表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
66/191

66 図書館で魔物について勉強と優勝者特典について

(略しすぎています)

 教室は予想通りの模擬戦会場になったので、どちらかと言うとのんびりしたい組であるサリア、リナ、シルフィアと自分の4人は図書館に行くことにした。流れ弾で教室がめちゃくちゃになっている未来しか見えないのだが、果たしてどうなっているか...。


 そんな感じで図書館に入ると自分たちと同じように教室から逃げてきた人が大勢いた。だが、図書館の中がうるさいという訳ではなく静かで落ち着いている雰囲気を感じた。ここにいるものは皆、図書館は安寧の場所と感じているのだろう。もれなく自分もその感覚を覚えていたりした。


 窓際の空いているテーブルを見つけた自分たち一行は、そこに座りこれから何をするか小声で話しあった。その結果、魔物に関して教えあうことになった。

 と言うのも、このメンバー内でも魔物に関する知識に偏りがあるからだ。自分とサリアは魔物狩りの経験もあり基本的な魔物への有効な攻撃法や攻撃手段がある程度わかるが、リナとシルフィアはそれほど経験がない。経験も知識もない状態だと、リナとシルフィアが倒せる魔物の数も少なくなり得られる経験も少なくなる。魔物を狩る技術を磨いて強くなりたいという彼女たちの希望もあり、魔物に関して学ぼうということになったのだ。

 教える側はサリアと自分で行い、自分はリナ、サリアはシルフィアを担当することになった。


「それでね、この辺りに出没する魔物は特にゴブリンやスライムとかの弱い魔物が多く出るよ」

「そうなんだ!でもどうして弱い魔物ばかりが集まってるんだろう?」

「大体は森の奥に行くほど強い魔物のテリトリーになっていたりするからかな。この辺は~」


 と言うように、なんだかんだリナに理由をつけながら話していのだが、自分には魔物に関する知識具体的な知識はそれほど多くは無い。精々魔物の発生要因とか、魔物の種別に対してのイメージくらいだ。このままでは教える側に立てないなと思って、「お花摘みに行くね」とか「本取って来るね」とか理由をつけて離席して、その間は必死に関連書籍を読み漁っていた。

 そのおかげで魔物の種別ごとの耐魔法属性を知ることができた。基本的に物理攻撃と水属性魔法の単一放射魔法攻撃しか攻撃手段が無いから超重要なことを知れる事ができたと思う。でも、魔物に水属性に耐性がある魔物もすんなり倒せた記憶しかない。ゴブリンとかウルフとかその他色々狩ってきたけどそれほど大差がなかった気がする。低級の魔物だったから耐性もそれほど強くはなかったのだろうか?

 調べている最中に偶然手に取った本にあった「エンシェント・タートル」なる魔物は対物理、耐魔法(全属性)に優れているとかいうチート級の魔物だったな。しかも過去の出現記録が書かれており、実際に存在した魔物であることに驚いた。しかもめちゃくちゃ大きくて全長100mを超えているとかなんとか。普通の攻撃でも僅かなダメージは通ると書かれていたが、こんな巨体が有するHPを想像すると倒せるのか不思議でたまらないね!とてもファンタジー感満載だ!


「カオリちゃん、ありがとう!おかげで魔物テリトリーとかはわかったような気がするよ!」

「どういたしまして~。それじゃ次に演習場の地域によく出る魔物の特性についてかな。リナはこの辺の魔物についてはどのくらい知ってる?」

「うーん、授業で習ったくらいしか分からないかな~。と言ってもあんまり覚えている自信ないかも」

「それじゃ、その辺の復習から話すね。えーっとこの辺のページに...」


 と言う感じに資料代わりの本開いてリナに見せつつ手取り足取り教えた。丁寧に教えた分、わかってくれていると信じたいところだ。現地調達した知識がリナの役に立ってくれることを願うね。

 一方のサリアをちらりと見てみるとなんかいい感じの雰囲気で教えていた。その雰囲気は妹の宿題を一緒に考えてくれる姉と言った感じだろうか。そう思うとなんか背景に百合の花が見えてきたな。自分とリナとの間のザ・友達的な雰囲気との差に大きなものを感じるぞ?はっ!やはり離席しまくるのがよくないのか!?それともなんだ?自分にお姉さま的な魅力が無いとか...。うん、ありうる。自分。精神は男子高校生なので。うん。それはしゃーなし。


 なんてことを思ったり、途中で自分とサリアの担当を変えたりしているとあっという間に放課後の時間が近づいた。そのころには、リナもシルフィアも魔物狩り演習が行われる場所周辺に出没する魔物について、大体の知識をものにしたようだ。自分とサリアはハイタッチしたりしてうまくいったことを祝いつつ教室へ戻る事となった。


 そして、教室へ戻ったのだが...。教室の机や椅子は壁に寄せてはいたが、流れ弾が当たったのか穴が空いたり傷がついたりしているものもあった。ある意味予想通りと言う感じだろうか。その上、虚空に拳を突き出したり、耐魔力壁である壁に魔法を放ったり、サンドイッチを食べていたりと教室内は中々にカオスな状況になっていた。というかサンドイッチを食べてるって何?

 と言う感じのカオスな光景にサリアたち一行が唖然としていると、エルバ先生がやってきた。そのエルバ先生も棒立ちとなり唖然としていた。持っていた資料を落とす程度には衝撃的だったようだ。

 その後にどのように収拾がついたのかはまた別のお話。

________________________

 何とか収取した後に先生から連絡事項が伝えられ、本日の学校としてのカリキュラムは終わった。この後はサリアたちと買い物に行く流れになっているが、先生に職員室に来るように言われていたので、サリアたちには少し待ってもらい職員室へと向かった。


「エルバ先生、カオリです」

「あ、カオリちゃんですか。早かったですね。てっきりもう少し遅くに来ると思っていました」

「放課後にサリアたちとの予定がありまして、早めに来たというところです」

「そういうことですか。なら早めに本題に入ったほうがいいですね。カオリちゃんには、トーナメントで優勝した件についてお話がありますので来てもらいました。まずは、カオリちゃん優勝おめでとうございます!カオリちゃんなら優勝できると思っていましたよ」

「エルバ先生、ありがとうございます」

「その優勝した生徒には学園から特典が与えられます。まずはその特典の内容から話しますね」

「はい。続けてください」

「その特典は大きく分けて3つあります。1つ目は演習場の優先利用権です。演習場を利用するには予約する必要がありますが、それとは別の特別予約枠が設けられています。優先利用権を保有する人はこの特別予約枠を利用できます」

「この特別予約枠は具体的にどういったものなのでしょうか」

「この枠を端的に表すと演習場の一部区画を優勝者専用に割り当てますといったところでしょうか。当日に予約が無い場合は他の生徒が利用できますが、前日より前に予約した場合は演習場の予約が多い時であっても優先権があるため利用できます。分かり難いとは制度だと思いますが、この制度を利用している人は多いですよ」

「それはうれしい特典ですね。ぜひ利用したいです」

「カオリちゃんは戦闘能力の向上にすごい熱心ですものね。ぜひ利用してみてください」


 これは中々に嬉しい特典だ。演習場が混雑しているときは朝早くから予約を取りに学園に来ていた。それをしなくてもよくなると考えると、楽になるな。それに、専用区画が用意されているということだし、演習場を利用している最中に割り込まれるとかいう事故も起きにくくなるだろう。そいつはgoodだ。


「2つ目は特別なMSDの贈呈です。このMSDはトーナメント優勝者にのみ与えられる特別なMSDで、対象を回復させる魔法が書き込まれています。そんなMSDがこちらになります~どうぞ~」


 エルバ先生は机に置かれていた小さなケースを手渡してくれた。それを受けとり、中を開けて見るとリングタイプのMSDが入っていた。その指輪にはMSDの核を宝石に見立てて凝った装飾が施されており、気品と美しさが感じられるものだった。実用性を重視した自分が装着している2つのリングタイプのMSDとは大違いだな。

 この感じだとお守りタイプに分類されるMSDなのだろう。お守りタイプだけあって回復ができるMSDだ。だけど、よりにもよって回復魔法かぁ。確か、光属性の魔法に分類されていて、無属性魔力保持者の自分は使えないことになっている。なんてこった、自分にとっては単なるアクセサリーじゃん。ま、まぁ、優勝者特典として贈呈されるMSDだし、保有する魔力の属性を無視して使えるとか素晴らしい特別な機能があるんじゃないか?


「回復魔法が書き込まれた特別なMSDですか。一般的に市販されているものと何か違いがあるのですか?」

「いいえ、残念ながらこれと言った違いはありませんね。記念品に近いものですが、それは優勝者であることを証明する物でもあります。1つ目の特典とこれから話す3つ目の特典の認証キー的な役割をするものだったりするので普段から持ち歩いているといいかもしれませんね」


 なんてこった、自分にとっては単な(略)。大事な事なので2回目です。とは言え、特典の認証キー的な役割になっているのなら持っていても損はないだろう。


「となると3つ目の特典が気になりますね」

「その3つ目の特典は食堂利用時の特典になります。まず、食堂・購買での購入が1日20000ゴールド程度を出費なしで自由に購入できます。なので、食堂で売っている有名店のケーキセットも買えちゃえますよ!」

「それはいいですね!スイーツはよく食べますので有難いです」

「特に、シンプルですがイチゴショートケーキは私のおすすめです!濃厚過ぎず、さっぱりしたクリームが絶妙で、イチゴの甘さを引き立ててくれているのでとてもおいしいですよ」

「エルバ先生がそこまで言うとは...とても気になりますね。食べたくなってきました」

「先生も話していたらおいしさを思い出して食べたくなってきました...」


 エルバ先生が遠い目をしている。よっぽどおいしいのだろう。これは期待が膨らむぞ。


「っと、ケーキの話題で逸れましたが、特典にはまだ続きがありまして、食堂の内の特別席を利用することができます。その特別席は装飾が施されている上に防音が備わっているので安心してお茶会を出来るようになっています」


 そんな場所あったっけ?入学試験のときに食堂を利用したけど、すごい広い上に気品が感じられる場所だなぁくらいにしか記憶に残ってない。そんなおぼろげな記憶の中だが、窓際の1段上がっていたところは特段豪華と言うか気品を感じたような印象だったように思う。その事かな?


「その場所は窓際の1段高くなっているところの事でしょうか?」

「いえ、それは食堂の手前側にある席ですので違いますね。その特別席は食堂の奥にある場所で3段か4段程度高い場所にあったかと思います」

「その様な場所があったんですね」

「はい、まさにお茶会のために用意されたかのような場所になっているので、食堂の奥まで進むとすぐにわかると思いますよ。先生もそこでお茶会をしてみたいですね」


 そんな場所があったなんて食堂を利用してこなかったから全く分からなかったな。それに、お茶会のために用意されたかのような場所と言うワードに心惹かれるものがある。だが、如何せん場所が食堂と言うこともあり面倒なことが頻発しそうだ。ただでさえ人種に対する思想が異なる国からの留学生たちという頭の痛い人々に加えて、貴族と平民といった身分の差がある人々が一堂に会するのだ。面倒なことが起こらないはずもない。ケーキもおいしそうなんだけどなぁ...。面倒ごとが起こるかもしれないとなると悩むなぁ。

 そんな風に悩んでいる表情が顔に出てたのかわからないが、エルバ先生は何かを察したようで質問を投げかけてきた。

 

「カオリちゃんは大勢の人が集まる場所での食事は苦手だったりしますか?」

「そうだったりしますね。それに、自分はこの通り種族がエルフでして、面倒なことにならないように食堂は利用していませんでした」

「やっぱりその問題ですか...。人も多い分面倒なことが起こりますからね...。それでは、朝方利用するのはどうでしょうか?人があまりいないので問題も起きないかもしれません」


 人があまりいない時間帯があるとは、いい事を聞いた気がする。イチゴショートケーキを買いに行くならその時しかなさそうだな。朝にケーキを食べるというのはかなり罪深い感じがするが、日中に体動かしているしセーフ...だよね?

 よし、決めた。エルバ先生もこう言っているし、一回は食堂を利用してみよう。

 

「確かにそうかもしれませんね。善は急げと言いますしこの特典を利用したいのですが...あまり勝手がわかりません。エルバ先生は色々ご存じのようですし、朝ごはんでもご一緒しながら教えていただければと思うのですがどうですか?」

「いいですよ!私は月曜から金曜まで大丈夫です!特別席も気になってましたし、是非とも!」

「では来週の月曜はどうでしょうか?人が少なそうで良さそうに思うのですが」

「私は大丈夫ですよ。ですが、月曜だと色々仕事があるので、少し早いですが7時集合がありがたいですね」

「では、月曜の朝7時に食堂の入り口付近集合でお願いします」

「わかりました。ではそのようにっと。メモメモ...。」


 流れで忙しそうなエルバ先生を朝食に誘ってしまったのからどうしようかと思っていたが、迷惑そうな感じでもなかったからあまり気にしなくていいかな。なんか申し訳ないし、優勝者特典を使って当日の朝食は奢ることにしよう。実支出は無いが、気持ちが大切なのだ気持ちが。


「あ、忘れそうになっていましたが、次にこの優勝者特典が有効である期間を説明しますね。優勝者特典ですが、1つ目と3つ目の特典については次の戦闘能力評価が行われる時まで有効です。2つ目の贈呈されたMSDはずっとお持ちいただいて大丈夫ですよ」

「わかりました。これからは特典を利用して元が取れるようにケーキを目いっぱい買っていくことにします」

「特典は使う分だけお得なので、ぜひ利用してくださいね。私からの話は以上になります。お疲れさまでした」

「わかりました。エルバ先生、月曜日楽しみにしていますね」

「はい、私も楽しみにしてます」


 エルバ先生に別れを告げてサリアたちが待つ教室へと足を向けた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ