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第17話 ジェーンとローレオンの縁談

 城の応接室。

 私とジョナルド様の前に、ローレオンが呼び出されていた。

 ソファーに座る私達の前で、直立不動で立っている。


 こうしてみると、彼は本当に、なかなかのイケメンだった。

 身長も高く、塩顔。

 濃い茶色の髪に、優しそうな瞳。

 顔だけなら、旦那様よりずっといい。


「ところで、ローレオン。お前は、シェイラ付きのメイドであるジェーンを茶に誘ったというのは本当か?」


 ジョナルド様が、ローレオンをじっと見ていった。


「確かに誘いました。申し訳ありません!どの様な罰でも受ける覚悟です」


 ローレオンは、背筋を伸ばして、そう宣言する。


「ほら!ジョナルド様は、強面すぎるの。もっと言い方を考えて。怖がってるわよ」


 私は、肘でジョナルド様をつついた。


「いや、そういう事ではない。お前は、彼女を本気で好いているのか?」


 ジョナルド様が、少し優しく言った。


「…はい、本気です」


 ローレオンは、少し間を置いて、はっきりと答えた。


「よし!そう言ったからには、彼女を妻にする覚悟はあるな!」


 ジョナルド様が、そう言う。


「いや、まだ何も伝えていませんし、それは早いのでは…」


 ローレオンが、言葉を濁した。


「覚悟はあるかと聞いている!」


 ジョナルド様が、もう一度聞く。


「はい!もちろんです!」


 ローレオンは、真っ赤な顔で、そう答えた。


「よし、では、私の父に頼んで、お前の両親に口をきいてもらう。ジェーンには、我が家の養女になってもらい、お前の家に嫁に行く形にする!この縁談、私とシェイラに任せてもらうぞ」


 ジョナルド様は、低いイケボで力強く言った。


「はい!よろしくお願いします!」


 ローレオンは、深々と頭を下げた。




 「…という事になりました。明日、さっそく騎士君と見合いなさい」


 その後、私はジェーンを呼び出して、そう伝えた。


「ななな、何を勝手に…」


 ジェーンが、顔を赤くしながら、震えた声を出した。


「彼、あなたと結婚したいって。良かったわね!もちろん、夫婦共に、この先も同じ仕事をしてもらっていいのよ」


 私は、そうジェーンに伝える。


「し、しかし…歳の差ですし、私の様な平民が」


 ジェーンは、困った顔をした。


「何、言ってるの。あなたは、とても美しいし、伯爵家のメイドとして貴族の振る舞いや言葉使いも学んでいる。私なんかより、貴族の娘らしく見える。それに身分もライオット家の養女という形になるので、何も心配いらないわ」


 私は、優しくジェーンに伝える。


「確かに、お嬢様の振る舞いは滅茶苦茶な事もありますが、私などが」


 ジェーンは、首を横に振る。


「そういう言い方しないで。私も色々あったのよ!あなたも勇気を出しなさい。きっと、騎士君の事が好きなんでしょう?もう10年の付き合いよ。それくらい分かる」


 私は、ジェーンの言葉に少し怒った。


「でも…」


 ジェーンは、もごもご言って、黙ってしまった。


「とにかく、まずは相手を知ってからよ。見合いだけはして頂戴。後の心配はいらないから」


 私は、ジェーンの手を取り言った。


「分かりました。見合いだけですからね」


 ジェーンは、恥ずかしそうに了承してくれた。




 次の日、ジェーンとローレオンの見合いが、行われた。

 二人は城の応接室で、何時間も語り合っていた。


 そして、部屋に私達夫婦を呼ぶと、立ち上がって宣言した。


「俺達、結婚する事に決めました!仔細よろしくお願いします!」


 ローレオンが、そう言う。


「えええ?さすがに早すぎない?」


 私の目が点になる。


「合理的に考えた結果、そうなりました。これから先も、お嬢様に仕えるならば、最良の形での結婚と判断いたします。それに、私は人を見る目に自信が、ございます。お嬢様の様に無駄に迷ったりはいたしません」


 ジェーンが、淡々と説明する。


「無駄に迷ったりして迷惑かけてごめん」


 私は、しょんぼりした。


「はっはっは、後は任せろ。とにかく、めでたい!これからも、よろしく頼むぞ」


 ジョナルド様は、二人の肩に手を置き、上機嫌で言った。


 こうしてジェーンは、結婚した上で、表向きは今後も私に仕えてくれる事になった。

 ただ、貴族の娘になるので、これからは私の本当の姉妹として一緒に暮らす事になる。


「よろしくね、ジェーン。これからは、お姉様と呼んでいいのよ」


 私も、上機嫌でジェーンに言った。


「いいえ、なんか癪なので、お嬢様のままでいいです」


 ジェーンは、そう言う。

 しかし、その言葉は、いつもより優しい気がした。

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