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32 戦闘能力評価初戦と模擬戦の方針

(略)稚拙な表現等々、目をつぶっていただけると幸いです。

雑な部分が多いのでそのうち修正します。多分。

 現在Dブロックの模擬戦が行われる結界の中に居る銀髪ロリエルフになった者です。そろそろ始まろうかとしていますが、どう戦おうか悩んでいます。

 その理由はこの戦闘で評価される項目が勝ち負けだけではないからですはい。


 自分の相手は目の前で緊張気味におどおどしているレイピア型MSD使いの女生徒のクラスメイトであり、それほど強くはない。そのため、やろうと思えば相手の懐に潜り込んで一瞬で決着をつけてしまうこともできるだろう。ただ、それだと一瞬で決着がつくために戦闘能力の評価材料がないまま勝敗が消してしまい、お互いの成績をつけることがとても困難となる。これでは模擬戦の相手も自分もLOSE-LOSEの関係だ。

 なので、どうしたものかと考えているわけである。さらに、この問題に気が付いたのは結界の中に入ってからであったので、事前に考えている案もない。


「それでは、第一試合を開始します。両者ともに準備は大丈夫ですね?」


 心の準備というか色々準備ができていません!と頭の中で嘆きながらも、脚に装着しているホルダーからナイフを抜き取って構える。初動は気が抜けないので、いったん考えを放棄して相手の出方を見ることにする。


 相手はレイピアを鞘から抜いて構えてはいるが、緊張からか剣先が震えている。模擬戦の第一試合であるためクラスメイトからの注目度も高いのがその緊張を加速させる要因となっていそうだ。

 相手が緊張していて十分に体が動かないような状態であっても、特に初動は気を抜くことはできない。それはMSDが魔法の発動を容易にしているからだ。効果が固定されているような魔法の場合、術者は魔力を送るだけで発動が可能であり緊張状態かどうかは関係が無い。そのため、緊張のために試合が始まってすぐに相手からの攻撃はないだろうと気を抜いていると、簡単に魔法を撃ち込まれてしまう。


 さあ、どう出てくるか。

 審判は自分と相手を見て試合開始を知らせる音を鳴らした。


 合図が鳴ってすぐに相手から魔力が注がれているのが肌で感じられた。やはり、初動は魔法であったか。でも、自分に感じれるほどに魔力を注いで大丈夫か?後の試合で魔力切れにならない? 

 相手のMSDは物理攻撃タイプのMSDなので、そのタイプのMSDで扱える魔法の効果範囲はおおよそ自分の周囲10mくらいだろう。だが、魔法の効果範囲の方向を狭めたり注入する魔力量を多くすることによってその限りではなくなる。テニスコート2面分程度の広さしかないため、効果範囲を限定されるような使い方であれば相手の魔法の射程内になるだろう。

 高火力の魔法が放たれるのではないかと、相手を注視してはいるが氷の礫が生成されているわけでも、火の玉が生成されるわけでもなく相手の周囲には何も現れていない。まだ魔法の構築中か?そう考えたが、試合始まって直後に相手から感じた魔力を今は感じなくなっている。ということは発動を終えたのだろう。自己強化の魔法でも使ったのだろうか?


 なんにせよどう来るか。相手が投じた魔力量からするとそれなりに効果はありそうだ。その事実に圧倒されて自分は緊張しているのだろうか、体が冷えている。ん?冷える?準備運動をして体は温まっていたのでそれは少しおかしい。


 不思議に思い、相手を視界にとらえつつ自身の感覚に注意を向けると、足元から冷気が来ているように感じる。これは一体。


 うだうだ状況を把握していると相手はレイピアを突き出して猛突進をしてきた。相手が何かの魔法の発動してから猛突進してくるまでに1、2秒程度であり、かなり練習していた流れであることが感じさせる。突っ込んできている時の表情は試合が始まる直前の様な緊張のある表情ではなく、どこかほっとした表情である。何か策でもあるのだろう。だが、不意打ちでゴブリン討伐ができるレベルの相手なので猛突進とはいっても速さがあるわけでもない。この攻撃を回避することは容易だろう。


 なら、攻撃を回避して時間を稼ぎつつどう戦うか方針を立てることにするか。

 そう思い、体の重心を後ろに移し、レイピアの刺突攻撃の範囲から避けるように斜め後方に移動しようと足を後ろに運んだ。しかし、その足はうまく地面との接触を得ることができずに滑った。

 予想外のことで方針を立てるような余裕はなく、転倒しないように体勢を整えることに集中する。すぐに体勢を整えたものの、両足ともに踏み出した足の方向に滑り続けており、地面との摩擦を得ることができずに滑り続けている。足元が滑るって何ですか?ここは濡れた岩場の上ですか?苔が生えまくった岩場でもここまでは滑らないわ。

 足元がどうなっているのか確認するため、視線を猛突進している相手から自分の足元に移した。すると、地面が薄い氷で覆われていた。


 そりゃ、足元から冷気が来るし、足元も滑る。状況からして相手が発動した魔法によるものだろう。相手が回避できないようにして重い一撃を加える戦術か。これは一本取られた。


 再び視線を相手に戻して自分に向かって猛進する相手を見据える。自分と相手の距離はあと5歩程度だ。相手はレイピアの柄が体に触れるまで引いて溜を作っており、どこに攻撃が飛んでくるのか不明である。自分は氷の上で止まれずに滑り続けており、相手のレイピアによる攻撃範囲の延長線上に居る。


 攻撃を受けるかそれとも避けるか。選択は2択である。

 相手の攻撃を受けることもできるが、武器の間合いの相性があまりにも悪く踏ん張れないような状況では満足に攻撃を受けきることもできない。それに、相手の攻撃能力が初心者クラスであるとはいえ、相手は全体重を乗せた猛突進している。そのため、攻撃をうまく流すこともできず正面から受けきる羽目になる。攻撃を受けきるのは少し厳しいか。

 避けるにしても足元は氷で覆われている。そのため踏ん張ることはできない。回避も難しい。


 相手はそれを察しているのか一本取ってやったと、攻撃を当ててもないのにすでに勝ち誇った雰囲気が伝わってくる。いや、それフラグ...。相手の心配をしているところではないか。


 やっぱり、しっかりと足場を捉えながら出ないと戦闘は一気に劣勢になるな。せめて氷が無くなってくれればいいんだけどね。マジで魔法でいきなり地面が凍るとか反則だろ。ん?魔法?

 その時、ナイフで魔法でできた氷の礫を破壊したことを思い出した。その出来事は魔法でできたものでも破壊をすることができる事を初めて知った出来事だ。凍った地面も魔法でできており、これを破壊できるのではないだろうか。物は試しだ。最悪足場が復活しなくても攻撃を受けて吹き飛ばされるだけだ。何も恐れることはない?


 相手からの攻撃への対応や、相手との接触時間との兼ね合いから体勢を変えてまでナイフを地面に突き立てて地面に氷を張る魔法を破壊することはできない。だが、自分にはほかに攻撃手段がある。リングタイプのMSDから放つアイスニードルだ。

 このアイスニードルの威力はお墨付きで耐魔法壁に穴をあける程度の威力だ。何とかなるだろう。相手との距離はあと3歩で接触まではわずかだが、アイスニードルの発動もそれなりに早いため何とかなるだろう。要するに何とかなる。


 そうと決まればアイスニードルを発動する。狙いは自分の足元だ。とりあえず火力を出しておくために結構速めの速度で地面に刺さってもらうことにする。

 魔力を指にはめたリングタイプのMSDに供給し、その核が光り出す。光る核から放たれた光の粒が自分の目の前に集まって変質して透き通った氷の礫となる。そして、氷の礫は地面に向かって足元に突き刺さる。氷柱は音もなく地面に張っていた氷を貫通して破壊した。それだけでなく、轟音とともに地面に突き刺さりその衝撃で土煙が上がった。


 ちょっ。自分も土煙で見えないんですけど、何ならちょっと小石が飛んできて痛いんですけど。でも、ちゃんと地面に張った氷は無くなって破壊されている。これはgoodだ。相手が見えないけど。


 ちゃんと地面に足がついたのを確認して直ぐに相手の攻撃の軌道上から回避する。程なくして回避したところに相手が突っ込んできたのを見届けてから、この模擬戦にどう決着をつけるか考えることにする。何やらドサッと音がしたが、何の音だろうか。

 なにはともあれ、土煙の中では戦闘を行うことは難しいので少し晴れるまで待つしかないような気がする。それは相手も同じなのでそうしてくる可能性が大きい。問題はその後だ。


 この模擬戦は勝ち負けだけでなく、戦闘技術や戦術をも評価されるため、一方的に攻撃して終了では相手のためにも自分のためにもならない。そのため少し戦闘を交える必要がある。相手からの攻撃を受けつつ、自分からの攻撃もしていく必要があるが、自分から攻撃した場合はその実力差から攻撃が相手に入ってしまうのですぐに決着がついてしまうだろう。

 その点を考慮すると、ある程度相手からの攻撃を受けてから自分の攻撃をするようなものがいいのだろうか。戦っている最中ではあるが、今の戦い方はその考え方に当てはまっていい感じになっている。相手は攻撃能力を見せることができて、自分もそれに対応する力も見せることができる。

 だが、あまり相手からの攻撃に対して、対処や回避を行い続けると舐めプになる。相手にも悪いし限度もあるので3回くらいは相手からの攻撃を受けてから自身の攻撃を繰り出すことにするか。


 方針を決めたときにはだんだんと土煙が晴れてきた。さて、相手はどこから来るんだ。ナイフを構えて辺りを見渡すが、結界内に立っている人はいない。相手は神隠しにでもあったのか?

 ふと、アイスニードルが突き刺って空いた穴の方を見てみると、地面に突っ伏している相手の姿があった。穴の端の方が不自然に削られている感じから、相手は穴に足を取られて顔面から地面にダイビングした感じになっている。...。なんか申し訳ないな。


 審判は結界内に立っているのが自分だけだとわかると試合終了の音を鳴らした。

 第一試合でこれからというのに締まらない結末を迎えてしまったな。この先の模擬戦は大丈夫だろうか。ちょっと不安に思ってきたのであった。

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