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歩いて校門を抜ける。
今はまだ昼前の午前中、俺がこの時間帯に学校にいるのは珍しいことだ。
なにせ一週間でこの日、つまり火曜にしか午前中に学校に来ない。
もとよりこの日も午前中の授業をとる気はなかった。
「おはよう!」
いきなり後ろから話しかけられ振り返ってみると、
そこには茶髪の女の子が立っていた。
「あぁサキか。おはよ」
「相変わらず暗いねー」余計なお世話だ。
「別に暗くない。おまえが朝から元気すぎるんだ」
「あー暗い暗い。まぁいいや、早く行こー」
オマエが話しかけたのだろう。なんだその言い草は。
サキは一年の頃のに同じ授業になった奴だ。
その時に俺がサキにノートを見せたのをきっかけに話すようになった。
正直いって不似合いだ。
彼女もなぜ俺みたいな奴に話しかけたのだろう。
彼女は明るく元気で誰にでも好かれるタイプだ。
其れに比べ俺は(サキ曰く)暗く、寡黙なほうだ。
もちろん友人と呼べるものも少ない。
そんな俺になぜサキが話しかけたのか分からない。
単にノート集めに必死だったのかもしれないが。
俺は彼女とは正反対だ。
彼女が陽なら俺は陰。正義なら悪、だ。
昼休み
喫煙所のベンチで俺はタバコを吸っていた。いつもこんなもんだ。
俺には友人も少なくたいてい1人で過ごしている。
辺りは学生で賑やかだ。
行き交う人を見ていると、何か、違うように感じる。
どこか俺とは違うような。
そんなことを考えていると俺が場違いに感じてくる。
なぜこんなところにいるのだろうか。
遠くにサキを見つけた。彼女は友達と歩いている。
これから昼食なのか、それとも食べ終わったのかわからないが、
ここで見ているとますます俺は彼女に関わってはいけない気がしてしょうがない。
俺は彼女を見るのを止め、手元のタバコに目を戻した。