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17 魔法学園入学初日

(略)稚拙な表現等々、目をつぶっていただけると幸いです。

 どうも、無事試験に合格し第一魔法学園に入学することができた銀髪ロリエルフになった者です。先日、サリアとともに試験の合否を確認しに学院へ向かったところ、2人とも合格と表記されていました。試験官の反応からして心配していなかったものの、ちゃんと合格と判明すると気持ちが軽くなりました。とてもよい。

 それから入学式までの7日間は家具を買ったり、魔法の魔力刀を練習したり、屋敷周辺の魔物をポコしたり、魔石買取ってもらいにギルドに行ったりしていました。魔力刀の扱いにも慣れてきて魔力の消費具合もわかってきた。魔力刀を発動し続けて10分程度経過すると、自分の青い目が目が赤く光り、開眼モードになってしまうことも判明した。これには少し困ったもので、アイスニードルとの併用を考えると、常に使うことができなくなるのだ。日本刀を振り回して戦う戦闘スタイルを想定していたけれど、そういうわけにもいかないので戦闘スタイルももう一度考える必要があるな。


 前回からのあらすじはさておき、現在はサリアとともに学園の入学式に出席するために学園の敷地内から大講堂に向かっている最中だ。確かここは入学試験?の用紙記入するときに訪れた場所なので、学園の敷地が広くて建物が多いけれども迷うことは無い。


「そういえば、サリアのその服装ってこの学園の制服?服装は自由と聞いていたけれど、制服を着てきたんだね」

「この制服ってかわいいのに、防御性能もすごいみたい。だから、いつもの服装よりかはこっちのほうがいいかなって。」


 ベースとなるのはノースリーブの白基調のワンピースだが、裾の長さはミニスカくらいだろうか。さらに裾の折り目はプリーツになっており、裏地は黒くコントラストが効いている。その上から黒基調か白基調の上着を羽織るようなスタイルだ。腰のあたりにはベルトがあり、そこにMSDなどを装備できるようになっているようである。この制服を端的に表現するならばアクション系の魔法学園の制服という感じだろうか。

 サリアの制服姿はそれはとても似合っており、黒基調の上着が彼女の金髪の美しさを強調させている。うん。とてもいい。95点。100点でないのは深い理由なんてありません。ニーハイまたはオーバーニーソックスではないからです。彼女が履いているのはハイソックスなので。くぅぅ。100点あげたかった。


「カオリはいつもの戦闘服なんだね。てっきり制服で来るかと思ってた。」

「考えたんだけど、なんかいつも着ている服装が一番落ち着くからこれでいいかなって。一応、制服を買ってはいるけどなんか着心地悪くて。」

「着心地の問題かぁ。私はあんまり気にしたことないからピンとこないな。」

「自分からするとその気にしなさがうらやましい。」

「ところで、カオリちゃんの足に装備してる黒いナイフってMSDだよね?初めて見た」

「そうそう。いつも(ここ最近は)使っているMSDでとても切れ味が良くて重宝してる。魔物もすんなりと刃が通ってくれるから戦闘も楽になって助かってる。」

「そこまでそのMSDをほめていると、その切れ味が気になってくるなぁ。」

「機会があったら貸すから使ってみて」

「その言葉ちゃんと聞いたからね!?忘れないでね?」


 サリアはこのナイフがとても気になっているようではある。学園に通うと実践演習もあるだろうし、試しに使う機会もあるだろうから、その時に貸すとしよう。

 

 話している最中に入学式会場である大講堂に着いた。

 大講堂は1階は広いフロアで2階は席がある観覧可能な体育館のような作りとなっており、新入生は1階のフロアに設置された椅子に座るようだ。すでに設置された椅子の半数は埋まっており、よくわからないけれど、亜人族と人間族に分かれて座っているようである。すでに何かがあったのかはわからないけれど、どこか互いに牽制しているような雰囲気がかすかに漂っている。2階席には上級生だろう人たちがまばらに座っており目利きを利かせているように感じる。

 この雰囲気や構図がこの先の学園生活を送る上でなにかの問題が発生するぞと言わんばかりであり、楽しい学園生活を送ろうかと思って上機嫌になった気分に水を差された。どうしてこうなった。

 サリアもその雰囲気を感じているようではあるが、自分のように面食らっていないようだ。だが、サリアの表情からはどこか諦めの雰囲気が感じられる。この状況になる理由について何か知っているのだろうか。この講堂内の雰囲気の中ではその質問をすることは憚られるので後で聞くとしよう。


 その雰囲気はサリアや自分が式の開始を待っている最中も漂っており、続々とやってくる新入生を飲み込みながらだんだんとハッキリ感じれる程度まで雰囲気が悪くなっていった。そんな強烈な雰囲気も式の開始のアナウンスで霧散された。


「それでは、今年度の入学式を始めさせていただきます。最初に学園長からの挨拶があります。」


 壇上に上がった学園長を見るに、おじいさんにふさわしい外見をしているが侮れない雰囲気を感じさせる不思議な人物だ。そんな人物の最初の初動は気配探知に使う魔力によるソナーであった。

 学園長は壇上に上がって一息ついたかと思うと、表情を変えずにいきなり弱い魔力を放ったのである。想定外の事なので何が何やらよくわからない。自分たちの周りの人たちは何も気にせずに正面を眺めていたが、サリアは魔力を感じたようで、自分とサリアは目線を合わせて相談する。


「ほう、これは先が楽しみじゃわい。」


 こちらの反応を確認してから、少し口角を上げてた表情となった。その表情から察するに、特に問題が発生したわけでもなく、単に試されただけであった。ちょっと心臓に悪いからやめていただきたい。


「魔法の知識を学びに来た者たちよ。ようこそ第一魔法学園へ。ワシは学園長のアルバート・E・ジャクソンじゃ。この学園で”仲間と協力”し切磋琢磨して互いの力を高めていってほしいと願う。さすれば、学園生活がより豊かで実りあるものとなるだろう。ワシからは以上じゃ。」


 学園長は短い挨拶を行い壇上から去っていった。随分とすっきりとした挨拶だったのでてっきり10分間くらい謎の話を聞かされるのではないかと覚悟していただけに、少々驚いた。そういえば、やけに協力のところだけ声が大きかったように思う。開始前にギスギスした雰囲気が生じているのを感じての言葉なのだろう。


 その後は生徒会長挨拶とか新入生代表の言葉とかがあったようだけれど、なんか希望に満ち溢れたこと言ってるなーとしか思わなかったので、転生前から得ていたどこでも睡眠スキルを使って半分寝ていた。明らかに実のない話にはこの手に限る。

 

_________________________


 式が終了して各自が所属する教室へ移動となった。自分が所属するはサリアと同じHクラスであったので一緒にクラスに出向くと、そこは亜人族ばかりで構成されたクラスであった。 年齢的には16歳とかそこらへんだろうか?雰囲気からしてそのくらいの年齢が大多数を占めており、自分のような一応12歳のクラスメイトはいないように思う。もしかして、この学園は高校に相当するのだろうか?少し場違い感がしなくもない。

 さらに、入学試験を受けに行った時や入学式に出席した人を見た感じ、同族であるエルフはサリア以外いない。当然、クラスの中にもいない。街中でも見かけなかったし、どうやらエルフはこの地域周辺にはいないのだろうか。

 だがクラスには、うさ耳や猫耳、ケモミミ、角などなどバリエーションに富んだ種族がいる。転生してから街で亜人族をチラホラ見ているが、間近でいろいろ見れる場面はなかったので珍しさが先行して色々視線を飛ばしまくっている。かわいい子が多いのも一因だったりするというわけではない。決して?。あのモフモフした尻尾を触ってみたいなッ!

 街中でも珍しいエルフが2人そろっているものだから、クラスの女子が入れ代わり立ち代わり挨拶をしていく。挨拶の間も、さりげない視線をケモミミなどに飛ばしながら対応する。いやまじ、話してたら耳がぴょこぽよこ動くのよ。気になってしょうがないので、もう見るしかないよね。

 そういえば、クラスには男子もいるのだが、なんで女子ばかり話しかけてくるかなーと単純に思ったが、そういえば自分は幼女なのだ。同性なので、そりゃ挨拶はしやすいだろうなと思う。だが、男子高校生から転生というか転移?した身であり、精神はまだ男のはずなので女子ばかりに話しかけられるのは違和感がある。トイレに入るとき、男子トイレと女子トイレのどちらに入るか一瞬迷いがあるのでまだまだ精神は男のはず。はず!。


 ひとしきり挨拶を終えて、空いている席に座る。知らない人と話すのは精神力がゴリゴリ削られる。男子高校生していた時ならば、ドラマやゲームなどの共通の話題で話せるが、如何せんこの世界に来てからろくな情報収集ができていないので共通の話題がないのだ。もうあれよ。お見合い状態よ。キョウハテンキデスネ。キュウジツナニシテマスカ。アハハ。


 サリアもしばし疲れたようで、自分の横の席に座った。

 席から再びクラス全体を見渡す。すでに知り合いの人たちとの会話を繰り広げ笑っている者もいるし、初めましてな感じでお互いの距離感を探っている者もいる。全体の雰囲気としては和気あいあいとしたもので、入学式のようなギスギスとした雰囲気はいったい何だったのか。

 それと、入学式では人族も多くいたにもかかわらず、クラスに人族がいないところからして完全に意図してクラスを分けているように思う。ギスギスした雰囲気と言い、このクラス分けと言い、確執が生む何かがあるのだろうな。気になったからちょっとサリアに聞いてみるか。

 

「サリアさんよ、サリアさん?」

「何でございましょう?カオリちゃんさん」

「入学式のギスギス感とこのクラスの穏やか感のギャップってどこからきているの?」

「人族が勝手に決めた亜人族の地位からきていると思ってるの。」

「例えば、差別的な感じ?」

「そんな感じの扱いかな。差別的な感じは連合国だね。表面上は奴隷制度も禁止で平等を掲げているけれども、差別的扱いが横行してる。そのほかの帝国や共和国、協商国では亜人族は奴隷扱いだね。でも、この国では亜人族と人間族はちゃんと平等の扱いになってる。」


 どうやらこの国以外では扱いがひどいようだ。この国での亜人族の扱いと言えば人種の壁なんてあるの的な感じで、気にせず接している人しか見たことが無い。この国の成り立ちと少しかかわっているのだろうが、どうしてこの国だけが亜人族を平等扱いするのか気になるな。この国の成り立ちについてとかそういう簡単なものは図書館に行ったらあるだろう。機会があったら立ち寄ろう。

 成り立ちはさておき、どうしてこの国の学校であるのに荒れているのであろうか疑問に思った。


「この国の学園だし、生徒もこの国の人がほとんどだからギスギスすることないと思うんだけど、何かあるの?」

「それが、この学園は魔法教育が優れているから毎年各国から大勢留学してくるの。だから入学式会場で亜人族と一緒に扱われたと気分が害されてあんな雰囲気になっている感じ。」

「それはかなりいい迷惑だよね。」 

「それとね、」


 サリアが言葉を続けようとしたとき、このクラスの担任らしい人が入ってきた。サリアはそれに気づいて言葉を遮ったようだ。


「先生来たから、話はあとでね」


 サリアに頷いて返答を返す。話の続きが気になるが、とりあえずはとクラス担任がいる教壇の方へ目を向ける。


「Hクラスの皆さん、はじめまして。Hクラスの担任になったエルバです。今日は...」


 エルバ先生は見た感じ人族の女性で、柔和そうな顔だちに緑色の長い髪と眼鏡が特徴的な人だ。クラス全体に向けて話している姿は落ち着いているように見えるが、どこか一生懸命なところを感じるので先生になってかなり日が浅いのだろうな。

 

 そんな先生の話によると、この学園の魔法師コースのカリキュラムは午前中は座学で魔法に関連したものを学び、午後は演習場で戦闘演習というような感じである。習った魔法を忘れないうちに練習できるのはとてもうれしいな。

 さらに、放課後には演習場を利用できるので魔法の練習をさらにしておきたい人にはかなりうれしいサービスである。これは魔法の練習がはかどるな?。まあ、無属性だから魔法は使えない設定だし、使っても初級魔法くらいだろうけれども。本格的に練習するなら自分の家の敷地でするかな。広くて誰もいないので練習にはもってこいだろう。


「とまあ、学園生活や学園の設備についてはこんな感じです。皆さん、なにか質問などはありますか?」


 クラスメイトの一人が手を上げ、先生に促されて質問をする。


「はいっ、午前習った魔法を午後の演習で使いたいとなった場合、MSDに無い魔法の場合は使いたくても使えません。学園内でMSDの書き換えってできるのでしょうか?」

「MSDの書き換えを行う施設があります、初級魔法~中級魔法までは無償で書き換えを行いますが、それ以上のレベルの魔法の書き込みは有償となっています。ただ、一部のMSDについては書き換えることができませんので、書き換えることができるか前もって確認しておいた方がいいかもしれません。」

「ありがとうございます。」

「そのほかはありませんか?無いようであれば今日はこれで以上になります。」


 エルバ先生の終了の言葉を聞いたクラスメイト達は席を立って移動し始めた。大半は下校途中のどこそこに行こうだとか、食堂で一緒に食べようだとか昼ごはんについて話している。一部は先生の前に行って色々個人的な質問を投げているようである。先生があたふたしているし、顔も照れているような感じになっている。これを見ているに先生がクラスのマスコット化するのは時間の問題だなと思う。


 お腹の腹の虫が限界と声を上げているので自分も昼ごはんと行きたいところだ。サリアを誘ってみるか。


「サリア、この後一緒に食堂で昼ごはん食べない?」

「そうねぇ...。一緒に昼ごはん食べたいのは山々なんだけど、食堂はちょっと遠慮したいかな。」

「雰囲気的なsomethingで?」

「そう。雰囲気的なsomethingで。雰囲気悪いと、落ち着いて食べられないし。それに、絶対なにかに巻き込まれる気がするの。」

「そういわれればそういう気がしてきた。おのれ、雰囲気的なsomething、許さん。」

「代わりにギルドで昼食にしない?そのあと、一緒に魔物狩りでもどうかな?」

「いいね、その流れに賛成。」

「そうこなくっちゃ」


「話は変わるけど、さっき言いかけた話の続き利かせてもらえる?」

「あー、なんだったっけ?言おうとしたのが何だったかすっかり忘れちゃった。」


なんてこったい。すぐにでも聞いておくべきだった。このままだと、気になりすぎて朝の8時には目が覚めてしまう。


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