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79 魔物狩り演習1日目4

(略しすぎています)

 疑心暗鬼になっているサリアたちは自分がゴールドランクのギルドメンバーであり、このパーティーのインストラクターであることを信じてくれそうにない。なので、事情を知っているモリスさんに助けを求めることにした。エルバ先生も選択肢の1つであったが、学園の先生であ自分がそもそもギルドに所属している事を知らなさそうなのでやめておいた。魔物狩り演習の説明をやっていたとはいえ、個々の事情については明るくなさそうだしな。


 色々考えまくっているサリアたちを説得して共にモリスさんを探すと、宿舎の入り口に入って行こうとしているのを見かけた。1人だったのでパーティーへの説明はもう済ませたのだろう。手際がいいな?というか、自分たちが時間をかけすぎているだけか。おっと、色々考えていると見失ってしまうな。

 サリアたちよりも先行してモリスさんの元へと駆けて行き、声をかけた。


「モリスさん、先ほどぶりです」

「おお、てんs...カオリちゃんじゃねぇか。どうしたよ」

「無事パーティーに合流したのはいいんですが、自分がパーティーを担当すると信じてくれなくて困っているんです。何かモリスさんから一言助言をもらえないかと」

「それくらいならお安いご用よ。見たところパーティーにサリアちゃんがいるから説明してもらえそうな感じもあるが...。助けを求めたってことはそう言うことなんだろうな」


 パーティーメンバーと求められたことから瞬時に状況を把握している。ゴールドランクの状況把握能力は伊達じゃないな。


「なんとなく状況はわかった。とりあえず説明してみるわ」


 後から来ているサリア、リナ、シルフィアたちに向かって歩いていく姿がどことなく頼もしく感じる。見た目は普通のおっちゃんなのに。そう感じながらテテテとひと足先に歩き始めたモリスさんの横に並んでやってくるサリアたちの元へと向かう。


 モリスさんを隣に連れて歩いてくる自分を見たリナは驚いた表情をした。どうやらモリスさんを間近に見れた事に驚いているんだろう。サリアも同様の感じだったが、多分自分とモリスさんが知り合いだったことに驚いている感じだろうか?まあ、サリアの前ではモリスさんと会話している場面って少なかったからなぁ。シルフィアはあまりピンときていない様子だ。隣にいるおっちゃんが誰かわかっていないのだろう。そんな三者三様の反応を確認していると程よい距離感になったのでサリアたちに声をかけた。


「こちらギルド所属のゴールドランクのモリスさんです」

「どうも、カオリちゃんに説明されたモリスだ。嬢ちゃんたち、よろしくな」


 そんなモリスさんの自己紹介にリナとシルフィアは大きく驚きた。まあ、しょうがないわな。


「「え、えええええ!?よろしくお願いします!」」

「モリスさんこんにちは」

「ああ、よろしく!サリアちゃんは元気そうだな。調子はどうだ?」

「とてもいいですよ。今日なら魔物20匹はいけそうです」

「そいつは上々だな。こりゃ俺も負けていられねぇな。っと、いけねぇ話がそれまくるところだった。カオリちゃんのギルドランクの話だが、ゴールドランクってのは本当だぞ」

「「「......え?」」」

「わかるぞー、その反応。ついさっき、俺も同じだったからな」

「「「ええええええ??本当だったのカオリちゃん??」」」


 本当にこの3人仲がいいな一言一句違わずにハモったぞ。感動的だ。だが、一際驚いているのはサリアだ。サリアはギルドに所属して活動しているのでゴールドランクになることが容易ではないことを知っているだけに驚いているのだろう。


「ね?皆、言った通りでしょ?」

「と言うことは、さっきのギルド証は本物だったってことだよね?」

「そう、サリアの言う通り正真正銘本物だよ」

「「「ええぇ...信じられない」」です」


 サリアたちは自分がゴールドランクである事が衝撃的すぎて、ポカンとしている。それをみる限り、まだ飲み込めていないようだ。そんなサリアたちの姿を見たモリスさんは呟くように自分に問いかけた。


「既にギルド証見せてこの反応ってのはよっぽどだぞ。これまで、嬢ちゃんたちにどんな説明してたんだ?」

「ギルドに所属してて魔物狩っているくらいですかね?」

「その説明だとまぁ、こうなるか。無理もねぇな」


 なんかモリスさんが納得したんだけど...。納得するのに思い当たる節があるかといえば...魔物の群れを凌いだり、オーガ狩ったりとかは言って...ないな。うん。自分の口ぶりだと、そこら辺にいる魔物を狩りましたって感じだ。その情報からは軽く魔物を狩っているブロンズランクの人とそう変わりないし、しゃあなしか。サリアたちが疑いの眼差しを向けまくっていたことが自分の行動の結果である事が分かって少しスッキリしたぞ。

 とはいえ、面倒ごと回避のために自分がゴールドランクである事を隠している自分にとって、自身のランクを公開していくのは不都合がある。だってよくよく考えてみてほしい。ものの2ヶ月の間にブロンズランクからゴールドランクまで昇格。さらに、魔力属性は無属性で魔法が使えないとされている。さらにさらに、人前に姿を滅多に表さないとされているスノウエルフだ。しかも、表立っては記憶喪失の人になっている。こんな普通の人から外れている逸般人である自分は目につきやすく、面倒事に巻き込まれる事待ったなしだ。

 だが、自身の身分を明かさなければいけない場面が今後もあるだろう。その時にできるだけ自身のランクが広まらないような手段を考えないといけないな。それに一度自分から離れた情報はコントロールする事ができないから、その対策も考えないといけないか。うぬぬ...また面倒ごとが増えた気がするぞ?いっそのこと何かあったら山を吹き飛ばしてやるぞと脅しをかけてやるとかいう実力行使系はどうだ?楽そうだけど、なんか魔王扱いされそう...。これはこれで面倒か。

 何はともあれ、無事自分がゴールドランクのギルドメンバーであり、リリーガーデンを担当するインストラクターであることを示す事ができた。これでやっと魔物狩り演習を進めることができるな。演習時間をピクニックにする気満々だけどね。

_____________________

 ギルドランクの証明に協力してくれたモリスさんに感謝を伝えて別れた後、移動してグラウンドの端の方に来た。演習に関する話だけなら宿舎の脇でもできたのだろうが、自分の話もするかもしれないということで人気のないところにやってきたのだ。周囲に人の気配は無いし、よほどの事がない限り聞かれることもないだろう。


「色々聞きたいこともあると思うけど、まずは今回の演習をどう進めるか決めよう」


 とは言ったものの、サリアたちの反応が少しよそよそしいと言うか、今までよりも距離感を感じる。ギリギリまで隠した事が拙かったりしたのだろうか。選択がミスったと言うわけではないのだろうが、ちょっと寂しいぞ。とはいえ、この微妙な距離感どうするかな?


「そ、そうだね~です」

「そ...そうしましょう~」

「リナとシルフィアから距離を感じるんだけど?サリアはそんな事ないよね?」

「そうですよ?リナちゃんとシルフィアちゃん、カオリちゃんさんのおっしゃる通り固いんじゃない?」

「ちょ、サリアまで?」

「ごめん、なんか不安げにオロオロしてるカオリちゃんを見てたら、からかいたくなってきちゃった」


 そう言ったサリアはウィンクしながら舌を少し出して謝る。ごめん、てへぺろって言外に伝えてくる。それを見て冗談だったことがわかって安心する。全く、素晴らしいタイミングでからかってくれたので疑うことなく引っかかったぞ。今度機会があったらやり返してやろうかな?でも、サリアのてへぺろは可愛かったから許す!


「冗談でよかったよ。ふぃ~、なんか変な汗かいたかも」

「リナちゃん、シルフィアちゃんもいつも通りの方がやりやすいみたいだし、そうしてあげてね」

「サリアの言う通りにしてくれると助かるかな」

「わかった!」

「そうします...!」

「カオリちゃんがすごい人だって分かったけど、今まで通りでいいのかなって思っちゃって困ったよ」

「(コクコク)」

「そうだったんだ。でも、寂しかったからこれまで通りでね?ね?」

「「「(なんかちょっと可愛い)」」」

「ねぇ、聞いてる?」

「「「聞いてるよ~」」」


 ...からかわれてる感半端ないけど、これまで通りにやっていけそうな感じがする。サリアたちがからかう味を占めてそうなので、このノリが少し続きそうな気がするけど微妙な距離感よりかはずっといい。そう思うのであった。

 と、いい感じで纏まっている感じを出してみたけど、まだ決めなきゃいけないこと決めてなかったな。


「それじゃ、改めて。リリーガーデンのインストラクターを務める、ギルド所属のゴールドランクのカオリです。みんなよろしくね」

「「「よろしく~」」」

「それじゃ、最初にこの演習でのパーティーの活動方針を決めようか」

「はい!それじゃ私は魔物10体討伐することを目標にしたいかな!」

「私は...パーティーの連携はもちろんですが、1人でも魔物を狩れるように強くなることですね」

「私はシルフィアちゃんと一緒かな」


 リナ、シルフィア、サリアの順に答えてくれたが、無理はない感じの目標で安心した。1日3体の魔物を狩るくらいならば、戦い慣れているサリアがいるしパーティーの連携もそこそこあるので造作もないだろう。これはピクニック感覚でいけそうだな。Yattaze...!


「それで、カオリちゃんは?」

「自分も?」

「リリーガーデンの活動方針ですから」

「当然だよね!」


 そう言われてみればそうか。今回の演習ではパーティーを指導する立場だが、自分もパーティーメンバーの一員だ。だが、サリアたちの指導をすることを任されたので、それしか考えてなかった。

 いや考えてはいたのだが、ピクニックとかいう今の雰囲気からすると超絶場違い感半端ないものなので、考えてないのも同然だ。さて、どうするか。とりあえず、当たり障りのない感じのことを言うことにするか。


「みんな怪我なく演習の課題を完了することかな」


「「「ごもっとも」」」

「それじゃ、パーティーの活動方針をまとめるね。演習で狩る魔物の数は10体程度を目標に、魔物の討伐を通じてパーティー並びに個人の戦闘技術の向上を目指す感じで。そして、何事も怪我をしないよう無理をしないこと!」

「「「異議なーし!」」」

「それじゃ、そんな感じで行こう!」

「「「さんせ~い」」」

「それじゃ、まずは森の中での戦闘に慣れるために森の中を散策しよう。魔物狩りの用意をして30分後にここに集合ね」

「「「了解!!」」」

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