34 途中経過の共有とか
今回は雑さがある感じです(略)
戦闘能力評価初日が終了して今はいつものメンバーで反省会という名のお茶会に来ている、銀髪ロリエルフになった者です。
今日、自分は4試合ほど模擬戦を行ったのだが、正直なところ微妙な待ち時間のおかげで地味に疲れたという感じだ。自分が初戦に行った模擬戦のように開始直後の攻撃で勝敗が決まって次の試合の開始時間が繰り上がる流れなので、次の模擬戦までの時間が読むことが難しい。そのため、再びシルフィアと合流し、会話するなどして待ち時間をつぶすことができないまま試合の待ち時間を過ごすことになり、暇を持て余してしまった。その暇をつぶそうとDブロックで行っていたクラスメイトたちの模擬戦を見ても、ほぼ素人同士の模擬戦なので得るものが無く、暇をつぶすことができなかった。まあ、入学して間もないクラスメイトたちに魔物をバリバリ倒しますよ~レベルを要求するのは酷な話だが。
そういう感じで初日が終了したために何か物足りなさが半端ない。
魔物狩りにでも行こうかな?とりあえず、いつものメンバーに声かけて皆予定が入っているようなら行くことにするか。そんな感じで声をかけてみると、皆も暇をしていたようだ。これからどうする?という感じであったので、カフェでも行って駄弁ろうという感じになった感じである。感じが多い気がするけど、暇すぎて語彙力が虚無になった結果なので。
そしていつものメンバーで学園近くのカフェに入り、注文を済ませたあたりで今に至る。今の話題は今日の模擬戦の戦績についてだ。
「それで、みんなの戦績はどうだった?特にシルフィアちゃん」
サリアが問いかける。名指しされたシルフィアであるが、その表情は中々に明るい。この感じだとそれなりに勝ちを納めていそうだな?
「私は3勝1分け...という感じでしょうか?」
「何で疑問形なの?」
リナが疑問そうに問いかける。模擬戦の優勢具合から勝敗が付くため、模擬戦で引き分けが起こるなんて考えられないのだが、そんなことあるのだろうか?
「それが、にらみ合いが続いて時間タイムアップという感じで模擬戦が終了したので...判定がよくわからないんです」
話をよくよく聞いていくと、相手は遠距離魔法を使うタイプであったため、シルフィアが近寄ろうものなら範囲魔法を放たれ、近寄ることができなかったようだ。それとは逆にシルフィアは相手の魔法をことごとく回避したようだ。そのため、両者ともに攻めることができずに、にらみ合いが続いたという話だ。
シルフィアが魔法が使えたならばその均衡を破ることができたのだろうが、今は単なるナイフのみで模擬戦を行っているのでしょうがない感がある。
「でもでも、よく新しい武器を使って3勝もできたのはすごい事!」
「私もそう思うな~」
「(コクコク)」
「3回勝てるなんて思ってもみなかったですから...私も少し驚いてます」
全員から褒められたことにシルフィアは少し照れたようで頬を指で掻きつつ視線をそれしながら言う。尻尾も揺れている。かわええ。
そんなサリアはさらに気になるようで具体的な戦闘内容の質問をした。
「シルフィアちゃんはどういう風に勝ったの?やっぱり接近して判定勝ち?」
「そうですね、相手に近づいてナイフを突きつけての判定勝ちです。相手に近づくのが難しかったですが...何とかなりました」
「相手に近づくのってなかなか難しいけど、それができるシルフィアちゃんはセンスあるよ。ましてそれで勝ちを納めたならなおさら」
「サリアちゃん...ありがとう(小声)」
「それに初めての戦い方で勝てるってすごいよ!」
「リナちゃん...ありがとう(小声)」
「シルフィアの模擬戦をたまたま見れたんだけど、シルフィアがすごいいい動きしてたよ」
「カオリちゃんまで...ありがとう(小声)」
なんかシルフィアを褒めているとみるみるシルフィアが照れていく。どうしていいのか分からないからか、耳やら尻尾がみょんみょん動いているのもまた可愛い。ついでに視線を置く場所も分からなくなってしまって視線をあちこち飛ばしまくってるのに合わせて体がわずかに動いているのも可愛い。うーん。これは褒め殺したくなるな?
自分だけでなくサリアやリナまでもシルフィアのもじもじする姿を見ている。2人とも表情が緩んでいる。この可愛さには視線が釘付けになるからしょうがないね。不可抗力。
シルフィア程なくして全員からの視線に気が付いた。みょんみょんしていた耳や尻尾の動きが止まる。
「みなさん...もしかしてからかってます?」
「ちょっとだけ?でもほんとに思ってることしか言ってないよ」
「すごい事はすごい!」
「少しからかったけど、自分も本当に思っていることを言ったよ」
シルフィアは再び耳や尻尾をみょんみょんするのであった。
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シルフィアの可愛さを堪能したところで、リナが発言をする。
「次は私の戦績を話そうかな!私は3勝1敗でちょっと悔しい負け方しちゃった」
「それは私も見たけど、あれはリナちゃんの分が悪かったね」
「サリアちゃんはそう言ってくれるけどチャンスで攻撃を当てあれなかったのが悔しい!」
なにやら内容が気になるところであるので詳しく聞いたのをまとめると以下のようになる。
相手は遠距離から魔法を放つタイプで単発だが射程が長い魔法と広範囲だが射程が短い魔法を使い分けていたようだ。また、模擬戦の最中は相手の方向に体を向けるがその場からは動かないといった固定砲台みたいな相手だったらしい。リナは大剣と、そこから発する魔法を扱うが、リナの魔法は攻撃範囲を犠牲にして攻撃射程を延長したとしても、相手の近距離だが広範囲の魔法の射程よりも短かく、攻撃を当てることができなかった。そのため、相手から一方的に魔法攻撃を受けるという展開になった。
リナは大剣でガードをしつつ相手ににじり寄ったり、相手の周りをぐるぐると回ってみたりと試行錯誤をしていたが、攻撃を加えられるほど相手に近づくことはできなかったとの事。だが、ぐるぐる相手の周囲を回っていると、相手は自身の足元にある、いつの間にかできていた穴に躓いてしまい、わずかにバランスを崩したらしい。
リナはチャンスと思い攻撃の動きをしつつ相手に一直線に向かうも、相手が立て直して魔法を放つほうが早かったため、防御態勢をとっていないリナは魔法の直撃を食らって負けてしまったという話しだ。
「相手に攻撃を入れるチャンスを逃したのが痛いね。攻撃が入ってたら勝ってたと思うよ」
「カオリちゃんもそう思う?やっぱりそこだよね。普通の攻撃じゃ相手に届かないし...」
試合を見ていないので何とも言えないけれど、1つ気になる点がある。攻撃の動きをしながら相手に突っ込んでも相手が魔法を放つほうが早かったということだ。
通常では物理攻撃可能なタイプのMSD系で使用する魔法が物理攻撃が不可能なMSD系で使用する魔法よりも発動スピードが早いというのを授業で聞いたような聞かなかったような。相手の隙が生んだ時間とMSDのタイプによる魔法発動までの時間差を考えると、リナが相手に接近するまでの時間は数秒程度はあるはずだ。そのため、適切な間合いの管理ができていれば相手の攻撃よりも先にリナが相手に接近して魔法攻撃を加えるなどができただろう。でも実際は攻撃を行う前にやられたということなので、相手に接近する時間が長すぎたと捉えるのが自然だろう。言い換えれば相手との距離をとりすぎていたということだ。とりあえず、この考えをリナに伝えてみるか。
「多分だけど、相手との距離をとりすぎていたんじゃないの?」
「サリアにも同じアドバイスをもらったよ。もしかして試合を見てた?」
「いや、見てないよ。話を聞いて想像しただけ。もしかして、リナは相手の範囲攻撃の魔法の射程を測りかねて相手との距離をそれなりにとっていたんじゃない?。見ていたサリアはどう思う?」
「私もカオリちゃんと同じかな。だいぶ距離が空いてたからね」
「2人とも模擬戦の最中に私の心を読んでた!?カオリちゃんの言う通りで、相手の魔法の射程を測りかねていたから多めに距離取っておけばいいかと思ったんだけど」
「チャンスを生かせなかったのはそこかな」
「そこだよね」
「そうなの?相手の攻撃を当たらないようにするのがいいと思ったんだけど」
ここで、もじもじモードから回復したシルフィアが言葉を発する。
「それが一番いいと思うけど...あまりに相手と離れると今度は相手が魔法を使わなくなるから...余計に距離が測れなくなるよ。」
「そういうこともあるのかぁ~」
「そこのところを意識するともっとよくなるかも...」
「ありがとうシルフィアちゃん!次から試してみる!みんなもアドバイスありがとう!」
そういうリナは気持ちのもやもやが晴れたのか、すっきりとした表情となるのであった。リナのうさ耳も元気いっぱいに伸びている。うん。これは健康にいいうさ耳だ。
「それじゃ、次は私かな?」
お次はサリアの話のようだ。
「サリアはもちろん全勝だよね?」
「カオリちゃんの言う通り、全勝だよ」
「サリアちゃんの模擬戦はすごい見ごたえあったよ!放射系魔法の連発だったり、剣技だったり見どころいっぱいだった!」
「それは...見れなかったのが残念ですね」
「さすがサリアだね」
「みんなありがとう」
戦闘内容を詳しく聞いていくと基本的に相手の間合いに合うように戦闘スタイルを変えているようだ。相手が近接戦闘をするならばサリアは短剣で応戦するといった感じだ。話を聞く限りは、危なげなく勝利を収めており、無双といったところである。
「この調子なら全勝しそうだね!」
「サリアちゃんなら...できる気がしますね」
「サリア、期待大だね」
「この調子で気を抜かずに頑張ってみる」
Hクラスのクラスメイト達に後れを取るサリアではないので心配の必要はないだろう。このまま順調に勝ちを重ねていきそうだ。
「それじゃ、最後に自分だね」
「カオリちゃんも全勝だよね」
「サリアの言う通り全勝だけど、その勝ち方がね...」
4戦ほど模擬戦をしたがそのどれもが相手の自滅という形で決着がついた。初戦は地面の穴に相手が躓いて自滅、2戦目は振るう剣の勢いがありすぎて手から剣が飛ん駄ために棄権、3戦目は相手が相手の魔法の攻撃範囲に入ってしまい自滅、4戦目は相手が攻撃で突っ込んできたので避けたところ相手は止まれずに結界に衝突して運悪く気絶で自滅である。
「という感じだったのよ」
「カオリちゃんに非はないけど、相手がなんかかわいそうだよね」
「さすがにこれは凹んじゃうね」
「相手さんは大丈夫だったんでしょうか...」
と予想通りの様な相手を気遣うようなコメントをもらった。
どうしてこうも相手が自滅してしまうのかよくわかっていない。もしかして、そういう呪いでもかかっている感じですか?そうとしか思えないほどの相手の自滅率。どうにかしてほしいものだ。もしかして、戦闘能力の評点をつけることができるように相手に攻撃を許しているのがそうさせるのだろうか?とりあえず明日の模擬戦が相手の自滅の形で終了しないことを祈っておこう。
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