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ガイア魔術学校  作者: 宵闇 歩
5/6

可変

(いい子ちゃんになんてならなくていいぜ。どうせ現実は現実だから。)


忘れ物と言ってプリントを手渡しに来た赤髪の女エルフに、心中でつぶやく。

見ろよ、そいつらの顔。小気味よく笑ってんだろ?どこへ行っても変わらない。そうさ、

この空が青い限りは、俺はいつまで経ってもファンタジーなんかにはなれない。魔法だろうがそうでなかろうが、所詮数珠つながりの世界で俺の定義をするのはたやすいことだ。


プリントを手からはたくようにとり、教室をあとにする。非難の声が聞こえてきた。もともとそっちのお節介だろ。


陰キャで”キモイ”男。一匹狼にすらなれぬ溝の中のネズミ。


ーーーーー


「ッああああああアアァあ”あ”あ”ア”ア”ア”ーーーーーーッ!!」


なんで。


なんで俺の体が、燃えている!?いや、これは紫、呪術の類か!

さっきまでなんの気配もなかったのに!一体どこから、、っ!!

手から採取箱を落としても、腕を振り払っても、逃げても、

熱い!

「アツっ!あ”つ”いだ、れかッ・・!!た す、」


杖、杖はどこだっ水、だれか!水を!

誰か、、、



――いねぇよ、そんなやつ。



・・・・・ドサッ


膝から崩れ落ちる。

血液の温度が上昇し圧迫された心臓がギクリと捻じ曲がった気がした。



「くっ、クククククっ、ははっ」



突沸が一気に噴き出てきて止まらない。無様な恰好で崩れている俺、おれ、おれおれ俺エ”ッ!!

そりゃあそうだいるわけねぇ!ああ火だるまだ!熱いww!


「ひゃはははははハハハハ!!」




残酷だ。死ぬのか、俺は。





「母さん、

ああ、情けねーなぁ、



「、ごめん。」


こんな俺で。


生まれてはじめて本音を吐いた気がする。


「・・・っく、」


熱い。 痛い。


杖を喉元に突き付けていた。本当は、何もなかった人生の中で、たった一つだけの片鱗だったそれにすがりながら。


涙を


突然、体が浮いて――



「ばかやろー」


・・・・・こ、え?

ぼんやりと見上げた先に、副校長が立っている。

能力が開花した最悪の始まり方だった。


ーーー

黒田 悠(特技:メタモルフォーゼ―亜種―):3年


以前)黒い長めの髪に、鋭い黒い目をもつ。近視のためメガネ。卑屈ぎみ。

能力解放後)黒いショートの髪に、鋭い赤い目をもつ。術によってメガネがなくても2.0まで見えるようになった。相変わらず対人にそっけない。


経歴:

17歳。自己肯定感が低く、人間不信のきらいがある。

学校においては転移後も片鱗をみせるものの”無能力状態”であり、ひたすら勉学に励んでいた。古典による魔法植物を採取している際に”闇の渦”に巻き込まれた、その際に能力が開花。


ーーー

「メタモルフォーゼ(能力)」:

見たものに自身を変化させる能力。性質は変化対象による。研磨によってそのものの性質のみ(外見に影響しない)や身体の一部だけなど、限定的な術式を施すことが可能。

覚えたてのころ調子に乗って猫になり、授業をさぼろうとしたところ副校長のお世話になった。


「闇の渦(ダークボルテックス」:

発生する原因は分かっていないが不発的で既にそこに存在する可能性が高い。人のオーラやモノの記憶など、何者かのもつ要素がトリガーとなるらしいことは分かっている。

意思をもたないが、様々な闇の現象の発生源となる。魔界の一部とされている。


実は彼の能力の一部は闇の渦の性質が混ざっており、発動の際は紫の炎がかげろうとなって現れる。術の発動関係なくマイナスの感情の強弱によって相手に危害を加えることがあるため、抑止力として杖による保護が必要。無論、杖の目的は術のベクトルを自在に操るためである。



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