幼馴染、帰還する。
初投稿です。目に止めて頂けたなら幸いです。
双月の光もなく真っ暗な、夜。
しかし、その闇でさえ全てを塗りつぶすことの出来ない、幾多の灯りを纏いて荘厳に佇むある一国の城の一室で。
一人の男が、己の全てを懸けて悲願を達成させようとしていた。
あと少し・・・だっ・・・!
息も出来ないほど張りつめた空気の中、溢れ出んばかりの力の奔流が、まるで炎のように地を這っていく。ともすれば焼け爆ぜてしまいそうなそれらを何とか身の内に繋ぎ止め、細く、細く、幾重にも自分の周りに張り巡らし、望む『陣』を象ってゆく。
そうして幾ばくかの時がたった頃、ようやく光が最後の螺旋を描き、繋がった、その瞬間。
溢れんばかりの光の濁流が、全身を包み込んだ。
ああ・・・これで・・やっと、帰れる・・・。
会いたい・・・・早く・・・!
それは一瞬だったのか、それとも気が狂うほどの永遠か-----。
気がつけば、一年前にはよく見慣れていた白い市松模様の天井が視界に広がり、そのあまりの懐かしさに我を忘れて叫んでいた。
「ああああああっ・・・っつ!!!」
耐えがたいほどの歓喜が全身を震わせ、気づけば涙が止めどなく流れている。
そして、すぐ右手にある窓から、自分が誰よりも何よりも欲している、最愛の人のいる気配を、その懐かしい灯りを感じた時。
今までずっと抑えていた想いが激情となって。その全てに精神も肉体も耐えられなかったのか、頭が真っ白になり、そのまま、もうずっと寝心地も忘れてしまっていた自分のベッドに倒れこんだ。
・・・夢・・・オチとかだったら・・・今度こそっ・・あの世界全部壊すっ・・・!
その閑静な住宅街にはまだたくさんの灯りが灯されていて、ゆっくりと穏やかな夜に包まれようとしていた。
星が瞬く柔らかな夜空には、一年もの間、見ることさえかなわなかった月が煌々と輝いていた-----。