第1話 泣き虫高飛車バツ2令嬢と熊髭騎士様の見合い
第二話以降は、明日朝8時5分以降にUPします。
「はあああああ」
私は、大きな溜息をついた。
けだるいだけの午後、屋敷の庭にある温室で今日も、だらだらとすごしている。
ソファーに身を投げ出し、虚空を見つめた。
私は、シェイラ・アースキン。
アースキン伯爵家の長女だ。
年齢は26歳。
普通なら、結婚して子供もいる年齢だ。
実際に結婚はした。
それも2回も!!
ソバージュがかった栗色の髪と瞳。
貴族の娘達の中でも最も美しいと呼ばれた顔とスタイル。
昔から、この私と結ばれたいと願う男性は、沢山いた。
1回目は、子供の頃から婚約していた第二王子。
18歳の時に結婚して、22歳で離縁された。
子供が出来なかったからだ。
2回目は、大商人の息子。
彼との間にも子供は出来なかった。
私が25歳の時に、彼が別の女と子供を作って離縁する事になった。
「ああ!私は贅沢な暮らしがしたいの!かっこよくて若くて、甲斐性のある男はいないのかしら!?」
私は、顔を手で押さえて叫んだ。
「お嬢様、簡単に考えている事を言葉にしない方が、よろしいかと」
後ろに立っていた、メイドのジェーンが呆れた顔で言った。
「私は、伯爵家の娘で、貴族の娘達の中でも最も美しいと呼ばれたのよ!何故、こんな事に!子供なんて他で作ればいいじゃない!ああ、いまいましい!」
私は、まくし立てた。
「…」
ジェーンは、黙ったまま返事をしなかった。
そんな私にも、父が色々と縁談を持ってきてくれる。
しかし、年増のおじさん貴族ぐらいしか、私の相手はいない。
何度見合いしても、私は全て袖にしてきた。
ここまで、我慢を重ねて、そんな相手で終わるなんて我慢ならなかったのだ。
しかし、私の若さと美しさが失われれば、伯爵家の娘とはいえ我儘は通用しなくなる。
そうなる前に、なんとかしなくては!
「縁談の話が入っている。お前の望んだ若い男だぞ。22歳。ライオット男爵家の息子で、若手騎士のジョナルド・ライオットだ。」
ある日、応接室に呼ばれた私は、父から縁談を持ちかけられた。
「ライオット男爵家ですか、うちとは家の格に差があると思うのですが」
私は、そう文句を言う。
「2回の離縁があったのだから、相手の格が落ちるのは仕方なかろう。少しは我慢せんかシェイラ」
父が、私をたしなめる。
「納得いきませんが、父上の顔を潰すわけにはいきません。一度くらいは会いましょう」
私は、渋々会うのを承知する。
「何を言う!今度わざと破談にしたら、我が家から勘当するぞ!真面目に考えるのだ!」
父は、声を荒げる。
「分かりました…」
そう答えるしかなかった。
「ジョナルド卿は、魔物退治では多数の武勲を上げている若手のホープだ。将来は、騎士団長との話もある。男爵とはいえ、有望株だ。見た目は武骨だが、気持ちのいい男と聞いている」
父は、満足して言う。
「うげっ…」
私は、露骨に嫌な顔をした。
「はああ…。見た目が武骨って、それって不細工って事でしょう。気持ちのいいと言われる男は、無神経な男と相場が決まっています」
私はさらに、大きく溜息をついた。
「とにかく会うのだ。失礼の無いように!」
父は、そう念を押す。
「…」
私は、黙ったまま宙を見つめた。
仕方ない、義理は通すか。
このままでは、本当に勘当されかねない。
こうして私は、ジョナルド卿と見合いする事になった。
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