合格の・・・プレゼント・・って、事か?




 自分が爆弾を落としたことを全く理解していないのだろう、菜乃が無邪気にも要の顔を覗き込んでくる。二人の身長さから、当然それは上目遣いになるからして・・・。



 ゴクッ


 

 「・・・っ!!待てっ!・・・俺がそっちに行って作ってやるから。ほら!さっさと帰るぞ!」


 「ええっ!ちょっ!引っ張らないでよ。なに、急に!痛いってば!!」


 これが待ってなんかいられるか。いつ親父さんの気が変わって邪魔が入るか分からない。こんな滅多にないチャンス、今度いつ来るか・・・。よし!今日こそ行ける気がする!このままこいつに告白して・・・後は、そのまま・・・。いや、流石にそこまでは・・・いやいやでも雰囲気さえ上手く持ってけば少しくらいは・・・。


 辛うじて無表情を取り繕っているが、頭の中ではもう収集が付かないほどの妄想が広がってしまうのは、健全な青少年ならば仕方のないことで。


 そんなある意味一番の危険人物に大人しく手を引かれながら、菜乃はひたすら遅れをとらないよう小走りにての帰宅を余儀なくされていた。




 

 




 「っもう!そんな急いで帰らなくてもいいのに!」 


 もしこれが競歩という競技のルールと照らし合わせたならば、完全に失格となるくらいの足運びで自宅にたどり着いた二人は慌しく門扉をくぐった。


 「いいから。さっさと鍵あけろ。」 


 「もう、何なの?さっきから。変な要。ほら、開いたよ・・・たーだいまー!って、誰も居ないけど。」 


 自分の置かれている状況に全く気付いていない菜乃は、いつものようにごく普通に玄関に入る。無防備にも背中を晒しあっさりと要を招き入れた。


 もうここまできたら我慢できない。一刻も早く・・・要は目の前の細い両肩を掴み、その体を自分の方にくるりと向き合わせる。


 「っ菜乃!」


 「ぎゃあ!って、要?なになになになに?なんか近っ・・・」 


 「俺・・・ずっとお前のこと・・・」








 「・・・・・・んんっ!んんんっ!おっ、おっかえりー!二人とも!はい、お疲れお疲れー!」


 「あれ?朔斗帰ってたの?今日合宿で泊ってくるんじゃなかったっけ?」


 「え、ええっ?そ、そんなこと、お、俺言ったかなぁ?と、父さんが嘘付いたんじゃない?ほ、ほらっ!き、今日、え、エイプリル・・・フールだしぃぃぃぃ!?」



 ガンガンガンガンガンガンガンガン!!



 「・・・要!?ちょっといきなりどうしたの?壁に頭打ち付けたりなんて・・・うわっ!頭から血が出てるよっ!?」


 「・・・・・・朔、ちょっと。」


 額から軽く出血しながらも、ニコニコといつにない笑顔で朔を手招きしている要。


 「いやっ!ちょ、要兄っ!待ってってば!話せば分かるんだ!」


 「・・・いいからいいから、ちょっと来い。すぐ終わるから、な?」


 「いやぁ!俺悪くねえって!!だからまじその顔勘弁してぇぇぇぇぇぇぇ・・・・!」



 俺も親父の被害者なのに----・・・・・・・




 弟の遠吠えは部屋まで続き、扉がバタンと勢いよく閉じられた後、うんともすんとも言わなくなった。








 「・・・・ごはん、私作るの?」


 何が何だか。まぁどうせ要の事が大好きな弟がなんかやらかしたんだろう。


 とりあえず地獄のテスト勉強が立ち消えになりそうな予感に、ルンルンと鼻歌を歌いながら気分良く夕飯の準備に取り掛かる菜乃なのであった。




 








ぱぱん大笑い。鬼め。


菜乃なのであった・・・これ文章おかしくないですよね?こんな罠があったなんて(笑)



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