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20話

ほんっとごめんなさい。

久々過ぎますね・・・。


早絵視点です。

「結婚」―男女が夫婦となること。婚姻。


結婚。けっこん。ケッコン。

ばい明鏡国語辞典。



「結婚!?」



脳の思考回路にこの単語理解されるまで大分時間がかかった。

いや、単語の意味だけならば理解できる。

だが、それが自分に向けられているという認識ができなかった。


というか、これはいわゆるプロポーズというやつではなかろうか。

プロポーズ。求婚。



「返事はイエスしか認めない」



何を言っているのだ、この男は。

つい先日までそんなもの興味無いって言ってたくせに!

あたしは覚えているぞ、パーティーの帰りの車で結婚なんてする気無いって言ってたじゃん!


しかしダニエルは文字通り縋りつき、返事を急かす。



「何故、私と結婚せねばならないのですか・・・」

「愛し合う恋人同士のゴールであり始まりだろう」



よくそんな砂吐きそうな台詞を素面で言えるな。

所詮は『月がきれいですね』の国の人間である奥ゆかしいあたしは、吸い込まれそうなほどの激情を湛えたブルーグレイの瞳を見返した。



「いやです」

「何故だっ」



いやだって、異国の地で人生の墓場に入る決意はつかない。

そろそろ結婚を考えてもいい年齢だけど、やっぱり生涯を共にするのなら、日本男児がいいなあ。



「そもそも前提条件が違いますよ。私たちは正確には恋人同士ではないでしょう」

「俺は君を愛している、君もそれに答えてくれただろう?!」

「・・・ほほう」



どの口がほざくか、どの口が。



「あんな卑怯な力技使って恋人同士、ですか」



ぎらり、と恨みを込めて睨んでやった。

ついでに怨念も込めてやる。

アメリカのは知らんが日本の呪いは怖ろしいぞ。


するとダニエルもうっと呻りうつむいた。

しかし、その唇からこぼれたのは、あたしを思いっきり脱力させる一言だった。



「睨むサエも可愛いっ」



コイツは真性の馬鹿だ、絶対。

人間が神から与えたもうた言語という分野が発達していないのだ、全然。

そうでも思わなきゃやってられないっ。



「馬鹿じゃないですか」



言ってやった。



「ああ、サエのこととなると俺は馬鹿になる」



いや、そいうことじゃなくてだな。



「今までの女関係は何だったんですか。そんな結婚したいならあの中から選べばいいでしょうが」

「俺はっ、君とっ、結婚したいんだっ!」

「なんで私としたいんですか、何の魂胆があって」

「だから言っているだろう、サエを愛しているからだ」



というか、さらっとスルーされたが、犯罪行為に対する謝罪のしゃの字も無いぞ、こいつ。



「『愛している』は免罪符にはなりませんよ」

「じゃあ、他に何と言えばサエに伝わるんだ・・・。俺はもう君がいないと生きていけない」



だからどうしてこっちの人はこんな大げさなのだ。

砂糖吐きそう。



「解りました、百歩譲って私を愛してるという妄言を信じましょう。それでその愛ゆえに卑怯な手を使ったということにも今は触れません。その上で聞きたいのですが」

「妄言なんかじゃないっ。確かに俺は君にとって受け入れがたいことを強要したが・・・」



あ、自覚あったんだ。

つまり、多少は罪悪感があってそれを誤魔化すためにうだうだ言ってたわけかコイツは。

まあ、今は置いておこう。

話が進まない。



「話し合いをする気あります、ボス?」

「・・・分かった、何でも訊いてくれ、そんなことで君が納得するならなんでも答える」



いや、別にそこまで思いつめなくてもいいけど・・・。




「じゃあ、何でまた突然結婚がしたくなったんですか?」

「だからそれは、」

「言い方が悪かったですかね。何故今まで結婚する気が無かった方が、突然趣旨替えしたのですか?」



するとダンは顔色をさっと青くした。

あ、あれ、もしかして、地雷踏んだ?



「長い話になるんだが」

「いや、出来れば手短に」

「サエには知っていてもらいたい」

「え、ちょ、人の話聞いてます?」

「もう十年以上も経つのか・・・」



な、なんか浸っている・・・。

まさかの展開にあたしも真っ青だ。



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