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 空が夕暮れの色になって来た頃、本日の王城警護任務は終了のようです。


 ケインズさんと騎士団の本部に帰って行く道すがら、また微妙に嫌そうな顔でケインズさんが話し掛けてきました。


「この後の訓練、お前も参加だからな。」


 その表情が硬くなっているのは、何故でしょうか。


「ああ、はい。」


 こちらもキョトンとしながらお返事です。


「強制参加だからな。」


 再度強調されますが、本当に何なんでしょうか。


「もしかして、嫌がってました?」


 余り過去のダメ男くん情報を聞きたいわけではないが、朝のサボるなより強い口調なのが気になります。


「・・・ああ。お前の場合、絶対参加義務があるのに。のらりくらりと・・・」


 ケインズさん、声のトーンとお顔の暗さが酷いです。


「ええと、ということは、参加義務のない人もいるってことですか?」


 逆から攻めてみると、ケインズさんの眦がくいっと上がりました。


「お前にない訳ないだろ! そのお陰でウチに放り込まれてるんだからな! 迷惑掛けてる自覚持てよ!」


 ああ、何か攻めるとこ間違えたみたいです。


 ダメ男くん、ケインズさんの何の地雷を踏みまくってるんでしょうか。


「ええと、何か済みません。ちゃんと参加しますね〜。」


 ここは、照れ笑いで誤魔化してみますが、ケインズさんの下がった温度が全然上がって来ませんね。


 恨めしそうな一瞥をくれてから、歩く速度が上がりました。


 必死で足を動かしてついていきます。


 コンパス長くなって、そこは良かったです。


 脚長くてイケメンとか、ホントこの人宝の持ち腐れですよね。


 不機嫌全開になってしまったケインズさんを追い掛けていると、騎士団の建屋が見えて来たところで、横脇道から出て来た人とぶつかっちゃいました。


 早歩きだったので、避けられませんでした。


 その拍子にバラバラバラっと、何か地面にぶちまけちゃったようです。


 尻もちを突いて座り込む女の子が目に入りました。


「あ、ごめんね。」


 取り敢えず謝って、手を貸すことにします。


 相手が女の子では、体格差で吹っ飛ばしたようなものですね。


 怪我がないと良いんですが。


 と、差し出した手の先で、女の子が口元を押さえて震えてます。


 明らかに青い顔になってるのは、何処か大怪我でもしたんでしょうか。


「大丈夫? 何処か痛めた?」


 側に屈んで聞いてみますが、余計に顔色を悪くしてる気がします。


「おい! 何してる!」


 後ろからケインズさんの声が掛かって、戻って来るようです。


「角でぶつかって、この子何処か痛めてるのかも。顔色悪いのに何も言わないんですよ。」


 困ってそう説明してみると、ケインズさんの溜息が直ぐ後ろから掛かった。


「良いからどけ。」


 言われて場所を譲ることにしました。


 その間にぶちまけたジャガイモらしきものを拾っとくことにします。


 大元の芋が入ってた袋は、ぶつかった弾みで飛んで破れてしまってますね。


 拾い集めて入れてみましたが、袋を持ち上げるとまた落ちて転がっていきそうです。


 振り返った先で、女の子がケインズさんに助け起されてますが、取り敢えず怪我は無さそうですね。


 顔色も良くなっていて、さっきの様子には首を傾げるしかないですが、問題は芋の袋ですかね。


「これは、何処まで持ってくの?」


 女の子に聞いてみると、また強張った顔を向けられました。


 答えが返ってこないので取り敢えず大元の袋を抱え上げて、無駄に広い上半身で落っこちそうな芋を堰き止めつつバランスを取ると、取り敢えず落とさずに運べそうです。


「よし。じゃ案内して。これなら落とさず行けそうだから。あ、悪いけどこの袋はもうダメだから、次は新しいの用意してね。」


 そこまで声を掛けるが、こちらを見ている2人が何故か動きを止めて固まってます。


 いや、バランス崩す前に勢いで持って行っちゃいたいんですけど。


「お、恐れ多いです!」


 女の子が叫ぶように言って涙目でこちらに駆け寄って来ます。


「は?」


 聞き返して目をパチパチしていると、ケインズさんが咳払いした。


「ああ、君。運ばせて良いから、案内してやってくれ。」


「えええ? 無理です無理です! あのレイナード様ですよ?」


 ええと、どのレイナードでしょう、ってダメ男、ここでもお前は何かやらかしてるのか?


「ああ、あのレイナードでもどのレイナードでも、もう使って良いから。」


 ケインズさんが遠い目になってます。


 ウチのレイナードが、いつもお世話掛けてます。


 ケインズさん、見捨てないで下さいね。

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