契約婚約
初投稿です。
図書館で本を探していると話し声が聞こえてきた。
「なぁ、お金に困っている令嬢を知らないか?」
「なにそれ?」
「学園にいる間だけ婚約者になってほしいんだ。王女よけだ。」
第三王女のエレノア王女が学園に通いたいと言い出したらしい。寵愛している側室が産んだエレノア王女。父王が溺愛しておりわがままし放題で手がつけられない。この間も自分に靡かない騎士をクビにしていた。
一これはもしかしてチャンスなのでは?とレティシアは思った。
レティシアはローランド伯爵家の長女だ。兄が伯爵家を継ぐ予定なので家を出ることになる。学園にいる間だけの婚約で卒業すれば、お金ももらえるらしい。学園を卒業したあとは平民として商会を経営したいレティシアは本棚の影から飛び出した。
「はい!!私!やりま…す!?」
声の主が誰なのかを知り慌てた。
ヴァノ公爵家の嫡男のルキウス様とロレンス侯爵家の三男のクロード様だ。
ルキウス様は、白銀の髪で瞳は薄紫の整った顔だち。令嬢に人気があるが人を寄せ付けない雰囲気がある。クロード様は赤髪の長身で誰にでも優しく面倒見もいい。顔もかっこいいので人気がある。学園いちの人気コンビがいた。
上級貴族すぎて無理だと慌てたレティシアは、「間違えました。すいません。」と逃げ出そうとした。
「まて!やりたいと言ったな?今の話しを聞いていたのか?」
ルキウス様につかまり、別室で話すことになった。図書館の横に談話室があり、申告すれば個人的に使える。
「なるほど。卒業後は結婚せずに仕事をしたいということか。」とクロード様。
「そうです。両親は結婚しなくてもいいと言ってくれていますが、断りにくい縁談が持ち込まれるかもしれないですし。婚約破棄ともなれば傷物になるので縁談を持ち込まれなくなるかと。その…お金もいただけるようなので。」
「第三王女の降下先として目をつけられたが俺も結婚するつもりはない。王命を出されれば断れないので先に婚約したいが結婚はしたくない。」
大事なことなのか、二回繰り返した。
「そういうことなので明日、婚約を申し込みにいく。」
「…誰に?」
「レティシア嬢に」
「…えー。。」
「伯爵家にも先触れを出しておくので逃げないように。」
「…」
「あはは。ルキウスとの婚約を嫌がる令嬢を初めて見たよ。」
一いやいや、(仮)婚約だし。
卒業後の商会のことを考えれば貴族とのコネクションは欲しいが必要以上に目立ちたくない。
本を読む気分ではなくなったので、家に帰って明日の縁談の申し込みを断る方法を考えよう。
レティシアはため息をついて談話室を後にした。
家に帰るとすでに先触れが届いているようで父親が飛んできた。
「レティシア!明日公爵がレティシアに会いにくるそうだ!」
(公爵家仕事が早いな…。)
こうなったら腹をくくるしかない。
こちらに有利な条件を引き出すのだ。商人には交渉力がいるからね。
学園の残りの生活が平穏に穏やかに過ごせるようにがんばろう。
前編、後編くらいにしたかったのですが、短編から変更できず。
これはこれで残してまた新しく書き直しします。