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76 魔物狩り演習1日目1

(略しすぎています)

 どうも、大型バスの魔動車に乗って森の中を進んでいる銀髪ロリエルフになった者です。疲れることもなく遠くの地に来れることに感動しています。文明の利器万々歳です。さいこ―です。


 1年生の学園カリキュラムの一環として2泊3日の魔物狩り演習が今日から始まる。そのため、クラス単位でバスに乗り、街から北にバスで1時間くらい離れた森の中にある大きな施設まで向かっている。この施設の周囲には魔物対策の大きな結界が張られており、その中には大きなグラウンドやシンプルな外見の宿泊所があるらしい。いかにも研修施設チックなところだそうだ。


 そんな普段行かない場所でのイベントに皆は浮足立っている。当然、その中にはサリア、リナやシルフィアも含まれており、バスの中では魔物狩り演習や施設の話で盛り上がっていた。


「それでね、先輩によると自由に行動できたパーティーとそうでなかったパーティーがあったみたい」

「堅苦しいのは遠慮したいですね...せっかくですし思うようにやってみたいです」

「そうだよね~。自由にできなかった理由は何か聞いてる?やっぱり魔物が危ないからって?」

「そうそう、毎年大きな怪我をする人がいるからって」


 このこれから行うイベントについてあーだこーだ言っている感じ、転生する前の遠足や修学旅行の道中を彷彿とさせるなぁ。しかも今回はお泊もある演習だから実質修学旅行だな。夜になると枕投げとかしそうだ。というか、この世界に元居た世界の文化である枕投げをする習慣があるのだろうか。異世界文化、気になります。そんな風に時折思いながら、リスのようにお菓子をついばみながらサリアたちの会話に時折参加したりしていた。バスの中での飲食が許されているからセーフセーフ。貴族たちがいっぱいいそうなA組とかだと今頃バスの中で紅茶立ててそうだし可愛いものよ。


 それはそうと、これは食堂に売ってたミニカヌレ。6個しかないけど、見るからにおいしそう~。朝からこんなスイーツを食べるなんてお腹大丈夫なのかと思うかもしれないが、今日はお腹が空いているので問題ない!え?なんで朝なのにお腹空いてるかって?荷物のパッキングができてなくて朝食を食べる暇がなかったなんてことはないヨ。ホントダヨ?あ~ソトノケシキガ、キレイデスネ~ソウデスネ~。モリデスネ~。


「カオリちゃん、カヌレ貰うね」

「いただき!」

「もらいますね」

「え?あ~~!自分の分が無くなってる!」

「「「おいしい~」」」

「ちょっ!?1個くらい残してもいいんじゃない?」

「目の前に」

「おいしそうなものがあると」

「食べないわけには」

「「「いかないでしょ!」」」

「分かるけど、せめて1個は残しておいてよねええええ!」


 皆にポカポカと軽く叩きながら抗議しておいた。

 目を離した隙にの間に無くなっていたカヌレ...。スイーツを目の前にした乙女の反応速度、恐るべし。

_______________________


 施設に到着して宿泊所のパーティー割り当てられた部屋に荷物を置いた後、サリアたちと別れて宿泊所の会議室にやってきた。そこでは、学園側から魔物狩り演習のインストラクターに向けて連絡があるらしい。そう言うこともあり、魔物狩り演習のインストラクターを行う学園の先生や衛兵そしてギルドの人たちが約100名程度集まっている。


 自分が学園の生徒でありながら何故ここにいるかというと、ギルドからの依頼でほぼ強制的に演習のインストラクターをする事になったからだ。サリアたちとのんびりピクニック気分で魔物狩り演習できそうだなガハハとか思っていたのにな...。どうしてこうなった(白目)。

 部屋の隅で虚空を眺めていたら、聞き覚えのある声が掛けられた。


「てんs...、カオリちゃんじゃねぇか。確か、学園の生徒だろ?こんなところでどうしたよ?」

「あ、モリスさん、どうも。実はギルドからの依頼が断れなくてここにいるんです」

「そりゃ、残念だな。切り替えて学生のお守をするしかねぇな。まあ、お互い頑張っていこうや?って、ちょい待てよ?」

「どうしました?」

「いや、だってよ。この依頼条件がシルバー以上のはずなんだが、カオリちゃんはギルドカード作って間もねぇからブロンズだろ?だから不思議に思ってよ」


 当然の疑問だ。だって、ブロンズランクからいきなりゴールドランクに上がったことは自分でも驚いているからな。しかも、2カ月足らずの短期間でだ。なので、言いふらしたりしたら根も葉もない噂が広がって面倒ごとになる事間違いなしと思って、自分からは何も言わないように努めてきた。だが、学園側のインストラクターリストに自分が載っている以上、その気になれば分かる話なのですることにする。それに、モリスさんなら大丈夫だろう。


「無理もないです。ここだけの話ですよ。実は、色々あってゴールドランクなんです」

「おい嘘だろ!?いや、まぁカオリちゃんがやってきたことを思い返すとその域に達していてもおかしくはないと思っていたが、まさかゴールドになっているとはな。キースの奴もやりやがったな」

「そういう反応になると思ってました。くれぐれもここだけの話でお願いしますね」

「ああ、わかった。ランクを知られちゃ面倒事増えるからな。他の奴には黙っておくぜ」

「そうしてくれると助かります」

「となると、俺と同じゴールドランクか。こんな可愛い子に肩を並べられちゃ、俺ものんびりしていられねぇな」

「期待していますよ、モリス先輩」

「おいおい、冗談でもやめてくれよ。そんなこと言われたら張り切ってしまうだろうが」


 おお、モリスさんそっぽ向いてめっちゃ照れてる。なんかこんな反応があるとからかってみたくなるな。


 そんなことを考えていた時、会議室に全体に話を始めるとのアナウンスが響き渡った。それと共に雑談をしていたインストラクターたちは雑談を止めて話を聞く体制に移行する。自分とモリスさんも同様に会話を止めて、会議室の前方にやってきた学園側の担当者からの話を聞くことにした。

______________________

 内容をまとめるとインストラクターの目的、演習内容とその評価方法、注意事項についての連絡だった。


 インストラクターの目的は、割り当てられたパーティーの指導と手に負えない魔物からの護衛だ。


 演習内容とその評価方法は、森の中を探索して出会った魔物を討伐するという簡単のなもので、持ち帰った魔石と負傷人数を元に評価するとのことだ。負傷人数が評価に含まれているのはどうしてかと思ったが、どうも毎年魔物の討伐数を稼ぐために無理をするパーティーが居るからだそうだ。そう言ったパーティーは大けがを負う傾向にあるので、戦えなくなっては元も子もないよねということで減点対象とのことだ。


 注意事項はパーティーに無理をさせない点や、引き際をちゃんと指導する事など安全面に重点を置かれたものになっていた。加えて、パーティーの成績が良くても依頼報酬は変わらない点が繰り返され、インストラクターが学生パーティー同士の競争に参画しないようにと釘を刺していた。


 連絡事項については以上ですべてだったが、最後にとインストラクター1人ずつにペン型のMSDが配布された。

 大量の魔物や強い魔物に遭遇したとき、負傷者救護などの応援が欲しい場合に使用するそうだ。前者の場合はボタン1を押すと赤い光が、後者の場合はボタン2を押すと緑の光が空に打ち出す魔法が組み込まれているとのことだ。魔力エーテルを使用しているので誰でも使えるようになっており、属性魔法が利用できない(としている)自分としてもありがたい機能だ。


 学園側からの話は以上の内容で終わり、解散してよいとの旨が告げられた。自分とモリスさんは偶然会ったんだしということで、その場に残って少し雑談をすることにした。


「しっかし、こんなものまで用意するってのは言ってた通り毎年何かしらの事件が起こるからなのかねぇ」

「それもあると思いますが、やっぱり最近学園で魔物騒ぎがあったのが大きいんじゃないでしょうか。ほら、魔物への対策をしっかりしてねとか言われてそうですし」

「確かに学園には留学生も多くて他国の要人も居るらしいし、外交的に対応しないわけにはいかなかったんだろう。なんにせよ、こいつを使わないことに越したこたぁねぇわな」

「そうですね。それに、ここら辺の森じゃ低級の魔物しか出ないって言いますし、これを使う事にはならないでしょうね」

「違いねぇ。これを使う時が来たら俺は引退だな、ガハハ」


 そんな風にモリスさんと冗談を交えながら雑談をして解散となった。

 後から思い返すとその雑談内容が、少しフラグの様な気がしなくもないが...。気にしてもどうにもならないので、サリアたちがいる部屋に戻ることにした。

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