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第2章 環境構築 / 03

――やっぱりおかしい。


環はなるべく動揺を顔に出さずに日々仕事をこなしながら、その実、内心では混乱を極めていた。


ふと、すっかり常用するようになってしまった足元の棚をちらりと見る。

千草が、この棚の設置を皮切りに、異様に環の身の回りを気にし始めてから、既に2週間が経過していた。

ついこの間まで、余計な物がほとんど無かった環のデスクは、今や千草が何かと理由をつけては設置する雑多なもので、随分と賑やかになってしまった。

そしてそれらは、機能面においても全くの無駄が無く、環の動きをサポートするよう完全に最適化されている。

また、毎日のように繰り返される千草の気配りは、事実だけ捉えれば、確実に環の仕事生活の質を改善させていた。


――私は私の判断で、あなたの許可なく、あなたに干渉します。


あれは、こういう意味だったのか、と今になってようやく理解する。


困惑はするが、環自身は概ね助かっている。

上司も同僚も、「月村さんが働きやすくなるなら」とむしろ歓迎している。

千草本人は嫌々やっているわけではないらしい。


明確な断る理由は存在しなかった。

だが、こんな風に訳も分からないまま、一方的に与えられる厚意に甘えていいのかという違和感は拭いきれない。


ちらりと腕時計を見る。

針は午前10時ぴったりを指している。

…そろそろだろうか。


「月村さん」


環が腕時計に見たとほぼ同時に、横から静かに名前を呼ぶ声が聞こえてくる。

顔を上げると、そこには予想通りコーヒーを片手に持った千草が立っていた。


「……ありがとう」


最早、完全に習慣になってしまった差し入れのコーヒーを受け取り、環はそっと口をつけた。

変わらない甘い味に、環は依存性めいたものを感じながら、それでも今はまだ、拒絶することをしなかった。

次回更新は3/27(金) 20時の予定です。

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