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 第二騎士団ナイザリークに所属の者には、王城図書館への出入りが許可されていると教えてくれたのは、魔法訓練の指導をしてくれる事が多いトイトニー隊長です。


 ドSパワハラ王子ことシルヴェイン第二王子に苛め尽くされて倒れた初訓練から、5回程魔法訓練に参加してますが、相変わらず魔法が使えるようにはなりませんでした。


 魔力がある事は、倒れたあの時にも証明したらしいのですが、魔力を魔法に転換出来ないみたいです。


 実際、元のレイナードがこれまで魔法として使えていたのかどうかは誰にも分からないのだとか。


 騎士団に放り込まれる前も真面目に魔法を勉強していた様子もなく、騎士団に入ってからも訓練はオールでサボっているので、まあ恐らく使えなかったんだろうなという結論をトイトニー隊長は出してたみたいです。


 という訳で、実地訓練で成果が出ないので、理論から入ってみようという事で、図書館に行く事になりました。


 で、こういう時は、さっとケインズさんが付き合ってくれたりするんですね。


 隊長さん達も丁度良いからってケインズさんにレイナードの事は丸投げ感があるので、責任感強くてお人好し要素のあるケインズさんは断れないこともあるんでしょうね。


 本当、ご苦労様です。


 このご恩は、まともな騎士団の人材に育つことでお返ししますね。


 王城図書館は王城内の表宮の方にあるんですが、王城に出入りしている官吏や上級使用人、女官や侍従、そして王城勤務の騎士などもその使用を許されているそうです。


 その中でも、第二騎士団ナイザリークは、魔法を使える騎士や見習いが多いので、その所属者は身分や位階に関わらず許可されているという背景があるらしく、身分証代わりの金属製バッジを着けて向かいました。


 重厚な扉を開けて踏み込んだ図書館内は、独特な紙とインクと微かなカビ臭いような匂いが漂ってきます。


 図書館の匂いは古今東西共通するものがあるようです。


 一時期通い詰めた懐かしの図書館の事が頭を掠めましたね。


 ざっと中を見渡してみますが、圧巻の広さと蔵書数です。


 印刷技術も発展してなさそうなこの時代に、これだけの手書きの書物が集められているのは、流石は王様管轄の図書館ということなのでしょう。


 入り口から数段階段で下がった一階には、降り立ったら見通しがつかなくなる程の書架が並び、ぎっしりと蔵書が詰まっています。


 そこから外縁に2階へ登る階段があり、2階以上は壁沿いに書架がぐるりと囲むように並ぶ構造のようです。


 ざっと数えると、4階まで壁が本で埋まっているようです。


 それとは別に、1階奥の扉の向こうに特別入館許可が要る禁書庫があるらしいと教えてくれたケインズさんと共に、1階に降りて行きます。


 1階に降りてすぐ右手の貸出し受付の場所を確認してから、魔法関連の書物が集められた一角に案内してくれます。


 ところで、お喋りはこれまで全く問題なく交わせた訳ですが、読み書きは?


 ということで、目を凝らしてみた書物表紙には、やはり見覚えのないミミズののたくったような文字が、見えていましたが、直ぐに変換が掛かって読める言語に置き換わります。


 では、元のミミズをみたいと念じてみると、重なるように薄らと浮かび上がるようです。


 これは、言語の勉強はしっかりしておいた方が良いかもしれません。


 何でも変換してくれるチートはお得ですが、本来読めてはならないものを普通に読めちゃったりして、後で問題になるのも怖いです。


「魔法の基礎、魔力を魔法として使うには、とかこの辺りから見てみるか? それともいっそ、初級魔法の使い方とか、数は少ないけど初級魔法の呪文集とかか?」


 ここの魔法使い達は、初級魔法程度ならば呪文無しで実地訓練で発動調整制御をするものなのだそうだ。


 魔法に呪文を必要とするのは中級以上で、主に魔法制御を目的として、発動させた魔法の安定と暴走を防ぐ為に使っておく方が安全、という意味合いで唱えるらしい。


 決して、決め台詞的に格好を付ける為にあるものではないというのは、ちょっと残念かもしれない。


 つまり、しばらくはレイナードが格好良く呪文を唱えて魔法行使という状況にはなりそうにないようだ。


「それじゃ、片っ端からサラッと見てみますね〜。」


 軽く声を掛けてから、手近な椅子に座って読書開始です。


 読み書きの勉強は、書くものも要るし、明らかに不審なので、ケインズさんが居ない時にこそっとやったほうが良さそうです。


 チート翻訳機能はかなり便利なようで、恐らくちょっと小難しい表現で書かれている筈の書物もサクサク読めてしまいます。


 魔法の入門書的な本は、サラッと斜め読みでと思ってましたが、かなりの速度で追って行けるので、驚異的な早さで読破してしまいました。


 これは、速読のチートでも貰ってますかね。


 隣で違う呪文集とかを苦労して読んでる様子だったケインズさんが、途中からこれまた引き気味な顔でこっちを見てました。


 これ人前でやり過ぎると、嫌味に見えて、やっかみの対象になるかもしれませんね。


 ケインズさんはともかく、他の人の前では控えた方が良さそうです。


 小一時間程で5冊くらいを読破してしまったので、本日は終了という事にしました。


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