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フクと呼ぶ女と暮らしている (下)

 

 僕が卒業した高校の校章は竜胆(りんどう)を背景にあしらう平凡なデザインであるが、花びらを(かたど)る校章らしい校章である。ただ、在校時は意識もなく身に付けていて、フクに三村の高校の校章は竜胆だと指摘されて始めて気が付いたことであった。校章って普通は花だよね、××は白梅だしと県立の女子高の名を出した。言われてみればそうだ。うちの高校なんだと思う、イチョウだよ、イチョウ、それも葉っぱと文句を言う。イチョウの花は誰も知らないし、銀杏を校章にされても困るだろうと言うと、明治の創立だから校章なんて選び放題なのにわざわざ地味なイチョウの葉っぱにする意味が分からないと怒る。校章なんて誰も気にしないから良いじゃないかと言うと、三年間毎日身に付ける身にもなって欲しいと訴える。そう言われればそういう気もするが、卒業して何年経つのかと考えるとフクはかなりの執念深い女なのかもしれない。



 非通知はもちろん、登録をしていない番号からの電話にも基本は出ないようにしているのだが、その時の電話は魔が差したというか、うっかり取ってしまったとしか言いようがなかった。「三村様の携帯で宜しかったでしょうか。」と声を聴いた瞬間に斎藤氏のマンションで会った”かずえ”のあだっぽい顔が目に浮かんだ。「はい。」という僕の応答に、「先日は大変ありがとうございました。”かずえ”です。」と落ち着いた声がして、「ご迷惑だったかしら。」と笑みを含んだトーンが続いた。歓迎する電話ではないが男として妖艶な女性は決して忌み嫌う相手でもなく、失礼にならないように、「いえ、その節は大変お世話になりました。」と返すと、「先日は変なメモをお渡ししてしまって、さぞや軽蔑なさっているのじゃないかと心配しておりましたのよ。」とコロコロと笑った。渡されたメモは見たら僕の自制心の頼りなさから厄介なことになるなと思って見てはいないが、僕の迷いを示すようにズボンのポケットに押し込んだままだった。多分彼女の携帯の番号だろうと思っていたが、果たして、「お電話お待ちしていましたのに。」と恨めし気に声を作るのでやはりそうだったらしい。「申し訳ありません。少しバタバタしておりまして、そうこうしているうちにタイミングを逃してしまって。」と言い訳すると、「良いんですのよ。どうせお気付きのことでしょうけど、斎藤の頼みでお渡ししただけですから。『何の連絡もありませんよ。私の魅力なんてその程度なのよ。』と斎藤に拗ねて見せたら当てが外れたようで、腑抜けた顔をしておりましたわ。」と今度は本当に楽しそうな笑い声が聞こえた。「いえ、私のような平凡な男にあなたのような魅力的な女性が関心を持つことはないでしょうから、斎藤さん絡みだろうなというのは想像はしていたのですが、斎藤さんの真意は何だろうと色々と(いぶか)しんでいたらタイミングを逸してしまったというところです。」と上手く切り抜けたつもりでいたら、「あら、お上手。三村さんは素敵でしたわよ。」と軽くいなされてしまった。「今日は斎藤とは関係なくお電話を差し上げましたのよ。」と”かずえ”は続けた。「ご迷惑とは思いますけど、一度お会いできませんか。私ちょっとお話したいことがありますの。」。斎藤氏が無関係な訳はないだろうとは思ったが、僕も魅惑の女性のお誘いを断れる程の石部金吉でもなかった。承知する旨答えると、”かずえ”の声は一時(いっとき)はしゃいで、美味しい懐石料理を食べさせてくれる静かな店がございますのよと日時を指定された。面倒にはしたくはないなとは思ったが、綺麗に剃り上げた色味を帯びた”かずえ”の女性器が目に浮かんでいた。


 「別れた亭主は弱い男でしたの。」。和江はつつましやかに酢の物を口に運びながら話をした。「とっても優しい男でしたのよ。誰にでも優しかった。でも優しいだけじゃ男は駄目なのですよ。自分の女の幸せのために戦ってくれないと。時にはお前は俺の女だとひっぱたいてくれないと女は安心しませんわ。」。和江はひとり語りをしながら僕の飲むペースを測ってタイミング良く銚子を取って僕の盃に酒を満たした。

 和江が指定した店は奥に離れを持つ店で、その離れのひとつが予約されていた。斎藤氏が居ても驚かないようにしようと覚悟はしてきたのだが、『関係なく電話した。』との言葉どおり、和江ひとりがお茶を飲みながら待っていた。一通りの挨拶を済ませた後、”かずえ”は和江と書くのだと教えてくれた。僕の、今日は斎藤さんは?という問いを予想していたように、「今日は私ひとりで、斎藤は何も知りませんのよ。」と和江は僕を見た。「そうですか。それでは宜しくお伝えくださいとも頼めませんね。」と言うと、「三村さんって面白い事もおっしゃるのね。」と和江はひとしきり笑った。「落ち着かないので、一度に配膳していただるように頼みましたの。」。膳に乗せられてきた料理は見た目は意外と質素だったが本物の懐石料理とはこうしたものらしかった。和江はジレと言うのだろうかノースリーブの上着を羽織っており、派手にならない落ち着いた装いをしていたが、インナーのワンピースも袖なしタイプのものらしく艶めかしく二の腕を晒していた。驚いたのは和江は腋毛を処理していないらしく、「おひとつ。」と腕を伸ばして銚子をすすめてきた時に思わずその黒い陰りに目が止まった。和江は僕の視線にすぐに気が付いたようで、「みっともないでしょう。」と口では言いつつも、少し腕を上げて自分で覗き込むような仕草で僕に腋毛を見せてから、「斎藤がやたらと殿方に見せたがるの。私を同席させて会食する際には必ずノースリーブを着せて殿方の反応を見て喜ぶの。変態でしょう。でも、最近は慣れてしまって。変よね、下の毛は剃らせるのですよ。もっとも三村さんには既にバレているわね。」と思わせぶりな目を向けた。

 「ご想像通りでしょうけど、私は斎藤の世話を受けていますわ。もちろんお金のこともありますけど、斎藤といると私、余計な事考えなくて良いのです。考えなくても、斎藤がああしろ、こうしろと言ってくる。私は、『はい』か『いいえ』を言えば良いの。何でも『はい、はい』と従っている訳じゃないのよ。嫌な事にはイヤだと言うと、斎藤は時に困った顔をして、怒って時にひっぱたくわ。でも、ひっぱたいた後で、『じゃあ、これならどうだろう』って子供が何かを思い付いたように楽しそうに私に話すの。その嬉しそうな顔見ていると、あぁ、これが男なんだなぁって結構可愛くなったりもするものなんですよ。」。この時点では、和江は典型的な男性依存症だろうなと思っていた。女性の中には男性という異性のフィルターを通さないと自分の存在価値を確認できない人が居るらしく、こうした質が過剰になると男の価値観が自分の価値観になってしまうらしい。もっとも僕はその対極にあるフクと暮らしており、そうした女性とお付き合いする機会もないので想像でしかない。「結局子供は持てなかったのですけど、物は考えようだなと思ってしまうのです。周りの友達を見ていると、女ってどうしても子供第一になってしまうのよ。自分のことは放りっぱなしで、気付いたら女であることも放棄して、そうした生き方もあるのかなとは思うのですけど、でも、女を放棄したのは自分ですからね、いまさらその境遇に文句を言ったところで誰のせいでもなく自分の責任なのに、女は誰かのせいにしないとやってられないのですよ。」。僕は、『はい』。『ほぅ』と和江の話を聞いていた。ひょっとしてこの女は単に自分の愚痴を聞いてもらうために僕を呼んだのだろうかと疑い始めた僕の顔色に気付いたのか和江は話題を変えた。

 「奥様は素敵でしたわ。」と和江は言った。「性を奔放に楽しんでいらっしゃるのにお相手のこともきちんと考えてやられているなと分かりますの。あの会には色々な奥様方が見えられるのですけど、皆さん自分が気持ち良くなることばかりに夢中で、努力なさっている殿方達へ気遣いはこれぽっちもないの。前回は無事に終わりましたけど、奥様方のご不満からちょっとした騒動は結構ありますのよ。」と教えてくれて、「それに苦情の矢面に立つのはいつも私。」と眉をひそめて不平を付言した。なかなかにフクの特性を捉えているなと感心した。フクはセックスとは二人でやるもので、自分が満足するためには相手にも楽しんでもらう必要があると疑わずにセックスをする。単なる性欲解消ではない頭の良いセックスをする。和江は経験値で男の扱いとして理解していると思うが、男に媚びないフクにとっては当たり前のことである。「ひょっとして奥様は男性相手のご職業の経験もおありなのかしら。」。心持ち首を傾げた和江の疑問に僕には思わず、「ぱほっ。」と奇声とともに酒を吹き、慌てて、「失礼。」と謝り、畳をおしぼりで拭いた。「私と出会う前のことは良く知らないのですが、学校を出てからずっと多忙な仕事をしているようなので、どうなのでしょうか。」。努めて表情を変えないようにしたつもりであったが、客商売をするフクが想像されて笑いを(こら)えるために腹の肉が変則に波打った。「あら、御免なさい、私ったら。失礼な意味ではなく、それぐらい奥様の心配りができていらっしゃるという意味ですわ。」。和江にとっては肯定的な評価のようであった。

 「三村さんご夫妻は斎藤の集まりにはもう参加なさらないのでしょう。」と和江が聞いてきた。やはりその話かと思ったが、「参加する、しないに関しては彼女の意向も確認する必要がありますので何とも言えないですね。ただ貴重な経験をさせてもらったと感謝していますよ。」。失礼にならないように気を使った。「多分誤解なさっていると思うのですけど、今日は、また参加してくださいという話をするためにお呼び立てした訳ではないですのよ。」。と和江は手をヒラヒラさせてから、心を決めたように座り直して、「お恥ずかしい話なのですけども、私、少年達とお付き合いがございますの。」と言った。「少年?。」。「少年といっても私がそう呼んでいるだけで、皆さん立派な大人ですわ。」。和江の話は唐突で、何の話を始めたのかと(いぶか)しんだ。「三村さんの目にも止まったでしょうけど、あの集まりには学生のバイトさん達も参加していますの。」。既に斎藤氏から聞いていた話でもあり頷くと、「会員の殿方は最初は熱心にプレイに参加なさるのですけど、一回果ててしまうとしばらく休憩が必要なようで、それと一回で終わってしまう方も多くて。でも女性にしてみれば体に火を付けられて、さぁこれからという時に放ったらかしにされても困るでしょう。それで繋ぎといいますか、仕上げといいますか、そういう役割を学生さん達にお願いしていますの。何と言っても若いと元気ですからね。」と言って、露骨な話の内容に気付いたように、「ほほほっ。」と笑った。「その中で目立って可愛い男の子がいるのです。その子は前回奥様のお相手をしたのですけど、すっかり奥様に魅せられてしまって、もう一度お相手させてくれないだろうかと頼まれていますの。」。混乱する内容であった。「先ほど、会に再び参加しろといった話ではないとおっしゃったと思うのですが。」と確認すると、和江は、「ええ。違いますわ。」と深く頷いた。「と言うことは、個人的に関係を持ちたいということですか?。そういう話でしたら、私に聞くよりも彼女に直接聞くべきだと思いますが。」。少し不快を感じながら言うと、和江は、「三村さんなら、そう言って下さると思っていましたわ。」と独り事のように呟いて、「これから少しお時間をいただけませんか。ちょっと見て頂きたいものがありますの。」と思わせぶりな笑顔を見せた。この時点では、見せられるものは前回の集まりの時のビデオだなと思っていた。僕かフクが性交するビデオの存在をネタに我々をコントロールできると和江は思っているらしい。舐められたものだなと面白くなってきた。「ええ、大丈夫ですよ。何を見せていただけるのでしょうか。」。僕も笑顔を向けた。

 案内されたのは和江の生活するマンションらしかった。斎藤氏がオーナーのマンションのひとつにあったので玄関で少し躊躇したが、和江は僕の心を見透かしたように、「ご心配なく、斎藤は今マカオですわ。お仲間とカジノですって。」と言って、スリッパを置いて、「どうぞお入りになって。」と僕を促した。「お茶をお出しする前にこれを見ていただきたくって。」と廊下の突き当りにある部屋のドアを開けて電気を付けた。どうやら寝室のようであった。「ベッドは後で。」と和江は妖艶な笑みを浮かべて、「こちらへ。」とリビングに移動した。広々としたリビングであったがよく掃除が行き届いていて清潔感があった。和江はテーブルの上にあったリモコンを入れる篭から金具を取り出して、リビングの壁の一カ所に差し込んで引くと壁が開いて小さな部屋が現れた。和江が指を向けた先には寝室のキングサイズのベッドがあった。「なんと。」。僕が驚きの声を出すと、和江は、「うふふっ。」と満足そうに笑って、「隠し部屋なんですよ。」と言ってから、寝室に僕を引っ張って行き、「この鏡が、なんて言うのかしら、寝室の明かりを付けると隣から丸見えになるの。」と解説した。「また何でこんな仕掛けを。」と聞くと、「斎藤の趣味ですわ。自分の女のセックスを覗くなんてとんでもない変態でしょう。」と言ってから、「三村さんも変態なのでしょう。奥様をお借りする代わりに特別席をご用意しますわ。」と奇妙な取引を持ち掛けてきた。驚いたが、和江のペースに巻き込まれるのも癪なので、「見せて頂けるものは前回のビデオかと思っていたのですが。」と水を向けて見ると、「あら、ビデオが見たかったのですの?。一応何かあった時のためにビデオは撮ってはいますけど、あくまでトラブル対応のためであって、何もなければ一週間程度で消去されるのでもう残ってないと思いますけど。」と申し訳なさそうな顔をした。斎藤氏もそうだが和江もどうも絡み辛い人だ。

 「とっても綺麗な少年なの。奥様もきっと気に入ってくれて恋愛気分のセックスができると思うわ。」。和江はお見合いを勧める親戚の叔母さんのようなトーンで言い、「三村さんも奥様が少年から何度も犯されてオーガズムに狂う姿を見て楽しみたいでしょう。」と決めつけた。フクのセックスに対するスタンスを考えた時に、少年という組み合わせは果たしてフク的にはどうなのだろうかという考えがまとまらず、「はぁ。」と生返事をすると、和江は勘違いしたのか、「少年と言ってもテクニックもあるし、何回も出来るから奥様にも満足してもらえますわ。それにとても気配りのできる優しい子で、彼とセックスをした奥様方は本気で彼に恋してしまいますの。何とかして彼の歓心を得ようとして常識では考えられない奉仕まで喜んでやってしまいますのよ。心まで持っていかれた奥様のセックスを見るのは本当に辛い事だし、興奮すると斎藤も申しておりましたわ。」。和江は目に卑わいな笑いを溜めた。「私はあなたが見たままの性癖で何も隠すことはないのですが、私が自分の性癖に合わせて彼女に性的な行為を無理強いしたことはありませんし、これからも多分ないでしょう。彼女は社会的にも経済的にも自立した女性であり、それは性行為においても例外ではなく、欲するか欲しないかは彼女自身が決めることだと思っています。」と暗に和江や彼女の周りの男に隷属(れいぞく)する女達とフクの違いについて触れたのだが、和江は意にも介せず、「三村さんに奥様の説得をお願いしようとは思っていませんわ。そうですわね、奥様には私から食事の誘いがあったとだけ伝えていただいて、後のお膳立ては私にお任せください。きっと見たことのない奥様の痴態にご満足いただけると思いますわ。」と前のめりに話を進めてきた。ここで鈍い僕にも和江がビジネスの話をしているのだと気が付いた。和江にしてみれば、斎藤氏の会に参加して性欲のタガが外れた女性と少年達のセカンドマッチングは簡単だろうし、場合によっては僕のような寝取られ亭主も巻き込んでいるのだろう。多分斎藤氏に隠れてのサイドビジネスだと思うが、ビジネスであればしがらみもないので変に気を使う必要もなさそうだった。そう考えると、僕の存在を意識しないフクが少年とセックスをして、どんな愉悦の表情を見せるのかを盗み見るのも一興のような気がしてきた。「分かりました。ただ経費的な問題もあるでしょう。幾らぐらいお支払いすればよいでしょうか。」と聞くと、「そうなんですよ。少年にもお小遣いをあげないといけませんのよ。」。和江はあっさり本音を漏らして、「この位ご負担いただけますと助かりますわ。」と結構な金額を伝えてきた。僕が了承すると、「もし、奥様が少年とのセックスをお断りなさった場合にはお金は頂きませんわ。もっとも、これまでに断られた方はいらっしゃいませんけど。」と和江は含み笑いをして、「お話はこれぐらいにして、そろそろベッドに移りませんこと?。」と僕の股間を触ってきた。欲を隠さない小悪党は嫌いではない。毒を食らえば皿までだろう。和江の豊満な胸を愛撫しながら、「これも有料ですか。」と聞くと、「嫌な言い方。満足させていただいたら無料(ただ)にしますわ。」と和江はキスをせがんできた。女の欲情した匂いを嗅いだ。


 「斎藤さんの会でお会いしたご婦人から食事のお誘いがあったのだけどどうする?。」とフクに聞くと、フクは、「あぁ、あの人。秘書みたいなこともやるのだね。斎藤さんかぁ、個人語り多そうだし、ちょっと苦手なタイプかな。」と否定的な反応であった。「斎藤さんは来ないらしいよ。」と言うと、「へぇー。彼女に気に入られたのかもしれないね。なかなかの美人じゃないか。三村もやるもんだ。」と(はや)した。「残念ながらお誘いは僕ではなくて君だよ。」と教えてやると、「私だけなの?。」とフクは怪訝(けげん)そうな顔をした。「何だろう。私にご馳走しても良い事はないと思うけどな。」と(いぶか)し気だった。「まぁ、美人とご飯を食べるのも悪くないかな。」と言ってから、「そのうち誰かが私の魅力に気付くとは思っていたけど、女かい。」と笑った。フクは軽い気持ちで言ったと思うが、謎めいた和江なので意外と言い当てているかも知れない。ビジネスは別として最初からフクがターゲットだったのかもと疑った。「クエをご馳走してくれるらしいよ。」と教えてあげたら理由の詮索(せんさく)は止めたらしく、「クエ、クエ。行く、行く。」とフクははしゃいだ。携帯に履歴が残っているよね。番号教えてくれる、連絡してみるわ。」。フクを(だま)しているようで少し気が(とが)めたが、どうするかの選択肢はフクにあるのだから許してもらおう。ただ、和江は自信満々だったが、僕はフクと少年という組み合わせがどうもピンと来ず、話を聞いたフクは断るかもしれないなとこの時は思っていた。


 当日になって勇んで出掛けるのかと思っていたフクはいまひとつ気が進まない様子で、「行くの止めようかな。」と時間になってもグズグズしていた。和江の方から今夜の会食の趣旨についてある程度の話があったなと思ったが、何も知らないはずの僕としては滅多なことは言えないので、「どうした?。体調が悪いの?。」ぐらいしか言えなかった。「体調?。うーん、体調ねぇ、体調はどうなんだろうねぇ。」とフクは何かを僕に言うか言うまいか迷っていたみたいだが、やがて、「まぁ、行ってみるか。」とパラシュートパンツにジャケットとキャプというカジュアルな格好で出掛けていった。フクも和江からの誘いをどう受け止めて良いのか困惑していたのだと思う。もっとも僕も当事者であるだけに正直に話しをされても返答に困るところであった。和江からフクを少年に抱かせないかと誘いがあった時に、僕がこれは少し違うなと感じたことは事実であった。僕のフクに対する性的興奮は、フクが戸惑いながらもどうしようもない自分の(さが)に逆らえず愉悦を求めてもがき苦しむ姿から生まれるものであった。『みっともないことは分かっているよ。でも私はセックスが好きなんだ。女なんだから仕方ないじゃない。』と言い捨てるフクを僕はたまらなく愛しく思う。和江の誘いはフクを単なるセックスプレイに誘うもので、僕とフクの間に何のヒリ付く緊張を与えるものではなさそうな気がしていた。フクがパートナーである僕の前で他の男とセックスをすることでフクの精神に生まれる悔恨と残酷な悦びを僕は共有したいのであった。

 「予定通りお入りください。」と和江から電話があったのは夜の8時を過ぎた頃であった。「一時間以内に移動しますわ。」と伝えられた。マンションのロック鍵の暗証番号は事前に伝えられていた。「私に教えても良いのですか。」と意地悪く聞いたら、「ご心配なく、翌日には変更しますから。」と事もなく返された。靴を片手に犯罪者の気分で忍び込んだマンションのリビングはカーテンが全開されており、照明を付けなくても外からの薄い街明かりで迷うことはなかった。テーブルの上のリモコンを入れる篭から金具を取り出して、和江を真似てリビングの壁の一か所に差し込んで引くと壁が開いた。僅かに入る光に反射して僕の間抜けな顔が正面の鏡に映されていた。小部屋にはソファーと小さなテーブルがあり、テーブルの上にはミネラルウォーターとご丁寧にティッシュボックスが置いてあって苦笑した。まだ時間はあったが追われるように壁を閉めると全くの暗闇で右も左も分からない状態となり、仕方がないので僕は手探りでソファーに横になった。脈打つ心臓の音を全身で感じていた。そのままぼんやりと時を過ごしていたら知らないうちに寝ていたらしい、玄関の方から立ったザワザワという音と声に反応して目が覚めた。

 「どうぞ、遠慮しないで。」。和江の声がリビングのドアを開ける音に重なり、奥からフクと誰かの「おじゃまします。」と言う声がして僕の緊張は一気に高まり、体が固まった。実はこの日以降、和江とは一切会っておらず和江がどういう話をしてフクを説得したのかを聞く機会はなかった。ただ現実として、フクは少年とセックスをするために和江のマンションを訪れたことは間違いなかった。「素敵なマンションですね。」というフクの世辞に応えて、「間取りを見てみる?。」と和江が案内を始め、しばらくして寝室の照明が付くと、暗闇に慣れた僕の目に大量の光が飛び込んできて視界のピントが合わない状況に狼狽した。和江の後ろから寝室を覗き込むフクの顔が鏡越しに見えた。フクは寝室に足を踏み入れると、「広い寝室。大きなベッド。」と驚いて部屋の中を見回した。フクの横にはショートヘアーの小柄な若い男がフクの腰に手を回して寄り添うように立っていた。フクも心持ち体を預けるようにして立っており、男の手が慣れ親しんだ相手への行為のようにフクの臀部に降りて、尻の感触をまさぐったがフクは何の嫌悪も示さなかった。既にフクとは親密に振る舞うだけの何らかのプロセスは踏んでいるようであった。彼の顔には何となく見覚えがあり、斎藤氏の集まりの時にフクを愛撫していた子かなとは思ったが確かではなかった。大学生というのだから二十歳前後なのだろうが中性的で幼く見え、和江が彼を少年と呼ぶのも納得の呼び名であった。寝室の照明が落とされる寸前に和江は鏡に目を向けて僕に対して目くばせをした。

 3人はリビングに移動したようで壁側から声が漏れ聞こえてきた。「とりあえず乾杯しましょう。」と和江の声が聞こえて、「サトル君、ワインの栓を抜いてよ。」と甘えた声が続いた。遠慮がちの乾杯の後、「美味しい、これ何処のワイン?。」。フクの声がして、しばらくして、「イタリアって書いてますよ。」と少年が答えると、「あらっ、ワインってフランスの飲み物じゃないの?。」と和江が言い、少年の笑い声が響いた。しばらくして「私たち先にシャワーを使うからサトル君飲んで待っていて。」と和江が言うと、「僕も一緒では駄目ですか?」と少年は聞いたが、「女性は色々と準備があるのよ。」と和江に諭され、「奥様、行きましょう。」という誘いにフクは素直に従って立ち上がったようだった。2人がリビングから出ていく気配がした。実は、この時が一番緊張した瞬間だった。少年がどこまで知っているのかを僕は和江から何も聞かされていなかった。少年が隠し部屋のことを知っていて、壁を開けられたらどんな顔で、何と言えば良いのかまったく見当が付かなかった。残されたサトル君と呼ばれた少年はしばらく静かにしていたが、「あぁ、俺。そう、和江のとこ。違うよ。うん、そう。普通かな、でも若いよ。多分お前もやってると思うぜ。あぁ、言っとくよ。夜中過ぎるな、まだ居るの?。わかった後で顔出す。」と多分仲間に電話をした後大きな欠伸をして、また携帯でもいじり始めたのか静かになった。どうやら少年にもこの隠し部屋の存在は知らされていないようであり、僕は安堵の息を吐いた。連続する変な緊張に、和江に乗せられてのこのことこの場所に来てしまった自分の軽率さを後悔し、こんな経験は二度と御免だなと思った。


 当たり前の話であるが、女性同士の交わりを見るのは初めてだった。女はややこしい生き物だと嫌悪するフクがそのもっともややこしい部類に属するであろう和江に翻弄されていた。フクは最初から戸惑いっぱなしで、「えっ、いや、それは。えっ、ちょっと。」と変なテンションで同性相手の経験が無いことは明らかだった。和江はひたすらフクの裸体を色白で素晴らしいと褒めた。巻いていたバスタオルを奪われて全裸にさせられたフクは、「奥様の体はとてもいやらしくて素敵ですわ。」と称賛する和江の口づけを立ったまま受けると腰が砕けるまで延々と口の中を舐めまわされた。堪らずフクがベッドの上にへたり込むと今度は足の指から始まる和江の舌の愛撫を全身に受けた。和江はフクの女性器を舐め上げながら、「ピンク色で綺麗よ。」と褒めた。最初は我慢していたフクが徐々に悦びの声を上げ始めると、和江はシックスナインの体勢でフクの体に被さって、更に舌でフクの女性器への愛撫を強めた。フクも和江の尻に手を回して、応えるように下から女性器に舌を這わせ、控えめながら二人の愉悦の声が重なるようになった。和江は頃合い良しと見たのか、「奥様、ちょっとお待ちになって。」と体を離して、ベッドの下の収納に手を伸ばして棒状のものを取り出した。男性器を模したバイブではあったが異様に長く、途中で曲がってバランスが悪い奇妙な双頭バイブであった。和江が片膝を立てて短くて太い方を自分の膣に押し込むと股間に長いペニスが生えたようであった。目を丸くして和江のペニスを見るフクに、「ごめんなさい奥様。すました顔をしておちんぽが大好きで淫乱な奥様を犯してみたくて仕方がありませんでしたの。偽物だけど我慢してくださいね。」と和江は言った。和江は意識しなかった思うが、このストレートな言い方は戸惑っていたフクに好ましく受け止められるはずだった。突としてフクの表情から戸惑いが消えてフクも覚悟を決めたなと感じた。フクは頷いて足を両手で開き、女性器を和江に向けて、「ええ、おちんぽが好きなの。」と和江にねだった。和江は嬉しそうな顔をして、「そうなの。恥ずかしい格好ね、丸出しよ、いやらしい奥様。これまでにさぞや色々なおちんぽを咥え込んだのでしょうね。卑わいな形になってますことよ。」と女性器の別称を口にして責めた。「酷い。でもそうなの。我慢できないの。」とフクがペニスをねだると、和江は、ウフフッと笑い、股間から生えたバイブにオイルを(まぶ)すと手を添えてフクの女性器にゆっくりと挿入した。「あたる。奥にあたるわ。」。フクが訴えると、和江は、「奥様、まだよ。このおちんぽの凄いところはここからなのよ。」と嬉しそうに言って、更に奥に進めるとフクは苦しいのか逃げるように体を上にずらし始めたが、和江は焦ることなく体を密着させてフクの声を封じるように口を合わせ下半身を巧みに動かしてやがて長いバイブはフクの女性器にすっぽり収まり、和江とフクの裸体はぴったりとバイブで繋がった。「アッ、アッ、アッ、駄目。壊れる。」とフクは騒いだが、和江は経験があるのだろう、「大丈夫よ。動かないからね。怖くないわよ。」とフクを抱きしめて落ち着くのを待った。「慣れると大丈夫でしょう?。」という言葉にフクが頷いたのを確認して、「じゃあ奥様、おちんぽで犯すわよ。一緒に気持ち良くなりましょうね。」と和江が下半身に手を伸ばすとバイブは電動だったらしく、フクはその瞬間、電気に触れたように「ギャアッ。」と叫んで顔を後ろに反らしてもがいた。和江がフクをがっちりと抱いて、「大丈夫よ。すぐよ、すぐよ。」と言うと、「駄目、イイ、イイ、逝く。」と和江にしがみ付いたフクの反応がすぐに変わって、一気にフクは最初のオーガズムに達してしまった。それからは、バイブで繋がった和江とフクの裸体はもつれあうようにして絡み、和江が上になって尻を振り、フクも下から和江の中に納まったバイブを突き上げた。舌を絡め、手が巻き付き、足がもつれあって、二つの女体はひとつの裸体となって淫靡(いんび)にねっとりとうごめいた。和江の、「イイわ。私も逝きそう。」という嬌声を境に、二つの裸体は更に激しく擦り、もみ合い、二人の声は時に嗚咽となり、時に甘えを含んだ喜悦の声となった。和江が、「逝くううっ。」と叫んで尻を大きく振ると二人を繋いでいたバイブが抜けて、二人の裸体の間に落ちた。長いバイブは二人の膣液を付けてクネクネと蛇のように動いていた。


 ドアが開いて全裸の少年が入ってきた。ベッドの上で横たわる二つの裸体を見て、「ずるいなぁ。二人だけで楽しんで。」と苦笑して、うねるバイブを拾ってスイッチを切った。「和江さん、雅子さんを逝かしたの?。」という少年の問いに、「満足してもらえたと思うわ。」。和江が答えた。少年は、「そう。」と言いながらベッドの上に仰向けに横たわったフクに近づき、フクの髪を撫ぜて、「目を開けて。」と優しく言った。フクが目を開くと、少年はニッコリと微笑んで、「和江さん上手でしょう。気持ち良かった?。」と白い歯を見せた。フクが、「ええ。気持ち良かったわ。」と頷くと、「僕が居て良かったよ。和江さんと二人っきりだと一晩中相手させられるよ。」と笑った。「酷いこと言わないで。」と和江が起き上がって少年の尻をパチンと叩くと、少年はフクの目を見たまま二三歩下がり、「僕の体、綺麗でしょう。」とポーズを取った。少年の白い裸体は細身ではあるが胸と腕には俊敏な動物の証明のような筋肉が付いており、少年特有の引き締まった小さな尻が足の延長のように控えめにあった。正面を向くと薄い陰毛から勃起して臍に付きそうなピンク色の長いペニスが彫像の一部のようにして存在していた。フクはしばらくの間少年の裸体を見つめていたが、「とっても綺麗。男の子ってこんなにセクシーな生き物なんだ。」と呟いた。少年はちょっと拗ねたように、「僕は特別なんだよ。」と言ってから、「皆、僕の体に触っておちんちんを咥えたがるんだ。雅子も僕とセックスがしたい?。」と聞いた。「ええ、君とセックスしたいわ。」とフクが迷わず告げると、少年は、「良いよ。」と頷いてから、「会った時から欲情していたよね。メス汁溢れてパンティを汚しちゃったでしょう。」と笑うと、「ええ。恥ずかしいぐらいに濡らしちゃってた。」。フクは躊躇なく告げた。「皆、僕の精子が欲しいって言うんだ。雅子も僕の精子が欲しい?。」と少年は重ねて(たず)ねた。フクが、「綺麗な男の子の精子は誰だって欲しがると思う。私も君の精子が欲しいわ。」と答えると、少年は、「良かった。僕はコンドームが好きじゃないんだ。」とはしゃいだ声を出し、「今日は優しい奥さんで良かったよ。」と少年が言うのに、「おしゃべりはいい加減になさい。」と和江が強めの口調で被せた。この少年と和江の正確な関係は分からないが、少年は俗に言う和江の若い燕のようなものなのだろう。ただ、和江は少年を自分だけの愛人とはしておらず、どうやら他のご婦人達にも抱かせているらしかった。少年はちょっと戸惑った顔をしたが、「和江さんは皆に平等にやってあげなさいって言うのだけども、僕にだって好き嫌いはあるんだよ。」と拗ねた声を出して、「僕は雅子のことは好きだよ。」とフクに笑顔を向けて、「キスしようか。」とフクの頬に触れた。フクは、「嬉しいわ。」と頬を緩めた。フクと少年の長いキスと唾液の交換が終わると、「君はキスが上手だよね。舌と舌でセックスしているみたい。」とフクはもっとキスをねだる素振りであったが、少年は無視して、「和江さん。」と呼びかけて、「まず出しておくよ。」と告げると、「最初の射精はね、ちょっと辛いんだ。量のせいなのかな。セックスの時は強い刺激は避けたいんだ。」とフクに申し訳なさそうに言った。「そうね。一度出しておく方が楽しめるかもしれないわね。」と和江が言いながら、「お口で良いの?。」と少年に近づこうとすると、少年は身をかわすようにベッドに座って、「和江さん寝てよ。」とベッドを叩いた。「もう、苦しいのに。」と和江は文句を言ったがなんとなく嬉しそうだった。フクが起き上がってスペースを空けると和江は豊満な裸体をベッドの上で仰向にして、大きな乳房の形が崩れて胸からこぼれた。「和江さんはね、僕の濃い精子を飲むのが好きなんだ。」。少年は楽しそうに、クックッと笑い、シックスナインの体勢を取って和江の顔の上にペニスを差し出すと、和江は迷うことなく少年の長いペニスを口に含んだ。そのまま互いの性器をオーラルで性交するのかと思っていたら少年は和江の下腹に顔を埋め込むように四つん這いになって白くて引き締まった尻をフクに向けて掲げて、「僕のお尻、綺麗かな。」と聞いた。「ええ、白い陶磁器を見ているみたい。とっても綺麗よ。」とフクが答えると、「僕のお尻を舐めてくれる。」と少年は言った。頷いたフクが少年の尻を貴重品を扱うように両手で優しく撫ぜて、「すべすべしている。」と感想を漏らし、掲げた尻の双丘に舌を這わせると、少年は、「違うよ。お尻の穴だよ。」と命じて、「お尻の穴が気持ち良いんだよ。」と言い足した。フクは一瞬びっくりした様子を示したが、すぐに、「分かった。」と言って、少年の肛門に舌を伸ばした。少年の体は瞬間ビクッと反応したが、それ以上の反応はなかった。「最初はくすぐったいのだけど、だんだんとジンジンしてきてね、お尻の穴が気持ち良くなるとおちんちんも気持ちよくなって精子が(あふ)れちゃうんだ。」と嬉しそうに言って、「僕のお尻の穴を舐めて嬉しいでしょう。」と決めつけた。「そうね、嬉しいわ。」とフクは少年の割れた尻に顔を付けたままに答え、「他の女の人にもこうやってお尻の穴を舐めさせているの?。悪い子ね。」と少年の肛門を舐め上げると、「違うよ。和江さんに頼まれておばさん達とセックスはするけど本当は嫌なんだ。おばさんは臭いし(うるさ)いんだ。だからなるべく早く終わらせるようにしている。お尻を舐めてと頼むのは僕もその人と楽しみたいなと思う時だけだよ。」と少年が告げると、フクは、「食べちゃいたいぐらいよ。」と言って更に熱心に少年の肛門に吸い付いた。少年は自分から動くことなしにフクに長いこと尻を舐めさせていたが、何度か(うめ)いた後に、「和江さん、準備してくれる。」と告げると下から少年のペニスを咥えた和江は少年の腰に手を回して体を引き寄せペニスを更に喉の奥に押し込んだ。少年の股間に和江が吸い付く形になり、少年の尻は更に割れた。少年は、「ああ、和江さん、気持ち良いよ。」と漏らしてから、「雅子、もっと奥に入れて、もっと奥を舐めて。」とフクに要求した。フクは一旦肛門から口を離して、指で肛門の状態を確認してから、再度肛門に吸い付き少年の尻に顔をぶつけるように前後させはじめた。舌を尖らして柔らかくなった少年の肛門の奥に舌を送り込んでいた。フクは四つん這いになって少年の尻への奉仕を続けていたがいつの間にか左手は自分の性器を(まさぐ)っていた。フクの性欲は強いので時にはひとりで発散しているのだろうなとは思っていたが、実際にフクの自慰行為を見るのは初めてだった。多分、少年の射精に併せて自分も逝きたいという欲情が沸いたのであろう。フクの顔が深く少年の尻に埋もれて、左右にブルブルと振られると、少年は、「和江さん。」と助けを求めるように名を呼び、「出すよ。」と上半身を反って更にペニスを和江の喉の奥に突き刺すと、尻を痙攣(けいれん)させながら「うっ、うっっ。」と射精を繰り返した。その間、和江は少年の体を離すことなく少年のペニスに吸い付き顔を浮かせて全ての精子を嚥下(えんげ)した。

 射精を終えた少年は、横たわった和江の髪を優しく撫ぜてから、「お待たせ。おちんちん欲しかったでしょう。始めようか。」とフクに向かってニッコリした。こくりと頷くフクに、「何かやって欲しいことはある?。」と少年が訊ねると、フクは、「正常位でキスをしながらでお願い。」と希望を告げた。少年は小首を傾げて、「斎藤さんのところで雅子とファックした時に雅子は、『後ろから犯して、もっと激しく犯して』って大声で叫んでいたから、絶対バックが好きなのだろうと思っていたよ。」と言うと、「ええ、雄とのセックスは後ろから犯してもらうのが好き。でも折角綺麗な君とセックスをするのだから、キスをしながら愛されたいなって思ったの。」とフクは照れたように言った。少年は、「チェッ。」と拗ねたように舌打ちして、「僕だって雄だし、女を逝かせるぐらいは簡単だぜ。」とフクに向かってペニスを振ると、「えぇ、立派なおちんちんだもの、すごく気持ち良いと思うわ。でも、私、君みたいに綺麗な男の子とセックスをしたことないの。こんな綺麗な子の精子を貰うんだって幸せな気持ちを一度味わいたいの。最初の射精は正常位でお願い。その後は好きにして良いから。」。少年は不思議そうな顔をして、「僕の子供が欲しいの?。」と聞いたが、「君の精子は欲しい。でも頭の悪い子は欲しくないわ。」とフクが首を横に振ると少年は大笑いして、「雅子って面白いね。好きになりそうだよ。」と喜んだ。「じゃあ、後でアナルでやらせてよ。僕アナルで出したことがないんだ。」と言うと、「オイルを使って痛くないようにやってくれたら良いよ。」とフクは頷いた。にこやかに二人の話を聞いていた和江はベッドから立ち上がり、「奥様、シャワーを浴びるのでちょっと失礼しますね。」とフクに告げ、ベッドの下の収納からチューブを取り出し、少年に、「お尻にはサックと除菌ローションを使って。後は宜しくね。」と声を掛けて、鏡の向こうの僕にウィンクをして肉付きの良い尻を振って寝室から消えた。


 少年は横になってフクを抱き寄せて長い時間キスをした。時々唇を外してフクの耳に口を付けて何か言い、その度、フクは幸せそうに微笑み少年に回した腕に力を入れて、再度キスをせがんだ。少年がフクの乳房に顔をすり寄せて乳首を吸うと、「胸、小さくて恥ずかしいな。」とやさしく髪を撫ぜた。やがて少年がフクの足を広げて被さるようにして体を上にずらすと、フクは、「えっ、えっ。」と叫んで、「ヤダ、入った?。入っちゃったの。信じられない。」と呟いて、「そうか、そういうことか、若いってすごいね。」と多分、少年のペニスの臍に着きそうな勃起力に驚いていた。「長いからね。」と少年は自慢した。「雅子の中は温かくて気持ち良いよ。」と少年が言うと、フクは、「そうかぁ、気持ち良いか。嬉しいよ。」と喜んだ。少年はフクと口を合わせたまま、正常位で動いていた。フクには珍しく、ウ、ウン、ア、アンと喘ぎ声を続け、キスの合い間に、「素敵だよ。」。「幸せだよ。」。「夢みたい。」と抱き合った少年の耳にささやいた。少年が射精に向けて動きを大きくし始めると、察知したフクは、「私、逝きそう。」と告げ、「中で出して、精子いっぱい頂戴。」と少年の口に吸いついた。少年が、「イクよ。中でイクよ。」と(わめ)きながら尻を激しく振ると、「いいよ。おいで。」と少年の背中に手を回した。少年は(うめ)きながらフクの中で射精を繰り返した。少年の背中をしばらく優しく撫ぜていたフクは、少年が落ち着くと体勢を入れ替えて体を離し、少年の精液にまみれたペニスを口に含んでしばらく余韻を楽しんでいたがやがて満足したらしく、最後にチュッと亀頭にキスをして、「ありがとう。」と少年に言った。

 少年のペニスはフクの口の中で回復したらしく、仰向けになった股間から起立していた。

「ねぇ。」と少年が体を起こし、「次はいつ。」とフクに聞いた。フクは、「うん?。」と怪訝(けげん)な顔をして、「次はアナルに入れるんでしょう?。」と返すと、「違うよ、次は二人きりで会いたいなって思ってさ。」と少年は照れたような顔を作った。フクは、「そんなことを言っていると、和江さん怒るんじゃないの。」と呆れたように言ってから、「君と会ったところでセックスしかすることないじゃない。」と付け加えた。「そんなことはないさ。食事したり、遊びに行ったりできるだろう。」と少年がムキになると、フクは、「君の魅力は綺麗な顔と体とその立派なおちんちんでしょう。セックスのお道具としては素敵だけど、お付き合いできる相手じゃないな。君にしても私を連れて歩くと友達から笑われるし、私も君と食事をしていたら知り合いから変に思われるよ。」と素っ気なかった。当てが外れたのか少年が黙り込むと、フクは、「むくれないの。アナルで出すんでしょう。後ろからで良い?。今度はバックから犯して欲しいの。」と四つん這いになって尻を掲げた。少年は、「結構本気なんだけどなぁ。」と文句を言ったが、気を取り直したようにローションを手に取って、「アナルの経験は?」と訊ね、「あるけど、数える程度だよ。」というフクの経験を聞いて頷いた。和江はこの少年のことを盛んに褒めていたが、確かにと感心させられたのは少年がセックスをビジネスとしてきちんとやるなということだった。年若にもかかわらず焦ることもなく、フクの様子を確認しながらアナルを時間を掛けてほぐして慣らしていた。指を入れると、「体勢を楽にしようか。」とフクの体を横たえて、キスをしながら、「リラックスして、力抜いて。痛くない?。」と気を遣った。フグは目をつぶって少年にしがみ付いていたが、「えっ、これって、二本入れているの?。」と吃驚した様子で、「いつの間に。」と呟いて、それからアナルでも感じ始めたらしく、「やだ、感じる。イイ。違うけどイイの。」と少年に訴え始めた。

 壁側のボードがささやかにトントンと鳴り、ビックリして反射的にソファーから飛び上がった。どうやら僕は前のめりになって夢中で見ていたらしかった。そっと壁を開くとバスタオルを巻いた和子がするりとと入ってきた。和江は僕をソファーに押しやって隣に座って、キスをした後、「奥様は素敵でしたわ。」と僕の耳にささやいた。大胆なことをすると人差し指を唇に合わせて和江に”静かに”注意すると、「大丈夫。こちらの音は漏れないように工夫されていますの。それに奥様はもうお尻に夢中ですわ。バスルームでお浣腸も済ましていますのよ。可愛らしかったわ。」。それでも声を落として言った。「サトル君は、さも初心者みたいな言い方しましたけど実はお尻が大好きで、悔しいけどお尻を犯すのがとても上手ですの。奥様もお尻で乱れますことよ、楽しみになさって。」と僕の股間を摩った。鏡の向こうではフクがアナルを頂点にして再び四つん這いの格好になり、少年が中指と薬指の二本の指をフクのアナルにリズミカルに出し入れしていた。フクは、指の動きに反応して「アッアッ。」と喘ぎながら自ら左手で女性器を摩っていた。「性欲スゴ。雅子はとんでもない変態人妻だな。旦那さんとやる時もこんな感じなの?。」と少年が嘲笑すると、「相手が君だからやれるんだよ。頭が空っぽの君の前で上品ぶっても仕方ないじゃない。」とフクも挑発した。「肉便器が偉そうに言うんじゃないよ。」と少年が指をアナルに深く差し込むと、フクは、「ヒーィィ、アァ。」と叫んだ。少年が指を抜き、指に馴染んで穴の空いたアナルを見て、「あーあ、肛門がちんぽで犯して欲しそうにしてるよ。みっともねぇ。」とフクの尻を叩くと、フクは、「恥ずかしい。でも変な気分よ。」と尻を振った。少年が笑いながら、「僕相手には上品ぶらないんだろう。肛門にちんぽをぶち込んでくださいってお願いしろよ。」と意地悪く言うと、フクは少年の前に指でほぐされたアナルを晒して、「ごめんなさい。おちんぽでアナルを、肛門を苛めて。」とねだった。


 「締まる、締まる。人妻とのセックスは肛門に限るな。」と少年はニヤニヤしながらフクのアナルにペニスをゆっくりと挿入した。フクは体を硬くして、「あぅ、あぐ。」と奇声を出していたが、フクが落ち着くのを待って、少年が、「どう?。癖になるでしょう。」と聞くと、フクは頷いて、「膣とは違うけど、癖になりそうな刺激。慣れたらどんどん良くなっていきそう。」と認めた。「そうかぁ。良かった。じゃあもっと気持ち良くなろう。」と少年が嬉しそうに言った。僕の隣に座ってアナルで繋がった二人の様子を熱心に見ていた和江は僕の耳に口を付けて、「始まるわよ。奥様狂うわよ。知らないから。」と上気した顔で告げた。

 少年はフクの尻を抱えて、じわじわとペニスを奥に進め、やがて長いペニスを根本まで挿入した。「大丈夫?。」とフクに確認してから、ゆるゆるとペニスを抜き始め、途中で止めると、再びペニスを奥に進めた後に退く行為を数回繰り返した。何回目かに少年がペニスを退き始めると、フクが、「ちょっと待って、奥が、止まって、動かないで。」と騒ぎ始めた。少年は、「駄目。」と冷たく言ったが、退く動きを止めてペニスを奥に進めるとフクは一旦静かになった。少年が再びペニスを退き始めると、フクは、「止めて、駄目だって。」と再び騒ぎ始めた。「どうしたの?。」と少年が意地悪く聞くと、「だから駄目だって。」とフクが悲鳴にも聞こえる声で叫び、少年が、「何が駄目なのと?。」とペニスを退きながら聞いた。「出ちゃうの。だから止めて。」。もうフクはどう対応して良いのか分からずパニックになっているようだった。「何が出ちゃうの。」。少年が笑うと、「ウンチが、ウンチが漏れちゃいそうなの、だからね、だからお願い。」。とフクが懇願すると、「僕のちんぽは長いからね。奥を刺激してトイレに行きたくなってしまうみたいだね。」と自慢して、「じゃあ抜くね。」と少年がペニスを退くと、フクは、「駄目。漏れちゃう、抜かないで。」と騒いだ。「肛門閉めないと漏れちゃうよ。」と言う少年の言葉に、フクが、イヤ、ウンと首を振り、切羽詰まった様子で固まると、「おぉ、締まる。気持ちいい。人妻の肛門最高。」と少年は喜んだ。少年の長いペニスの出し入れが再び始まると、「もう無理。止めて、(あふ)れちゃう。」とフクは騒いだ。「嫌だね。」と冷たく少年が動きを早めると、「知らないからね、もう、知らないからね。」とフクが悲鳴を上げ、「うぅぅぅ。」とうめき声を出すと、少年は、笑い声を立てて、「あれ、本当に漏れてる、臭い。雅子の糞汁、臭いわ。」と嘲笑した。フクは顔を手で覆って(うめ)いたかと思うと、うぇーんと声を出して泣き始め、「駄目だって、だから駄目だって言ったのに。」と泣きじゃくった。「泣いたって駄目。」と少年は冷たく言ってから、「僕の前で糞まで出しちゃったんだ、もう遠慮しなくて良いよ。我慢しなくて良いよ。力を抜いて、僕のちんぽで気持ち良くなって欲しいな。」。一転して優しい声で言うと、フクは顔を覆ったまま、「ごめんね、でも、気持ち良くなると漏れちゃうんだ、ごめんね。」と泣きながら頷いた。

 「奥様、落ちますわよ。」と和江がぎらついた眼で僕を見つめ、バスタオルを外して全裸になると僕の右手を掴んで自分の股間に導いた。和江の女性器はしとどに濡れていたが、ここで性器を(まさぐ)って大騒ぎされても困る。僕は頷いて和江の口を唇で塞ぎ、割れた性器を優しく指で撫で上げてから、「後でね。」と伝え、性器から手を外して和江の柔らかい下腹を撫ぜた。

 セックスで泣き叫ぶフクを初めて見た。少年がペニスでフクのアナルを突くと、「ウォウ、ウォウ」と吠え、「逝く。逝く。漏れる。ごめんなさい。」と泣いた。少年がフクの尻を激しく叩いて、「あーあ、ちんぽが糞汁まみれだよ。糞漏らしながら喜ぶ女は初めてだな。」。少年がけたたましく笑うと、「笑わないで、でもイイの、アウゥゥゥ、止めないで、何でもするからもっと苛めて。」とフクは絶叫した。フクのアナルはニチャニチャと少年のペニスを飲み込み、プスプスと異様な排出音を出した。フクの絶叫は苦しんでいるのか悦んでいるのか嗚咽(おえつ)と喜悦の声が混じり、「イイ、逝く。肛門で逝く。ウンチ、出ちゃう、駄目、もう駄目だぁ。」とフクは泣いた。「また漏らしやがった。汚ねぇ。臭くてちんぽ()えるよ。もうウンコ女はいらないよ。」と少年に罵倒されると、フクは、「嫌だぁ。捨てないで、何でもやるから捨てないで。」と半狂乱になり、「何でもやる。奴隷になる。何でもやるから止めないで、おちんぽが欲しい。捨てないで。」と泣き叫んだ。「ちぇっ、仕様がないな。じゃあ肛門奴隷として使ってやるよ。呼んだらすぐに来いよ。」と少年がニヤニヤしながらペニスで突くと、「あぁぁ、嬉しい。気持ちイイ。」と愉悦の声で吠え、そしてフクは狂ったように泣いた。

 半ば強引に和江から引っ張られ、僕は小部屋から出た。「奥様壊れちゃったわね。」と和江は勝ち誇った顔をして、「私も我慢できないの、お願い。」と僕の首に二の腕を回してキスをしてきた。”壊れた?”。和江の暴れる舌に舌を絡めながら、この女はフクのことは一生理解できないだろうなと醒めていた。僕の知っているフクは極度の自己中心であり、自らの思考形成に他人の意見や考えを入れない。これは単に人の干渉を嫌うといったものではなく、そもそもフクには人の意思を受け入れるキャパがないのである。セックスでフクが泣こうが騒ごうが、はたまたひれ伏そうがフクはその行為を楽しんでいるのであって、セックスの中での自分の役割を果たしているのに過ぎないのである。少年とのアナルセックスがもたらす性感と屈辱はフクにとって多分未知の負荷であり、フクの肉体と精神に狂う程のインパクトを与えたかもしれないが、少年のペニスはインパクトを与える道具に過ぎず、単なる道具によって”壊れる”ことはフクにとってあり得ないことである。フクは決して強い人間ではないので、現実として”壊れる“こともあるだろうが、それは他人の関与ではなく、フク自らが自分を”壊した”時になるはずだった。


 フクが帰宅したのは夜半も過ぎた時刻であり、フクがどんな顔をして帰ってくるのか、ちょっと楽しみで僕は寝ずに待っていた。リビングに入ってきたフクは僕を見て、「まだ起きていたんだ。」と驚いた。「クエの感想を聞きたくてね。」と僕が言うと、フクは不思議そうな顔をして、「クエ?。そう、クエはね、美味しかったけど食べ過ぎたかも。しばらくはいいや。」。疲れ果て目を腫らした顔でフクは教えてくれた。






 自称完璧主義者のフクにとっての黒歴史は小学校3年生の時のヒヤシンスのポット栽培の失敗らしい。私の球根だけピクリともしないの。先生も原因が分からないって首を捻っていた。周りの女の子達が自分のポットに咲いた花を散々自慢した後に、フクちゃんだけ死なせちゃったね、お花が可哀そうだって言われてさ、人並みにやれない私が可哀そうだろうって話。まぁ、私が死なせたのは間違いないから、せめてもの償いとして球根を庭に埋葬してあげたらなんと芽を出して見事な花を咲かせてくれたよ。とフクは面白くなさそうに言う。人も植物も環境次第ということだなと感心したら、ヒヤシンスにまで馬鹿にされた気分でね、仕返しに引っこ抜いて捨ててやったよ。とフクは酷薄(こくはく)な笑みを浮かべた。




 個人的な感想になるが、女性の感情的なキャパは狭い。能力的に落ちるとか勝るといった評価ではなく、女性は男性と比べて物事をそれはそれ、これはこれといった諷に収まりを付けるマルチ処理が苦手なような気がする。何かに囚われると他のことに比して優先してしまい、そのことが日々の面差しや振る舞いに露骨に現われがちになる。フクも例外ではなく、和江の招待を受けた日以降の日常の振る舞いがちぐはぐになった。僕はその原因を知るだけに、間違いなく少年とのアナルセックスで叩き込まれた肉体的快感と精神的恥辱への渇望をフクが押さえきれないのだろうなと見ていた。フクは何度かの呼び出しに応じていたようであり、そのことは恋人という名の同居人である僕は、フクのスケジュールというよりもフクが垣間見せる感情の起伏によりなんとなく察していた。フクは悩ましそうな表情を見せる一方で浮かれたようにソワソワして外出した。フクは今、あの少年のペニスでアナルを責められて悦んでいるのだなと考えただけで、家に残された僕はやりきれない焦燥感と興奮で激しく勃起し自慰行為を繰り返した。射精すると情けなさで惨めに落ち込むが、フクの帰りが遅くなると少年のペニスを咥えて離さないフクの(みじ)めな姿を妄想して再び勃起した。これが寝取られの愉しみかと自分に対する情けなさはあっても、フクに対して怒りや不快を感じるとか二人の生活を解消するといった発想になることはなかった。僕とフクは二人で暮らしており、頻繁にセックスもするが、それ以外の時間は互いに干渉しない生活を続けてきた。フクは物事をやるか否かの決定やその評価について内面的な葛藤を繰り返す性質(たち)があるがその過程に僕を含めた他人を介在させることはなかった。平たく言うと他人に相談したりアドバイスを求めることは決してない。ただ、一度決めたことはそれが自分にとって不面目な結果になろうと隠すようなことはしない。やってしまったことは仕方がないじゃないか、それがどうしたと過去を引きずらないふてぶてしさがある。フクなりの始末が付けば、フクの方から何らかの話なりアクションがあるだろうなと思っていた。もっとも、僕も和江の誘いに乗ってフクを騙して行為を覗き見る卑劣な行為をしているので、余計フクのちぐはぐな挙動については無視を決め込むしかなかった。


 「お金を請求されたの。」。どうやらフクのカミングアウトのトリガーは金の要求だったらしい。その夜、僕が作業に区切りを付けて寝床に入ったタイミングでフクが素っ裸で潜り込んで来て文句を垂れた。フクの柔らかい尻に手を回しながら、少年の話だなとピンときたが、迂闊(うかつ)なことは言えなかった。「何の話?。」と手のひらで尻の弾力を楽しみながら聞き返すと、多分怒りにまかせて文句を言ってはみたものの、自分の怒りを理解させるためにはそれなりの事情を説明する必要があることを理解したらしく、「道理に合わないお金を請求されたのだけど、終わった話だから、いいや。」とフクは言い渋った。このチャンスは逃すべきではなく、「ひょっとして、あの斎藤さんのところのご婦人の話?。」と水を向けた。実はこの時危機一髪、”和江さん”と言いかけて飲み込んだ。僕がご婦人の名前を知り得ている状況はあまりにも不自然であった。フクは、「そうなのだけど。」と素直に認めてから、どうして分るのかと不審げな顔をした。ヒヤリとしたが努めて冷静に、「あの日以来少し挙動不審だったからな。」と言うと、「三村のそういうところは直した方が良いよ。変なら変で、どうしたのかぐらい聞いてくれても良いんじゃない。黙って何もかも分かってますって顔されるの不愉快だよ。」と奇妙なマウントを取りに来る。「そうだな。」と軽く認めてから、「でも何も分かっていないんだ。どうしたの?。」と聞くと、「聞きたい?。」とニヤリとする。「聞きたいな。」と返すと、「煩悩(ぼんのう)どうなっても知らないからね。」と禅問答のようなことを言う。「俺の煩悩は百八では利かないから、少々なことでは(こた)えないだろうな。」と返すと、「聞いて後悔するなよ。」と自分の並外れた煩悩を披露する気になってくれたようだった。大丈夫だとは思っていたが、フクのニヤリとした顔を見て正直ホッとしたのは事実だった。フクは少年とのアナルセックスをあくまでも性行為の愉しみと捉えていたようだ。フクの性質は凡そ分かっているつもりであり、フクの性に対する奔放さは俗に言うニンフォマニアと称されるかもしれないが、例えば論文執筆時の性欲どころか食欲、睡眠欲も凌駕(りょうが)する一心不乱の様子を見知ると、フクにとっては学究の追及こそが人生の核をなすものであり、セックスはあくまでもし好的な行為に位置づけられると分かる。それでもフクが少年とのアナルセックスに継続的に耽溺(たんでき)したことは、僕を含めた他の男達とのセックスとは与えられたインパクトが違うことも意味しており、和江が言うところの、年端の行かない少年に心まで持っていかれたフクと対峙するリスクもゼロではなかった。

 「あの人は和江さんと言ってね、予想通り斎藤さんの愛人だった。」。フクが明かす情報のみに僕はコメントが可能となる。「へぇー。お見立通りだな。」と驚く振りをすると、「まぁね、プンプン匂ったよ。」とフクは得意気だ。「お店に行くと、和江さんの他に私の知らない若い男の子が来ていた。でも、その子は私のことを知っているって言うの。」。「多分、斎藤さんの会の集まりで君の相手をしたひとりだったのだろう。」とシチュエーションとして当たり前のことを言うと、「鋭いなぁ。その通り。驚いたけど、和江さんが招待しているのに文句も言えないじゃない。まぁ、良いかと、三人でクエ料理のコースというのかな、薄造りとか天ぷら、それから鍋と普段は食べられないご馳走(ちそう)を色々と堪能させてもらったよ。」。「それで、君も料理されて堪能してもらったというオチかい?。」と勢い余って言うと、『黙って何もかも分かってますって顔されるの不愉快だよ』と言った口から、「黙って聞けよ。」という叱責が出た。「もっとも、知ってますと言われても、顔を見ている訳でもないし、あの騒ぎの中での何本目ですって言われても分るはずはないしね。もっともお互いにロクでもないことをやった関係ということは分かっているので、取り繕う必要がなくて気は楽だった。食事会は楽しかったよ。和江さんも気を使ってくれるし、後、その子すごく綺麗な顔しているの。アホだから下心が丸見えなのだけど、若くて綺麗な男の子からちやほやされるのは心地よかったよ。」。ここでフクは話を止めて、僕の股間を(まさぐ)って勃起を確かめると、「その先の展開を期待してるな。」と満足そうに言った。その先の展開を見ているからこそ勃起しているのだが、「まぁね、それで。」とフクの話を促した。「それで、食事が終わった後にお礼を言って帰ろうとしたら、和江さんに自宅で少しだけ飲みませんかと誘われて、お会計してもらって誘いを断るのも申し訳ないじゃない。当然のごとくその子も付いてきたのだけど、こいつが一緒ということは家に行っても斎藤さんが居るということはないなと逆に安心したぐらい。私、あの人ちょっと苦手なのだよ。」。斎藤氏もあの時君を味わったらしいぜ、とは絶対に言えない話らしかった。「和江さんの自宅は斎藤さんがオーナーのマンションでね、間取りも見せてもらったけどザ・愛人の住まいって感じ。いやいや一人住まいでこのサイズのベッドはないでしょうと笑っちゃったよ。賃貸なのよとは言っていたけど、出どころは斎藤さんだね。ワインを頂いたけど高そうなやつだった。ワインは斎藤さん用だね。」。フクなりの照れもあるのか、なかなか本題に入らないので促す必要があった。「それでその子はどうだったの?。」と聞くと、「三村はシチュエーションで興奮する変態でしょう。ロジックに矛盾があるとそっちが気になって醒めるタイプだから親切に正確な周辺情報から与えてあげているのじゃない。」と恩着せがましく言う。確かにその通りだが、今回に限って言えば既に見知っている情報でありフクからのレポートは特に必要なかった。

 「その子はね、言うの、『斎藤さんの集まりの時に僕も参加していたのですよ。』って。『えっ。ひょっとして。』って聞いたら、『はい。』って。まぁ、想像はしていたのだけどね。『恥ずかしいね。私、変じゃなかった?。』って聞いたら、『最高でした。』って、『今日は、和江さんに無理にお願いして奥さんを誘ってもらいました。本当に申し訳ありません。ご迷惑でなかったでしょうか。』って、おどおどした顔で聞くの。それで、ちょっと舞い上がってしまったのもあってね。」。「それで致してしまったということね。」と僕が茶々を入れると、フクは、「そうなのだけど。」と言ってから、少し間を開けて、「何だか、私ごときの女に面倒な手順を踏んでもらって申し訳ない気持ちもあったし、認識はしていないのだけど既に致すことを致しているのであれば、いまさら取り繕っても仕方ないなと言う気持ちでね。」と付け加えた。実際のところ、その日の趣向は和江から事前に話があったハズであり、フクもそうなるであろうことは、予想と期待を込めて参加したしたこととは思うが、そこは僕が触れてよい話ではない。「ここからがちょっと大変だったんだ。」とフクは最後の確認のつもりか僕の目を見て、「続きを聞いてくれる?。」と変な聞き方をした。フクは奔放に振る舞うが、その反面心は純粋で壊れやすい。フクの感情の揺れを察知して、なるべくフクの心理的負担にならないようにしてあげることがパートナーとしての僕の役目であり、フクと暮らすことの醍醐味でもあった。「聞きたいな。でも話したくないことは無理して話す必要はないよ。」と言うと、「ありがとう。話が尻切れトンボになったらごめんね。」とフクには珍しくしおらしいことも言った。もっともフクの痴態をかぶりつきで見ていた立場からの僕のゆとりでもあった。僕としてもそのことに後ろめたい気持ちがあり、墓場まで持っていくことであることには違いなかった。

 「浴室も豪華でね、多分オーダーメイドで、ホテルみたいにシャワースペースが独立していてトイレとビデも付いているんだ。シャワーを借りていたら和江さんが入って来てね、何、何って驚いていたら、『実は。』って切り出されたの。『サトル君の性癖はちょっと変わっているけど驚かないでくださいね。』って、サトル君というのは、付いてきた子の名前ね。三村の性癖を受け入れている私だから、大概のことは驚かないけど。」。フクは照れ臭いのか余計な事を付け加えた。「お役に立てて良かったよ、でも性癖は十人十色だからな。」と言うと、「そうなんだよ。和江さんが言うには、サトル君はアナルが異様に好きで、必ずアナルセックスをやりたがる。それもかなり上手なのだって。『でも、奥様が嫌ならアナルには触れないように、普通のセックスに留めるように事前に言いますから、どうなされます?。』だってさ。『別に構いませんよ。』って言ったら、『奥様ならそうおっしゃると思っていましたわ。』って目をキラキラさせるの。なんだろうって思ったら、『でも奥様、寝室でアナルを楽しまれるのであればお浣腸を先に済ませていただきますわ。』って、それもそうだなと子供の時に使ったイチジク浣腸を想像していたら、和江さんが嬉しそうに取り出してきたのは医療用かプレイ用なのか知らないけど、何だかボールみたいな大きいやつでね、『それは、流石に。』と一応は辞退したのだけど、『これを使う方が体への負担が少ないのですよ。』って後ろからブスリだよ。」。「えっ、その和江さんに浣腸されたの。」。「そう、問答無用。『私、昔看護師だったの。安心なさって。』ってだってさ。言われてみれば、その雰囲気があるなって感じもしたけど、『あら、お尻の穴丸見えよ。いやらしい。』って普通看護師さんは言わないよね。あげくの果てに和江さんの前で排泄までさせられてさ。液の量が半端ないからね、秒殺だよ。漏らさずに便器に座るのがやっとだった。それを和江さんは嬉しそうに見ているの、変態の巣窟だったわ。」。フクは自分の性欲の強さをさて置き文句を言った。僕の知る限り和江は問答無用で後ろからブスリというタイプではないので、実際のところは和江とフクの間で前戯となるねっとりとしたやりとりがあったのだろうなとは想像した。


 「フロイトはね、人間のあらゆる営みの原動力を本能衝動としての性本能に求めたんだ。」。フクは突然話を変えた。「幼少期における性本能をいくつかの部分衝動 に分類し、それらが精神発達と強く関係するという説を唱えたのだよ。」。「フロイトってお医者さんじゃなかったけ。」。何を言い出すのかと(いぶか)しながらも問うと、フクは頷いて、「精神科医だね。精神分析の創始者であることから心理学者とも分類される。」と教えてくれた。「心理学は人間の心や行動のメカニズムを研究する学問で、人間にとって根源的な問いを考える哲学を追求するには無視することはできない学問なんだ。哲学を勉強する者にとってはフロイトの力動論やリビドーは原点となる人を考察するために避けては通れない概念と言えるの。」。「力動論って、愛すれば愛する程憎しみも募るってやつじゃなかったっけ。リビドーは始めて聞くな。」。「まぁ、そんなところかな。心的力動論は心のエネルギーが変化、相互に作用することであらゆる心的メカニズムが生まれるという考え方で、愛、憎しみ、欲望やその忌避みたいに反対方向に働くエネルギー同士の葛藤にも着目しているんだ。」。多分フクは自分の性行為の理由付けを試みているのだろうなと思ったが、自分のことを茶化している訳ではなく本気で分析するところがフクのフクたる所以(ゆえん)だ。「そのフロイトさんと今回の話の関係は?。」と聞くと、「そうなのかなって思ったのは、リビドーの発達段階において、あっ、リビドーはラテン語で欲望という意味で、フロイトは人が生まれながらに持っている性衝動をまとめたものとして使っているの。幼少期における性本能の第二段階に肛門期というのがあってね、排泄行為をリビドーの重要な段階であるとフロイトは位置付けて、排泄をコントロールできることで自律性が養われるとしているの。」。「ネーミングは兎も角も、排出行為が性本能と言えるのかい?。」と聞くと、「まぁ、三村みたいに異議を唱える人も多いのだけど、平たく言うと、排泄が快感なので幼少期において人は排泄をコントロールできるようになるということかな。また、排泄をコントロールすることで母親に褒められるということも快感の範疇に含まれるのだろうね。」とフクは解説した。「それでね、私は不可抗力とはいえ、和江さんの前で排泄行為に及んだのだけど、その時に考えたことは排泄がコントロールできないこの状況は、明らかにフロイトが唱えた”退行”の状況に自分がいるなということなの。退行とは何らかのショックにより発達状況以前に戻ってしまうことを言うのだけど、本来コントロール出来てきた排泄行為が出来なくなる状態において、退行もひとつの性本能に繋がるのじゃないかと思ったの。和江さんの前で排泄行為をして、和江さんは私の肛門から排泄物が出るのを見ているの、成人した人としてこんな屈辱はない訳でしょう。そして和江さんは言うの、『ひどい臭い。』だって。私ね、恥辱で震えながらその一方で排泄しながら性的な快感を得ていた。そして思っていたの、もっと言って、臭いって笑って、って。これってすごくない。」とフクは真面目な顔で言った。「俺はプレイとしてのSMには特に興味はないのだけど、自律性を侵害されて快感を得るというのは俗に言うSMの世界なんじゃないのかな。」と思い付きで言ってみると、「三村はリビドーの発達段階の問題点が成人におけるSM行為に繋がるという説な訳だね。」とフクは考え込んで、「フロイトの性欲論に読み取れる部分があるかもしれない。」と今から著作をひっくり返しそうな勢いであった。「自らの性体験を踏まえて哲学を語る君は実践哲学という新しい分野を創設するんじゃないの。」とからかったら、「実践哲学は既に18世紀に確立されているよ。」とフクはつまらなさそうに返した。

 「ねぇ、私、幼児期の性本能を侵害されたのだよ、興奮しない?。」とフクは僕の耳朶を噛んで左手で股間を(まさぐ)ってきた。和江のマンションで見た痴態について全裸のフクが解説をしているのだから興奮はするのだが、僕はフロイトを前にして完全勃起するほどの変態ではなかったようで、一物もフクが期待する程の状態ではなかったらしく、フクは、「もう。」と言ってから、「意外とつまらない男だな。」と僕の一物を強く引っ張った。「和江さんが金を請求した訳じゃないのだろう。」。僕は話しを戻した。経費的なものはすでに和江に支払い済みではあったが、それ以降に追加の話がフクにあったとしたら慎重に対応する必要があった。もっとも和江もビジネスなのでそんな下手は打たないはずであった。「和江さんじゃないよ。お金を請求してきたのはサトル君の方だよ。」。想像通りの回答があり、「バイト感覚なんだろうよ。」と不機嫌な声で続けた。「サトル君はね、リビドーの”固着”という問題を抱えた子なんだよ。」。「また、フロイトかい。」と僕がうんざりしてもそれは無視して、「厄介なことに本当に綺麗な子なんだ、顔も女の子みたいにまつ毛も長いの。裸になったら大理石の彫像みたいでね、スベスベしてて本当に贅肉を彫刻刀で削ったのじゃないかぐらいシュッとして格好良いの。そのくせ、おちんちんは立派でね、あぁ、この子とセックスしたいなと思わせる容姿なんだよ。」。お約束として、「綺麗でもなく、おちんちんも貧祖で申し訳ない。」と言ってはみたが予想通り無視された。「和江さんが言ったように、サトル君のアナルに対する執着は異常だった。私のアナルだけでなく、自分のアナルにも妄執(もうしゅう)しているんだ。よくよく考えると、成長過程において肛門期の欲求を完全に引きずって、その後の男根期や性器期を迎えてしまい性欲のバランスが崩れてしまった典型の子だったね。」。「男根期や性器期というのもリビドーの発展段階の名称なのかい。」と聞くと、今度は面倒そうな顔はしても頷いてくれた。「ただね、固着の弊害として神経症に繋がるとされているのだけど、サトル君は鷹揚(おうよう)なのんびりとした子でね、根本が優しい子なのだろうね、アナルにどれだけ執着しても相手をちゃんと気遣って、なんと言うのかな、ちゃんとしたセックスができるのだよね。」。そのことは僕も少年とフクとのセックスを見ながら感じたことであり、思わず頷いたら、目の前にフクの(いぶか)し気な顔があり、危うく目をそらした。「それでアナルセックスはどうだったの。やったのだろう?。」。俗っぽい言い方で慌てて本題に移した。「正直に言って良い?。」。フクはニヤリと笑った。これは覚悟してねというフクの前振りだ。僕が(うなず)くと、「凄かった。凄かったという言葉では言い表せない程に凄かった。」。何故かフクは眉をひそめて訴えた。「アナルは本来排泄器官なわけじゃない。確かに快感はあるのだけどアナルへの挿入はより背徳的なものとしてセックスを盛り上げる精神的な行為だとなんとなく思っていたの。セックスにおいて性器として単独で存在するものだとは思っていなかった。でもサトル君のアナルセックスはセックスそのものの快感を与えてくれるんだ、膣の快感を凌駕(りょうが)するかもしれない。」。「でも、君だってアナルの経験が無いわけではないよね。」と聞くとフクは頷いて、「経験がゼロではないから私も気軽にOKしたのだけど、違った。まいったよ。アナルは膣と違って盛り上がれば挿入可というわけにはいかないから、それなりに準備が必要なのだけどサトル君は時間を掛けて丁寧にやるの。準備の間も私を醒めさせないようにちゃんとセックスとして成立させるのだよ。まだ子供だよ、その子供にメロメロにされちゃった。」。「子供だけど経験が豊富なのだろうね。」と言うと、「経験も豊富だとは思うのだけど、私が感じたのはアナルへの病的な執着なの。肛門期の欲求を完全に引きずったまま、おちんちんが成長しちゃったらこうなるのかなって。」と言ってからしばらく間を置いて、「まだ続きを聞きたい?。」とフクは僕の目を覗き込んだ。「聞きたいけど、話すのが辛い?。」。「辛くはないけど、ちょっと不安かな。三村に引かれるかもしれないし、軽蔑されるかもしれない。」。「なるほどね。ちょっと待って。」と告げて僕はスウェットパンツを脱いで勃起した一物をフクに握らせた。「これで良いかな。」。フクはちょっと嬉しそうな顔をして、「いまひとつ三村のツボを読み切れない私が居る。」と独り言ち、「少しでも小さくなったら話すの止めるからね。」と厳しい条件を付けた。

 「後、サトル君が自分でも自慢していたのだけど、彼のおちんちんが良いの。アナル用のおちんちんって感じ。長いのだけど太からずで綺麗なおちんちんなの。」。「美醜は関係ないのじゃないの。」と笑うと、「まぁ、そうかな。」と黒目が上向きに動いて、「でも、お道具は綺麗で清潔な方が良いでしょう。」とフクも笑った。「おちんちんが長いから遠慮なく奥まで入ってくるの、奥に進んでくる分には良いのだけど引かれる時が問題でね、排泄感が伴うの。最初は良いのだけど、繰り返されると我慢できなくなるんだ。サトル君の長いおちんちんは排泄を誘発するところを確実に捉えてくるし、苦しいのと気持ち良いのがぐちゃぐちゃになって吐き気がするぐらいなのだけど、彼は、『我慢しないで。』って優しく言ってくれるの。いよいよ我慢できなくなって、ええい、もう漏らしたっていいや、もうどうなっても知らない、って排泄感を解放した時が自分が自分でなくなった時だった。」。思い出して興奮するのかフクの顔が上気していた。「で、洩らしちゃったの?。」と実際はどうだったのだろうかと聞くと、「良く分からないんだな。考えて見ると事前に浣腸されているから酷い事にはなってないとは思うけど、感覚としては延々と排泄している感じだった。実際のところおちんちんを排泄しているのだけどね。臭いって言われたから洩らしはしたのだろうね。」とフクは笑った。「でも、この子は異常なアナル好きで、すべて織り込み済みでやっているのだなとなんとなく分かって安心できるの。この子のレベルに自分を合わせてあげるのだと常識とプライドを捨てたら『肛門で逝くう。』って悶絶しちゃった。そんな痴態を人様に見られたらとても生きていけないよ。」。フクの言う”人様”に僕が入っていないことを願うだけだった。フクは僕の一物を握っていたが時々思い出したように手を動かすだけで、フクの意識は少年とのタガの外れたアナルセックスの記憶を辿(たど)っていた。

 「実はね、その日だけで終わらなかったんだ。サトル君のおちんちんと被虐快感の誘惑に負けちゃった。三村に話さなきゃとは思ったのだけど、話したら三村は絶対に見たいって言うでしょう。流石に好きな男にウンチを漏らして逝く姿は見せられないよ。」。ここで僕が言うべきことは決まっている。「絶対に見たい。」。フクは、「絶対に嫌だ。」と笑った。「でも、その少年には見せているのだよね。それは不公平だな。」と()ねてみせると、「サトル君は頭が空っぽだから見せても良いのだよ。アナルセックスのためのお道具って感じかな。もっともお道具が立派なので夢中にはなるのだけどね。」。フクはなかなか的確に僕のツボを付いてくる。フクが他の男のペニスに服従する時、その対極に僕のペニスがあるはずで、その優劣を口にすることが僕を異様に興奮させることを良く知っているのである。仕返しのつもりで、「和江さんの役割というか目的が良く分からないな。」と意地悪な質問をしてみた。フクはギクっとした様子を瞬間見せて、「どうなのだろう、サトル君も和江さんの燕のひとりではあるみたいだけど、特に束縛している諷でもなかったな。知り合いの奥様達と若い子達を楽しんでいるのじゃないの。そのあたりは良く分からない。」。どういう基準になるのか知らないが、フクにとっては、アナルセックスよりもレズプレイの方が秘匿すべきことらしい。

 「アナルセックスは衝撃なのだけど、やっぱり尋常(じんじょう)なセックスもしたくなるの。折角立派なおちんちんなのだからもったいないでしょう。」。フクは厚かましい事を言う。「でも、サトル君は乗り気じゃないんだ。酷いと思わない?。」。返答に困って、「でも、彼としても固着のプライドがあるんじゃないの。」とあてずっぽに言ったら、「三村が自己愛性パーソナリティ障害を理解しているとは思わなかった。」と感心されてしまった。「サトル君なりに考えてくれたのだとは思うのだけど、昨日ね、連絡があって呼び出されたの。そこで紹介されたのが別の男の子。名前は聞いたけど忘れちゃった。でね、『御免なさい、セックスは彼がやります。こいつも斎藤さんの集まりで奥さんの相手をさせてもらいました。』だってさ。『後、バイトも休むことになるので、金銭的な支援もいただければ』って、最初はエッって、ただただ驚いたのだけど、よく考えるとこれって売春じゃないかと思ってね、もう馬鹿馬鹿しくなって、『結構です。』って断った。そこまでやると私って単なる盛りのついたおばさんじゃない。」とフクは憤慨した。そのものじゃないかと思ったが、ここは我慢のしどころである。フクの自己申告の話であり、フクのプライドも高いので実際のところどうなったかは微妙なところだなとは思ったが、アナルという特殊な媒体ではあるものの少年との行為に(たかぶ)っていたフクに、金銭の要求という形で現実を知らしめ、浮ついた気持ちが奈落の底に落とされたのは事実のようであった。「『イヤイヤ、結構です。』と断りを入れたのだけど、屈辱の怒りが顔に出ていたのだろうね。慌てて二人で頭を下げて、『気分を害されたのであれば申し訳ありません。先ほどの話は忘れてください。二人で誠心誠意やらせていただきます。』って言うの。その子も結構なイケメンで、ちょっと可哀そうにはなったのだけど、一度金銭の話が出てしまうと売買春でアウトだね。」。誇らしげに話すフクに鼻白んだ。「浮かれすぎじゃない。」と苦言を呈すると、「うん。最近、弾けすぎだな。性欲をコントロールできていない感じ。自分でも反省してる。」とフクは意外にも素直だった。フクが反省しすぎて反動で学究生活に没頭されるのも困る。「まぁ、たまには良いのじゃないの。」と言ったら、フクは僕の真意を探るように不可思議な顔をした。「斎藤さんのところのバイトをやるぐらいだから、それなりにおちんちんに自信がある子達が集まっているのじゃないの。」と言うと、「なるほどね。三村的にはそういうことか。」とフクは苦笑しつつも納得していた。僕の一物を扱きながら、「お金の話が出ていなかったら楽しんじゃったかもしれない。彼のおちおちんは僕より大きいですよってサトル君が言っていた。」。本当に憤慨したのか怪しい話になってきた。「誇らしげに目の前に突き出された大きなおちんちんを順番にしゃぶらせてもらって、仕上げは前と後ろに二本かぁ。やっぱりやりたいかも。もったいなかったな。これからお願いしちゃおうかなぁ。」と目に挑発するような笑いを浮かべる。僕はもう堪らずフクの手の中に精子を漏らした。僕の射精が終わるとフクは免罪符を得たとばかりに安堵した表情を見せた。






 フクの得意料理は菜の花のおひたしである。散歩途中の河川敷で菜の花を見つけると、君と、君と、それから君、と犠牲となる菜の花を選択する。だし汁をゆで汁で作るのが通であり、茎と穂のゆで時間を分けてゆで過ぎに気を付けるのだとなかなか(うるさ)い。だし汁にたっぷり入った和辛子が利いて日本酒の充てに最高の一品となる。百円ショップで買った一輪挿しに挿された菜の花の香りも初春の夜を乙な気分にしてくれる。こうして見ると私の女子力もなかなかのものだと言わざるを得ないよね、とフクは変な日本語を使うが、菜の花のおひたし単品で勝負する度胸の良さと前向きの思考を女子力の定義に入れるのであれば、なかなかのものだと認めざるを得ない。




 僕自身、状況的にかなり混乱したのだが、その日、家に帰るとフクが矮小なアジア人に犯されていた。フクは全裸でダイニングテーブルの脚にガムテープで足を片方づつ固定されており、テーブルの上に上半身をうつ伏せにして尻から犯されていた。そしてフクの女性器にペニスを入れていたのは、これも全裸の背の低い浅黒い顔をした男で、顔立ちから見て明らかに日本人ではなかった。玄関に見慣れないスニーカーがあったので誰かが来ているのだろうな、とは思ったが、リビングのドアを開けたとたん、腋臭(わきが)の混じった体臭と生臭い匂いがして、後ろからフクの尻にペニスを繋げたままのアジア人の男が僕の出現に驚いて固まっていた。とりあえず、「ただいま。」とは言ったのだが、それからどうリアクションを取って良いか分からなかったので、フクの顔が見える側に回って顔を覗き込んで、「助けようか?。」と間の抜けたことを聞いたら、後ろのアジア人が、フクにペニスを突っ込んだまま、「スミマセン。」と日本語で言って頭を下げた。フクは、頭を上げてぼんやりした顔を向けて、「お帰り。」と言ってから、「ちょっと待って、少し落ち着かせるから。」と僕に言うと、後ろのアジア人は日本語を理解しているのか、また、「スミマセン。」と言って腰を前後に振ってフクの肉壺にペニスの出し入れを始めた。ピストンする度にブチョブチョとやたら耳障りな音がするので、フクが失禁しているのかと思ってテーブルの下を覗き込むと、ペニスが引かれる度に膣口から精子が溢れて床に溜まり生臭い匂いの原因を作っていた。しばらくすると、その矮小(わいしょう)なアジア人は、「フゥーフゥー。」と呻き出し、何語か分からない言葉を叫びながらフクの中に射精を始めたらしく、伸びあがるように肉壺にペニスを何度か突き上げた後、フクの尻を抱えたまま静かになったが、ペニスを抜こうとはしなかった。フクはそのアジア人が射精している間、僕に遠慮してか両手で口を押えて声が漏れるのを我慢していたが、しばらくして、「嫌だぁ、全然小さくならないや。」と射精を終えたペニスがそのまま抜かれることなく中に留まっていることに呆れたような声を出した。どうやら、この状況はフクが一方的に暴行されているというものではなく、フクも積極的か消極的かは不明だが納得してやっている行為であることは理解できたが、それでも僕の立場としては、「いったいどうしたの?。」と再び間の抜けたことを聞くしかなかった。フクは振り返って尻にしがみついたままのアジア人に、「ちょっと抜いてくれる。」と頼んだが、「マダデマス。」とアジア人が切なそうな顔をしたので、フクは、仕方がないとあきらめたのか、「じゃあちょっと動かないでくれる、私この人と話するから。」と振り返ると、尻にしがみついたアジア人は素直に、「ハイ。」と答えた。フクが顔を僕に向けて、「彼はヤン君といって、カンボジア王立大学からうちの院に来ている留学生なの。」と外国人の正体を明らかにすると、ヤンと呼ぶらしいカンボジア人は、「コンニチハ。」とまた頭を下げ、話は終わったとばかりに腰の動きを再開し始めたので、さすがにカチンと来て、「おい、止めろ。」と大きな声を出したら、フクが、「ごめん、私が頼んだの、ヤンを怒らないで。」と言っている先から、男のピストンが激しくなり、ペニスでフクを後ろから突き上げるたびにダイニングテーブルがガタガタと音を立てた。堪らずフクの上半身が持ち上がると、再びカンボジア人は、「フゥーフゥー。」と呻き出し、多分クメール語で何か言いながら呻くフクの中に再び射精を始めた。えっ、もう出すのか、とびっくりしていたら、つま先立ちでペニスを突き上げていた男の足がペタンと床に着くと、精子がまたフクの膣から溢れ始めたらしくポタポタと床に垂れた。フクは、「ちょっと、もう。」と呆れた口調になって、「ヤン、抜いて。」と厳しい口調で言うと、今度は、「ハイ。」と素直に言って腰を引くと、中太りしたサツマイモのようなこげ茶色のペニスがゴロンとフクの膣から飛び出して、その衝撃でフクは、「アッッ。」と叫んで上半身が跳ね上がり、反動でテーブルの上に、ゴン、と頭を打ち付け、「イタッ。」と叫んだ。大量の精子がフクの膣から滴り落ちた。

 テーブルに固定されたフクの救出よりも優先したことは住環境の改善であり、窓を開けて外気を入れると雑巾を絞って、「おい。」と不出来なサツマイモをぶら下げたまま、ぼんやりと立っている男に投げて渡した。キャッチした雑巾で己のペニスをまずは拭いたのには驚かされたが、僕の意図は通じたらしく床に溜まった精液を拭きとった。ご丁寧に僕に雑巾を返そうとするので、冗談じゃないとゴミ箱を指したらビックリしたような顔をしてから、雑巾を畳んでゴミ箱の中に置いた。向かい合ったヤンと呼ぶらしい男の身長は僕の肩ぐらいまでしかなく、身体つきも小太りの子供のようで矮小であった。ぶら下がったペニスは完全に皮に覆われて、余った皮がキャンディーの包み紙の端のようになっている、いわゆる立派な包茎ではあったが、吃驚させられたのは皮の中のキャンディが女性の拳程はあろうかという大きさで、中太りしたサツマイモという表現がぴったりの異形であった。フクの足に巻かれたガムテープを外してやろうと思いフクの後ろに回ったら、アジア人の精液で汚された膣口の開いた性器がフクの呼吸に連動して異物の挿入の証としてひくひくと収縮していた。僕の股間が反応し、手を伸ばして尻を掴むような感じで陰唇を開いたら、残っていた精液が糸を引いて床に落ち、その僅かな感触でフクの体は小刻みに痙攣し、「アァン。」と声を漏らした。「センセイ、スケベ。」と声がし、振り返ると全裸の矮小な男が、ニタニタしながら、サツマイモの膨らみが皮の端に移動し再び勃起を始めたペニスを指さして、「ラン。」と呼び、フクに近づくとテーブルの上で拘束された尻をまさぐり始めた。爪が伸びた不潔そうな黒い指がフクの白い尻の上でうごめき、剥き出しになった茶色のアナルをなぞり肉壺に達すると、フクは、「ヒッ。」と声を漏らし尻を振った。男は僕の顔を見て、「センセイ、ランスキネ。」と(さと)すように言った。「そうなの?。」と興奮でかすれた声でフクに聞いたら、フクは、「あぁ、ごめんなさい。」と謝ってから、「でも、すごいの。」と説明した。そうは言われても、教えてもらったのはこの矮小な男が何者であるかだけであり、この異様な状況について話を聞く必要があった。不機嫌な顔を作って男に向けて、座れ、と椅子を指した。男は不満そうな顔はしたが、「ハイ。」と素直に椅子に座った。ただ股間は大きくさせたままで続きをやる気満々であった。

僕もフクと向かい合う格好で椅子に座り、改めて、「いったいどうしたの?。」とテーブルに拘束されたのままのフクに聞くと、フクは、「助けてくれないの?。」と口先だけの文句を言ったが、目はトロンとして酔っ払ったように顔を赤くさせて、足を広げて尻の双丘を割ってアナルと肉壺を晒し、カンボジア人留学生の性処理を待っている恥辱の快感に浸っているのは間違いなかった。「あのね、私、研究室のソファーで横になってウトウトしていたんだ、誰かがドアをノックしたのは聞こえていたのだけど、眠いし、面倒臭いし、返事しなきゃ帰るだろうと思ってやり過ごしていたら、ドアが開いて中に入って来たんだよね。気付いてはいたのだけど、面倒で、まぁ用事があれば起こしてくれるだろうと思って目を閉じたままでいたら、横に来たのはいいけど、そのまま動かないの。そうなると目を開くタイミングを失って、そう言えば私、結構行儀の悪い格好で横になってるな、太ももが出てるな恥ずかしな、なんて考えてぐずぐずしていたら、カチャカチャって音がし始めて、何だって目を開けたら、ヤンがズボンを脱いでおちんちんをポロンと出していたの。吃驚(びっくり)して、『ちょっと何なの。』って叫んだら、『センセイ、ネテイタカラ。』って、理由になってないじゃない。その時おちんちんが膨らんでボールみたいになってて、またまた吃驚しちゃったんだ。」。必ずしもフクが生理的な嫌悪を示すシチュエーションではないなと思った。「それで?。」と先を促すと、「そんなおちんちんなんて見たことないじゃない、本当に吃驚したの。と再現するように目を丸くして見せた。それで、この物体はどうなってるのだろう、と思わず手で掴んだら、ずっしりと重くて、何、これって、ちょっと動かしてみたら、みるみるおちんちんが膨らんで、隠れていた玉がビロンと皮から出てきたとたんにピュッピューって射精しちゃったんだよね。凄い勢いで飛んで、予想もしてないからちょっと顔に掛かっちゃった。」。と唇に笑みを浮かべて文句を言った。何に対してか分からないが、男が神妙に、「スミマセン。」と言った。「それが射精したのに全然萎まないの。『君のおちんちん元気だねぇ。』って感心したら、『ハチカイデマス。ハチカイデナイトネムレナイ。』って。『嘘、嘘。』って言ったら、『ワタシ、ウソツキマセン。』って怒るのだよね。何怒っているんだって話だよ。『センセイキレイ、モットデル。』って嬉しいこと言うのだけど、()けた包茎のおちんちんって臭いんだね。ウェッ、っていうぐらい。触りたくないんだ。」。男がまた、「スミマセン。」と頭を下げた。「全然小さくならないから、仕方ないかで、家に連れて来て、取り敢えず臭いおちんちん洗わせて、後は三村がどうするか決めてくれるだろうと思っていたら、三村が家に居ないじゃない。バスルームから出て来たヤンはすっかりその気になってしがみついてくるし、でも、こんな太いの入れたらどうなんだろうって興味もあって、まぁ、良いか、ちょっと入れてみようとしたら太すぎて入らないの。ベビーオイルも塗ってみたのだけど痛くて裂けそうで私が逃げてしまう。『諦める?。』って聞いてみたら、『ハアッ。』ってしょぼくれて、切なそうな顔するしね。可哀そうになって、よし、自分で逃げられないようにしようと覚悟を決めて足にテープ巻かせてテーブルに固定して、下半身が逃げないようにして強引に入れさせたんだ。絶対裂けたと思ったよ。メリッメリッて感じ。ゴロンとした太いところが中に入ると入り口の痛みは耐えられない程でもなくなったのだけど、今度は中がいっぱいいっぱいで、異物で埋まったという感覚で、『オェ。』って込み上げてくる感じ。怖くなって、動かないで、絶対動かないで、って叫んで、しばらくサイズ感に馴染ませて、気持ちも落ち着いてきたので動いて良いよ、って言ったとたんに出しちゃったんだよねぇ。『え、えっ。』て、何なのと思ったのだけど、全然小さくならなくて、そうしたら、ヤンがまた動き始めて、もう中身全部が引っ張り出される感覚で、ちょっと突かれるだけで頭が真っ白になっちゃって、出された精液が潤滑油の代りになったのかおちんちんの動く範囲が少しずつ広がって、これが強烈な触感で、もうダメだ、と思ったら、またおちんちんが膨れて精子がドピッピッって子宮に当たって、コイツ私の中で何回出すのだろう、私のあそこはお便所の扱いなのかなって、惨めというか情けない気持ちになっているのに、コイツは自分勝手に精子出してばかりいて、そうこうしていたら、三村が返って来たという状況。」

フクの説明はかなり控えめで、実際はもっと奔放に留学生の異形(いぎょう)のペニスを楽しんだのだろうが、フクが僕を意識して留学生を家に連れてきたことは、僕の性癖を満たしてあげるのだという言い訳が、フク一人では様々な思いが邪魔をして踏み込めないであろう痴態を受け入れる虫の良い理由となり、フクの精神的な負担を減らしていることに対しての満足感はあった。「で、結局こいつ何回出したの?。」と聞いたら、矮小な外国人は、「ミムラサン、ワタシハ、ヤンデス。」と僕の名前を覚えたのか控えめに抗議した。「えぇっと、確か5回は出したね。研究室のやつもカウントすると6回か、精力が有り余っているわ。それも小さくならずに連続だよ、ビックリ。でも逝くのが早すぎて付いていけないというか、これじゃダッチワイフだよ。」と口先ばかりの文句を付け加えた。「日本語は大丈夫なの?。」と顎でヤンを指してフクに聞くと、「英語よりはマシじゃない、難しい言葉は駄目だろうけど。」と言うので、「彼女はいるの?。」と試しに聞いてみたら、ニヤリと歯を剥いて、「ケッコンスル、カワイイ、ナオ。」と返って来たので、多分ナオという婚約者が国にいるのだろうなと理解して、「彼女とセックスするの大変だろう。」と起ったままの異形のペニスを指さすと、急に辛そうな顔をして、「コドモ、ハイルナイ、テダケ。」と手で扱くジェスチャーをした。手コキをしてもらっているのか、彼女を前にして自分で扱いているのかは知らないが、ここまで太いとセックスも難儀(なんぎ)なことだなと納得し、性的処理はどうしているのだろうかと、「セックスフレンドは?。」と聞いたら、顔をブルブル振って、「トキドキ、オバサンスル、デモ、ナオ、コワイ、デキナイ。」としょんぼりしていた。彼女は世界共通で怖いらしい。意思の疎通はできそうだなと思っていたら、正直なのか馬鹿なのか、「センセイ、ワカイナイ、ユルイハイル。」と嬉しそうに続けたのでギョッとした。粘膜の刺激が性の直接的欲求に繋がらない僕にしてみればどうでも良いことだが、フクの膣の締まりは緩い方だと感じていた。そう言えば、作業員のおじさんも、緩いと言っていたなと苦笑いしたら、フクが、「やっぱり私の緩いの?。」と冷めた声を出して、「緩い女とやっても面白くないよね、ヤン、もう終わるよ。」と上半身を持ち上げると、ヤンは何と返して良いか分からず、多分クメール語でアワアワと(つぶや)き、慌てて僕に助けを求めるように目を向けた。自分の彼女を寝取られている僕が、何故間男のお前に助け船を出さなきゃいけないのだと呆れたが、フクを性的な要因で不機嫌にすることは僕としても避けたいところで、「彼女に入らないペニスがフクには入って射精が出来たので単純に感謝しているのだろう。」と言うと、フクは、「フン、自分勝手な。」と毒づいて肘を付いて上半身を元の位置に戻した。続きが出来そうだと理解したらしく、ヤンは満面の笑みでフクに見えないように親指を立てて僕に見せた。自分勝手な坊やだ。

話は終わったとばかりにヤンは立ち上がり、「センセイ、モウダイジョウブ。」と何が大丈夫なのか分からないがフクの尻に手を伸ばすと、勃起し始めたペニスのキャンディ状に覆った皮が、キツそうに()け始め大きく丸い亀頭が頭を出した。ペニスの長さは驚くほどではないが、そのせいでペニスというよりも肉の塊といった形状で、確かに女性器に収まるには無理がある太さであった。ヤンが、「センセイ、ダイジョウブ、キモチイイ。」と多分今度は長持ちさせますということだろうやる気を伝え、フクの後ろに動いて尻を抱えようとしたら、フクが慌てて、「無理、無理、もう乾いているの、ヤン、オイルを使って。」と頼んだ。ヤンが素直に、「ハイ。」と言ってベビーオイルを手に垂らしたが、ヤンの爪が汚れていたのを想い出し、炎症でも起されたらやっかいだと思い、「ちょっと待って。」とオイルを取り上げて、僕がフクの陰唇と膣口に丁寧に塗った。手のひらにオイルをためて膣に流し込むように入れて内側の肉壁にも優しく塗ると、肉の緊張が緩んだのか、奥に残っていた精液が垂れてきて、膣液も混じって女性器は収縮を始め、フクは声を漏らし始めた。ついでにヤンのペニスにもオイルを飛ばしかけてやったが間違いなく亀頭の質量は僕の3倍はあった。

ヤンが後ろからペニスを押し込み始めると、フクは、「痛い、裂ける。」と(うめ)いたが、ヤンがペニスの亀頭をプルンという感じで膣に押し込むと、「ワッ、ヒィ、動かないで。」と喚いてテーブルの端をがっしり掴んで体を固くさせた。しばらくそのままじっとしていたが、「さっきより痛くはないかな、中が苦しい、びっちり。でもさっきより楽。いけるかも。」と感想を漏らした。右手を上げて後ろのヤンに、動いて、とサインを出すと、ヤンは律儀に、「ハイ。」と言ってからゆっくりと突き始めた。なるほどね、と思ったのは、普通であれば、後ろからだとがっつり入った太い亀頭に引っ張られてフクの尻が動いてペニスの出し入れが不安定になるのだろうが、足を固定しているおかげで、ヤンの腰の動きとペニスの出し入れがダイレクトに連動し、フクの女性器は精液を注ぎ込まれる肉壺として十分な役割を果たしていた。僕の嗜好に合わせているせいもあるのだろうが、フクはセックスの時に嬌音(きょうおん)だけではなく言葉も多く発してくれる。行為の要求もあるが、言葉によって導かれる被虐的な感情やパートナーに対する賞賛や侮蔑を織り交ぜてセックス自体を盛り上げようとする、ストレートに性感を求めるだけではない頭の良いセックスをする。ただこの時のフクはヤンのボールのような膨らんだ亀頭が膣の壁面全体を(えぐ)りながら前後する暴行に対して、知性もプライドも忘れ去って、ただただオスの射精欲に服従して肉壺を使われるだけのメスになっていた。フクは眉をひそめ、固く目を閉じて、ヤンのペニスが突かれる度に大きく口を開けて喉の奥から獣のような(うめ)きを出し、苦しいのかペニスが引かれる度に喉を鳴らして空気を吸い込み、テーブルに付けられた口元からは涎が流れていた。ヤンがつま先立ちになって射精を始めると、気付いたように「イク、イクゥ。」と反応し、ヤンが射精が終わって腰の動きを止めると、力尽きたように上半身をテーブルに預け、ぐったりとして動かなくなったが括約筋も弛緩したのか音を立てて放屁した。ヤンが大きな声で、「センセイ、ファ、センセイ、ファ。」と喜び、尻を叩いて小馬鹿にしたように「プー、プー。」と音真似をして笑った。フクは自分の突然の放屁に驚き、「イヤアッ。」と叫んで、顔を両手で覆って、「もう、止めて、許して。」と訴えると、この矮小なアジア人は性格がよほど残虐なのか、性欲で頭がおかしくなっているのか、真顔に戻って、「マダデマス。」と入れたままになっているペニスを前後に動かし始めた。「もうイヤだぁ。」とフクが悲鳴をあげ、さすがにここまでだな、と思ってヤンを止めるために立ち上がったが、僕が制止するより先に、フクが、突然頭を上げて、「あぁ。」と叫び、「クル、またクル、イイ、イイッ。」と嬌声(きょうせい)を上げ始め、獣のような呻きの後、「()めないで。」と多分僕に向けて叫んだ。ヤンがペニスを突く度に、ブチョブチョ、と聞いたことがある粘液が混ざる音が大きくなり、フクの肉壺から掻き出された精液が溢れて床に垂れた。フクの、「アー、ヤン、イク。ヤン、イク。」の嬌声が続いた。ヤンは立ち上がったままの僕を見て、「ダイジョウブ、センセイ、ウレシイ。」と歯を剥きだして笑い、「ミムラサン、キモチイイ。」と言って、指で輪っかを作って扱く真似をした。放屁を笑われてすら、ヤンの太い亀頭に服従してしまったフクに、もう生徒だから、カンボジア人だからという理由でヤンのペニスを拒否する気位(きぐらい)を求めるのは酷だった。これから先、フクはこの矮小な男が勃起する度に股を開き、排出する精液を受けるためだけに肉壺を喜んで差し出すのだろうなと想像すると悔しく切なかったが、一方で僕は激しく勃起していた。僕ももう躊躇する必要はなかった。

僕はズボンを下げ下半身を()きだして、性器を扱きながらヤンの亀頭が出入りする場所に顔を近づけた、フクの陰唇は極限まで広がり、太いペニスの出し入れに伴い陰唇の(ひだ)が引きずられ、溢れた精液でもみくちゃにされた肉壺は生臭く匂った。僕の精いっぱいに勃起した性器は、ヤンから「アハハ、スモール、スモール。」と囃され、嘲笑の対象となったが、それに構わず射精に向けて激しく扱き、フクの白い尻に向けて頭が痺れるような快感で精液を飛ばした。ほぼ同時にもう何回目が分からない射精をフクの肉壺に出したヤンが、「ミムラサン、キモチイイネ。」と友人と遊具で遊んでいるようなリラックスした笑顔を見せ、グニョッと太い亀頭を引き抜くと、ぐったりしていたフクが「ヒッ。」という声を出し、上半身がテーブルの上で跳ねた。フクの肉壺からは多量の精液が垂れて、デジャブのように床に白い塊を作った。ヤンは「キモチイイ。」ともう一回ニタリと笑い、後ろ向きに開いた精液にまみれたフクの肉壺を指さした。入れてみろということらしかった。言いようのない屈辱感があったが、僕のペニスは射精を終えたのにも関わらず勃起したままで、太い亀頭で無残に(えぐ)られ、すでにヤンのペニスのものとなったフクの膣の感触を確かめたいという渇望は僕のペニスに爛れた芯を生み出し、肉壺の入り口にペニスを進め押し込んだ。フクの肉壺は驚くほど熱く、そして期待していたとおりに緩かった。膣内は形状記憶するものではなく、臨機応変に変化するものだというぐらいの知識はあり、巨根を入れたからといって膣そのものが緩むことはないのだが、挿入されたものに対して膣圧を掛けるため、太い亀頭が抜かれたすぐ後では、その太さに反発する膣圧がそのままの状態であったのだろう。僕のペニスのサイズに調整できていないだけなのだが、続けての挿入なのでフクが実際に膣の粘膜で感じるであろうペニスの存在感は大きな違いがあるのだろうなと惨めな想像に酔った。果たせるかな、僕のペニスはヤンの精液にまみれたフクの緩い肉壺の中で虚しく滑り、ぐったりしたフクからの反応はなかった。それでもフクの膣の中が矮小な留学生の精液で(まみ)れているという異常な興奮でペニスを射精に向けて出し入れさせていると、勝ち誇った顔をしたヤンから、「チェンジ。」と肩を叩かれ、言われるままにペニスを抜くと、退()けとばかりにヤンがフクの尻の前に割り込み、再び膨らませた太い亀頭を肉壺に押し込んだ、その途端、フクの上半身は電流が流れたように弾み、「ヒェッ。」と喚くと、「またぁっ。」と媚びた声で叫び、ヤンが激しく突き始めると、「イヤ、クル、クル、またクル。シヌ、ヤン、シヌ、ヤン、ヤン。」と征服者の名前を唱えながら上半身をのた打った。ひとしきり拡張された肉壺を楽しんだヤンは亀頭を抜くと、フクの尻の上で亀頭を扱いて「フゥーフゥー。」と(うめ)きながら精子を滴らせ、クメール語で何か呟いた後、「センセイ、ワカイナイ、ビックダケ。」と言って、「ミムラサン、ココ。」と言ってフクの尻穴を黒く汚れた爪の指で差し、「ケッケッケッ。」と狂ったように笑い始めた。性器を勃起させて突っ立っているままの僕の惨めな姿をフクが茫然と感情の無い顔で見ていた。

ヤンはゴミ箱の中から雑巾を拾いペニスを丁寧に拭くと、脱ぎ散らかしてあった服を着てから、勝手に冷蔵庫を開けて缶ビールを取り出し一気飲みし、「ニホンビール、オイシイ。」と裸のフクと僕を前にして満足そうに空の缶を振った。僕の顔を見て、「カエルヨ。」と告げると、テーブルに固定されたままのフクに近づき、自分の精液で汚した尻を叩いて、「プー。」と笑ってから、「センセイ、マタネ。」と言って玄関に向かった。それから先の数分の記憶は頭の中に、僕の行動としてあり得ない出来事としてコマ送りのスローモーションとして残っている。僕が、「ヤン。」と呼び止めて、「忘れ物だよ。」と言ながら近づくと、ヤンはナニ?っという間の抜けた顔で振り返った。その顔に僕が思いっきり拳を叩きこむと、ヤンは後ろに倒れるのではなく前のめりに崩れ、頭から床に落ちた。顔を覆った手から何か(こも)った声を出した後、鼻から大量の鼻血がボタボタ流れ落ちて呻き声とともに喚き始めた。「三村ぁ。」というフクの声が聞こえ、「やめてよ。三村らしくないよ。」と非難めいた言葉が続いたが、僕は構わずうずくまったヤンの頭を足でフロアに打ち付け、腹を続けさまに蹴り上げてから、「忘れ物だ。」と怒鳴って雑巾をヤンの顔に押し付け玄関から蹴り出した後、汚れたスニーカーを外に放り出して鍵を閉めた。フクは感情のない目で僕をしばらく見て、もう一度、「三村らしくないよ。」と言った。どうしようもなく(たかぶ)っていた僕は答えずにフクの後ろに回って、フクの肉壺にペニスを突きたて、そしてヤンの精液にまみれた膣に射精した。その間、フクは確か無反応だった。

フクの足に巻かれたガムテープを外してもフクはしばらくの間、脱力したように動けなかったが、やがて壁伝いに手を添えてバスルームに消えた、テープを外しながら、「ごめんな。」と言うと、フクは、「ウン。」とは返したが後は何も言わなかったし、僕もそれ以上は何も言えなかった。フクがシャワーを使っている間に床を掃除をしようと思い立ち雑巾を探したが、ヤンにプレゼントした雑巾が最後の一枚だったらしく一人で毒づいた。タオルを一枚雑巾に降格させたが拭き掃除が終わった後はゴミに変わった。フクはたっぷり30分以上バスルームから出て来ずに、途中で心配になって、「大丈夫か。」と声を掛けたら、「大丈夫。」とだけ返事があり、ドライヤーの音も消えてリビングに戻ったフクは、「疲れたから寝るわ。」と僕に告げて、冷蔵庫を開けて缶ビールを持って自室に消えた。僕もシャワーを浴びて、食欲はなかったが夕食をどうしようかと迷って、野菜とソーセージを炒めただけの酒のつまみを簡単に作って一人で結構な量の酒を飲んだ。寝ているであろうフクは部屋から出て来ず、フクの分をラップして冷蔵庫に入れたら、そこまでが限界で気付いたら次の日の朝だった。フクの姿は既に部屋になく、大学に行ったのだろうと思って僕も日常の生活に戻ったのだが、その日からフクは3日間家を空けた。


終章


3日目の夕方にフクは戻って来て、何事もなかったように、「ただいま。」と告げた。フクが帰らなかった次の日によっぽど携帯に電話しようかと悩んだのだが、お互いにプライベートな部分には触れないという暗黙の了解もあったし、フクには誰にも絶対に触らせないという領域があった。そのほとんどはフクの研究姿勢から派生するものなのだが、日々の生活においてもフクの主張にその領域が顔を出すことがあった。僕もその境界線は正確にはつかめないものの、触るなと言われれば触らないぐらいの学習能力はあり、何かあればフクの方から連絡があるだろうと敢えて無視することにした。もっとも、フクの部屋の書籍がそのままだったので、フクが家を出て行った訳ではないことは分かっていた。取りあえず帰って来たので良しとするべきだった。その夜は二人が揃っての夕食となったが、フクは何かを言いたいのだが、どう切り出すかをビールを片手に迷っている(ふう)だった。ただフクの性格上何事もなかったことにして済ますということはあり得ないことで、多分僕にとってさほど嬉しい話ではないことは予想できたので、卑怯だとは思いつつも、フクが口を開くまで待つつもりで、僕から水を向けることはしなかった。フクはその夜、僕が寝床に入ったタイミングで全裸で潜り込んできた。フクが裸であることにまず安堵して、いつものように左手を下にして柔らかな尻を撫ぜていると、「ねぇ、何処に行っていたと思う?。」と聞いてきた。フクらしい気持ちの良い物の言い方だ。これが別の女性だったら、『どうして何処に行っていたのか聞いてくれないの?』になるだろう。フクは他人に依存しない。人の尺度で自分を測らないから傍に居る僕も余計な気遣いをする必要がない。「ヤンのところかい。」。違うとは思っていたが期待されているみたいなので一応言ってみる。「違うよ。」と言って、「どうしてそう思ったのか?。」と聞いてきた。「ぶっ飛ばしたんで僕の代りに体で謝ってきたとか?。」。フクは、「フフフッ。」と控えめに笑って、「体で謝るのは魅力的だけど、次にヤンとセックスするには一か月ぐらいの間隔は空けたいよ。徐々に大きいおちんちんで馴らしてからじゃないと楽しめないよ。」。「僕じゃあスパーリングパートナーにもならないな。」と言うと、「ジュニアヘビーの選手と試合するのにフライ級の選手とスパーリングをやっても無意味だよ。」と僕の耳朶を噛んだ。「三村は小さくて良いんだよ。私の女に興奮しておちんちんを大きくしてくれるだけで十分なの。三村のおちんちんが起っていると、私は一緒に居ても良いのだって安心するんだ。」と言ってルームパンツ中に手を入れてフクの言葉に反応した勃起を触った。「ヤンはもう駄目じゃないかな。あの子、プランテーションをやっている結構な金持ち一族の子でね、ろくに学力もないのに王立大学に入って、日本に留学させてもらって、多分怒られたことも、ましてや殴られたことなんてなかっただろうしね。今頃、こんな怖い国には居られないって、泣きながら帰国の準備してるのじゃない。私は指導教官じゃないし、あの子のことはどうでも良いよ。三村のところに殺し屋が送り込まれるのはまだ先のことじゃない。」。「怖い事を言うなよ。」と少しだけ真面目に反応すると、「良い避難先を紹介してあげようか。」と言って、「あのね、私、東京に行ってたんだ。」と続けた。「東京?、また何で。」と驚いたら、「ミユキと会ってきた。」と衝撃的なことを言った。記憶の走馬灯が逆回転した。跳び起きた。勃起は瞬時に収まった。

「ヤマに聞いたんだよ。」。あの頃、彼女と常にべったり行動をともにしていた女の子の顔を思い出した。「ヤマの連絡先は分かっていたんだ、同窓会の連絡をくれるのもヤマだしね。案の定、ヤマはミユキが何処に居て何をしているのか知っていて、携帯の番号を教えてくれたから電話してみた。私、ミユキとはそんなに気まずい関係でもなかったのだよ、仲が良いという程でもないけど。ミユキもすぐに思い出してくれて、東京に行くから会えないかな。と聞いたら、『エッ。』て。そりゃなるわな、二十年振りだものね。覚えていてくれただけでも感謝しないと。『変な宗教の勧誘じゃないから安心して。』と言ったら、『判った。懐かしいね、嬉しいよ。』と喜んでくれた。会って見るとミユキは大人の女になってはいたけど、やっぱり可愛いミユキで、二人で食事して、お酒を飲んで、みんなの噂話教えてもらって、ひとしきり笑った後、三村の話をしたんだ。本当に偶然に遇って、今一緒に暮らしてるって。ミユキはもちろん驚いていたけど、『思い出したよ、フク。』って昔の呼び方に変わって、『私に隠れて三村と何かコソコソしていたよね、酷くない。私と三村が仲が良いの知っていたよね。』って怒るの。イヤイヤ、今更女子中学生に戻って嫉妬されてもね。ミユキは独り身で、付き合っている男はいるらしいけど、あまり良品じゃないみたいで、なにかと苦労しているみたい。それで、『三村を返そうか。』と聞いたら、『猫じゃないのだから。』と当然辞退されたのだけど、私の事情も話したらミユキなりに考えて、『三村さえ良ければ構わないよ。』と言ってくれたんだ。何のかんの言っても、ミユキは三村のことが忘れられなかったのだよ。」。僕は深呼吸をした。

「ちょっと待って。」と話を止めた。再利用可能なお中元の使い回しのような話は兎も角も、フクの事情とは何なのか僕にはさっぱり分からなかった。「まずそこから話そうよ。」と頼むと、フクは素直にうなずいて、「ごめん、私なりに考えて決心したんだ。」と切り出した。「私はカンボジアに行く。うちの大学とプノンペン王立大学の間に教員交換プログラムができたんだ。それに応募すれば講師から准教授にゲタを履かせてもらえる。王立大学には准教授で行くのだけど、受け入れのポストは教授ポストなんだ、上手くやれば教授にもなれる。もちろん色々と甘くはないだろうし、上手く行ったとしても、将来日本に帰った時に満足できるポストと環境が得られる保証はない。でも、今の大学での私の将来はもう見えている。今のままだと、どんなに論文書きまくったって准教授にしてもらえるのが関の山だ。女の教員なんてそんな扱いだよ。偉くなりたい訳じゃない。邪魔されたくないんだ。邪魔されないためには偉くなるしかないんだ。」。フクは一気に話した。大学でのフクの評価がフク自身満足するものでないだろうことは、最近の浮かない表情や、学会準備を放って僕と海外旅行に行ったことから想像はしていたが、フクならばそのうち意地でも自力突破するだろうなと思っていたし、そのために所属大学を換えるというのも選択肢のひとつだろう。それで足枷になりそうな同居人の引き取り先を見つけてきたということか?。でも、そのことを僕が前妻と寄りを戻すことに繋げることは、フクらしくない理屈のような気がした。そのことを伝えると、フクは、「うん、自分でも話を飛躍させてしまったことは分かっている。」と言葉を切った。「でも、私と出会ってしまったことで三村の人生を変えてしまったことは事実なんだ。私のようなニンフォマニアと暮らすために積み上げたキャリアを捨てさせてしまった。三村は自分で決めたのだからと気楽に考えているのだろうけど、私はどうやってその代償に報いなければならないだろうかと考えると苦しかった。今度、私はカンボジアに行く。三村に、『カンボジアに行くよ。』と告げれば、三村は、『そうか、じゃあ俺も準備しよう。』ときっと言ってくれる。隣の町に行くぐらいの感じで気軽に賛成してくれる。でも、三村が私と暮らすために何の保証もない今の仕事を始めたのを私は見ている。三村ならこれからも上手くやるかもしれない、でも、二度も三度も三村の人生を私の我儘で迷わすことは私にはできない。」。基本自分のことしか考えないと思っていたフクの話は僕にとって意外だった。僕は単に楽な方に流れているだけだ。これからも楽な方を選択をしていく、その結果、喰えなくなって人生が詰んだらその時はその時だ。今の苦しみが将来の楽しみに変わる保障なんて誰もしてくれないし、老後に楽しむって何なのだって思ってしまう。フクと刺激的なセックスをして今を楽しく過ごす。これが僕の選択だったというだけだ。やっぱりフクのオリジナルは中学生のころの優等生のフクなのだと思った。志がないだけの男の思考をどう説明するものかと悩んでいたら、フクが、「それとね。」と続けた。「三村は優しいけど冷たい。私はブスだから男から大事にされることはないと思ってきた。おちんちんを大きくしてくれる男とセックスをする。好きも嫌いもない。私のようなブスに射精したければ射精すれば良い。誰も何も失わないし、何も得しない。それで股が緩いとか散々言われたけど、それがどうしたで済ませてきた。でも、三村が、自分は寝取られだって言ってくれて、私の色欲を許してくれることで気持ちは本当に楽になっていた。でも、ヤンとセックスした時、三村のヤンに対する怒りを目の前にして、私は勘違いしていたのじゃないかと思った。三村は、私を傷つけないために自分のことを寝取られにして我慢して受け入れてくれてたのじゃないかって考え始めて、そうだとしたら、私、もう死にたいぐらい恥ずかしくて、惨めで。でも三村は絶対に本当のことを言わないから、そこはミユキに聞くしかないかなって思って、東京に会いに行ったんだ。」。フクはかなりの自己中心で頭脳明晰にもかかわらず視野は狭い。僕はフクの勘違いの深読みに笑いたいのを我慢するのが精いっぱいで、フクから見たら僕がフクの告白を聞いて、苦悶する表情に見えたのかもしれない。「そんな顔しないで。」とフクが深刻そうに言った。そこが限界だった。僕は声を出して笑った。一方的な別れ話にならなそうな安堵感も後押しして久しぶりに腹から笑った。フクは呆れた目て見ていた。ひとしきり笑った後、「それで、彼女は何と言っていた?。」と僕は前妻の旧姓で尋ねた。

フクは、「何だよ。人が真面目に話しているのに態度が悪いな。」と僕を非難してから彼女の話を教えてくれた。「ミユキはね、あんまり覚えてない、って最初はそう言った。そりゃそうだよね、私も聞き方が難しかったもの。三村は夜の方はどうだったの?、と当り障りなく聞いたって、当たり障りなく答えるのが関の山だものね。こりゃ、少々カミングアウトしないと本音で話してくれないかなと思って、『三村のセックスは変じゃなかった?。』って聞いてみた。『変というと、三村の性癖が変なの?。コスプレとか?。』って聞くから、『それはないけど寝取られ癖とか。』と水を向けたら、『あぁ、その資質はあったかもね。三村と結婚する前に男の出入りがあったのだけど、あの人、気付いていても何も言わなかったもの。その時には意気地(いくじ)がないだけなのかなと思ったのだけど、意外と陰で悦んでいた(ふし)はあるね。ひょっとして、フク、他の男とセックスしてくれと頼まれているとか、さすがにそれはないか。えっ、そうなの、やだ、気持ち悪。』だってさ。」。それは、カミングアウトではなく、単に二人で僕を(あざけ)っているだけじゃないかと思ったが、反論すると話を複雑にするだけなのでそこは我慢した。「『私はそんなことは言われてないし、普通だったかなぁ。可もなし不可もなしというか、特に印象に残ってないということは本当に普通だったのじゃないかな。サイズも平凡だったような。だよね。早漏ではなかったかな。』だって。」。僕も言わせてもらうと、彼女は完璧なマグロだった。それでも彼女とのセックスが楽しめたのは、繋がって向かい合った時の歪んだ可愛い顔が、意外にもブスっぽくて素の彼女に変に興奮してしまうのもあったが、彼女の性器の締め付けはちょっと独特で、横からサンドウィッチのパンで挟み込まれるような奇妙な気持ち良さもあったからだ。でも僕は彼女のマグロ振りを誰にもアウティングしなかったし、彼女に何も言ったことはない。「でもね、ミユキは言うんだ。『それでも結婚相手として三村は良い男だった。』って、『最近になって特に思うよ。ちゃんと働くし、暴力は振るわないし、家事も普通にやる。周りのハイスペック男を狙ってる意識高い系の女達も、これぐらいの歳になると焦って言うんだ、もう普通の男で良いわって。笑っちゃうよ。普通ってさぁ、何をもって普通の男だって話だよ。見た目が普通の男はいるよ、年収が普通の男もいる。人柄が普通に良い男、後なんだろう、そう、セックスが普通にできる男。でも、全部まとめて普通の男ってなかなか居ないのだよね。だいたい、勤め先が良いとマザコンだったり、セックスが上手いと暴力を振うし、やっと普通の男だと思えば借金持ちとか、そんなのばっかり。その点、三村は気が利かないし、煮え切らない男だったけど、優しかったし、並みの容姿だし、定職はあった。親とも距離をとっていたし、セックスが少々物足りないとしても、稀有な普通の男だったのだなと今になってつくづく思うよ。別れた私が言うのも変だけど、フクが羨ましいよ。少々の変態行為は許してあげたら?、できることなら返して欲しいぐらいだよ。』って。『飼い慣らしたから、私のクセを付けちゃったけど。それで良いの?。』と聞いたら、『大丈夫。そもそも、男としての躾をしたのは私だからね。』だってさ。相変わらず負けず嫌いの女だよ、よくあんな高慢ちきな女と結婚したね。三村も大概なお人好しだわ。」。フクは、ミユキとはそんなに気まずい関係でもなかったのだ、とは言ったが、女性の良好な関係とは、好き嫌いとは関係ないらしい。

「『それじゃあ、返してあげるよ。』と言ったら、『猫じゃないからいらない。』とは言われたけど、何か察したのか、『三村は素っ気ないけど、周りの人が傷つくことを一番嫌う奴なんだ。良くは分からないけどできれば許してやって欲しいって。』。その時、思ったんだ。そもそも、三村とミユキは幼馴染で、小さい時から一緒に居て、お互いずっと好きで、結婚までしたんだ。その二人の間に何故私が割り込んでいるのだろう。三村は何故私を受け入れたのだろうかって。分からなくなって聞いたんだ、『ミユキは何故三村と別れたの?。』って。ミユキは、『三村に聞けば。』とは言ったけど、『幼馴染の宿命なのだろうけど、成長するにつれて好きな人も変わるし、恋愛より夢中になることも出てくる。その度に、三村にはサヨナラを言って、でも浮かれた時が過ぎて一人になると、いつものように傍には変わらない三村が居た。だから、離婚しても何かあったら三村が何処からか現れて助けてくれるとどこかで期待していたんだ。三村は私だけのものだと思っていた。私が嫌いになっても、三村は私のことが好きだし、皆から私が嫌われても三村だけは私のことを大事にしてくれるものだと思い込んでいたんだ。馬鹿馬鹿しいと思うかもしれないけど、小さい時からずっとそういう関係だったから、そう信じていた。でもあいつは本当に消えてしまった。きっと私の我儘に付いていけなくなってしまったのだろうね。自業自得だよ。』って笑っていたよ。『まさか消えた三村がフクに拾われていたとは想像もしなかった。』とも嫌味っぽく言われたけどね。」

「ミユキが結構本音で話してくれたので、私も危うくホロリとなりそうだったのだけど、女の前で共感して、情にほだされて機微なことを喋ると身の破滅だから。私が三村とどんなセックスしているかなんて洩らした日には、『うん、うん、私も分るよ。』って聞いてくれて、次の日にはヤマを通じて元同級生の女全員が知ってましたってことになるから。怖いよ。それで、カンボジアへ行くことだけを話したんだ。『私は所詮は閉鎖した研究の世界でしか生きていけない女で、三村とはたまたま一緒に暮らしているけど、すれ違いも多いし、いつかは別れるしかないだろうなと考えていた。今回のカンボジア行きがそのタイミングじゃないかと感じてる。』って。言える範囲で正直に話したら、ミユキが、『三村には話をしたのか。』と聞くから、『東京から帰って話そうと思っている。』と言うと、『まずは三村の意見を聞いて、二人で良く話し合って決めたほうが良いよ。いつでも相談に乗るから連絡して。』だってさ。今の三村の仕事についても聞かれたよ、取り澄ましてはいても興奮が顔に出ていた。『うん、ありがとう。』って感謝して、それで別れた。次の日、秋葉原に行ってコネクターを何種類か買って帰ってきた。」。マウントの取り合いになったのは理解できた。でも、何故、『私の事情も話したらミユキなりに考えて、三村さえ良ければ構わないよと言ってくれたんだ。』になるのかさっぱり分からなかった。そのことを聞いたら、「何、私の話聞いてなかったの?。あんた馬鹿?。」と裸のフクは怒った。


誤解は解いておく必要があった。ヤンを殴ったのは、ヤンがフクとセックスをしたからではなく、フクに敬意を払わなかったからだ。セックスは男と女のゲームであり、どういうゲームにするのかは人それぞれだろう。ケースによっては暴力的な進行もあるだろうし、侮蔑や屈辱を与えるものもある。ただ、その前提としてセックスをする相手に対して敬意を払うという暗黙のルールが大前提にある。良いゲームはルールを守ることで成立する。ヤンには大人のセックスのルールを厳し目に教えてあげただけで、僕の寝取られが真正なのかフェイクなのかは関係ないのである。問題は前妻の方であった、フクが言うように、前妻であるミユキちゃんとは幼馴染で、美少女時代から僕は下僕のように彼女に寄り添い、男と女の関係になっても奉仕のようなセックスに満足して、彼女の望むタイミングで結婚もした。それは無条件に彼女のことが好きだったからだ。そして僕は彼女のことは今でも好きなのである。過去の恋愛におけるパートナーへの思いについて、男と女では大きな違いがあると感じている。多くの女は、過去の男のことは何とも思わない。今の恋愛の方が大事だからだ。フクの話を聞いただけでは良く分からないが、前妻が復縁しても良いと言ってくれるのだとしたら、彼女はどういう理由であれ、僕のことを以前のままの関係として思ってくれているということであり、小さい頃から長い年月、彼女を大事にして寄り添ってきた僕としては正直に嬉しいのである。ただ、フクの性癖を味わってしまった後で、彼女との性生活に満足できるのかと問われれば、多分満足はできないのだろうなというのが正直なところだ。好きな女なのだからセックスは出来る。好きなのだからセックスはできるがそれは単に生殖のために精液を放出するセックスである。フクが与えてくれる、性の深淵を覗き込むような、恐ろしくも惑溺(わくでき)するセックスは他の誰も与えてくれない。それが麻薬にも似た常用癖を生み出し、僕かフクの精神の崩壊に繋がるまで止められなくなるのではないかという恐怖はあっても、そのことで破滅に向かって落ちていくのがフクとなら構わない気がする。爛れたような行為ではあっても何故か腐臭がしないのである。フクには甘い汗の匂いしかない。校舎の片隅の秘密の空間で偶然フクと出会ってしまった時にこうなることは決まっていたような気もする。「フクじゃなきゃ駄目なんだ。」と僕は言った。フクは感情を抑えた乾いた瞳で僕を見て聞いた。「ブスを抱いて楽しい?。」。黙っていたら、「ブスを甚振(いたぶ)るのが面白いんだ。」と続けた。「ニンフォマニアに同情してくれるんだ。」と言って瞳に複雑な感情が混じった。「フクじゃなきゃ駄目なんだ。」ともう一回言った。フクは、「そうなの。」と冷たい声で、「じゃあ三村、裸になってよ。」と言った。仕方ないので言われるまま、僕は立ち上がりTシャツとルームパンツを脱いで裸になった。「変態女の裸でおちんちん大きくしなさいよ。」とフクの声が聞こえたが、結構深刻な話をしていた訳で、そうそう下半身が反応するものでもなかった。フクは、「やっぱりブスじゃ大きくならないじゃないの。」とヒスを起こして、座ったまま足を伸ばして、「ちんちん小さいんだよ。」と僕のペニスを蹴った。予想していなかったので、もろに打撃を受けて、「ウッ。」と前かがみになったが、再び体を伸ばした時には僕の性器は勃起し直立していた。フクは、エッと驚いた顔をして、「どうして?、馬鹿じゃないの。」と呟いた。「言っただろう、フクじゃなきゃ駄目なんだ。」。


仰向けになった僕の上にフクが乱暴に乗って、覆いかぶさるようにして僕の胸に柔らかい乳房を合わせてきた。口を合わせてフクの歯茎を時間を掛けて舐めた。フクの口から涎が流れ落ち僕の首回りを濡らした。フクは、「ゴメン。」と謝ってティッシュを取ろうとしたが、その手を掴んで、「変態女とのセックスでいちいち涎なんか拭いていられるか。」と言ったら、意味ありげに含み笑いをして、「変態女に涎を垂らしてもらって嬉しいの?。」と僕の濡れた首を舐めた。「フクの体液はすべて飲みたいんだ。」と言ったら、「じゃあここでお小水するから飲んで。」と言い出したが、明日寝小便の布団を干していると勘違いされても困るから、「バスルームで飲ませて欲しい。」と頼むと、「馬鹿。」と言って笑った。結構本気で言ったつもりではあった。フクが、「おちんちん入れるよ。」と僕のペニスを掴んで腰を落としかけたので、「ちょっと待って。」と言って、下からフクの上半身を固く抱いた。「今日は入れないでくれるかい。」と頼むと、「どうして?。出したくないの?。」と優しく聞く。「教えて欲しいんだ、フクが今まで体験したちんぽで、どのちんぽが一番気持ち良かった?。」。「三村のおちんちんも含めて?。」。フクは、「ウフフ。」と笑ってから、「作業員のおじさん。」と答えた。「作業員のおじさんのおちんちんが一番良かったよ。隙間なくぴったりして、奥の気持ちの良いところを突いてくるんだ。お小水まで漏らしちゃったんだよ、忘れられないよ、おじさんのおちんちん。」。フクは僕の耳を引っ張って、「やっぱり大きなおちんちんは違うよ。」と耳元で(ささや)いた。「おじさんのおちんちんのためなら私なんでもできるよ、入れてやるから裸なれって言われたら何処でも裸になる。ソープで働けと言われればソープで働く。」。フクの手が僕の勃起を探って、「すごいことになっているよ。ベトベトだよ。」と嬉しそうに言った。「お願いがあるんだ。」と僕は言った。「この姿勢で、抱き合ったまま、後ろからおじさんに犯されて欲しいんだ。」。フクは、「後ろからおじさんの大きなおちんちんで突かれれば良いの?。三村はそれが良いの?。それが嬉しいの?。それで満足できるの?。」と僕の唇を舐めた。僕は頷いて、「フクが大きなちんぽで犯されて、喘ぐ顔を間近で見て、悦ぶフクの声を聴いて、他の男に逝かされるフクから抱きしめて欲しいんだ。」と言った。フクは舌を入れて涎を垂らし、僕の口の中を舐めまわした後、「三村は本当に変態なんだ。」と言った。「良いけど、三村からおじさんに頼んで。締まりが緩い女だって馬鹿にしてお尻を叩いてやって欲しいって。おちんちんで突きながら、太い指でお尻の穴も苛めてやってくださいって。折角おじさんのおちんちんを入れるのだから、おじさんにも喜んで欲しいの。膣穴で絞めておじさんがまた入れたいと思って欲しいの。」。フクは熱に浮かされたように早口になり、尻を突き出して腰を振った。僕が、「分かった、ちゃんとおじさんに頼むよ。」と回した腕に力を入れると、フクは、「ねぇ、もう我慢できない。呼んで、おじさんを呼んで、早く。また犯してやってくださいってお願いして。」と(うる)んだ茶色の瞳でまっすぐに僕の目を見た。フクは性欲を隠さない。フクが犯して、と言う時は本当にちんぽが欲しい時だ。「いいよ。確か名刺を貰っていたな。今からおじさんを呼ぼう。おじさんが言ったとおりにおじさんのちんぽが忘れられなくなったようです。肛門にも欲しいって尻振ってますって電話してあげるよ。」と言うと、「欲しい、欲しい、欲しいの。おじさんのおちんぽが欲しい。お尻の穴にも欲しい。」とフクは騒ぎ始め、僕の腕の中でもがいて尻を激しく振り始めた。腕を振り払って床でのたうち回りそうに騒いだ。「おじさんのおちんぽでいっぱいにしたい。ねぇ、私、ねぇ、またお小水を漏らして逝きたい。あぁ、おちんぽが欲しい。ねぇ、私、もう駄目なの、ごめんね、おじさんのゴツゴツした大きなおちんぽじゃなきゃ嫌なの。おじさんの精子が欲しいの、おじさんの精子が飲みたい。子宮をおじさんの精子でいっぱいにしたい。おじさんの子供が産みたい。あぁ、大きなおちんぽ()めて、突いて、突いて、おちんぽで突いて。あぁぁ、逝く、逝く、おじさんのおちんぽで逝くうううう。」。フクは尻を上下に振った後、尻を痙攣させ僕を固く抱きしめて硬直した。フクの割れた性器から熱い膣液が垂れたのを腹の皮膚が感じた。

フクの力が抜けて呼吸が落ち着くのをしばらく待ってから、僕はフクの頭を両腕で抱えて胸に抱いて(ささや)いた。「やっぱり僕はフクじゃなきゃ駄目なんだ。」。






本当に久しぶりにフクからメールを貰った。お元気ですかとの書き出しで、息子がエレメンタリースクールに入りましたと写真が添付されていた。フクに似た聡明そうな男の子の横に立つフクは笑顔だった。

フクがあの時何を考えて僕と離れる決断をしたのか僕には分からなかったけど、フクは自分で尻を拭ける女だから、きれいさっぱり尻を拭いて自分の求める学究生活に入っていこうと決めたのだろうなと納得するしかなかった。フクに未練がなかったのかと問われれば未練はあった。苦しみもした。未練はあったのだが秘密の場所でのフクとの密会に終わりがあったように、フクとの暮らしにも終わりが来たのだなと最後は割り切った。

僕は相変わらず自分のペースで仕事をしていて、豊かではないが朝寝を楽しむ生活を続けている。性欲もあるし、セックスもするが、電気を消してと頼む女に逆らうこともなくごく普通のセックスをしている。フクと暮らした時間にフクの性の悦びに飽きることなく執着した僕の性はフクのニンフォマニアによって誘発されたものだったのかと思ったりもするが、フクは、自分のニンフォマニアは僕の寝取られの性癖に触発されたものであったと言い張るに違いない。



朝のニュースで、強風で折角の桜が散ってしまわないか心配ですねとお天気キャスターが言った。桜の見納めになりそうだから川沿いの桜を見に行かないかとフクを誘うと、うーん、と言って気乗りしない顔を見せた。桜吹雪で綺麗だと思うよと言うと、綺麗だとは思うのだけど、花の終わりに立ち会うのは悲しくなるから嫌だなと言う。強引に連れ出した早朝の桜道に人はいなかった。二人きりで桜吹雪の道を歩いた。季節が変わるのだね、とフクは寂しそうだった。ひときわ強い突風が僕らの横を通り過ぎて桜の花びらを巻き上げて空にぱっと広げた。僕はフクと見る桜色が作り出す情景を心に留めた。振り返ったらフクはうずくまって両手で顔を覆っていた。



               「フクと呼ぶ女と暮らしている 」 完 


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