5 石の力
コルが俺の監視役と聞いて、ショックを受けた。
友達が出耒たかもと、思ったが、違っていたんだな。
あれから俺は、チョット落ち込み引きこもってしまった。心が痛い。ここのエルフにとって俺は、気味の悪い厄介者なのだろう。過去に来たと言う夢見人と同じようなことをされると思っている。
そうか、仕方が無いことかも知れない。
俺だって、過去に友達にハブられて、それで長い間引きこもっていたのだ。心に傷を負えば、もう一度信用することはなかなかでいない。勇気も出ない。
ましてや、集落の安全に関わることだ。警戒して当たり前だ。
コルと一緒に外で活動するのに馴れてきていた。そのせいか、ずっと引きこもっているのに疲れてきた。
外に出ても、誰も居ないのだ。外に出よう。
川に行って、身体を洗って綺麗になった。魚を捕ろうと川の中を覗くと、キラキラした石が落ちていた。
其れを拾ってみると中に何かが入っている。
小さな火が石の中で揺らめいている。「綺麗だ」
ここにはこんな不思議な石が落ちていたんだな。異世界らしさが余り無いと思っていたけど、僕にとってこの石は不思議な異世界の宝物だ。
俺は石を落とさないように自作の鞄の中に入れた。
コルも偶にしか来なくなったし、これからは一人で狩りをして生きて行かなければ生らない。コルに教えて貰ったおかげで、狩りは出来る様になったし、肉も焼いたりすることも出来る。なんとかなりそうだ。
俺は一人の寂しさからか、石に話しかけるようになっていた。端から見れば独り言を言う気味の悪い奴だと思われているだろう。でも、この石は時々答えてくれるのだ。
小さな声で「うん」とか「ううん」とか言うのだ。肯定と否定だけだが、十分寂しさを紛らわし手くれた。