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2-70 捜索依頼についての相談と捜索依頼の狙い

(略しすぎています)

 隣の会議スペースに移動したサリアたちと捜索依頼の件を話し合うことにした。念の為防音用の結界を発動させて内容を聞かれないようにしておいた。自己防衛していかないとね。多分無意味だろうけど、やっておくことに意味があるのだ。


「と言うわけで、さっき聞いた捜索依頼を受けるか話そうと思う。みんな思ってることそのまま口に吐いちゃって大丈夫だよ。ちなみに自分はめちゃ怪しいと思ってる」


 そう言うとまずサリアが発言した。


「私も怪しいと思ってる。だって、捜索に必要なメンバーが大規模でもないのに、宿舎防衛に影響が出るって言ってるんでしょ?おかしいよ」


 それに同調するようにリナが発言した。


「それに関しては私も!危険な場所に出向くのがギルドメンバーや宮廷魔導士の人たちなのに、私たちが行くのっておかしくない?それに、学生が捜索に行くよりも宿舎で防衛の戦力として動いた方が状況の穴埋めは容易だよね!?」


 さらに同調したシルフィアが発言した。


「それに...捜索するのは私たちである必要性がありません...。でも...私たちでなければならないという口ぶりでした...」

「この依頼は明らかに」

「「「「怪しい」」」」


 サリアたちの意見はごもっとも。みんなは自分が考えていた不可解なところを全て把握しているようだ。そして意見が一致している。この辺の共通認識ができているから次に進めるとするか。


「その上でこの捜索依頼どうする?自分は受けてみてもいいかなって思ってる。受けるつもりだったら手を挙げてみて」


 シルフィアは手を挙げて依頼を受けるつもりのようだ。でも、サリアとリナは手を挙げておらず受けないつもりのようだ。意見が割れるのは珍しいな。


「それじゃ、反対意見から意見を聞こうかな。まずはサリア、次にリナの順で」

「シルフィアちゃんも言ってたけど、危険な場所に向かうのは別に私たちじゃなくてもいいよね。それに怪しいから他のパーティーに任せてもいいんじゃないって思ってる」

「私もサリアちゃんと同じ考え。カオリちゃんじゃないけど、今回はなんか嫌な予感がしてるの」


 リナの発言をさらに促すようにシルフィアが言葉を発する。


「それは勘...ですか...?」

「経験に基づく勘に近いかな。私って結構情報集めてくるじゃん?その時に問題が起こりそうな予感がする話題ってお決まりのパターンがあるの」

「それって、どんな?」


 サリアの問いかけにリナがさらに言葉を続ける。


「うーん?物事が起こる理由の連続性かな?何かが起こる前って、当事者に重要な情報が抜け落ちた状況で物事が進行してるの」

「確かに。今回だとそれが、私たちが選ばれた理由ってこと?」

「カオリちゃんの言うとおりで、まさにそこなの!だから何か良からぬことが起きそうなんだよね」


 2人の気持ちはめちゃめちゃ分かる。自分だってそうだ。きな臭さ満載の依頼には行きたくない。でも、自分が気になっているのはさらにその先。依頼を受けた後や、受けなかった後の話だ。


「それじゃ、賛成意見を言うね。シルフィアから言う?」

「それじゃ...私から。聞いた感じでしたが...あの会議に居たお偉いさんたちは...私たちが捜索に向かうことを前提としていました...。なので、サリアちゃんやリナちゃんが言うとおり...依頼を受けた先で何かが起こると思います」


 シルフィアの話にサリアが発言した。


「でもシルフィアちゃんは依頼を受けるんだよね」

「そうです...私は彼らが何か起こすこと前提で...物事を進めていると考えています。なので...依頼を受けなかったところで...何かが起きることが変わらないんじゃないでしょうか。なら...依頼を受けた方が今後起こる事象を予測できるので...対応できそうな気がしてます」

「なるほど、そう言う考えもあるね」


 シルフィアの言う通りだ。相手が問題を起こそうとする時、ある目的に沿って物事が動くように状況を整える。だから、あえて相手の思惑に乗ることで生じる問題をある程度予測できるようになる。そうなれば、問題が起きた時の対応も容易になるはずだ。思惑が十分に分かっていないとはいえ、あえて相手の思惑の上に乗った方が今後起きる事への対処が容易となるはずだ。

 だが相手の思惑から外れた行動を取ると、相手は目的に向かうように修正する行動を取る。だが、その行動は前情報がない場合ランダムにも思えるほど選択肢が多い。そうなると、相手の思考が読めなくなって今後生じる問題が読めなくなる。根本的な思惑が判明しているならば話は別だが、そうでない以上何が起こるか予想できない。精神的な苦痛を味わうことになるだろう。

 さて、自分が言いたいことはシルフィアが言ってくれたので自分は他のことを言うことにしよう。


「それじゃ、次は自分が言うね。基本的な考えはシルフィアと同じだよ。それに加えて、自分たちを向かわせる根回しが完全についている事が気になってる。学園側は生徒を危険な地へ向かうことを良しとしていなかったけど、今は学園側も行ってほしいと言ってきた」


 そうなのだ。一度、学園の生徒を守るために宿舎に引きこもるのが一番いいよねと言う話でまとまっていたはずだ。なのに、守る対象である学園の生徒を不安定な状況の演習地に送りだす流れになっている。矛盾した流れは自分たちの見えないところで何かがあったことを物語っている。


 加えて、気になるのはジェシカさんの同行が許されたことだ。

 連合国勇者のお付きであるはずのジェシカさんは帝国の情報に詳しかった。最初にあった時に帝国周辺で起きた獣人の無惨な死の噂を聞いてきたり、帝国で起きた2週間前の情報を詳細に得ていたりと謎に帝国の情報を持っていた。勇者のお付きと言えど、国外の最新情報を得るには誰かの協力が必要だ。

 そして、ジェシカさんは帝国の情報収集員の不審死現場についた時、ショックを受けていた。それだけじゃない。その調査をする時もかなり真剣に取り組んでいた。それが身近な人の死であったかのように。帝国の情報収集員と繋がっていたか?いや、まさかな。他国と繋がってる不穏分子を排除したいだなんてそんなことは...。


 それに、今回の件で帝国と共和国のお偉いさんは他国のお偉いさんと異なる様子を見せた。自分たちに対して何か行動を起こすだけの理由が、その2国にあるはずだ。

 少なくとも自分は帝国と共和国の両方と嫌な関わりがある。その国の勇者またはその留学生との問題に巻き込まれ、国の評判が悪くなるような結果で解決された。それに、昨日の魔物騒ぎがジェシカさんの排除を目的にしたものとするならば、自分はそれを阻止したことになる。帝国と共和国からすると自分は邪魔でしかない存在になっているはずだ。となると自分も排除対象になるか...。

 

 ああ、なるほど。排除対象を誰も居ない演習地に送り込んで始末をつけてしまおうと考えているわけだな?ああ、それで納得がいったぞ。この一連の事件も、この違和感が多い捜索依頼も。何かの勘違いであってほしいと強く願っているよ。


「それに...」

「「「それに?」」」


 いや、これは言うべきことじゃないな。


「宿舎ばかりじゃ暇でしょ?」


 ズコーーと擬音語が聞こえてくるほどにサリアたちが勢いよく倒れた。


「私たちも大概ですけど」

「カオリちゃんも!」

「人のこと言えないほど...」

「「「戦闘狂ですよね?」」」

「な、なんのことかな?」


 なんか硬い話が続いてるからブレイクしただけですよ?


「冗談はさておき、問題が起きた時に相手の出方が読みやすいから自分は依頼を受けようと思う。って何、みんな揃って怪しい目をして」

「「「じーーー」」」

「そんなに見たって冗談は冗談...」

「「「じーーーーー」」」

「ワタシハ、戦闘狂じゃナイデース。平和を愛するのんびり過ごすの大好きっ子ちゃんデースヨ?」


 みんなやめて、疑惑の視線を受け続けるのは地味に辛いの!平和を愛してる幼気な少女なの!


 その後、少しだけ話すとすぐに結論が出て捜索依頼を受けることにした。みんなも問題を回避したいのは同じ気持ちだ。だが何か起きることは予想されている。なので、何か問題が生じた時に対処がしやすい状況が作れるよう、捜索依頼を受けることに決まった。

 そして、何か問題が起きた時は依頼放棄で、爆速で宿舎に逃げ帰ろうということも決まった。何せまだ学生の身分だ。命大事にしても文句は言われないだろう。それがたとえ勇者たちの救出だったとしてもだ。

 多分、これから起きるだろう問題は自分が何とかする。これは自分が引き寄せた災いだ。自分で尻拭いをしなければいけない。増して、それが身近な大切な存在であるサリアたちに降りかかるとなれば尚更だ。

 もう、ピクニック気分では居られない。気を引き締めるとしよう。

(修正入るかもです。多分。)

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