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28 家の改装と調べ事

(略)稚拙な表現等々、目をつぶっていただけると幸いです。

 どうも、つい昨日俺の奴隷になれ宣告から逃れた銀髪ロリエルフになった者です。なんかストーカーされそうな危機感を感じています。まだ事は起こっていないけれどそんな気がしています。怖いですねこの世界は。


 現在、めちゃくちゃ広い洋館の自室でそんな奴らに対する対策を1人で考えているところです。広大な敷地内に自分一人しかいないので自由気ままでいいけれど、それはそれで寂しいものがある。魔法学園に夏休み的な要素があるならサリアたちを呼んでみようかな。


 さて、話は本題に入ってストーカー集団...もとい、昨日演習場に乱入してきた奴らが自分の家に来て自分に危害を加えると困るのでそれを防ぐにはどうしたものかというところである。大したものは置いていないけれど、寝ている最中の乙女の部屋に押し入る下賤な奴らがすることと言ったらもうソレしかない。男vs女(精神は男)の図ができるのだ。一部の有識者たちは大喜びかもしれないが、当事者としてはたまったものではない。まことに止めていただきたく存じあげて候。

 そんな感じで奴らが自分に被害を及ぼさないようにしたいのだが色々問題がある。


 まずは、その立地やこの敷地内にある設備について説明する。家よりも館という表現が適切なほど大きい家は、1面が湖に面しており他3面は森に面している。さらに、洋館の敷地の周囲にはかなり高いオニオン装甲で作られている塀と、魔物の侵入を防ぐ結界がある。

 人通りに関しては、森は魔物が出るため人の一人もおらず絶望的で他人がこの家を見ることもない。さらに、この家には自分一人しか住んでいない。

 それすなわち、万が一の事態が起こった場合に助けを呼ぶことができないということだ。ロリをこよなく愛するばかりにオリジナルの戦闘服デザインして店に置いてしまうギルドのミカさんならば、「ミカさん助けて~」っと言ったらどこからともなくあらわれそうではあるが。


 ヒーローミカさんはさておき、防犯面はかなり脆弱と言っていいだろう。


 塀も人が乗り越えられない程高く自分の世界の基準から考えると人が侵入することは容易ではないが、魔法の世界なので塀を乗り越えることなど造作もない事だ。なので、乗り越えてくる奴らを発見して先手を取るために敷地内を歩き回って監視しようにもその監視区域はかなり広大であるため1人での見回りは困難であり、増してや四六時中歩きまわるわけにもいかない。寝たいし。そのため、塀の改装や見回りといったものは対処法から除外される。


 塀からの侵入を許したとししたら、次の防衛線は館となる。だが、館は広く窓も多いため侵入しようと思えば窓を割ってどこからでも侵入することが可能だ。この館にかなりの人がいたならば見回り体勢を敷くことでどうにかなったであろうが、自分一人なのでそうはいかない。見回りをしなくてもいいように、侵入が容易な窓という窓をなくしていくのは美観を損なうので避けたいところだし、何でこっちが割を食わなければならないのか訳わかめといったところである。なので、館改修案はない。


 最後に残ったのは魔物からの被害を防止するために張っている結界である。結界で人を阻むことができるのはこの問題を生み出してくれた奴らが証明しているので、頑張ればどうにかすることができることが分かっている。また、結界は魔力さえ供給されていれば永久に動いてくれるので、安心して寝ることも可能だ。すばらしいな。

 一方で今張っている結界は問題なく機能しているものの、かなり多くの魔力を消費していくので毎晩開眼させながら魔力タンクに魔力を補充しなければならないという問題がある。面倒くさいのもあるし、結界をどうにかするのはいい機会なのかもしれない。

 よし、結界を何とかしよう。そうしよう。


 とはいえ、魔物が屋敷に侵入できないような結界を張っているのであるが、人を侵入できないようにする設定とかできなかったよね?この館を紹介してくれた駆け出し商人のサティーさんもそんなこと言ってなかったし。

 となると、結界の魔法陣を新たに作成するか改修するかの2択になるけど、当然結界の魔法陣の改修や作成の知識はあるはずもない。お金には余裕があるし既存の物を買ってきてもいい気はするけど、最近改修された結界を使っていることを考えると燃費の向上は見込めなさそうである。


「うーん。どうするかなぁ~。目的が満たせないなら作ってしまおうか?」


 学園の生徒という身分の下、魔法に関する書物が大量にある図書館が利用できるし魔法陣の作成・改修は何とかなるかもしれない。それに、いい感じの結界の魔法陣を書物から見つけ出して、いい感じのトライ&エラーで調節したらいい感じの結界ができるかもしれない。かなり大きな図書館だし結界に関する書物も豊富にあると思うし、案外すぐに結界の魔法陣をくみ上げることができる見込みもある。

 なんかいけそうな気がしてきたので、結界の魔法陣作ろう。そのために、学園の図書館で結界の知識をつけるぞ~。えいえいお~。

___________________________


 というわけで学園の図書館にやってきました。図書館まで来る間、土曜日ではあるが、戦闘能力評価が近いとあってか制服を着ている生徒の姿が予想よりも多く見かけられた。向上心がたくましい事で。一方で、図書館の中は閑散としておりかなり静かだ。誰もいない机を光の帯が照らしており空中を舞う埃が光を反射させて幻想的な雰囲気を感じさせるまでに静寂が満ちている。

 これはかなり集中できそうだ。のんびり、本を探しますか。


 そうして取ってきた本は10冊程度で結界について書かれてはいるがそれぞれ微妙に対象とするものが違うものだ。単に結界と言ってもその種類は様々あることは想像できる。例えば対象が魔物だけの物、範囲内に特定の効果を与える物等々である。そこから察するに、基本となる結界の魔法陣がありそれに特定の効果を持たせるようなものが魔法陣に組み込まれているはずである。そこで、その核となる結界の魔法陣と効果を生み出す模様みたいな魔法陣を知っていれば、自分が望む結界を作ったり改良したりするのではないかという魂胆である。


「むむむ...わからない」


 だけども、そう簡単にいかないのは世の常というかなんというか。異なる結界同士に大きな規則性はあるものの、皆さん自由奔放に魔法陣をくみ上げたのか、基礎となる結界の魔法陣でさえ異なるものが多い。そのため、同じ効果を与える結界であっても、その効果を与える魔法陣が特定することが困難となっている。これではどうしようもないな。


「ん~。いったん休憩して、図書館の中を探検しますか」


 気分転換に机に積んだ本を元あった場所に返して、まずは図書館の最上階から歩き回ることにする。

 特に変わったこともなく、何の変哲もない窓と壁際の机と本棚が並んでいる。いい感じに眠気を誘う静けさとほのかな暖かさを感じる日光が、昼寝に最適な場所だと感じさせる。正しく整理整頓されており、掃除も行き届いているのか棚にはほとんど埃が付着していない。蔵書量が多いとはいえ管理が行き届いているのはいい図書館だと思うgoodだ。個人的好感度爆上がりだ。

 だが、最上階から2階までは風景が変わらずといったところだ。何かの隠し部屋の一つでもあるのかなと期待したところではあったのだが。


 半分意気消沈気味に1階を隈なく歩き回る。1階は司書さんやらがゆったりとした動作で本の返却作業などをしていたり、数は少ないが学生もチラホラ見かけるので他の階に比べて賑わしさを感じる。

 そんな比較的賑わしさを感じる1階ではあるが、その一角に古書ばかりが集まったコーナーがあった。そこは古い魔法について書かれた物だけでなく、歴史、文学のジャンルの本もあった。かなり整理されている図書館であるのに、なぜこの一角だけが区別されていないのか不思議に思った。そういうのもあって本棚に整然と並んでいる本を眺めているととある1冊が目についた。


「選ばれし者とその運命...?なんかよくわからないけど、めっちゃファンタジー感あふれるタイトルだな。ちょっと開いてみるか」


 その本を手に取ろうと本に触れた瞬間、目の前の本棚があった場所がいつの間にか通路になっており、奥には小さな部屋が見える。隠し部屋あるじゃん。ちょっと入ってみるか。出てこれない事なんてなさそうだし。


 好奇心に誘われて中に入ってみると、壁や床は面取りした石を組み合わせたものでできており、本棚も木製の簡素なものであった。そのため、見回ってきた図書館の風景から比べると過去にタイムスリップしてきたかの様な古めかしさを感じる。だが、その感覚とは異なりこの部屋にあるもの全体がまるで新しいものであるかのように劣化を感じさせない。


「ん?」


 少し不気味に感じていると、魔法的にも少し不気味に感じる点があった。それは魔力を使った感知の反応がおかしいということだ。通常、壁があった場合は魔力が壁で反射して、そこに壁があることを認識することができる。だが、ここでは壁に当たった魔力の反射は感じられないため、実際に認識している空間以上の空間が広がっているようにも感じられる。むしろ、放った魔力が壁で吸収されているかのようだ。

 少し気になったので、電波の跳ね返りで壁の外を観察する。原理は魔力を使った探知と同様で魔力の代わりに電波を使うという訳だ。電波は自身の能力を使ってイメージから生成した。この能力は物理的な現象を生み出せるので便利極まりない。マジ女神様ありがとうございます。

 すると、壁の外は普通に図書館の構造であることが感じ取れた。この点と、魔力が壁で吸収された点を合わせると、魔法的かつ可視光帯の電磁波的には外と遮断されている結界のようなものがこの空間を覆っていることが予想される。とすると、広く知られてはいけない秘密の空間という訳だ。これを知ってしまったことによる問題が出てくるのだろうなと後悔するが、毒を食らわば皿まで精神でこの部屋に置いてある本を読むことにする。

 まず初めに結界について書いている本を探すことにしたが、偶然目の前の棚に該当しそうな本があった。


「結界の書という素晴らしいものがあるな。読むか。」


 そこには結界の魔法陣の基礎となるものや、そこをカスタマイズする方法、効果を持たせるための魔法陣までも体系立てて書かれている素晴らしい良書だった。普通に棚に並んでいた本とは比較にならない程の素晴らしいものだ。おかげで夢中になって1冊まるまる読破してしまった。

 外の状況が不明であるのでどれだけ時間が経ったのかよくわからないけれど、かなり有意義な時間を過ごすことができたように思う。ただ、どうしてこんな良書が隠されたところにあるのか不思議ではならないが。今は考えないようにしよう。


 そんなこんなで得られた結界の知識をまとめたのが以下になる。

 1.結界は魔力で構成された薄い膜である。

 2.範囲内に与える効果は魔法陣から放たれ、対象に与えられる。


 1.について、結界を構成する魔力の密度が高ければ高いほどに空間を隔てる能力が高くなる。だが、その能力が高いほど結界を維持する魔力量も膨大となるため、通常時は魔力密度を薄く、特定の事象を感知したときだけ魔力密度を濃くするのがいいと書いていた。その魔法陣もあったのでとてもgoodだ。

 さらに、結界は空間を隔てるが対象となる魔力の情報を魔法陣に組み込むことで、結界で隔てる対象から除外することができる。というのも、結界は魔力みたいなものでできているため魔力的なつながりによって結界に触れた魔力や事象が伝達されるようだ。そのため、特定の魔力を感知した場合は、魔法陣の中の特定の魔法陣を起動するような動作をすることができ、結界に空間を開けることができるということだ。何とも便利な機能である。

 こうしてみると、結界と魔力刀は似ているところが多いなと思う。特に、結界と魔力刀は魔法陣によって情報が付加された変質しやすい魔力で構成されている点だ。魔法陣によって付加される情報が異なるものの、コンセプト的には同じところにあるのかもしれない。


 2.については正確には魔法陣からだけでなく、結界からも放つことができるとのことだ。ただ、結界を維持している魔力を用いた方法は結界を弱める作用であることから推奨されていない。また、結界の内側に効果を与えるには通常の効果を付与する魔法よりも多くの魔力が必要であるみたいだ。その時の魔力の消費量の差については不明とのことだ。かなり結界についてまとめられていたが、それでもわからないことはあったんだな。


 さて、とりあえず満足したし不気味な空間から退散するとしよう。

 入ってきた場所から、人がいないことを確認しながら隠し部屋から出る。念のため周りを見渡しても人影は見当たらなかったので、自分の姿を目撃した人はいないようだ。人がほとんどいないことが幸いした感じだ。念のため段ボールに身を隠しながら移動したいな?気分的に?


 外に出るとかなり日が傾いていた。かなり時間が経っているようで昼ごはんも逃したようだ。そう思うとお腹が減っていたことを思い出したかのようにお腹が鳴り出した。


 自分は今、猛烈に腹が減った。。。


 そうして、何かに突き動かされるかのように動き出す中年サラリーマンのようにご飯を求めて学院から出ていくのであった。

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