59 ゆったりとした時間
(略しすぎています)
どうも、昨日は一日中家でだらだらとして素晴らしき暇を堪能していた、銀髪ロリエルフになった者です。今は朝食を食べ終えて紅茶を飲みつつ、窓からさす光に照らされた空気中を漂う埃を見ながらゆっくりとした時間を堪能しています。
「そろそろ掃除した方がいいかなー。ふーーー」
窓からさした光に照らされた埃が自分が吐いた息によって渦を描きながら遠くへ消えてゆく。そして、吐いた息につられるようにしてやってきた埃が光に照らされて輝き始める。
「そこまで埃が舞っていないし、今日はまだ大丈夫か~」
掃除するのが面倒くさいからと言う話ではない...。ない。大事な事なので2回言いました。この館と言う方がふさわしい家に埃を立たせる存在は自分しかいないから、館全体でみると埃もほとんど溜まっていないはず。多分!だから今日は絶対掃除をしない!
謎の決意を固めつつ、やる事もないので興味を引く何かを探すために魔力を放って広範囲の状況を探る。
「なにかあるかなー。ん?この集団 is 何?」
反応によると、数人規模を1チームとした集団が3つほどが森の中でさまよっている。彷徨っていると言っていいほどに集団の動き方は遅く、ふらふら蛇行しながら1方向に向かって進んでいる。動き方が謎過ぎるものの、その集団の各自が保有する魔力量はそれなりに大きく、魔法の使用に長けた存在であることをうかがえる程に安定した魔力を放っている。その安定度は学園の生徒の比ではなく、学園の先生をも超えるかもしれない程に魔力制御がしっかりしている。まあ、MSDに魔力制御のすべてを任せているかもしれないが。
「魔物の異常発生があった森にやってくるという事は...。異常発生を行った人物ではないな」
昨日も見回りの様な人物が森の外を歩いているのを感知しており、今日もそれらしい人がうろついている。そんな状況下で犯人がわざわざこの森の中にやってくる道理が無い。犯人は犯行現場に戻るというが、さすがにこの状況下で戻ってくる奴はいないだろう。
それに加え、森の中とは言え日が昇っており、集団で隠れるそぶりもなく何かを探すように動いている。魔物の異常発生を起こした犯人が堂々して何かを探すような動きをする道理が無い。
「むしろ、魔物異常発生の原因調査に来た人たちなのでは?」
それならばその集団がとっている行動にも矛盾が無いように思う。これほどの数の凄腕の魔法を扱う集団をこの街で見かけたことが無いし、この街の外からやってきたのかもな。
この人たちには是非とも原因を追究してもらいたいところだ。原因を追究したところで闇属性魔法絡みの話だろうし、本当の事が明かされることはないだろう。なので、公開される情報の価値は無に等しいだろうが...。それでも、公的機関が調査を行って何らかの情報を公開した事実によって、この地域に安心がもたらされるだろう。
「新聞の一面はどんな見出しとなるんだろうか?稀有な魔物災害発生、問われる警備体制とかかな?新聞取ってないからわからないけど。」
と言うか、この世界に新聞なんてものがあるんだろうか?まあ、文明的に発達してるしあってもおかしくはないか。
今は魔物被害にあった人たちの話が先行しすぎており、不安を感じている街の人たちは魔物の異常発生の話題に関して伝言ゲーム的に根も葉もない噂を話しているに違いない。自分を傍から見ると、森の中に住んでいながらも無傷で魔物災害を乗り切っているため、かなり怪しい人物として噂されていてもおかしくない。そのため、今後はよほど暇な人たちによる変な嫌がらせがある可能性がある。
調査団?によって割とまともな調査結果が報告されることで、噂の大半は事実ではないことが判明し、自分の事が怪しいわけではないと判明するだろう。そうなれば、変な嫌がらせを受ける未来を回避できるはずだ。被害妄想強すぎの様な気もするが...波風立たないように過ごしたいというjapaneseの和の心を持つ者として、調査団?が公表する情報には期待しているぞ?もし変な事を公表するようであれば、屋敷に隣接する巨大な湖に沈めようかな?
視線を窓から見える湖に向けると風によって水面が静かに揺れて光を反射させており、そのノイズともとれる光の明滅が時間の経過を忘れさせる。とてもゆったりとした気分になってgoodだ。これぞゆっくりするというものよ!
水鳥が視界の隅からやってくると、水面に降り立ち、羽をたたんでプカプカと浮き始めた。その水鳥の行方を視線で追いつつゆっくりと紅茶を飲みまくった。
やがて、水鳥は新たな地へ旅立っていき、それに合わせて紅茶を一口含もうとカップを持ち上げて飲もうとした。だが、空だったようで一滴も飲むことができなかった。時間を忘れて紅茶を飲みまくっていたら、いつの間にか飲み切ってしまっていたようだ。
「紅茶を飲み切ったことだし、次は何をするかな?あ、でもその前に食器でも洗うか」
テーブルの上に置いている食器をまとめて無駄に広いキッチンへと持っていき、MSDに魔力を流して水を流しながら食器を洗っていると、来客を知らせるチャイムが鳴った。