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16 物件改装1と装備購入と門番の詰め所にお礼

(略)稚拙な表現等々、目をつぶっていただけると幸いです。

 入学試験を終えて結果待ちの銀髪ロリエルフになった者です。試験結果は明日学園内の掲示板に掲載されるのでサリアと一緒に行こうということになっています。特に今日は予定もないので物件の改装をしようと思います。


「うーん。この塀の壊れ方はひどいな」


 歴史を感じる中古物件を購入して立派な城のような洋館をを住居にしているが、魔物対策としての塀が盛大に半壊している。この建物周辺は魔物が発生しやすい位置のようで、屋敷にいる人間を襲おうとする魔物が塀などを破壊するようである。

 敷地内の塀をぐるっと確認したところ、大体の個所が壊されており魔物対策としての機能を果たしてはいない。もう一つの魔物対策として魔物除けの結界があるものの、この結界がどれほどの効果を持つか不明であるし、用心しておくことに越したことはない。


「とりあえず、現場検証してから壁を生成しますか」


 自分の能力の一つに物質の生成がある。この能力は物質を分解したエネルギーから任意の物質を生成することができ、一度分解したものならば再度生成することができるという優れものである。まじ升。

 そんな能力を使って強固な壁を築くわけであるが、まずは現在の塀が破壊されている原因を知らねばなるまい。原因を特定して対処方針を決めればいい感じに耐魔物性能が上がるはずだ。


「んー。レンガをモルタルで接着したつくりで、塀の厚さは40cmくらいか?。壊れ方的には敷地外の方向から崩れているからブロック崩し的な感じでコツコツ崩れていったパターンかな」


 レンガ造りなのでいくつか層になっており、一点に受けた負荷を複数の層で分散することができるので一挙に破壊されることは少ない。しかし、繰り返し同じ個所に衝撃が加わるとレンガの接着がはがれて層が変形するために耐久値がなくなり崩壊する。そのため、塀の素材がもろい物を使用したり、素材と素材の接着が弱かったりした場合は単なる石を組んだだけの壁と変わらず、魔物対策の塀にはならないだろう。


「となれば、レンガの代わりに固い材質の物で作りなおすか?金属のブロックとか?」


 どうせならば何か工夫を加えたいとこだ。玉ねぎ装甲や防弾ガラスって確か層になってて、固い物の層と比較的柔軟性がある物の層で作られていたような?これを取り入れるか。玉ねぎ装甲の芯には太めの金属の杭としてその杭を地中深くまで埋めたら問題はないな。固めの材質はステンレス的なやつでいいとして、柔らかい物はゴムにするか。いい感じに衝撃を分散してくれそうだ。しらんけど。


「よし、作るものは大体イメージできたし後はこれを生成するだけ」


 元あった塀を分解して元あった場所にイメージした塀を生成していく。最初の方はちょっと生成をてこずったけれど、パターンが決まっているのでとても楽だった。その分やりごたえも少ないわけで、最後の方は完全に作業だった。

 塀の一番外側はステンレス鋼でおおわれているがどう考えても鏡の状態なので、黒の被膜で覆っておいた。


「へい、いっちょ上がり。いやどう考えても寒いな。それはさておき、問題は客人から見えるゲート周辺だ」


 ゲートは客人の目に必ず触れるところなので意匠を凝らしたいところである。ゲート周辺のレンガ造りの造形はきれいなものがあり、館のイメージと合致するので、これを壊さないようにしなければならない気がしている。一番簡単なのは外側はレンガで、内側はオニオン装甲的+杭的なものとすることだろう。っていうか見た目そのままで強度上がるし、それでいいや。採用!


 えっちらおっちらと元あるゲートを分解して新たな塀を生成する。扉は元あったおしゃれなデザインを尊重して、補強することで再利用した。扉が一番強度が弱い気がするけれど、見た目は大事。でもまあ、大型バスが突っ込んできても耐えることはできるだろう。しらんけど。


 そうして、館の周囲にあった塀を修繕し終えた。ただ、能力を使いすぎたせいで開眼してしまったので街へ出かけるのは収まってからになりそうだ。それまでは洋館の自室でゆるりと紅茶でも飲んで外の景色でも眺めてようかな。


_____________________________

 

 優雅に湖を眺めてて、ふと武器に関する疑問を思い出した。

 そういえば面接とかギルド証作った時ってどんな戦闘スタイルって言ったっけな?物理攻撃メインとか間合いとか言った記憶があるような、ない事は無いような。ということは何か武器になる何かを持っていないとおかしなことが始まる。いやまあ、拳で抵抗しているんで。とか言うと大丈夫だと思うけど、物理攻撃型MSDがある世の中で素手パンチはかなり浮いた存在となるだろう。ギルドの人ならばなんかこう、拳でとか落ちてた木の棒でとか言うと問題ないような気がしなくもない?が、これから入る学園では戦闘経験があまりない人たちが来るところであるので、そういう風に納得はしてくれる人は少ないだろう。そうなれば、物理攻撃ができる武器的な何かが必要だ。


 というわけで、工房シュトーの前にやってきました。自分の館から工房シュトーに着くまでにかれこれ3時間は経った気がする。どう考えても、館から最寄り駅までが遠すぎるので何か考える必要があるな。

 シュトーまで来た道のりを思い返すと、何でこんな文明社会で行脚僧をせねばならんのだと、うだうだ言ってしまいそうなので、とりあえず店内に入るか。


 扉を開き、入店を知らせる鈴の音とともに店に入る。すると店員さんが顔を出してきた。


「らっしゃい。おや、嬢ちゃんじゃねえか。どうしたよ?装備に何かあったか?」

「いえいえ、何も問題はありません。とても気に入っています。今日は攻撃型MSDを見に来ました」

「そういえば嬢ちゃんリングタイプのMSD買ってたから、今度はメインとなるMSDか。」

「そんなところです。」


 ちょっとした会話を挟んで、MSDのコーナーへ行く。物理攻撃型MSDは斧、短剣長剣、ナイフ、槍などなどタイプがたくさんある。だが、置いているものはどれもピンとくるものがない。おいている武器のデザインはかっこいい物もあるし、どこか可愛さを感じさせるようなものもある。だが、ピンとこない。なぜだろうか。湾曲とスリムさを兼ね備えたものが見当たらないからだろうか。はたまた、刀が見当たらないからだろうか。うん。答え出たね。

 ここは異世界であるが、転生なり転移してくるものがいるとなれば、その人たちの居た世界での武器があってもおかしくはない。つまりは、日本から転生してきた人が日本刀をこの異世界で広めていてもおかしくはないと思う。だが、少なくともこの店にはMSDとして置いていない。どうしたものか。店員さんに聞いてみるか?


「すみません。剣タイプのMSDなんですけど、いい感じに湾曲してて片刃で細身なものっておいてないですか?」

「あー。あれか、カタナか?あれはうちでは取り扱ってないな。なんせ、打ち合おうものならすぐに刃が欠けて折れちまう。」

「取り扱っていなんですか。そのカタナがあれば買おうかと思っていましたが、すぐに刃が欠けるなら考えものですね」

「ああ、だがこんな伝説があったりする。はるか昔の勇者はなぜかそのカタナをたいそう気に入って使ってたそうだ。だが、それ以降の勇者たちは直剣が好みでいろいろ問題があるカタナは使わなかったそうだと。」

「変わった勇者さんもいたもんですね。」

「カタナの製法も最初は受け継がれていた。だが、カタナを使う勇者がいなくなってから使う人が少なくなってしまったようで、製法も廃れてしまったようだ。今カタナとして売られているものは形だけ似せたもので強度がねぇ。」

「さすがに強度がない物はMSDとして使えませんよねぇ。」


 せっかくカタナというものが伝わっているにもかかわらずその製法が失われているとは嘆かわしいものだ。しょうがないので他のを選ぶか?短剣?うーんそれもなぁー。


「嬢ちゃんよ。どうしてもカタナの形状にこだわりたいなら、魔法の一種の魔力刀でカタナの形にすることもできるぞ。」

「なんですと?もうちょっと詳しくお願いします。」

「魔力刀は武器のエンチャントの一種だ。意図的に魔力を放出して剣の周りに凝集させることで切れ味が増すというものだ。通常は芯となる剣に沿って魔力を纏わせるが、稀にその魔力を飛ばして攻撃したり、剣の長さを魔力刀を使って伸ばすということもある。」

「とても便利な力ですね。」

「ああ、切れ味が増すことから、刃がついたMSDを買う奴は大体魔力刀の魔法を書き込んでいる。ただ、その切れ味の代償として魔力刀の発動中は魔力を消耗し続けるからずっと使い続けることも出来ねぇな。」

「便利なものには代償がつきものですね。ただ、めちゃくちゃロマンがあっていいですね」

「魔力刀をカタナとして出現させるには結構魔力が必要になるが、ミカから聞いた話では魔力が結構あるようだし大丈夫なんじゃねぇか?」

「そのとおりで、何とかなるかなと思っています。お話、ありがとうございました。」

「いいってことよ。」


 さて、攻撃型MSDが刀の形をしていなくともそれっぽく魔法で何とかなることができることが分かったのは大きい。これによってMSDの選ぶことができる範囲がぐっと広がるわけだ。森の中を駆け回ることが多かった身としては長物は木の枝などによって阻まれることが多いので避けたいものだ。なので、選ぶべきは短い物だ。さらに、魔法刀で刀の形状を作るときに元ある剣の形状が邪魔にならないようなものを選ぶ必要があるな。そうなると短剣とか?脇差?はちょっと長いか。ナイフ系ならいけるかもしれない。ナイフを構えて相手と対峙するロリ幼女の絵面は360周回って強キャラ感が出ているような気がしなくもない。F〇Oのジャック〇リッパーじゃん。ありありのあり。虐殺、始めるよ?

 選ぶものもだいぶ絞れたので再び棚に陳列されたMSDを見ていると一つ気になるものが見つかった。それは、この世界の合金で最軽量で魔力との馴染みもよく、かつ靭性と硬度を兼ね備え、耐腐食性能があるというとりあえずてんこ盛りの性能突っ込んでみました感満載のナイフである。片刃で刃渡りは20cm程度で、全体的に艶消しの黒に塗装されているシンプルなものである。MSDとしての総合性能は5段階中の3といったところで普通の性能だ。凝った魔法を使わない自分にとっては魔法の補助性能はあまりなくてもいいだろう。価格も中々に値が張るようで50万ゴールドだ。これ、自分の軍服ワンピ装備と同じくらいの値段なのでは?でもまあ気に入ったしこれを買おう。


「すみません。このナイフ型のMSDを買いたいんですけど~。」

「嬢ちゃんきまったか。お、どれどれ。こいつに目をつけるとはやっぱり嬢ちゃん変わってんな。普通の奴はその隣の魔法補助性能がいいナイフを選ぶ。」 

「こっちのナイフは物理的な性能が高いので、安心ができるんですよ。」

「だよなぁ。物理的性能も必要だと思うんだが、最近の奴らはあまり見向きもしない。本当に物理攻撃しているのか不安になってくるわ。っと話がそれちまった。書き込む魔法はどうするよ。こいつは後から書き加えることもできるからとりあえずでかまわんぞ。」

「では、魔法刀を書き込んでください。補助は少なめでお願いします。」

「了解した。では書き込みが終わったら呼ぶから店内を見ていてくれ。」


 こうして、物理攻撃可能なナイフを手に入れた。魔法をMSDに書き込む料金はサービスしてくれたので、お代はナイフの本体価格の50万ゴールドとナイフホルダー代の3万ゴールドだった。ありがとうおっちゃん。

 ナイフは足に固定するタイプのホルダーを使って装備することにした。背中の腰あたりに装備してもよかったけれど、ロマンを追求した結果太ももに装備するタイプとなった。スカートの裾から黒いナイフがのぞいている感じ、とてもいいです。ホルダーは腰と太ももを使って固定しているので、ちょっと違和感があるけどそのうち慣れてくると思う。


________________________


 工房シュトーを後にして目に入った飲食店で昼食をとった後、特に予定もなかったので先日の魔石大量運搬のお礼をするためにザックさんがいる門兵の詰め所に行くことにした。菓子折りとコーヒーをいい感じの店で多めに買ってそれをお礼の品とすることにした。

 詰め所は何度も見たことのある門のすぐ隣にあり大きい建物であるので一目でわかる。詰め所の中に入るとザックさんが受付で話していた。自分が入ってきたのに気が付いて声をかけてきてくれた。


「おお、カオリちゃんじゃないか。」

「ザックさんご無沙汰してます。先日のお礼に来ました。」

「お礼はいいとは言ったがまさか来てくれるとは。律儀だな」

「さすがにあれだけの魔石を運んでもらって何もなしでは気が済みませんので。これ、菓子折りとコーヒーです。皆さんで召し上がってください。」

「おお、あの人気店の品か。皆も喜ぶだろう。ありがたくいただく。」

「それは何よりです。」

「ところで、風のうわさで聞いた話では第一魔法学園に魔物2000体以上討伐した子が入学するみたいなんだが、もしかしてカオリちゃんか?」

「そうかもしれません。まさかザックさんの元まで噂が広がっているとは思いもよりませんでしたが。」

「学園の教師に友達がいて、そのつながりでな。まさかカオリちゃんが入学するとは思ってもみなかったな」

「ちょっと物理攻撃だけではなかなか厳しい物があったので(大嘘)、魔法を使った戦闘も取り入れてみようかなと。でも、中々に魔法の習得が難しいので入学して魔法を学ぶことにしました。」

「そういわれると、あの魔物の量を物理攻撃メインで凌いたんだから、並外れたものがあるな。今は少し時間がないがまた今度、一度手合わせしてみたいものだ。」

「機会があればぜひとも。」

「それでは用があるので失礼するよ。」


 会話についていけずに置いてけぼりになった受付の人に軽く会釈して詰め所を去ることにした。出る間際に天使ちゃんなる単語が聞こえてこなくもないが、天使ちゃんって流行っているのだろうか?。よくわからないけれど、先日のお礼は達成したし今日やる事は本格的になくなった。

 明日は、カオリと入学試験(?)に受かったかどうか確認しに行く日だ。待ち合わせの時間もちょっと早かったので、今日は早めに寝るとしよう。そうときまれば、食材を買って帰って早めの晩御飯だな。

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