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2-43 特殊魔動騎兵隊の到着と勇者組の特訓

(略しすぎています)

 集合時刻まではそれぞれのパーティーで動くことになった。リリーガーデンはのんびりと装備の点検をしつつ雑談をして過ごしていた。その中で、アステラ国勇者へ特訓する話題が上がったのだが、サリア、リナとシルフィアはやることも無いし一緒に教えるのを手伝うよと言ってくれた。1人じゃ大変だしせっかくだからアステラ国勇者の特訓を手伝ってもらうことにした。超絶ありがたいものだ。


 集合時刻の1時間前になると、勇者組3人への特訓をするために宿舎のロビーへと移動した。そこでリリーガーデンが待機していると、程なくしてアステラ国勇者組がやってきた。少し緊張しているような表情をしていたから何事かと聞いてみると、勇者組は緊張からジッとしていられず、雑談の合間に魔法の練習をしていたとの事。その過程で、森の中での闘い方を彼女らなりに考えたところ、魔法の威力調節や魔法精度が不十分だと気づいて緊張してきたらしい。


「それじゃ、森の入り口付近まで行くよ」

「「「ラジャー」」」

「「「は、はい!」」」


 リリーガーデンの3人はいつも通りだが、アステラ国勇者組は今も少し緊張しているようだな。この先の魔物狩りでは模擬戦時よりも体力や魔力だけでなく、精神力も消耗する。体力や保有魔力量的には問題ないと思うけど、この調子だと精神力が心配だなぁ。


 そんなことを思いながら宿舎前の広場を通って森の入り口まで移動していると、遠くから持続的な轟音が響いてきた。ジェット機のような音が次第に大きくなってきて、何かが接近していることを伝えてくる。しかも魔力反応が複数ある上に、めっちゃ遠くからでも感じられる魔力の膨大さだ。何が迫っているんだ?

 それはサリアたちも感じていたようで各々思っていることを呟く。


「何この音?」

「迫ってきてるよね?」

「それに強い魔力も感じます...」


 リリーガーデンは何が迫ってきているのか不明で警戒する状況の中、アステラ国勇者は平然としていた。むしろその音を聞いて少しだけ緊張がほぐれている様子。


「この音、やっと来たね!」

「ほんと毎朝聞こえてきましたから、いい目覚ましになりましたわ〜」

「でも騎兵隊の人がいれば安心でしょ?」

「「だねー」」


 勇者組の言葉を聞いても余計にわからないな?とリリーガーデン全員で首を傾げていると、アステラ国勇者の藤本が解説をしてくれた。


「あれはアステラ国の特殊魔動騎兵ですね。ロボットみたいな...では伝わらないか...人が直接操縦するゴーレムみたいなものです。なのであの中には人がいて機体を操縦しているんですよ」


 ほぇーっと驚きながらそれを見る。人型の8つの機体が各々の機体に搭載されたブースターから出るジェットを使って自分たちのいる方へ飛んできている。それは凄まじいスピードでやってくると、広場の上空で静止してホバリングを開始した。そして、轟音の中、上空からさらに巨大なアナウンスが流れた。


「着陸します。広場から退避してください。一時的に森または宿舎に移動してください」


 爆音指示がうるせぇええええ!と内心思いながら、サリアたちと勇者組に指を使って森に入るように指示をだす。自分たちが移動し終わると、広場が確保できたことを認識したのか降下し、ゆっくりと着陸した。

 着陸した人型ロボットの大きさは大小様々だが、平均で10m程度あり、小さいものだと7mくらいだ。メカメカしさを感じる外装だが、洗練された格好をしている。機動戦士やらこの世界とは違う帝国軍が使っていそうな感じだな。見た目すごい強そうだし、何か起きても負けなさそうな安心感がある。というか、これで戦ったら勇者いらないんじゃね?そんなことを思うほどには強そうだ。


 そんな光景をみたリナは大興奮だった。


「何あれすっごーーい!しかもほんとに中から人が出てきてる!めっちゃ重そうだけどなんで浮いてるの!?」

「あの中には巨大な魔力エーテルのタンクが備わっていて、その魔力を使って飛んでるみたい。めっちゃ巨大なMSDって感じに近いかな」


 ほぇー。まあ自動車...じゃなかった魔動車があるくらいだもんな。魔力で動くロボットがあってもおかしく無いだろう。とはいえ、実際の魔物とはどう戦うんだ?肉弾戦という訳でも無いだろうに。

 そう考えていると、サリアが藤本に質問をした。


「ってことはあのゴーレム?機械?は魔法を使えるんですか?」

「MSDを使い分けて攻撃魔法だけじゃなくて結界魔法も使えるみたい。例えば背中にある巨大な筒みたいなものが攻撃専用のMSD。あれから遠距離の魔法攻撃が可能って聞いたかな。でも、私たちが使う魔法みたいに自由な感じじゃなくて、決まった攻撃しかできないみたい」


 さらにその回答を受けてシルフィアが質問する。


「それでは...場面に合わせて威力を調節するなど...柔軟に魔法が使えないってことですか...?」

「そうみたい。でもその欠点を帳消しするくらいの火力があるの。はぁー。あの火力が私も出せたらなぁ...」


 そう言った藤本はめっちゃテンションが上がっている様子。藤本ってこんなキャラだったかな?というか、魔力制御が不十分な中でそんな火力を出されたりしたら自分が消し炭どころか、この辺一帯が吹き飛びそうなのでやめてくださいまし?

 とは言え、そんな小回りが効かなさそうな特殊魔動騎兵がきたところで活躍できるシーンってあるのだろうか?エンシェントタートルとかのクソデカ魔物が現れた時にはめっちゃ効果を発揮しそうだけど、普通の魔物の大群を相手にする場合だと必ず撃ち漏らしが発生して足元に潜られそうだ。広範囲に攻撃できる手段はあるだろうけど、柔軟に魔法が使えない以上かなり大雑把な魔法しか使えないだろう。

 ん?でもちょい待てよ?そういえば宮廷魔導士の小隊が来てたな。名前から察してめっちゃ強い魔法を柔軟に運用しそうだ。と言うことは、宮廷魔導士は特殊魔動騎兵の欠点を埋める事ができ、その両者が揃っているならどんな局面でも対応できる戦力が整っていると言うことか!おお、これは非常に頼もしい限りだ。もし魔物の異常発生があったとしても対応できると言うことだろう。なんとも素晴らしい限りだ。何か起こそうとする輩にも抑止力になっていいのでは?greatですよこいつは!アステラ国の上層部グッジョブ!のんびりできそうで助かります!

 そうとなれば、足取りも多少軽くなると言うものだ。さて、アステラ国勇者組の特訓を開始するとしよう。


「それじゃ、魔物狩りのレクチャー始めるよー」

「「「はい!」」」

_____________

 森の入り口まで移動したこともあって、スムーズに勇者組への特訓を開始することができた。対象を確認してから攻撃する方法とそのコツを身につけると言う目的のために、見えない箇所が多い森の中で動く的を出来るだけ素早く攻撃してもらうという内容で特訓を行なっている。言葉では簡単だが、その的にある模様で攻撃可能と不可能なものを区別するように指示しているので、攻撃前に必ず模様を確認する必要がある。なので、慣れていなければ超難しいと思う。ちなみにサリア、リナとシルフィアの3人で試しにやってみたところ、初めからいい反応をしてくれた。しかも手加減付きでだ。魔力制御ができる上に攻撃前の確認も怠らずやっている。すばらしいね。

 何かと心配な勇者組を集中して特訓をするために、的を動かす担当としてサリアたちに任せたいところだった。でも現状は勇者の魔力制御がまだまだ甘いことを考えると危険すぎて任せられるものではない。なので、しょうがなく自分がやっている。めっちゃ回避しながら!なう!今、横を藤本の風魔法エンチャントされた矢が通過した!うわめっちゃ木の幹粉砕してる!当たったら重症間違いなし!


「ひぃぃぃ!」

「カオリちゃんなんか言った?」

「...ちょっと一息ついただけ。自分は大丈夫だから続けて」

「わかった、じゃあ続けるね」


 アステラ国勇者組の魔法攻撃への恐怖が大きすぎて、思わず出た声がサリアに聞かれてしまった...。優しいサリアのことだから大変でしょ?変わるよ?とか言ってきそうだし、なんでもないアピールをしておいた。

 お次は攻撃不可の表示にしてみるか。的を反転させて攻撃不可の表示を挙げる準備をしておく。自分は茂みを移動して、新しい場所で待機する。そして、逃げられるように体勢を整えた後に、攻撃不可の的を掲げた。

 その直後、藤本が声を発した。


「そこか!」


 すぐさま勇者組の方から魔力反応が高まった。3人のMSDに魔力が集まり、魔法が発動する。魔力が変質してそれぞれの魔法の形になり、今にも放たれようとした時、坂本が声を発した。


「それダメなやつ!」

「え」

「あ」


 そんな気の抜けた声を発した藤本と吉本は、何かを諦めたように魔法を放ってきた。そんな魔法攻撃が再び自分へと襲いかかる。そこ!諦めないでもらっていいですか!


「ひょあああああ!」


 そんなことを言いながら全力で回避する。回避した後ろには粉砕された木々が広がり、土煙が広がった。マジでおっかないな...。常に避ける体勢でいないと命がいくつあっても足りない!


「カオリちゃん大丈夫?」

「大丈夫、余裕余裕!」

「カオリちゃん声震えてない?気のせい?」

「気のせいだから続けていいよ~」


 これで多少は攻撃時に相手を確認する癖がついているはず...。そう思わなければこの役はやってられないね!アステラ国の勇者よ...たのみますよおおおおお!あぶねええええええ!


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