68 ギルドからの依頼
(略しすぎています)
どうも、土曜日の朝ですが魔石入りのリュックを背負ってギルドに向かって歩いている銀髪ロリエルフになった者です。今日は空は快晴の上に涼しい風が吹いていて、とても過ごしやすい気候です。なので、森の中で寝るのもいいなとか思っています。あ、でも風で髪が絡まるので少し鬱陶しいかも?
そんな絶賛天気が良よくて休むために存在するような日にわざわざギルドに向かうのは討伐した魔物からドロップした魔石を換金するためだ。
昨日、サリアたちとの買い物が終わったのはは陽が水平線に沈んで周囲が暗闇に包まれたくらいの時間だった。なので、家の周りの森に魔物が発生している頃合いだ。そんな中、家へ帰るために森の中に足を踏み入れた。
森の中はやっぱり魔物が沸いていたのでとても困った。だって買い物したものを両手にぶら下げているわけだし、邪魔な事この上ない。どうするかと考えた結果、魔物がついてこれない程の速さで家に帰ればいいんじゃね?ということに気づき、身体強化魔法とアイスニードルを使って向かってくる魔物を倒しつつ爆速帰宅した。
疲れているし、このまま家でのんびり過ごそうかなとも思ったのだが、倒した魔物からドロップした魔石を放置していると、その魔石を魔物が食べて強くなって厄介なので回収しに戻ることにした。
いや、倒すことは造作もない...と思うのだけど万が一森の中に入ってきた冒険者が強い魔物に倒されたなんてことが広がったりしたら、ギルドから面倒な指令が飛んでくるかもしれない。つい先日森の中に魔物が大量発生したこともあって、ギルドが本格的な調査団を結成する確率もマシマシだ。そうなると家の周りにめっちゃ人がやってきたりして気が休まらないじゃん?もう、回収するしかないじゃん?
ということで、荷物を玄関前に置いた後、倒した魔石を回収しに森の中に戻ると魔石を食べにやってきた魔物が魔石を求めて乱闘していた。この時点でもう面倒なことは分かり切ってはいたが、時間をかけて魔物を倒しつつ魔石を拾うことにした。面倒ごとではあったが魔物の沸き方自体におかしなところは無く、ものの20分もかからないくらいで何とかなった。
そんなこんなで、両手では抱えきれない程の魔石を手に入れた。このまま家の中で放置するのは魔石を求めてやってくる魔物が多くなって困るので、さっさと換金するためにギルドに行こうとなったのだ。
「あ、着いた」
そんな風に昨日あった出来事を回想していると、ギルドの前に到着した。いつものようにギルドのドアを開けてギルドの中に入ってみると、いつもはまばらなのに今日は中々に人が多い。受付前のフロアだけでなく、食堂の方でも駄弁っている人がいてギルド全体が賑やかだ。今日は何かのイベントでもあるのだろうか?
首をかしげつつ魔石自動買い取り機にギルド証をかざして魔石買取手続きを始める。魔石を投入口に入れて魔石の買取査定が出るまで少し時間がかかって暇なので、何について駄弁っているのか聞き耳を立てることにした。
「エントリー済ませて来たけどよ、この依頼めっちゃ倍率高そうだぜ?」
「おめぇ、何も知らねぇのか?この依頼は弱い魔物しか出ない近所の森での護衛任務だぞ?期間は3日間くらいあるが、1人当たり15万ゴールド出るってもんだ」
「マジで?日当5万?羽振り良すぎだろ!」
依頼内容について駄弁っているようだ。かなりの好条件依頼だしエントリーする人が殺到するのも頷ける。だけど、それだけ条件がいいとなると裏があると考えるのが普通だ。一体どこからの依頼だろうか。無いとは思うが、依頼失敗で30万ゴールドくらいとられるんじゃないだろうな?
魔石自動買い取り機から電子音が鳴り、魔石の査定が済んだことを知らせてくる。画面をのぞき込んで金額を確認したところ4万ゴールドくらいだ。かなり一方的な魔物狩りとは言え、魔物退治をやりまくってこの金額なので、如何に好条件かが分かる。感覚的には5000ゴールドあげるから1kmくらい散歩してきてみたいなものだ。うん。どう考えても地雷原歩をかされてるのかと思うほどにはおかしな話だ。となれば、この依頼には関わらないのがいいだろうな。面倒ごとになりそうなことに関わらないに限る!
ギルドでの用事も終わったし帰ろう。そう思い、ギルドの出口に向かって歩いていると、ギルドの受付嬢であるミカさんに呼び止められた。
「あ、カオリちゃんじゃないですか。お久しぶりです。ご降臨なされる時をお待ちしておりました!今日は風が強くて髪が乱れているご様子。ですが、その自然体的なのもまた、等しく尊い」
「ミカさんお久しぶりですね。今日も元気そうでなによりです」
ミカさんのテンションは今日もぶっ飛んでいる上に、心の声駄々洩れだ。会う度毎回こんな感じなのでもう突っ込まないことにする。突っ込んだらその返しで新たに突っ込みポイント設置されるからキリがないんだよね(白目)。
「ありがとうございます!カオリちゃんを見たら元気も出るものです!それでですね、ギルドからカオリちゃんに依頼がありまして少々お時間をいただけたらと思うのですが、大丈夫ですか?」
「大丈夫ですよ」
「それでは、別室に向かいますのでついてきてくださいね」
雑談しながら、ミカさんに案内されてギルド1階の個室へとやってきた。ギルド長の厳かな部屋とは違って普通の部屋といった感じだ。壁には本棚が並び、部屋の中央には資料の置かれたテーブルと、テーブルの両サイドに椅子が置かれている。資料を広げながら事務作業を行う場所として使われていそうな感じだ。
ミカさんと自分が着席したところで、ミカさんが話し始めた。
「本題なのですが、カオリちゃんにはギルドからの依頼を受けていただくのでその説明をします。本来であれば、ギルド長からのお話となるのですが、あいにく不在なので私が努めますね」
「分かりました。それで、どのような依頼なのでしょうか?」
「それは、森の中での護衛と魔物狩りの指導を3日間行っていただくというものです」
「もしかして、それは今ギルドで募っている奴だったりします?」
「カオリちゃんが聞いたもので合っていると思います。ギルドの皆さんもその話でにぎわってます。もうご存じかと思いますが、念のため説明しますね。報酬は15万ゴールドで、依頼失敗条件は護衛対象が重傷よりもひどい状態となった場合です。ただし、異常な状況ではこの条件には当てはまりません」
「ナルホド。かなりいい条件のような気がしますね。異常な状況というのが何なのか気になりますが、例えばどのような状況でしょうか」
「それは、先日発生したような魔物異常発生が該当しますね。森の中での護衛と指導なので一般的に考えられる魔物との遭遇は異常とはみなしません」
「普段から森の中で発生しているような状況から外れると異常とみなす感じですね。わかりました。ところで、かなり羽振りの良い依頼ですが依頼主はどなたでしょうか?」
サリアたちの話では、ギルドから魔物狩りの指導を行う人が募集されているという。時期的にギルド側に依頼が来ていたもおかしくはない。のだが...指導される立場を有しつつも、指導する立場であるという明確な矛盾に周りの人々の脳が破壊されかねない。もし、自分が通っている学園からの依頼だと当然面倒なことになるので、断ろうと思っている。他の学園からならまだ考えてはみるのだが...。さて、どこからの依頼だ?
「そうですね。カオリちゃんが通っている国立第一魔法学園からの依頼になります。学園は国が運営しているので実質は国からの依頼となっています」
おいおいおい。学園からの依頼じゃん。超絶面倒くさいこと間違いなしじゃん。これは関わらないように丁重に断ることにしよう。
「そうですか...。せっかくの依頼なのですが、受けない方向で行きたいです。自分はその学園で指導される身なので、厄介なことになりそうな予感が満載なので」
「ですよね...。学園に通っているカオリちゃんならそう言うと思って、その件をあらかじめギルド長に聞いてみたんです。そうしたらどうも、国からの特別依頼なので、依頼書がギルドに届いた時点で受注中の依頼がないゴールドランク以上の人は強制的に依頼を受けなきゃいけないんです」
「oh...」
終わった...この依頼からは逃れられない。ギルドの依頼はシステム的に記録が残っているし、今から架空の依頼を受けていることにすることはできないのだ。これから色々起こるであろう出来事を考えると頭が痛くなってきた。幼女(男子高校生)を悩ますでないぞ?
「なので残念ですが、カオリちゃんにはこの依頼を受けていただくしかないんですよね。せめて、カオリちゃんが指導するパーティーを選べる事ができるようにと、ギルド長にお願いしたところ、了承を得ることができました」
できる女、ミカさん。マジ優秀すぎる。自分の悩みが少しでも減るようにと計らってくれたようだ。下手にゲセスター関連のパーティーを担当することになったらこの上なく面倒なことになるからな。ありがたい限りだな。
「それなら厄介ごとも幾分かマシになりそうですね...。分かりました。とりあえずやってみることにします」
「そう言ってくださると助かります。学園側には話を通しておりますので少なくとも学園側からの問題はないと思います」
できる女、ミカさん。さすがだ。依頼を受ける上で問題となりそうな事は前もって何とかしてくれている。素晴らしく仕事ができる人だ。
「根回しまでしていただいて、ありがとうございます」
「そうカオリちゃんに言ってもらえるようにこれからも頑張ります!」
そういうミカさんは素晴らしい笑顔でサムズアップをした。鼻血を垂らしながら。何で鼻血を流しながらなんだ。鼻血を出すタイミングが毎回謎なんだよな。
「カオリちゃんの悩んでいる表情も可愛いですけど、嬉しい時の表情は一番可愛いですからね!あの、もう一回お礼を言っていただいていいですか?
「根回しを色々していただきましたし、しょうがないですね~。ミカさん、ありがとうございます」
「あぁ...存在が尊すぎるカオリちゃんからのお礼の言葉...。魂に響きました...」
できる女、ミカさん。なんだけど、目の前で鼻血を流しながら魂が浄化されて仏の表情になりつつあるミカさんを見ていると、そうは思えないんだよなぁ。




