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エピローグ
こんなずじゃない。
こんなもんじゃない。
人間は一歩進めばそれに後悔する。なんとも惨めだ。
そんなことを言っても未来は変えられない。
行き着くとこ結局同じようなものになるのだ。
そう同じように。
ならば少しだけ違った結果をみせてやろう。
それでおまえが満足するなら。
雨音。そう、これは雨だ。
俺の頬に落ちる雨の雫。地面に流れた雨も俺のほうへ向かってきている。
寝ているのか、俺は。倒れているのか、俺は。
アスファルトの冷たさがダイレクトに感じ取れる。
そんなことはどうでもいい。
俺は寝続ける。
こうでもしないと自分がどこに立っているかわからなくなる。
俺はこんなとこで寝ている場合じゃないのに。
俺は仰向けになった。
雨が顔に降り注いでる。その先には分厚い雨雲があるだけだ。
まだ昼なのにあたりは薄暗い。
俺はその雨雲を掴むように右手を伸ばす。指先に雨がつたる。
ぬるいような、冷たいような雨が流れていった。