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ガイア魔術学校  作者: 宵闇 歩
4/6

だらだら日記~隣のホムンクルスについて

登場人物」

エヴァン・ライト:2年。男性。黒のショートに、たれ目、黒色の目を持つ。

メタ・B・アルファ:2年。女性。茶髪のショート、釣り目、黄色の目を持つ。半分猫の要素が入っている。

パラ・B・ゼータ:2年。男性。白髪で裾髪が青い。丸い青色の目を持つ。


ーーーーー


「ぎゃあ虫!」


白昼堂々、校庭にまで響き渡るような大声をあげたのは、同級で同じ寮生でホムンクルスのパラ・B・ゼータだった。

「あーもう、しょうがないなー。」

杖の先でちょいと引っかけた青虫を取り上げ、意地の悪い笑みを浮かべているのはメタ・B・アルファ。彼女も言わずもがな。


午後1時。「食材研究」という授業の一環でチームごとに分かれて調理実習をすることになったわけだが、相変わらずというかなんというか、俺はくじを引いた先でも彼女ら(ホムンクルス)と当たることになる。神様、俺は(女性の)人間と結ばれることはないのでしょうか。

実際5人チームだから人はいるけど、何分こいつらの存在がデカすぎてちょっと引き気味になってるし。てか先輩じゃねーか。後輩(自分含む)が少し面倒をかけるかもしれませんご容赦をといった体で苦笑いの会釈を。


言い忘れたけどこの学校の授業は大学形式になっていて、俺たち2年ばかりが集まってるわけじゃない。少なくとも5年までの規模を少人数でというのだからその規模といったら・・・。


今日はオムライスにサラダを作る、予定だったんだけどなぁ。さっそく嫌な予感しかしない。

メニュー?そりゃあここは人間の転移者が多いからな。オーソドックスと思われるかもしれない。だがここは魔法界。使う卵は世間一般のそれではなく、コアトルなんちゃらとかいう巨大な怪鳥からとれた巨大な卵だ。で、ここが肝なんだけど、本当は「狩場」から始まるのよ、この授業。


もう波乱の予感しかしない(いままでの経験上)。


魔法の実践も兼ねてるってことらしい。だがそれは前日の急なスコールによって難を逃れたわけだ。つまり保管されてた卵を使う以外は採取として、数日間の「放課後」を使い山なり川へなり行っていた。もちろん指定の場所で。

だから問題はなかった。



「ほ~らほら、ここに餌がありますよ~。にゃはは」


「来るな近づけるなー(涙)!」


後ずさりながら杖を向けるが、震えるばかりで何もできないのが彼の残念な性分だ、と思う。


「んー、おっかしいねー。何がどうしてこうなったら我々の類はこうもリアクションが違っちゃうのかな~?ねえ同胞、どう思う?」

「ひいぃぃ!」

「おいよせよメタ、嫌がってるだろ。」

「えー?」


青い目を潤ませながらこっちを見てくるパラ。どう見ても人間にしかみえん。


「あの、そろそろ卵を、」

「そうだね、これ使えるかな?家から持ってきたんだけど。」


「そうですね。よかったらこっち開いてます。」


とはいえ調理場に来てまで戯言に付き合っているわけにはいかない。野菜を切りつつ皿を用意する。えっと3枚だったかな、違うわ。

ただ、


「駄目よこりゃ。完全に虫に反応しちまってるわ(´・ω・`)青虫ちゃんが可哀想~。」


メタ~・・・!もう後ろが気になって気になってしかたがない(!)半分猫だぞ?

しかも決しておとなしいタイプなどではないことは上記から納得してもらえるだろう。

この調子で授業を履修できていることが不思議なくらいだが、何分きちんと成果だけは出してくるので(しかも多様性を尊重している校風のため)誰も文句は言えない。さらに輪をかけて、なまじ一緒にいる時間が長いだけにもうなじんでるというか、半分俺が面倒見てます状態の認識がみんなに広がってしまっている、もちろんそんなわけはない。


もういいやほっとこう。いや駄目だろ。ネコだという認識にいつの間にか侵されてたわ。手伝ってもらおうか。


「こらこら、何してるの。」


よし来た。ここで先生の注意が来るはずで、ここからきちんとした実習になるはず、


「ぱっくん」


「「「あ、」」」


だった。一瞬にして静まり返る教室、集中線が俺らを攻撃する。


「え、」


ああ、終わった。


「何?今虫食ったの?!」

「衛生上に関わる。」

「来るな掴むな来るなーーー!」

「やめなよみんな。」

「2人だけだよ。あらかじめ増えるって予想してんじゃないよ。」

「嘘だろ、」

「何、あの子。」


「ちょっとメタ!?大丈夫なの!?」



「うまし。」


当の本人は我関せずとばかりに舌で唇をなめたあと、ん?といった様子でこっちを見てくる。

そうだよな、出席カードで生徒を把握してるようじゃ当然そうなるよな。そう、自己紹介なんてなかったばかりに・・・!


いくら多様といえ、見た目人間ほぼ100%のホムンクルスが奇行とみられてもおかしくはない。現状を見ればここが少人数制の授業であったことはまず不幸中の幸いだ。噂は広がるかもしれないけど。

先生まで動揺しているが、、、先生(!)しっかりしてくれ・・。

なおも悪いことに彼女は普段、自分の猫耳を巧みに隠している、誤解を生む率も上昇。


「彼女は・・・・・ホムンクルスなんすよ。」


これが俺にできる精一杯のフォローだった。


結局作るには作れたが、なんというかまあ、俺たちは結局、放課後に「衛生と食材の管理について」の課題を追加されることになり・・・帰り際に猫パンチを食らった。解せねぇ。


だが2度も言うが、彼女は優秀なのだ。

そもそも半分猫であることを隠しているのは彼女なりの「実験」らしい。どれだけ人間に溶け込めるか、という生理的欲求もとい本能だという。勉強熱心なのはいいことだろうが、事実そのために一般的な客観性に欠けてしまっている。

これは裏からひっそりと近づいて獲物をしとめたがるタイプのネコ科だ。しかもあざとい。なんかしらんけど腹が立つ。財布のヒモで察してくれ。


あとモテるのも事実だ。だがそのたびにこんな顔をしてると思う。

「ええのんか?」

嫉妬心丸出しで敵意を向けてくる相手に、生暖かいまなざしで見守る俺。これが火に油を注いでしまい、果たし状まで送られてきた。


俺の特技は、逃げることだ。嘘だ。


実際プチ修羅場などはあったが全部彼女が(物理的に)ケリをつけてくれた。なんでだろう悔しい。

せめて果たし状は燃やしてやった、パイロキネシスなもんで。



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