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85 魔物狩り演習2日目3

(略しすぎています)

「ふぃ~。生きてる~」


 サリア、リナとシルフィアの3人対自分の模擬戦を森の中で行ってきたけど、予想してた通りに確殺コンボ祭りだった。特にリナとシルフィアは積極的にコンボを決めてきたし、普通の人ならこれ死んだなというタイミングがめっちゃあったな。うん。

 確殺コンボのためにリナやシルフィアは火力な魔法や技を乱発して暴れ回ったりしていた。その時に出た轟音で気になったのか、学園側の先生方が様子を見に来たりもした。それも重装備で。自分がエリート級魔物か何かと勘違いしたのか、サリアたちに向かって「助けに来ました」なんて言うからどうしようかと思ったりしたよね。自分は確殺コンボから逃れていただけなのになぁ...。サリアたちによる事情説明や自分が学園の生徒ですよ等々により、先生方の誤解が解けたので事なきを得たからよかったよほんと。

 それほどに激しい確殺コンボの嵐が自分に向けられていたのだが、身体強化魔法を使っても回避できないような物もあったりした。なので、自分の能力の1つであるエネルギー変換による移動を身体強化魔法と併用しながら回避していた。自身の能力を使うとなぜか自身の瞳が青色から赤色へ変わる「開眼」が起こるのだが、その寸前とまでは行かないものの、それを意識するまでには自身の能力を使うこととなった。魔力の残量を気にすることの無くなったリナとシルフィアが如何に恐ろしいかと言うことが身に染みたぞ。


 開眼すると何かと面倒になるため、クールダウンをしにサリアたちと解散して再び森の中へとやってきた。サリアたちには「今日の戦績の報告とかしてくる感じで遅くなるかも」と言って別れてきているので、30分くらい帰らなくても問題はないはずだ。サリアから、あれ?既に戦績報告してきたんじゃ?的な視線を受けたりした気がするのだが...。まあ、気のせいということで、十分なクールダウンが可能な時間を確保することができた。なぜクールダウンが必要かって?そりゃ昨日の大浴場前の出来事を思い出してほしい。全力で逃げるためさ。


 ただ森の中を歩くのもつまらない。というのもあるが気になることがあるので、今日の魔物狩り演習の時に感じていた、魔力反応が返ってこない場所へと向かっている。違和感のある場所は複数箇所あったが、時間的に宿舎に最も近いものを目的地にしている。とはいっても1kmくらい離れているので30分くらいかかるだろう。時間的にも丁度いい感じだ。

 ただ、森の中に入る前に魔力を薄く飛ばして能動探知を行った際には演習中に感じていた違和感のある場所は消失していた。置かれていたものが何者かによって回収されたのだろう。そのため、今は演習中に探知した時の記憶を頼りに向かっている。

 その場所に置かれているものについてある程度予想が立っているが、予想通りだとすると今後起こりそうなことで頭が痛くなること間違いなしだ。これじゃ素晴らしい睡眠を得ることができなくて、気絶でしか眠れなくなりそう。そう言うことで、自分の予想が外れていることを確かめるために向かっているのだ。決して頭が痛気持ちいいいいいとかいう、頭のネジが飛んだ特殊な人種ではない。そんな人っているのか...?。自分で言っておきながら謎に思えてきたぞ。


「それなりに近づいてきたはいいけど、やっぱり魔物いないなぁ」


 いかにも魔物が大量にいそうな暗い森の中を歩いているが演習中にも感じた通り、魔物の気配も姿もない。素晴らしく静かな森の中を歩き続けている。魔素も漂っていないので新たに魔物が発生することもない。「子供連れでも超絶安心、さあピクニックに行こう」なんてツアーが計画されていてもおかしくないほどに危ないことが起こらない感じだ。そんな感じなので、気を抜いて歩いている。もはや散歩感覚だ。そう言うこともあり、頭を使う広範囲探知系は使わず、自分のまわり10mくらいを受動探知するエコモードで周囲を警戒している。たまには森の中を呑気に歩くのもいいものだ。


「気にしてもできることないし考えることやめてぼーっとしてよ」


 そうしていると、いろんな音が耳に入る。風で木の葉が擦れる音が聞こえてくるのはもちろん、自分の靴で木の枝を踏み割る音、前に進むたびに交代する手足で衣服が擦れる音、前に進んで受けた風で銀髪がたなびく音など自分が出す音も聞こえてくる。それらの音は森の中が静かだからか知らないけど、やけに鮮明に聞こえてくるな。まあ、考えに集中していない分が耳から聞こえてくる音の認識に割かれているだけなんだろうな。あれ?これぼーっとしてないのでは?

_______________________

 脳内会話を繰り広げながら歩いていると、いつの間にか目的地に着いた。周囲には普通の草木が生い茂っているが、ここまでの道中に比べて少し元気がない。さらに、その元気がない草木がある領域の中央には、下草が何か重いもので踏み潰されていた形跡があった。おそらく、そこにあった重いもののおかげで魔力が返ってこなかったようだ。とすると...。


「嫌な方向にビンゴしちゃったなぁ...これは頭痛になること間違いなし...」


 色々分かったことがあるので、その場で考えることにする。


 自宅周辺で確認できたものというと言い過ぎだが、状況から推察できることをベースに考える。魔物が大量発生した翌日にわかったことだが、自宅のある森の中には周囲の魔素を吸収・放出する装置が置いてあったと思われる。装置によって周辺の魔素が低下して周辺の草木は枯れ、魔物は一切発生しない環境になった。その状況は今自分が体感している状況とおおよそ一致しているので、置かれていたものが同一である可能性が十分に高い。

 この装置が置かれている場所だけ魔力の反応が無かったのは、その装置が魔力を吸収したかその装置が持つ膨大な魔素を隠すための魔法が起動していたためだろう。自宅にいながら気づかなかったのも、これが原因だったんじゃないかな。

 そんな特殊な機能とステルス性を備えた装置を使う集団は多くないだろう。なので、今回の事件を引き起こしている集団は先日の自宅周辺魔物大発生祭を引き起こしてくれた闇魔法を扱う集団と同一視することができる。となるとだ。吸収した魔素で何が起こるか容易に想像がつくだろう。そう、魔物に関する事件が起きる。あーやだやだ。


 これまでの流れはこうだ。まず、安全な街の壁の内側にある学園で魔物騒動が起きる。出現した魔物は討伐されるも、ドロップした魔石は謎の刺客によって強奪される。そして、街を囲む壁の内側だが郊外にある農村地帯で魔物の大発生があった。この件は自宅周辺で起こったやつだな。そして今、街の外で魔物の減少が確認されて置かれていた装置も同一視することができた。なので、この流れからして少なくとも魔物発生に関することが起こると見て間違いないだろう。

 

 今思えば、街の外で魔物を見かけなくなったのも、この件に絡んでいるんじゃないのだろうか。

 最近ギルド長のキースさんに見せてもらった街の外での依頼報告書の魔物討伐欄に記載されている数が少なかった。それに、この演習に来る前にサリアと森の中に演習にきたが、魔物の数が気持ち少なかった。その時に、謎に連携が取れたスニークスキルをお持ちの魔物が森の奥へ活かせまいと追い立ててきたこともあったな。多分、魔物を操る闇魔法を使っている人がいたんだろう。このように、街の外で起きている広範囲の魔物減少が1週間を超えて起きている事実や、その事実に辿り着かないように魔物を使って森から追い出す動きがあった。そこから察するに、街の外では魔物発生に関わる想像以上に大規模な事態が進行していることになる。激おこぷんぷん丸という個人レベルの話じゃなくて、大噴火レジェンドサイクロンフレアとかいう災害級の話にまで発展する感じだ。やばいこと間違いなし。


 とするとだ。街中で起こった魔物騒ぎは街の外で進行している事態に気づかせないようにするためなんじゃないだろうか。街中で魔物が発生するかもしれないとなれば、街の外に回っていた人を街の中での警備に回すことになる。闇魔法を扱う集団にとっては街中で動きづらくなるが、代わりに街の外では動きやすくなる上に気づかれにくくなる。よくもまぁ計画を練っていることで。自分はてっきり街中で何かが起こるのだと思っていたぞ。こんな計画をしているあたり、闇魔法を扱う集団は街の外で魔物に関する事態を引き起こしたいようだ。

 一体何を引き起こそうというんだ?魔物の大発生で街を襲撃?激つよ魔物生み出して森の番人にするとか?もしくはその両方とかかな?


 それに、今回の魔物狩り演習では自分たちが向かう方面の魔物が少なくなるとかいう、誰にでも魔物が少ないと分かる事件が起きた。この事件が隠し通す感じの計画に沿っていないあたり、この事件を起こした人物は闇魔法を扱う集団の関係者だが、違う思惑で起きた事件なんだろう。それが何なのかは分かりかねるが...。


「うぇぇぇ、色々想像したらなんか寒気してきた」


 そう呟いた時、突如背後から声が聞こえた。

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