表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
57/192

57 怪しい4人組について2

(略しすぎています)

 キースさんの執務室から退出してドアを閉め一呼吸置いた後、サリアが話しかけてきた。


「カオリちゃんは4人組の行動と魔物の異常って関係あると思う?私は無いように思うけど、キースさんの言っていた呟きがすごい気になってるの」

「呟きと言うと、討伐失敗で帰る経路とは思えないって言ってたこと?」

「そう、その呟き。4人組が辿った経路を見てるとキースさんの言う通り不思議なの。魔物を狩るなら森の中に向かうし、撤収するなら森から離れるのが普通なんだけどなぁ」


 サリアの言う通りで魔物を狩るなら魔物と出会いやすい森の中に向かい、撤収するなら魔物と出会いにくい森の外を移動するはずだ。だけど、その中間ともいえる経路をたどっているので何を思ってその経路となったのか想像がつかない。

 ただ、自分だけが知っている情報を加えるとその経路をたどった意味の想像くらいはできるようになる。その情報は、魔物が大量発生していた時、たった4人で家付近にやってきて、魔物に襲われることなく帰っていったというものだ。

 普通に考えると、魔物は魔力で生きており、魔力が豊富にである人を襲う。だが、魔物が大量にうろついている中でも戦闘音すらなかった。それは魔物から狙われない状態、すなわち闇魔法で魔物たちに指令を出す側であるため襲わなかったと考える事が可能だ。その場合、その4人組はの使命は魔物たちを使って大きな被害を出すために、できるだけ多くの魔物が闇魔法に従うように森の周囲を巡ったのではないか。と言う感じに想像はできる。


 この想像は闇魔法を知らない一般人からするとかなり突飛な発想だろう。だが、闇魔法で魔物を操る事が可能なであることを知り得た場合だと逆に自然な説となりうる。そのため、もしも闇の魔法を扱う集団の耳に入った時には情報を知り得ている可能性が高いとして消しに来る可能性が十分にある。

 自分だけなら何とでもなるが、サリアはどうだろうか?闇魔法を扱う集団の一味であるゴブリンの魔石を強奪していった人は中々に手練れのようだし、サリアでは厳しいのではないだろうか。だから、自分だけが知っている情報を隠すことにした。


「うーん。サリアの言う不思議さは自分も感じているところだよ。何でその経路なのかは分からないな」

「カオリちゃんも分からないのか~。ミカさんに聞いたら何かわかると思う?」

「いろんな人から話を聞いていそうだし、何か新しい情報があるかも?」


 ミカさんを探しにギルドの1階へ下り、フロアを見渡してミカさんの所在を探る。


「カオリちゃん、ミカさんいたよ」

「どこどこ?」


 サリアが指さした先の受付カウンターの奥にミカさんいるのだが、何やら回想しているのか心ここにあらずと言った感じだ。注視してみると鼻血を出していたのでいつも通りと言うかなんというか。

 そんな感じだからか、ギルドメンバーはミカさんに話しかけず他の受付嬢のところで手続きを行っている。


「...暇してそうだし聞いても大丈夫そうだね」

「...そうだね」


 2人してミカさんのブレなさに感動するのであった。

_____________________

「ミカさん、ちょっと聞きたいことがあるんですが、お時間は大丈夫ですか?」

「ちょっ...と待っててね~」


 ミカさんは慌てて鼻血をふき取り、業務モードに復帰する。


「どうしたのサリアちゃん?それにカオリちゃんも」


 サリアはミカさんの準備が完了した言葉を受けて言葉を発する。


「魔物が街中で大量発生していた時に見かけた4人組について気になりまして聞き込みを行っているところです。何か知りませんか?」

「他のギルドメンバーの方々もそのようなこと話していましたが、私が聞いた限りでは不審行動以外に目立ったことはないみたいですよ。私も気になって聞いてみたりしてみましたがこれらしいものはないですね」

「他の人もそんな話を?じゃあ、単純に不審人物だったのかなぁ?カオリちゃんはどう思う?」


 ミカさんの情報では単なる不審人物の域を超えないという話だが、自分だけが知り得ている情報を組み合わせるとその域を超える。自分だけが知っている情報を隠す事と結論が変わり、周囲の人たちは真実から遠ざかるように作用する様だ。サリア達が真実に近づいてその4人組が所属する危険集団に関わることが無いように情報を隠す事はサリアたちを守ることにつながる。なら当然、ミカさんの情報に同意するのがいいだろう。


「怪しい人たちならもっと情報上がってそうだし、単純な挙動不審な4人組だったんじゃないかなぁ?」

「カオリちゃんもそう思いますか。私も最初に話を聞いたときは怪しさ抜群だったので気になっていました。ですが、よくよく考えると本当に何かを成そうとするなら人目につくような行動はしないと思います。」

「確かにミカさんの言う通りの様な気がしてきますね」

「4人組が辿った経路も不明ですし、単なる不審者と結論付けた方が自然な気がします。私が話を聞いたギルドメンバーも同じ結論でしたので、大方合っているのではないのでしょうか?」


 そうか、他のギルドメンバーも同じ結論なのか。それなら、自分が口を滑らせない限りギルドメンバーは安全だな。加えて自分は4人組に姿を見られていないため、自分に被害が加わる事もない。となれば真実は闇の中だが危険にさらされることもないだろう。

 だが、ギルドの受付嬢であるミカさんの情報網を用いても、4人組の情報は辿った経路の他に出てきていない。そうすると、これ以上の情報はないのかもしれないな。自分の考えの答え合わせくらいはしたいものだったが。


 考えをまとめていると、ギルドメンバーであるモリスさんが声をかけてきた。


「てんs...カオリちゃんとサリアちゃんが居るというのにミカさんが真面目に話しているなんてどんな話してたんだ?」

「モリスさん?私を何だと思ってるんですか?いたって普通のギルドの受付嬢ですよ?」

「「(いやいや、普通のギルド嬢は業務時間中に鼻血を流しながら回想しないから)」」


 サリアと自分は思わず突っ込みを入れてしまうのであった。

________________________

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ