タイトル未定2025/11/16 22:17
(略しすぎています)
本を手に取って表紙を開ける。すると最初の1ページ目に短い文章が書かれていた。
「勇者と神使の歴史。これは狂乱の神が遣わした者と世界を救う勇者の戦いを綴り、世界が全て無に帰したことを記した本である」
ふむ。狂乱の神というのは一体誰のことを指しているんだ?それに世界が無に帰ったってことは、全てが荒廃するほどの戦闘か何かがあったことになる。何もかもが新情報すぎてちょっと訳わからないな。
「えーっと、世界が落ち着きを取り戻した頃には我々が紡いできた歴史は全て戦火の中で消え、語り繋いだ伝承のみとなった。このままでは正確な情報までも失われかねないことから我々がまとめここに記す」
なるほど?歴史が全て消えるとなるとこの本を書いた人たちがいた場所は本当に無に帰ったのだろう。侵略された側の歴史や文化が消えるように、この人たちにも同じようなことが起こったのかもしれない。気になるところだし、最後までちゃんと読むとするか。その頃には開眼が解けていることだろうし。
読み進めようとしたところ、1ページ目の最後にこんな文章があった。
この本は魔導教本の類で魔力を流すと短時間で情報を得ることができる。知ることができる内容は書き記した内容と同じのため、この本を読む人自身が選ぶと良い。魔力情報体をコントロールする適正がないものには苦痛の時間が訪れることになるため、視覚的に情報を得ることを推奨する。
初めて見た機能だ...。今の世界は魔法技術がかなり発達した世界だが、この本が書かれたタイミングでは今を上回る魔法技術があったのは確かのようだな。
その方法で何が起こるか正直不安だが、魔力を使った情報伝達は時間のコスパが最高だ。自分が思う通りなら、魔法陣の情報を魔力に乗せるように単なる文字情報を魔力に載せているはずだ。そうなると、短時間の間に大量の情報を受け取ることができる。素晴らしいね。
「なんか脅し文句が書かれているが、再構成さんがいるし大丈夫。やってみよう」
正直、開眼は解けているので、宿舎に帰りたい気持ちがある。爆速で情報を得てゆっくり寝るとしよう。でも待てよ?事態の説明をしなくちゃいけない気がするし、寝ることできないんじゃ...。いや、今は考えるのをやめよう。そうしよう。
とりあえず、本に向かってわずかに魔力を流す。すると、本が魔力に情報を付与して魔力を送り返してきた。
「おお...」
魔力の流れが身体強化魔法みたいだ。自分の体からでた魔力が本に届き、そこで魔力に魔法の情報が付加されて自分の体に戻る。読み解くことができるかはさておき、なかなかにわかりやすい魔力の流れだ。でも、魔石もないのに本がMSDになっているのはどんな技術をしているんだ?まじで、この本が書かれた文明すごいな。
再構成さんが仕事をして、魔力のに乗った情報が頭の中に流れ込んできて、読んだ知識として記憶していたかのように脳に定着している。魔力に乗った情報体を情報を再構成さんが素晴らしい速度で整理をしているのもあって、大量の情報に頭が痛くなることもなくてストレスフリーだ。素晴らしいね。ありがとう再構成さんいつも助かってるよ。
「再構成さんによると...なになに?」
狂乱の神は神としての役割を果たしておらず、貧富の差は拡大し、魔族や魔獣による被害が増え、気候も荒れた。そのため、至る箇所で悲劇が蔓延して救いを求める人々が大勢いた。だが、狂乱の神はいくら願ったところで応えることは無かった。
だが、ある神が新たに手を差し伸べた。その神は我々に効果的な魔法の使い方を教え、我々は魔物や富を持って支配する者たちに抗う術を得た。そのおかげで、貧富の差は改善し、魔族による被害も減った。
そうして我々が願った平和が訪れた。しかし、狂乱の神はそれを良しとしなかった。魔獣をこの世界に生み落とした。その魔獣は暴虐の限りを尽くして、この世界を破壊したのだ。
その時、我々を救った神は再び手を差し伸べた。その神は勇者を遣わし、その魔獣たちや魔族の討伐を進めた。それは我々に希望をもたらした。
「この本によると狂乱の神が全ての悪で、その神とは異なる神が善か...」
しかし、その希望も長くは持たなかった。狂乱の神が神使を降臨させたのだ。その神使は世界の全てを破壊し尽くした。我々の生活、歴史、文化、そして最後の我々の希望であった勇者でさえ全てを無に帰した。
神使はやがて姿を消し、世界には無が残った。狂乱の世界を生き抜いた我々だったが、そこには何も無かった。我々を救った神でさえ、我々がどれだけ願ったとしても答えることは無かった。狂乱の神が我々を救った神を殺したのかもしれない。
「なるほどねぇ...確かに狂乱の神は何がしたかったのかわからないな。多分、理解できなかったから狂乱って言われてるのかも」
まとめてみたが、よくある話っぽい気がする。だけど、勇者は神が遣わした者という表現が気になるところだな。普通に考えると勇者って神が決めるのではなくて人々が決めるのでは...?第一、狂乱の神が遣わしたのが神使で、救った神が遣わしたのが勇者って使い分けているのも気になる。両方神使だろうに。ややこしいから分けたのかな?
だが、この世界の今の現状に置き換えてみよう。
自分を除いて教室に居たクラス全員がなんらかの勇者として活動している。クラスメイトは転移で、なんらかの力を得てこの世界にやってきた。それすなわち、手を差し伸べた神的な存在が手を回した結果ということになる。こちらは善。
一方で、女神に転生させられた自分は勇者ではない。だから、狂乱の神のところの神使に当たるのではないだろうか。こちらは悪だ。
いやぁ?そんな文化を破壊し尽くすことなんてできませんとも?ビバ文化的生活よ?魔物に対してぽこぽこしてたりするけど、それ以外には特に力解放してないよ?なんか結果的に、特殊魔動騎兵ぶっ飛ばしたりしたけどそれくらい...。むしろ、文化を守っている方に属するんだけど。
今の状況と当てはまる部分がなくは無いが、一致するほどでもない。自分とクラスメイトの勇者たちに関する情報についてほぼないと言ってもいいだろう。ほんの少しの参考程度にしかならなかったが、記憶の片隅に留めておこう。だって、最後のページに狂乱の神の名と手を差し伸べた神の名が黒塗り...いや理解不能になっていたからだ。多分、何かある。そう感じた。




