1 ここはエルフの里だ!
俺の周りを取り囲んでいるのはエルフか!
皆耳が長い。髪が銀色で目が緑色だ。肌の色は白く輝くように綺麗な顔立ちをしている。
男も女も皆ひょろりとしていて、華奢だ。
思った通りエルフは弓矢の使い手なのだろう。全員弓矢を持っている。魔法も多分使えるはずだ。素晴らしい。異世界に来て、のっけからエルフに会えるなんて、感激で身体が震えてきた。でも、何故、俺に矢を向けて構えている?
俺は身ぐるみ剥がれて、牢に入れられてしまった。何もしない内から、何も知らされていないのに、俺が一体なにをしたって言うんだ。今俺は素っ裸だ。せめてパンツくらい残して欲しかった。
この牢屋には木桶がおかれている。多分これで用を足せと言う事だろう。
もうすでに大を其処にしたので、自分のものの匂いが牢の中に充満して、自分のク*の匂いで具合が悪くなってきた。くさすぎる。
たまに見回りのエルフが来る。険しい顔で此方を一瞥していなくなるのだ。せめて何か無いか周りを見まわして、上の方に取り付けられた窓に木のツタが、からまっているのに気がついた。
俺は、木のツタをグイッと引っ張った。結構長めのツタが手に入ったので其れをなんとか腰に巻いて大事な俺の相棒を隠すことが出来た。
意外と便利なツタだ。葉っぱが大きいので完璧に隠す事が出来た。用を足す時はツタの隙間から物を引っ張り出せば良い。これで、少しは安心できた。
異世界に来たら、魔法が使えるかも知れない。
俺は自分のステータスが見えないか試して見るも一向に画面が現れない。
若しかして頭の中に浮かぶ方式か?目を閉じて念じてみたが、だめだった。
手を見て、
「火よ出ろ!」「悪を滅ぼす浄火よ、吹き出せ!」「炎熱、業火、メテオ!」
色々やってみたが、一向に魔法が使えない。これは違うタイプの使い方をするのか?
そうか、ここは精霊の力が必要なのかも知れない。エルフの里だものな。
「精霊よ我に力を貸したま・・・」
一生懸命やっていたら、目の前に見回りのエルフが馬鹿を見るような目で見ていた。
急に俺は恥ずかしくなり、こそこそと、牢の奥の方に逃げた。