05 ダービー馬の勤勉なる働き②
今日金曜日じゃないけど、更新してみるね?ありがとう、ごめんね。
前回のあらすじ
マックイーンから初仕事を激励されるも仕事中に蹴られるかもしれないことを知ったサンデー。直前に朗報が舞い込みルンルンで仕事現場に向かう。
05
扉を開けるとそこには数名の牧場スタッフがサンデーサイエンスの到着を待っていた。
「お待たせしました!サンデーサイエンスさんが入ります!!」
先導するスタッフの若者が大きな声で到着を告げる。サンデーはゆっくりと部屋の中央に向かって歩みを進めた。
そこにはテーブルとソファーがあり、ソファーには一頭の牝馬が座っていた。
スタッフの若者から聞いた通り、おっとりとしていて、いかにも大人しそうな牝馬であった。サンデーは自分よりも少し年上だろうその牝馬に声をかけた。
「お待たせして申し訳ない。私はサンデーサイエンスと言います。今日はお会いできて光栄です、レディ。どうぞお手柔らかに。」
サンデーは右手を胸の前につけて、恭しく頭を下げる。
それから二言三言、会話を交わすとスタッフから『そろそろお願いします』と声がかかり、テーブルとソファーが片付けられた。
『いよいよか!』とサンデーは武者震いを一つして、牝馬側の準備が出きるのを待つ。
程なくして、スタッフからの合図が送られ、サンデーサイエンスの初仕事がいよいよ始まった。
◇
『カーーン!』と闘いの始まりを告げる鐘がなる。
「サンデー!いけいけ!そこだ!!」
「頑張れサンデー!もう一息だ!!」
「諦めるな!お前ならまだやれるぞ!!」
スタッフからプロレス観戦さながらの声援を受け、サンデーは奮闘する。初めは緊張や不安もあったが、スタッフの応援はサンデーに力を与えてくれた。そして、
「ふんぬーー!!!!!」
────SPLASH!!!!!!
「よし、サンデーお疲れ様!このまま控え室に戻って休んでくれ!」
スタッフたちから労いの声が飛ぶ。サンデーは100メートルを全力疾走した後のように、息を弾ませながらスタッフの若者の誘導に従い、その場を後にした。
◇
初仕事は上々。大きなトラブルもなく、一仕事を終えることができたサンデーは、控え室の椅子に座って、安堵の表情を浮かべながらスポーツドリンクを飲んでいた。
「……ふぅ。なかなかハードだったなぁ。」
ごくごくと喉をならした後に、サンデーはぽつりと呟いた。緊張している中でのお仕事は、思っていた以上に体力を消耗するようで、現役時のレースさながらの疲労感がサンデーを襲っていた。
────コンコンコン
サンデーがフーッと息を吐いていると、控え室のドアを叩く音が室内に響いた。
『はい、どうぞ』と返事をすると、部屋の中にサングラスをかけた中年のおじさん、フジワラが入ってきた。
「いよぉー、サンデー!お疲れ様。今日は初めてなのになかなかいい仕事ぶりだったぞ!これなら何の心配もいらないな!」
「Mr.フジワラ!久しぶりじゃないか!自分でも初めてにしてはうまくできたと思っていたんだ。明日からもオレ頑張るよ!」
サンデーとフジワラはハグをして再会を喜んだ。そしてサンデーが明日への意気込みを述べると、フジワラはきょとんとした顔をする。
「何を言っているんだい?今日の仕事はまだ終わっていないよ!あと30分もすれば、次の牝馬がやってくるぞ?」
「は?!30分後?!え?!」
「そうだ。なかなかタフな交渉だったが、キミのために世界中から良い牝馬を買ってきたから喜んでくれ!さっきの調子で頑張ってくれれば、何も問題ないから大丈夫だ!リラックスして仕事に励んでくれ!」
「え?!世界中から?!」
「いやー、今から来年産まれる子馬が楽しみでしかたないよ!ん、そろそろ次の商談の時間か……。じゃあまたな。頑張ってくれよ、サンデー!!」
滞在時間5分。世界を股にかける男・フジラワは多忙を極める。サンデーの初仕事のために分刻みの予定を調整して駆けつけ、労い、そしてフジワラは去っていった。
残されたサンデーサイエンスは、フジラワからの予想外の言葉に混乱していた。
「……一日一回じゃないんだ。え?!一日何回あるの?え、これから……次?」
「失礼しまーす!サンデーさん、次の牝馬の準備ができたので移動をお願いしまーす!ん?サンデーさん大丈夫ですか?なんか顔がひきつってるみたいですけど……?」
「だ、大丈夫だ。オレはサンデーサイエンスだ!どんな逆風もはね除けてきた。大丈夫!大丈、夫。大丈……」
無情にも時間は待ってくれない。足取りの重いサンデーを急かすように、スタッフの若者に背中を押されながらサンデーは次の仕事場所へと移動するのであった。
初仕事に取り組むサンデーくんのお話でした。
これならセンシティブ回避したやろ笑
国内最大規模のヤシロファームから重厚なバックアップを受ける。まさに一大プロジェクトです!
実際にも高額で輸入した種牡馬が鳴かず飛ばず……という話は珍しくないようですね。調べたところ栗毛の小柄な牝馬にしか興味を示さなかったお馬さんがいるとか?
牧場スタッフからすれば、「おいおい頼むよ~焦」って言いたくなる所ですね笑
さて、次回は初仕事を終えたサンデーくんのその後のお話です。
お楽しみに~(ФωФ)ニャオン
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