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31 その頂へ③

ここまで毎週更新。ほめてほめて?


前回のあらすじ

メグロブライトンとシロクジジャスティス。それぞれのお話。緊張感の中、運命のダービーのスタートが切られた。

31


 青々としたターフを駆ける十八頭の精鋭たち。世代ナンバーワンを決める夢の祭典、ダービーがスタートした。


 注目の先行争い。皐月賞馬・サニーブロッケンがハナを奪った。当初はハイペースもありえるのでは?と噂されていたが、蓋を開ければ、激しい先行争いは起こらず、一コーナー入口で三番手までの隊列はすんなりと決まってしまう。



 ハナを切ったサニーブロッケンは鞍上の小西の誘導で落ち着いたリズムを刻む。二番手にはフジカワビガン、三番手に内からサイエンススズランと続く。

 逃げ予想のあったビックリサンデーはスタートが合わず、逃げ争いに加われなかった。そのためサニーブロッケンは難なくハナを切ることに成功した。


 スタンドからは、目の前を走る十八頭に拍手のエールが送られる。




「端口調教師、ダービーの位置取りについて相談したいんですけど、お時間はありますか?」



 サイエンススズランの手綱を握る神町は、レース数日前に端口とレースについて打合せを行った。




「スズランには、二千四百はギリギリや。無理に逃げれば、直線の坂で止まってしまうんやないか?」



「でも、逃げた方が良さが出る気がするんですよね」



「せやけどな、東京二千四百を逃げきるのは至難の業やで?他に逃げる馬がおったら、控えた方がええ」




 そんなやり取りで出た結論は、控える競馬だった。神町はスズランを逃がさずに、三番手に控えさせた。



(勝ち筋は、前走みたいな先行抜け出しやな。少しでも長く脚を溜めなきゃいかんな)



 手綱をそっと内に引く。スズランは従順に反応し、コースの内らち沿いに進路を変えて、ぴったりと一コーナーを回っていった。






────さあ、先手争いはすんなり決着が着きました。逃げるのは皐月賞馬・サニーブロッケン。二番手にフジカワビガンがいて、内らち沿いにサイエンススズランがいます。その外、並び掛けるようにビックリサンデーが続きます。



 先行争いが落ち着く一方で、一番人気のメグロブライトンは後ろから五、六頭目に控えていた。先頭からシンガリまでが密集した馬群の外外を走らされていた。

 そのまま追走するブライトンの背中で、松木は少しの焦りを感じなから、ちらりと内側に視線を向けた。



(開いてないな。どこかで、内にもぐりたいが……)



 ブライトンがスタミナに自信がある馬とはいえ、終始外を走らされるのは堪える。


 一番人気ゆえに、他の陣営からのマークも厳しく、ブライトンの内側にはライバル馬たちによる『壁』が形成されていた。


 松木は、改めて人気を背負っている重圧を感じながら、焦る気持ちを追いやって、内に入り込む隙ができるのを待ち続けた。






 そんなメグロブライトンの一列内側、一馬身後ろを走る馬がいた。赤い帽子のシロクジジャスティスと藤村だった。



(ええ流れや、予想通りの展開や)



 藤村はこのスローペースで馬群が一段を形成する展開を読んでいた。


 『馬群の中で脚を溜めて、ジャスティスの自慢の末脚で抜け出す』自身が想定するシナリオを再現するため、藤村は手綱を介してシロクジジャスティスと呼吸を合わせていく。


 スローペースで折り合いを欠く馬がいる中、この藤村の悠然たる態度はシロクジジャスティスに安堵感と勇気を与え、ジャスティスは心を乱さずにしっかりと折り合うことができていた。



「ええよー!ジャスティス、その調子や。力まずに走ろうや」



 藤村の呼び掛けに耳をピクピク反応させて応えるジャスティス。完璧な折り合いにほくそ笑む藤村。一番人気馬を内に入れないようにコース取りをしながら、藤村は虎視眈々と仕掛けるタイミングを待った。





────一番人気のメグロブライトンはこの位置。十四番手あたりか。その内から赤い帽子、シロクジジャスティスが追走。ややスローペースの中、人気の二頭はどう動くのか!?





ゆったりとしたペースを刻みながら、馬群を引くのはサニーブロッケン。鞍上の小西がペースを掌握する。


 小西は長い間重賞勝ちはなく、普段は裏開催が主戦場で、未勝利クラスや条件戦での騎乗が主であった。

 そんなある日、懇意にしているオーナーから連絡があった。



「小西くん、ブロイアンズタイムの二歳馬で期待しているんだけど、君が乗って競馬を教えてあげてくれませんか?」


 それがサミーブロッケンだった。


 新馬戦、未勝利戦、一勝クラスと経験を積みながら、この人馬は着実に成長していった。弥生賞三着から皐月賞は無欲の逃げに徹し、ハナ差で勝利してしまう。


 小西もブロッケンも皐月賞のゴール後は、呆然と立ち尽くしてしまった。


 実感の無いまま恐る恐る検量室に戻ると、調教師の白尾が破顔して出迎え、興奮気味に小西を抱き締める。師匠からの抱擁に小西は戸惑いつつ、一着が夢でないことを悟った。


 白尾も小西も、そしてオーナーも初のGⅠ制覇となった。オーナーは涙を流して喜んでくれた。もちろん厩舎スタッフも。



(こんなにも、喜んでくれる人たちがいる……俺たちが、がんばれば)



 主役とは無縁の男の心に、火が点った。それは、もう一度この大舞台で、みんなに喜んでもらいたいという強い願いだった。



 しかし、自身には特別な武器はない。巧みな位置取りも、末脚を補助する力強い追いもない。ただ、決まったペースで逃げるのが少し得意なだけだ。


 ブロッケンも突出したスピードがあるわけではない。少しだけスタミナがあって、騎手の指示に従順なだけだった。

 だから、このコンビは逃げて逃げて逃げて、押し切るしかない。





────先頭はサミーブロッケン。前半千メートルを通過……タイムは六十一秒一!

鞍上の小西、スローペースで後続を従えます!さあ、ここからどんな競馬となるのか!?





 小西はレース序盤をスローペースに落とした。後続に二馬身の差をつけた状態で、一定の早さのままサミーブロッケンを走らせる。手綱から伝わる手応えは、まだまだ余力を感じさせるものだった。



 人気どころは差しや追い込みと、脚を溜める脚質だ。先行争いをするライバルも距離延長に不安のある馬が多く、無理に競り掛けて来ない。


 そんな思惑を読み、選択したスローの逃げ。ここまでは、脇役の男・小西の読み通りと言えた。



 二番手のフジカワビガン、三番手にサイエンススズランとビックリサンデーが並走。五番手にネルネルマックス、オマタセフクノカミが続く。


 そして、三番人気のランニングヴェイルは中段に、一番人気のメグロブライトンとシロクジジャスティスは後方から。



 先頭からシンガリまでおよそ十二~十三馬身の中に固まった一段の動きはまだない。


 注目のジャポンダービーは、膠着したまま前半戦が終わろうとしている。果たして勝利の女神が微笑むのはどの馬か?


 静かに、だが確実に、十八頭は勝負の後半戦へと向かっていった。


お読みいただきありがとうございました!

前半戦はサミーブロッケンが狙った展開に導きました。果たして結末はどうなるのか?


一週間掛けて考えます笑


また来週の金曜日にお会いしましょう?

頑張って更新したいと思います。

(ФωФ)/~マタキテネェェ



==============

☆☆☆☆☆→★★★★★にしてもいいよ 


という優しい方、★お願いしますー

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