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22話

早絵視点です。


しょ、しょーもな…。

なんという、しょうもない理由なんだ。

それがダンの女性不信というか、結婚したくないと思っていた理由なのか。


これが、ダンからけったいな話を聞いた直後の嘘偽りないあたしの感想である。

最初に自己申告された通り、実にどうでもいいというか、長い人生の中で一回くらい女に騙されたりした経験もあるよね、という程度じゃないのか、それは。

金銭的な被害が出てないからか余計にそう感じる。

しかし、あたしもそれなりに社会に揉まれた大人であるので、その感想を上司に素直に伝えていいものか。

いいわけあるか。

でも、何にも言わないのものなぁ…。


そんなこちらの思惑が伝わったのか、ダンは握った手に力を入れ直した。

おい、ちょっと痛いんですけど。



「君に言うべきではない事だったかもしれない。だが、これから人生を共にしたいと思える人は君だけだ。だから、どんなに情けないと思われても、俺の全てを知っていて欲しい」



重い…。

たかがそんだけの理由で恋愛において女性が信じられなくなった事も、それを仮にもプロポーズした女にわざわざ伝える事も……!


無理だ、無理無理。

あたしにはこんな厄介で面倒な男を、しかもガイジンと人生を共に過ごすなんて、ぜえったい、無理!



「サエ、お願いだ、俺と結婚してくれないだろうか。君を幸せにする努力は欠かさないし、君に俺を幸せにして欲しい」

「好きな女に傍にいてもらうのに特別な努力が必要なんですか?」



おっとつい口が勝手に。

いや、だって独身主義者が趣旨替えするほどの人と出会えたのに、幸せを感じられる環境を努力しないと提供できないって、なんて思ってしまった訳である。

思っても口に出さなきゃいいのに、あたしったら…。



「俺はサエがただ傍にいてくれたら、それだけで幸せになれる。例えそれが地獄でも。でも、サエはそうじゃない。俺が想うほどの想いはまだ返せない。そんな君に、少しでも俺の隣が心地良いと感じて離れられなくなるようにするには、それ相応の努力が必要だ」



………聞いたあたしが馬鹿だった。

なんか、えらく病んでる発言ではなかろうか。

あんた、そんな上司じゃ、人じゃ、なかったじゃん!



「お願いだ、サエ。恋に狂った男と馬鹿してくれて構わない。俺を哀れだと思うなら、どうかイエスと言ってくれないか?」



「…………はい」




なんか血走ってる青灰色の瞳にみつめられ、状況に流されるように返事をしてしまった。

それもヤツの望み通りの答えを!



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