2-91 床に落ちていたもの
(略しすぎています)
「そろそろ帰ろう」
開眼も治ってるし、外に出ても大丈夫そうだ。
「さらば。また来るかも」
ここにはまだ読んでない本?がたくさんある。その中には自分の知らない情報がたくさん詰まっているから時間があればまた来よう。その場合は多分2泊3日くらいの日程になる上にどう頑張っても原始生活になるからテンション上がらないな...。
そう思いながら部屋の出口へと振り返って歩き始めた。開眼してないから、地面を含めて何も見えなくて不便だな。
この部屋は魔石のおかげで薄暗い光が照らされて辛うじて見えるけど、出口へと繋がる通路が暗すぎてずっこける自信しかない。たとえ何かを踏んだとしてもそれが何か判別できる自信がない。
音の反響を頼りに出口へと向かっていると、机があった隣あたりで何かを踏んだ。
「やっべなんか柔らかいもの踏んだ」
感触に湿気がないのが救い...。というか、ここ快適だから湿気なんてものは失われているはず...。うんち踏んだか...?そうだと嫌すぎるな。
気になりすぎたので一度立ち止まり、魔法で光の球を生成して踏んだものを確認する。すると、革でできた筒が床に転がっていた。
「最悪の結果じゃなくてよかったぁー」
安心しつつ、踏んだものを拾い上げる。革の筒は紐で括られており、これを解くことで中身を確認できるようだ。
「まあ、開けていいよね」
紐を引っ張って開けてみると、一枚の紙が出てきた。この紙に書かれた文字はさっき読んだ本と同じ言語で書かれており、幾何学模様が紙の大半を占めていた。何か情報がないかとりあえず読んでみる。
「えーっと、魔物生成術式?これはなんてタイムリーな術式なんだ」
幾何学模様の魔法陣に関してはさっぱりわからないが、紙に書かれた文章を読む限り魔獣に対抗するために魔物を生成してコントロールする術式のようだ。この紙に魔力を通すことで発動させることができるらしい。なんというかお手軽な感じだな。
使い方その1、地面に置きます。まあ、手に持っていても仕方ないよね。
その2、魔力を紙に流します。別に人から魔力を供給しなくてもいいらしい。
その3、完全に魔物が生成されるまで待ちます。
「生成する魔物はエンシェント・タートル!?」
この紙には確かにエンシェント・タートルが生成されると書いている。あのめちゃくちゃ大きくて攻撃力も防御力も高い魔物がこんなお手軽に生成されてたまるか!あまりに怖すぎる。ここに住んでいた人がいた世界は一体どんな世紀末を過ごしていたんだ...。
その4、思念を魔力に乗せて魔物に飛ばします。
わぁお、どこぞのゲセスターとかいう奴やマニューヴェがやってた奴だ。さらっと書かれているし、超絶一般的なテクニックのようだ。この紙に書かれた魔法を普通に使ってる世界が怖すぎるよ...。
「にしても、帝国機関やマニューヴェがエンシェント・タートルを召喚してコントロールする技術はここから来てるんじゃない?」
普通に考えてあのクソデカ魔物はこの世界に溢れていない。少なくとも自分の周りでエンシェント・タートルが暴れてますなんて話は聞こえてこない。ならば、それを召喚する技術は一般的ではなく、解析も進んで普及していないことになる。
そう考える根拠に、今回のエンシェント・タートルの生成?召喚?には大量の狂化人間の犠牲を払っていた。この紙には人から魔力供給しなくていいって書いてるし、帝国機関がとった方法は正規の方法じゃないと思ってる。故に自国や自分たちで開発された技術ではなく偶然この紙を手に入れて解析しないまま使っている可能性が高いのだ。
「なら、奴らはこの紙をどこで手に入れたんだ?少なくともここに入った形跡ないから、他の所からだよね?」
この紙に書かれた内容は必要最低限の表現で使い方を知らない人がいないかのような書き方だ。かなり昔は魔法技術がかなり発達してたことを考えると、そのような表現で良かったのかも。それか、よく使っているからこそ十分な表現だったとかね。
世界規模で狂乱の神が遣わした魔獣との戦いが起きてるので、世界の各所にシェルター的な場所が数多くあってもおかしくは無い。むしろありそう。それなら、魔獣対策としてエンシェント・タートルを生成する紙が各地に転がっていてもおかしくはないか。
マニューヴェはさておき、帝国機関がこれを集めて何を成そうとしているのかは分からないけど完全な武力に類するものなので碌なことはなさそう。彼らがこれらの技術を解読してしまう時がこの世界の終わりになるのかもね。
「あーやだやだ。もう考えずに帰る!」
魔法を使うのをやめて暗闇の洞窟を歩いて外に出た。空を見上げると深い青だった夜空は明るくなってきており、夜明けが近いことを知らせている。洞窟内を探索してそれなりに時間が経過したようだ。さあ、サリアたちの元へ帰るとしよう。そして寝よう!
「あ」
そういえば、特殊魔動騎兵を攻撃の余波でぶっ飛ばしたことを思い出した。何か言い訳を考えながら歩くとしよう...。




