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 コルちゃんの兵舎での飼育については、なんだかんだと揉めましたが、最終王子様の許可付きということで、様子を見ながら更新制の飼育許可となりました。


 週一でコルちゃんの様子を隊長さん達込みで確認する事、塔へコルちゃんを連れて行く時は、騎士団の魔力持ちの誰かが必ず付き添う事で合意しました。


 その晩、檻に戻るのを嫌がってレイナードのベッドに潜り込んだコルちゃんと一緒に眠る事になりましたが、コルステアくんは長椅子に座ったままそれを苦い顔で睨んでいたようです。


 が、もふもふのコルちゃんの毛皮に埋もれながら眠って、ふと目を覚ました時には、長椅子から規則的な寝息が聞こえていたので、コルステアくんも少しは休めたようですね。


 こっそり口元に笑みを浮かべて、もう一眠りする事にしました。


「お早うございます! レイナード様!コルステア様!」


 唐突に、部屋の扉を開ける音と共に、ハイドナーの声が聞こえて、部屋に入って来たようです。


 鍵をかけて眠った筈でしたが、従者には合鍵を渡してあったんでしょう。


 因みに、時刻は早朝日の出頃、そろそろ起き出す時間ですが、昨日出遅れた事を気にして、早めに強襲を掛けてきた様子です。


 仕方なく付き合う事にしてベッドから身を起こすと、隣から這い出して来たコルちゃんが、布団の上で4本足を伸ばして立つと、背中の毛を逆立てて、ハイドナーに向けて低い唸り声を上げます。


「ひっ! レイナード様! 魔物が外に出てます!」


 途端に及び腰になってハイドナーが扉の方に戻りながら叫んでいます。


「ああ、一緒にベッドで寝るっていうから。」


「よ、夜中にパクっといかれない保証はないんですよね? ちょっと警戒が足りないのでは?」


 ハイドナーが尤もな事を言って来ますが、ペットとして可愛がると決めた以上、無情な事はしたくないじゃないですか。


「あー、大丈夫大丈夫。今パクッといくより、俺の側で垂れ流し魔力食べてる方がお得だってコルちゃんも分かってるから。」


「えええ??」


 流石のハイドナーもドン引いてますね。


「あのね。ペットと主人としての信頼関係はしっかり築いておかないといけないからね。俺、もふふわコルちゃんを手放すつもりはないから。将来を見据えて、甘やかして懐かせて、絶対服従もしっかり教え込まないといけないから。」


 にっこり笑顔で言ってみせると、ハイドナーの顔色が何故か若干蒼くなった気がしますが、まあ気の所為でしょう。


 将来本当に巨大化したとしても、こちらに敵対姿勢を向けさせないようにするには、地道な信頼関係を築く事が一番です。


「ねぇ、コルちゃん?」


 言いながら、コルちゃんの逆立った背中の毛を撫でて宥めます。


「あれは美味しくないから、パクッとしちゃ駄目だよ?」


 言い聞かせるように続けると、ハイドナーが少し恨めしげな涙目になっています。


「レイナード様〜」


「うるさい。」


 瞬時に被せられたのは、普段より更に低めのコルステアくんの声です。


 チラッと目を向けた先で、血の気のない不機嫌顔は、低血圧さんでしょうか。


 朝弱いんですね、きっと。


「さてと、それじゃ訓練行って来ますか。コルちゃんは檻ね。コルステアくんはまだ寝てても良いよ。」


 そう声を掛けてから、ひょいっとコルちゃんを抱き上げます。


 完全放し飼いは、コルちゃんとの信頼関係がもっと深まってからですね。


 しばらくは、部屋に居ない間は檻にインでお留守番してもらう事になりそうです。


 檻の扉を開けて問答無用で中に入れると、コルちゃんはキュウっと可愛い声で鳴いてうるうるお目目を向けて来ます。


 が、ここは心を鬼にして。


「帰って来たらご飯にしてあげるからね。お利口さんで待っててね。」


 言い置くと、洗面と着替えを手早く済ませてしまいます。


 何がと言って、レイナードになってから思う事は、朝の支度が楽だって事です。


 ざばっと顔洗って拭いて髪整えるだけで外に出れるって素敵です。


 寝巻きを脱いだところで訓練着がさっと差し出されて、寝巻きがさっと片付けられてしまうのは、何というか背筋が寒い感じになりますが、ハイドナーが嬉しそうなのでそのくらいは付き合ってあげようと思います。


「行ってきまーす。」


 なんだかんだと3組の目が見送ってくれるのは、良いものですね。


 今日も一日頑張りたいと思います。

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