表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
154/192

2-49 眠れないので散歩してギルドメンバーと会話した話

(略しすぎています)

「寝れない...」


 どうも、ベッドの中でかれこれ1時間くらい寝ようとしている銀髪ロリエルフになった者です。お茶会が盛り上がりすぎてケーキやお菓子を食べまくり、紅茶をがぶ飲みした結果、目が冴えまくって眠気が来ていません。ある意味予想されていた結末なので驚きはないですが、サリアたちはぐっすり眠っているので仲間外れ感もあってちょっと不満です。なんで早く寝てるの?道連れでしょ?とだるいムーブをかましたくなるよね。自分だけ?


 部屋に備え付けられた時計の針を見ると5時を指している。外の薄暗い光が遮光カーテンの隙間を縫って部屋に入ってきていて、そろそろ朝日がお出迎えしそうだ。このままだと眠れそうにないし、ちょっと外でも歩いてくるかな?

 音を立てないようにモコモコの部屋着を脱いで、いつもの軍服ワンピースに袖を通す。ナイフ型MSDやリング型MSDを装着して静かに宿舎の廊下に出る。


 静まり返った廊下を歩いて宿舎の外に出る。周囲には誰もおらず、聞こえてくる戦闘音もなくて静かな朝だ。空は明るくなってきており、星も見えなくなってきている。薄着だと若干肌寒さを感じる空気が何処か清々しい。


「んーーーっ」


 腕を上げて背を伸ばし、それから深呼吸をする。なかなかに気分がいいぞい!朝活というのもたまには悪くないかも?いや、徹夜だから朝活ではないか。せっかくだから、ちょっと散歩して気分転換しようかな。そしたら多分眠れるだろう。

 そう思って宿舎の周囲を歩き始める。


 受動探知で感じられる範囲には魔物がいるものの、数はまばらだ。それに、誰かが魔物を狩ってくれている様子も感じられる。その人物の動きはとてもスムーズであり、魔物狩りに慣れているのが伝わってくる。それに、何処かで感じたことがあるような魔力だ。でもまあ、平和な朝だし気にすることもないだろう。

 続けて歩いていると、ロボット?みたいな...なんだっけ?えっと特殊魔導騎兵?が駐留している場所に来た。歩いてぼーっとその魔導騎兵を眺めているとその大きさに圧倒される。さらにその武装を見てみると、魔導騎兵ごとに異なっており役割分担がしっかりしているようだ。よくもまあ、こんなものを作ろうと思ったな。そんな魔導騎兵には魔力エーテルが大量に詰まっているからか、魔導騎兵から魔力の圧を感じる。大きな巨体だし魔力エーテルの燃費が猛烈に悪そうだな。これ動かしたら湯水のようにゴールドが消えていきそうだ。


 そう雑に思っていると、聞き覚えのあるおじさんの声が自分を呼んだ。


「てんsじゃねえや、おーいカオリの嬢ちゃん!早ぇじゃねぇか」


 声を呼んだ主の方向をみると、魔導騎兵の下でパリッとした制服を着た人たちと多くのギルドメンバーの中に混じってモリスさんが手を振っていた。なんか嫌な予感がするし挨拶を返して散歩を続行しても良いけど...眠気がまだ来ないから少し話そうかな。

 そう思って手を上げて反応を返し、モリスさんの方へと近づく。


「モリスさん、それにみなさんおはようございます。こんなところでどうかしたんですか?」

「チョッチ気になることがあってな。説明するよりもこいつを見たほうが早ぇな」


 そう言ってモリスさんは移動式のテーブルの上に置かれたモニターを指差した。そこには魔素濃度の推移が映っていた。魔導騎兵が到着した時刻からだんだんと魔素濃度が高くなり、今はとても高い濃度となっている。確かに肌で感じる感覚から察しても魔素濃度は通常よりも高くなっているので感覚とモニターの魔素濃度の推移に違いはない。

 でもまあ、魔素濃度が多いのは魔法を使い過ぎたせいだろう。魔素は魔法を使った時に出るゴミみたいなものだし、未熟な生徒が戦闘で魔法を使いまくった結果、魔素が溢れかえったのだろう。というかそれしか原因が思いつかない。特に勇者の魔法は規模がデカくて豪快だったしなぁ...。前回の魔物狩り演習では急激な魔素濃度の変化があったが、それは魔素を吸収・放出する装置があったからだ。しかし、自分が通った経路には無かった。なので、前回の魔物狩り演習で起きたこととは違うように思う。


 ん?でも待てよ?さっき感じた魔物の数はそれほど多くなかったな。普通は魔物の元となる魔素濃度が高いと魔物も多くなるのだが...。


「魔素濃度の割りに...魔物の数が少ないような?」


 そう呟くと周りから感嘆の声が聞こえてきた。それで驚かれるのか?どういうこと?そう疑問に思っていると周囲にいたギルドメンバーがそれぞれ呟いていく。


「さすがはカオリちゃんだな」

「俺らが1時間くらい考えてたことを物の数秒で言い当てちまった」

「俺らとは違うな」

「なんたって天使だからな」

「「「「うんうん」」」」

「???」


 天使じゃないからね?普通?のロリエルフさんですよ?ちょっとオーガを単騎で倒したり、魔物の異常発生地帯から生還するどころか魔石の山を作り出したり、エンシェントタートルを一撃で倒したりしてる...。うん、普通ではないね。訂正しよう。

 脳内ツッコミ?を入れていると、モリスさんが更なる状況の解説をしてくれる。


「実際、魔物注意報が出される程度には魔素濃度が濃いんだが、魔物の姿が少ねぇことを確認してんだ。それに戦績報告された討伐数を合わせても感覚が一致しねぇ。前回の件もあるし、みんなで集まって情報交換してたってわけよ」

「なるほど。それで何かわかったことはあるんですか?」

「いや、それが何もねぇんだ。カオリちゃんなら何か知ってるかと思ってよ」


 そう言われて今晩の魔物狩りで起こった出来事を思い返してみる。魔物の数は普通で湧く数も普通。森の中の拠点に移動するときに魔物の数が少なくなったような気がする程度で特段おかしなことは起きていない。少なくなった原因も情報収集部隊によるものだし。


「特に思い当たることは何も。今も周囲で魔物を狩ってくれている人もいますが...その人の報告待ちということではないようですし...」

「周囲?学生はもう帰ってきてると思うがまだやってる奴がいんのか?初日から飛ばしてんなぁ...。おっといけねぇ、話の続きを頼む」

「今までの状況には当てはまりませんが...今の状況については朝陽が登ったために魔物が発生しなくなって魔素が消化できてないからとかないですか?」

「「「「「あー」」」」」


 雑に納得されて、その節が濃厚だという流れになってきた。実際は多分違うことが起こっているのだろうけど、確度がある推察をするには情報が足りない。今は朝なので夜に活動的な魔物を調査することができなくなる。なので、情報を集めることも不可能。気になるところではあるが、放置するほかない。頭の片隅にでも置いて魔物狩り演習の時に気にするとしよう。


「なるほど...カオリちゃんの説は納得できるな。ありがとうな」

「いいえこれくらいならなんとも」

「それでカオリちゃんはどうしてこんな朝方に歩いてたんだ?いつも一緒のサリアの嬢ちゃんはどうしたよ?」

「あー、それはどんちゃん騒ぎして眠れなかったので散歩しにきた感じです。サリアたちは寝てるので置いてきました」

「それは呼び止めて悪かったな。難しい話で目が覚めちまったか?」

「いえ、ちょうど眠気が出てきたところです」

「そいつは良かった」

「それでは自分はこれで。モリスさんたちもご無理なさらず休んでくださいねー」

「「「「おうよ!」」」」


 ギルドメンバーのおじさんたちは元気だなぁ。もしかして3交代制で本当の意味でおはようございますな感じだったのだろうか?どちらにせよ、違和感を感じて話し合ってるのは危機管理意識が高くて素晴らしいことで。自分もサリアたちを守るために行動するが、ある程度はその辺を任せても良いのかも。

 話は変わるけど、モリスさんたちと話していた時にパリッとした制服を着ていた人が自分を値踏みするような視線を送ってきていたな。多分、魔導騎兵隊とか宮廷魔導士の人たちなんだろう。まあ、ギルドメンバーに混じって意見するロリだし、なんだこいつ程度の視線だっただけだろうな。自分でもそうするかもしれないから無理はないか。


 そんなことを思いながら、パーティーに割り当てられた部屋へと帰る。サリアたちはぐっすりと眠ったままで何も変化はない。起こしてしまわないように再び部屋着に着替えてベッドの中にインする。すると、体の中から力が抜けていく感覚がした。ちょっと歩いて血行が良くなったからかな?そんなことを考えていると、すぐに眠気が襲ってきたので身を任せて眠りについた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ