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2-19 対戦相手の分析と修理に出していたMSDの回収

(略しすぎています)

 帝国勇者たちと戦うからにはある程度情報を集めた方がいい。と言うことで、昼休みの間にサリアたちとともに情報を収集してみることにした。すると、クラスメイトの多くは帝国勇者たちの情報を掴んでいた。情報を得るのが早いなと思っていたが、多くのクラスメイトが情報を得ていただけに自分が遅いだけだったようだ。勇者たちは元いた世界のクラスメイトとはいえ、あまり興味がなかったからなぁ。集める過程でめっちゃ関わりそうで怖かったし。

 あと、ちょいちょい他クラスの女子十数名が情報をくれたりした。情報が集めやすいし、めちゃ助かった。でも、その子たち全員カオリ様的な感じで持ち上げてくるのよ。めっちゃ気になったけど、突っ込まずに全てをスルーしたよね。なんかこう...認知したと公言したら終わりというかなんというか...。

 声をかけて来てくれた子は少なかったものの、その子を遠目で見ているとその子の周りに数名必ずいた。なので、自分が認知していないだけでめっちゃ多くの人がファンである可能性がある。学園長が自分のファンがいると耳に入ってきたと言っていたのも納得の状況だ。

 そんな大規模になったファンクラブを認知したと言えば収集がつかなくなるんじゃないか?要求がヒートアップするんじゃね?と思わなくもなくて認知したと知られたくはない。ぬああああ、どうしてこうなった!ひっそり学園生活を送るつもりじゃなかったのか、自分!かなり手遅れだぞ!


 そんなこんなで新たな悩みを抱えながら情報収集していると戦闘演習の時間となった。サリアたちも独自のルートで情報を仕入れてきたようなので、了解をとって模擬戦の合間に作戦会議をすることにした。


「カオリちゃんなんかげっそりしてるけど大丈夫?」

「サリアありがとう。ちょっと今後のこと考えちゃって」

「あ、カオリちゃん勝つことしか考えてない?強気だね~」

「もう、リナちゃんからかわないの...!」

「ごめんごめん」


 シルフィアはしっかりとリナの手綱を握っているようだが、なんかママみを感じるな?元から仲良かったのがさらに仲良くなっていいことだ。うんうん。


「それじゃ、情報交換していこうか」

「「「らじゃー」」」

_______

 みんなが得た情報を整理すると、彼らの戦闘スタイルが見えて来た。

 田川浩二は雷属性で、拳銃型MSDを扱う中長距離魔法職のようだ。よく用いる攻撃は銃口からのボルトニードルで、かなり高速に飛翔するとのことだ。単発の威力はボルトニードルにしては強いものの、ボルトランス等と比べると低いらしい。

 西村和彦は土属性でウルバリン型MSDを扱う近接物理職のようだ。殴る時にロックバックショットを放ち、高火力な1撃で相手をダウンさせるのをよく行うとのこと。

 瀬賀茂は水属性でロッド型MSDを扱う遠距離魔法職のようだ。よく用いる攻撃はウォーターランスを連射するという数打てば当たる脳筋スタイル。

 最後に井上凌太は火属性で剣型MSDを扱う近接物理職のようだ。ファイアブレイズとか言う仮想剣を生み出して手数を増やした攻撃を行うらしい。さらに、ファイアウォールとか言う逃げ道を塞ぐ攻撃も戦闘中に同時展開しているらしい。


 さすがは勇者と言ったところで、個々の能力だけでみるとかなり強そうだ。


「でも、アステラ国の勇者にボコボコなんだよね...?サリアはどう思う?」

「模擬戦を見た子によると連携がうまくいってないって言ってたよ」

「あ、それ私も聞いた!なんかチグハグ感あって魔法が外れまくってたって!」

「味方に当たった攻撃もあったみたいですよ」

「それじゃ、連携が全然できてない感じだよね。それじゃ帝国勇者とアステラ国勇者の模擬戦では帝国勇者側が各個撃破された感じかな?」

「そうみたい!」


 これなら帝国勇者との模擬戦では隙のある奴から倒して行けばいい感じになりそう。それは作戦としては楽だな。


「でも、最初はアステラ国勇者さん側が劣勢だったって言ってたよ」

「加えて、アステラ国勇者さんは途中から急に強くなったみたいって言ってました...。何かパターンでも掴んだのでしょうか?」

「うーん、むしろ途中からパターンが崩れた感じに近いかな」

「言われてみればそれが自然ですね」


 帝国勇者の戦闘の流れが大体読めてきたぞ。戦闘開始直後は攻撃パターンがあったけど、攻撃を受けてパターンを崩された結果、適当な攻撃パターンになったと言う感じか。これは相手の隙を作ってあげると模擬戦を優位に進めることができそうだ。

 とはいえ、アステラ国勇者ができたからといって自分ができるかというとそうはならないだろう。アステラ国の勇者は単発の魔法攻撃の威力がとてつもないので相手の隙を作るのは比較的容易。でも、自分はアイスニードルと2つのナイフ型MSDしかない。ピンポイントの火力はあるが、勇者と比べると比べるまでもなく火力はないのでそれで相手の隙を生むのはかなり難しいだろう。


「それなら帝国勇者の連携をどう崩そうか...」

「そりゃいつも通りにすればいいんじゃない?」

「そうだよ!いつも通りぬるっと入り込んで!」

「相手を各個撃破です..!」

「「「カオリちゃんなら勝てる!」」」


 全く調子のいいことを言ってくれる。でも、サリアたちの言う通りだ。開眼をしないという制限下では自分は火力を出せない。そのため、スピードを生かして相手の懐に潜り込んで倒していくほかに相手を崩す手段はない。となれば相手に接近するまでのアイスニードルが重要なキッカケを作るのに役立つだろう。ん?なんか忘れているような...。


「そういえばカオリちゃん最近全然アイスニードル使わないよね」

「確かに!」

「今気づきましが...カオリちゃんの指にあるリング型MSDが1つ足りないです...?」

「あ!」


 MSDを修理に出しているじゃん!すっかり忘れてた。

______________

 そう言うことで放課後となり、明日の帝国勇者との模擬戦で使う演習場を押さえた後、工房シュトーに立ち寄った。

 店内に入った時にはシュトーさんはカウンターの奥で椅子に座り、何かをしていた。自分が店内に入ったことに気づいたシュトーさんは顔をあげて椅子から立ち上がる。


「おっ、カオリの嬢ちゃんじゃねぇか。MSDの修理はもう完了してるぞ」

「シュトーさん助かります!」

「ちょっと待ってな。奥から取ってくる」


 そういうと、シュトーさんはMSDの部品みたいなものを手に持って奥へと移動していった。あの部品は見たことないな?多分試作品の類なのだろうな。


 そう考えていると、シュトーさんは奥から修理した白いナイフ型MSDとリング型MSDを持ってカウンターへとやってきた。そして、修理したMSDをカウンターの上へと置いた。


「へいおまち。これが修理したMSDだ。一応、前に来てくれた時に話したがMSD内部の核だけの交換をしている。核の性能は元あったものと同じものを使っているから違和感はないはずだ。ちょっと試してくれ」

「試してみます」


 シュトーさんに促されて修理された2つのMSDに魔力を通す。魔力は滞りなく核へと向かい、核から情報を付加された魔力が核の外へと流れていく。核にダメージが入っていた時はこの流れが滞ったり、核から出ていく魔力が綺麗でない感じがしていた。それと比べると今のMSDは素晴らしく調子がいい感じだ。


「修理するとここまで発動しやすくなることが違和感ですよ。最高です!」

「そいつは良かったぜ!直し甲斐があるってものよ!だがすまんな、製作依頼のMSDなんだが、魔法銃の方はまだ時間がかかりそうだ」

「どのくらいかかりそうですか?」

「ざっと見積もって1週間と言ったところだ。おおよそは出来上がっているんだが、銃砲身と薬室の素材と構造に手間取ってるんだ。接合面での魔力伝達が十分でなくてな」

「とても重要なところですね。そこまで気を遣ってくれて助かります」

「そりゃ職人魂がそうさせるってものよ。カオリちゃんにはいい物を使ってもらいたいしな!」

「それは嬉しい限りです!仕上がりが気になって来ました」

「おうよ、期待して待っててくれ!」


 そう言われると、新しいMSDが使える時が楽しみでしょうがないな。ベストは明日の試合で使えたら楽に試合運びができて良かったのだが、間に合っていないならシャーナシだ。修理から帰ってきた白いナイフ型MSDとリング型MSDで乗り切るとしよう。

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