表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
10/16

第十話


その後、彼女とは何となく徐々に緩やかに疎遠になっていった。どちらともなくというよりは明らかに確実に彼女から距離を置き始めたと感じられた。そしてそれはあの日を境にしてのことと思われた。


それから僕は一人でいくつかのアパートを内件して回り今住んでいる物件に落ち着いた。

結局は大学からも駅からも繁華街からも離れた場所になった。それでいいと思った。一人で住むならそれでいい。寧ろそれがいい。静かで静かで静かなのがいい。


そこで出会ったのが珠美さんだった。

デパートで買った菓子折を左手に提げ

「今度、隣に越してきました。宜しくお願いします。」


と定型文宜しく挨拶を告げると

「きゃー。うっそ。これずっと食べたかったの。でもすごい並ぶのよね。あそこ。そんな並んでる暇あったらあれもやらなきゃだし、これもやらなきゃだし、でも売れてるってことはそれだけ有限な時間を捧げ費やす価値があるってことじゃない。その本質を私はまだ見定められてないから並ぶことは出来ないのだけど頂けるというのなら今日こそ見極めることができるわね。今後の行動指標に繋がってくるわ。心からありがたいと思うわ。」


びん底眼鏡。赤と橙の格子の半纏。わしゃっとした髪をお団子に結い上げて、というより邪魔にならないように上空に寄せている、というのがしっくりくる見事なまでに独特の空気を纏ったお隣さんとの最初の出会いだった。






評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ