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2-93 また王都に呼ばれてみた

(略しすぎています)

 長い魔動車の旅を終えてアステラ国の王都にやってきている銀髪ロリエルフになった者です。今は王都中心部の王城にある一室で待機しており、部屋の装飾の豪華さにとても驚いている最中です。場違い感すごい...。

 以前、プラチナランクへのランクアップで王都にやってきた時は王様のいる謁見の間に通されたが、今回は応接間のような場所に通された。多分前回はギルドランクがプラチナランクに昇格させる式典だったから公式の場がセッティングされたのだろう。今回はそういう事は何もなさそうだし、緊張せずに済みそうだ。


 そう思いながら、ギルド長のキースさんから渡された手紙の内容を思い出す。この手紙はエンシェント・タートル2体が暴れた日の4日後、ギルドに寄った時に声をかけられて貰ったものだ。キースさんは内容を知らずにただ自分に渡すように言われたらしい、政治的な何かを感じなくはないが...。考えても深い理由はないのだろうな。


 その手紙の中身は次の2点だった。1つ目は事態の収集に協力してくれたことへの感謝。2つ目はその事態収集方法についての話を聞きたいとの事だった。1点目は前振りで本命は2点目だ。これについては予想できていたことだ。文章での回答でも良かったみたいだが、王都に来てしまった。決して、移動費や宿泊場所を用意しておりますって文言に踊らされているわけではない。文書の回答だとちゃんと話が伝わらなかった時が面倒だから王都に来ただけですとも。ええ。他意はない。


 そうして振り返りながら待っていると、ドアをノックする音が聞こえてきた。どうやら話し相手がきたようだな。立ち上がるとしよう。

 体をドアの方を向けて待って切ると、ジェームス国王が入ってきた。国王さんがやってくるなんてマジか。てっきり要職の人あたりが来るのかと思ってたぞ。今から緊張してきたたたたた。


「カオリさん。元気そうで何よりだ」

「国王、お久しぶりです」

「そう緊張しなくても良い、ガチガチではないか」

「そりゃ国王さんを目の前に緊張しない人はいませんよ」

「そうだといいんだがのう...」


 ジェームスさんはちょっと遠い目をしていた。多分いろんな苦労があるんだろうな。ちょっとお茶目なところがあるし、素を晒している側近からは適当に扱われるところもあるのかも?


「ささ、立ち話はこのくらいにして腰を落ち着けて話そうではないか」


 そう言うと、国王は自分の対面にあるソファーに座った。ジェームスさんは真剣に話すことがあるのか、少し砕けた雰囲気から硬い雰囲気へと変化した。自分もそれに合わせてソファーに腰を下ろして真剣に聞く事にした。


「まずは、学園の演習地で生じた魔物異常対応並びに死亡事件調査に協力していただき感謝する。前回の反省を生かして、特殊魔動騎兵隊並びに宮廷魔導士隊を向かわせて警備に十分な戦力を向かわせたが結果的には歯がたたなかったようだ」


 今回の件は完全に予想を上回る戦力が必要な事態だったからしょうがない。だが、各国の高官が来ている以上今回のようなミスは許されざる事態でもある。甘いことは言ってられないのだろう。


「今回の事件の規模からしても、学園側や各国高官に死者が出なかったことは奇跡と言える。これも、カオリさんのおかげだ。この国の民を、各国の民を守ってくれてありがとう」


 そう言うとジェームス国王は自分に向けて頭を下げた。国王は頭を下げないという勝手なイメージがあったが、下げたと言うことは国としてそれだけ重大な事だと認識しているのだろう。まあ、シンプルに外交問題に発展していた可能性や、アステラ国の立ち位置もちょっと怪しくなるからそれを未然に防げた功績は大きいと考えているのだろう。


「その場に居たギルドメンバーとしての責務を果たしたまでです。顔をあげてください」

「本当にありがとう。感謝の気持ちとして何かを贈りたいのだが、何が良いか?」

「えっと....そうですね...」


 今欲しいもの...。争いのない平和な世界?いや、これは無理すぎるな。何か他のやつ...。この国に所蔵する魔導書については閲覧権を得ているので特に欲しいものはない。まあ、直近の疑問だと歴史について知りたいところだな。あの忘れられた洞窟の中にあった歴史書が正しいのか知りたくはある。完全に興味なのだが、何も要求しないのもメンツが立たないしこれでいいか。


「では、歴史書の中でもかなり昔のものを閲覧する権利を頂きたく思います」


 ん?この言葉を伝えたらジェームスさんの雰囲気に一瞬揺らぎがあったような気がする。ポーカーフェイスを貫いているが、少し警戒感が上がったようにも思わなくもない。アステラ国の歴史について過去に何かがあったのだろうか。


「ちなみに、それはなぜか聞いても?」

「もちろんです。自分は学園に蔵書されていた魔法書を読みまして、その当時に不便だと思った事を改善するために開発された魔法だと感じました。しかし、魔法書だけでは背景が不足して完全な魔法の解明には不足しているような気がします」

「なるほど。魔法の解明のために歴史書を知りたいのだな?」

「はい。読んだ魔法書は少ないですが、MSDを用いる現代の魔法とは大きく設計思想が異なっていると感じました。その設計思想は“現代“の言語で書かれた歴史書では読み解けませんでした。そのため、かなり昔の歴史書を閲覧したいのです」


 それを聞いて、少しだけジェームスさんの警戒感が薄れる。しかし、過去にあった何かに触れないでほしいとの雰囲気を感じなくもない。ジェームスさんは下を向いて考え始めたので、中々に難しい要求をしているのかもしれないな...。まあ、しゃーなし。別のことにするか。


「あの...無理そうなら別のものにします。今すぐは思いつかないので、また今度お伝えします」

「わかった。そうしてくれるとこちらとしてもありがたい。例によって闇魔法の関連などがあるからカオリさんと言えど、無闇に開示できないのだ。すまぬ」


 そう話すジェームスさんから伝わる雰囲気からは安心が伝わってきた。よほど知られたくないことがあるのだろうか?まあ、無理って言われたのでそれを知る由は無くなったのだが...。


「代わりと言ってはなんだが、事の顛末を話すとしよう。あと、これからお願いすることも」


 ジェームスさんはそう言って少し申し訳なさそうに話し始めた。

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