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2-50 夢と2日目の行動方針

(略しすぎています)

「もうこれ以上はやめて!」

「そうだよ!血糖値が大変なことに!」

「血管ボロボロになっちゃいます...!」


 サリアたちが悲痛な声で自分に叫んでいる。だが、そんな声を聞かずに自分は途轍もない広さテーブル上に並べられた無数のケーキを食べ続けている。


「このケーキが原因で全世界に病気をばら撒いちゃってるんだ!だからそれを食い止めるために全部食べる!うん、おいひい。やみやみやみー」


 自分は手当たり次第にケーキにフォークを突き刺して食べまくる。自分は無限の胃袋をしているのか満腹感を感じていない。それに甘さを感じていない。なんでだろうな?というか、ケーキがばら撒く病気って何?生活習慣病?

 そう疑問に思った時、目の前のケーキが見知った人物に変化した。これは...ギルドの受付嬢のミカさん?なぜこんなところに?しかもなぜかケーキをイメージしたコスチュームになってるし。何これ。


「とうとうカオリちゃんに食べられる時が来たんですね!はぁ...はぁ...!本望です!さあ、カオリちゃんどうぞ!」


 そう言いながら、両手を広げて鼻血を出しながら興奮するミカさん。うーん。カニバリズムの趣味はないなぁ...。でも、病気を広げちゃうし食べなきゃいけないんだよな...。

 そう難色を示していると、ミカさんが全力で抱きしめてきた。柔らかな双丘が顔を包んでいて、これは天国か?いやそれどころじゃない息が、息があああ!このまま天国に召されてしまいます!やばいですうううう!

 もがき始めた時、急な浮遊感が自分を襲う。そして、次の瞬間世界は暗転した。


 だが、すぐさま意識が戻る。いや、意識が浮上したという感じに近い。ここはどこだ?

 体の感覚を確かめると、自分はベッドの上にいて布団の重みやその肌触り、目を閉じているが瞼を通して周囲の光を感じる。どうやら自分の意識があるのは現実世界で、さっきのは夢だったようだ。ケーキを食べられるのは良かったけど、ミカさんのはカオスでちょっとした恐怖を感じたぞ。

 次第にその感覚がクリアとなり、意識がはっきりしてきた。自分やサリアたちの匂いに加え、サリアたちが何かを話しているのが聞こえてくる。サリアたちはもう起きているのか。早いなぁ。

 そう思いながらゆっくりと瞳を開けると、可愛い生き物を見たかのような表情をしたサリアたちが自分を見つめていた。まずは、挨拶をしなきゃだな。


「みんな~おはよぉ~」


 寝ぼけながらそう返すと、サリアたちは今まで堪えていた何かを爆発させた。


「か、可愛いい!」

「反則だよ!」

「抱きしめて良いですね...?」


 え?何?この状況?サリアたちが手をわしわししている様子を見ながら、働かない頭を回転させて状況を確認していく。

 自分は寝ていた。その周りにサリアたちがいて自分を見ていた。可愛いなどと言っていた。それらの状況からサリアたちが自分の寝顔を観察していた感じだな?というか、めっちゃ恥ずかしくなってきた!やばい。今すぐにでもサリアたちの視線を切るために布団に包まらないと!

 すぐさま布団の中に潜り込み視線を遮る。さらに、布団の裾を掴んで捲られないようにした。だがそれでも安心できない。サリアたちはそれでも構わないと布団越しに抱きついてきたからだ。もうもみくちゃだ!なんだこれ!


「にまにました表情可愛すぎ!」

「寝言でおいひいだって!可愛すぎます」

「やみやみやみ~...」


 寝言を聞かれてたってことはしばらく見られてたってことだよね!?しかもシルフィアの感想じゃなくて呟いているだけだから!普通に恥ずかしいやつ!


「もおやだああああああ!!!!」


 サリアたちによる辱めはしばらく続くのであった...。

_______________


「酷い目にあった...。」


 自分を揉みくちゃにして満足したサリアたちは少し疲れて休むようだったので、そんなサリアたちを放置して身なりを整える。いつもの部屋着のまま洗面台に立ち、洗顔と軽いスキンケアをした後、揉みくちゃにされて長い髪の毛が暴れまくっているのを整えている。しかし、いつもよりも強力な暴れ具合に時間がかかっていて暇だ。サリアたちと今後の予定を話し合って時間を潰すか。


「魔物狩り演習なんだけど、今日は昨日と同じ感じがいい?それとも違う感じがいい?」


 そう投げかけると、ベッド周辺でくつろいでいるサリアたちから反応が返ってきた。


「うーん、私はもうちょっと狩りたいけど、支障あるなら別に昨日と同じでいいかな。リナちゃんとシルフィアちゃんはどう?」

「私はもっと魔物狩りたいかな。昨日の前半は抑えめだったから、後半くらいはやりたいかも!」

「私としても魔物は狩りたいですが...ハイペースだと疲れちゃうので中間くらいがいいです...」

「だってー」


 そうサリアが返してくる。確かに昨日の前半はかなりペースを控えめで魔物を見つけてもアステラ国勇者組に譲るシーンが多かった。みんなにも演習が始まる前に魔物狩りのペースに関する話をして、それでいいとまとまっていた。でも意見が出てくるあたり、実際は不満だったんだな。さすがは戦闘ジャンキー。


「おーけー。アステラ国の勇者組と相談にはなるけど、狩る頻度が勇者2対リリーガーデン1くらいの感じで行くのはどうかな?それでいいなら話しておくよ?」

「「「意義なーし」」」

「わかったー。それじゃそんな感じでー」


 この魔物狩演習は各国の勇者組のために開かれた側面が大きいから、勇者に機会を与えなければならない。なので、リリーガーデン1に対して勇者組3~4のハイペースで狩らせてみたが、最後まで集中力を切らさないで戦うことはできていなかった。あまりにスパルタ過ぎると成長も阻害されるので、見直しのいい機会だろう。

 それに、リリーガーデンは勇者組の戦績に隠れてひっそりと魔物狩りをすることを目論んでいたが、その目論見は外れた。大量の戦績に加え、各国の情報収集部隊に監視されている中で勇者よりもスムーズで余力ある戦闘を繰り広げてしまったから、かなりの戦闘能力があることを知られてしまってひっそりできなくなった。しかも、戦績上ではサリアたちはかなりの魔物を狩っていて各国の勇者組に次ぐ戦績。もうダメダメ。隠れる気がないレベル。そんなこんななので、もういっその事自由に狩らせてみたらいいじゃんと思った次第だ。

 後はアステラ国勇者組をどう説得するかだが...。まあ、昨日は瞬発的な限界を知ってもらったから、戦闘継続力を知ってもらう的な感じで言ってみるか?


 そんなことを考えていると、サリアが疑問を投げかけた。


「あ、でも何時から行く?早いと他の勇者組と被るよね?」

「それある!早いと魔物に合わないし遅めに行こ!」

「いいですね...!出会う頻度も数も多くていいと思います...!」

「カオリちゃんはどう?」


 サリアにそう言われて、考え始める。確かに、他国の勇者組と被るとフレンドリーファイア関連で気を使うし、乱獲状態になるので演習区域にいる魔物の数が極端に減る。だが、昨日に他国の勇者組が暴れまくったおかげで、勇者からのフレンドリーファイアを気にするパーティーは時間帯をずらすはず。となれば、時間をずらすパーティーが多くなって乱獲状態になる。こりゃ時間をずらそうが、ずらさまいがダメそうな気がするな。

 そうなると、パーティーメンバーが納得できる方になるか。この流れだと遅めがいいな。


「遅めがいいかも。21時以降とかなら魔物発生のピークに近いから時間効率が良さそう」

「なら、遅めで決まりだね。集合は20時半くらいかな?カオリちゃんまだ時間かかるようなら、私がアステラ国の勇者組に話してこようか?」

「いいの?じゃあサリアお願い」

「それくらい任せてよ~」


 まだまだ髪が暴れていて時間かかるから有難い。アステラ国勇者組も早めに今日の行動方針を決めた方が無駄時間を過ごさなくても良くなるからな。というかこの髪が纏まるまでにどれだけ時間がかかるんだ?強力すぎやしません?いっそのことシャワーした方が時間かからなくていいかもって思えてきたよ?


「20時半まで何しようかな...?というか今何時?」

「今は午後2時くらいだよ!」

「え?もうそんなに?みんなは何時ごろに起きたの?」

「私たちは...正午ごろに起きてました」

「それからゲームやったりして時間潰してた」

「それじゃご飯はまだ?」

「まだだよ。みんなで一緒に行きたいじゃん?」

「それに疲れて寝ている中を起こすのが申し訳なさすぎたので...お菓子で凌いでました...」

「おうふ。それは申し訳ない」


 自分は眠れなくて朝日が登ってくる時まで眠れなかったからな。サリアたちに合わせると睡眠時間が短くてどうしようかと思っていたから、起こさないで待っててくれたのは超絶ありがたい。普通に助かる。


「いや、謝らなくてもいいよ!いいもの見えたから!」

「そうですよ...!きっとサリアちゃんも同じ気持ちです...!」

「ぐぬぬぬ」


 この件は結構引っ張られそうだなぁ...。そう思いながら、ひたすら暴れた銀髪を解くのであった。

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