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2-5 元クラスメイトとの邂逅

(略しすぎています)

 視線を学園長室の入り口の方に向けるとそこには転生前のクラスで一緒だった3人の女子生徒がいた。まさかの出会いすぎて思考が完全に止まってしまったぞ!来るなら来ると行ってくださいほんと頼みますよ?!


 そんな3人組は自分と目が合うや否や、盛り上がり始める。


「え、かえわいすぎるんですけど!お持ち帰りしてもいいですか!?」

「絵梨花、ここは学園長室ですよ?TPOを考えて」

「すごい可愛いですから気持ちはわかりますね~」

「紗耶まで!?」

「美穂も可愛いって思うでしょ?」

「そう思うけど...」


 美穂と呼ばれた女子生徒はそう言うと、こちらをちらっと見てきた。視線が合うと瞳孔が大きくなって動きが止まり、呼吸も止まった。わずかな時が経過した後、彼女の口から呟かれた。


「かわいい...」


 やばい。なんか射止めてしまったかもしれない。これはお持ち帰りされそうな流れでてきた。いち早くここから出なければ色々と問題になる事案が発生するような気がしてきたぞ。銀髪ロリエルフな外見をしていますが、自分は同じクラスメイトの男子なんです!やめてください!でも中身が自分であることをマジで気づかれないようにしなきゃこの異世界ライフが終わってしまう!転生前の自分を知っているだけに社会的に死ぬ!間違いない!


「カオリちゃんがかわいいのはわかったから少し落ち着いてはどうかの?」


 学園長のアルバートが言葉をかけると、3人組は流石に舞い上がりすぎていることに気づいて少し落ち着いた。ありがとう学園長。このまま放置していたら事案が発生しそうな気がしていたから助かった。

 とは言え、言葉には出なくなったものの、3人の脳内ではあれやこれやと考えていそうだ。顔に出てる。


「落ち着いたようだし、まずはお互い初めましてじゃから自己紹介でもしようかの。まずは、こちらの方はお主たちの戦闘面を見てくれる事になったカオリちゃんじゃ」

「え、あ、はい。1年生のカオリです。ナイフを用いた近距離戦から単一放射系魔法を用いた遠距離戦までやっているオールラウンダーです。よろしくお願いします?」


 なんか、3人組からはかわいい~くらいの感想しか覚えていないのが表情から伝わってくる。声に出してないけど、顔がうるさいよ!


「カオリちゃんは幼い見た目をしておるが、ものすごく強いんじゃよ。わしの見立てでは勇者のお主たちでも敵わないほどじゃ。いい勉強させてもらうんじゃぞ」


 え?なんかものすごく重要なことをサラッと流していませんでしたか?勇者?


「「「はい、これからよろしくお願いしますね!」」」

「なんか含みを感じるのじゃが、よい返事じゃ。それじゃカオリちゃん、もうわかったと思うがこちらの3人組はお主がこれから面倒を見る勇者じゃ。こちらから藤本美穂さん、坂本絵梨花さん、吉本紗耶さんじゃ」

「私は藤本美穂と言います。戦闘スタイルは弓で中距離から援護をするタイプです。よろしくお願いします」


 藤本さんは腰ほどある黒髪ストレートでキリッとした顔立ちが特徴的な女子生徒だ。決めたら曲げない硬いタイプの性格だが、クラスの委員長を任されるくらいには頼りになる存在みたいだ。それに弓道部に所属していてそれなりにいい成績を収めていた気もする。もちろん、自分はずっと睡眠していたので関わりはない。


「はい、私は坂本絵梨花って言います!刀で戦うスタイルです!よろしくお願いします!」


 坂本さんはボブカットの茶髪で溌剌とした明るい感じがする顔立ちが特徴的な女子生徒だ。性格も同じような感じで、明るく意見が言えるタイプの人でクラスでも中心的な存在となっていたように記憶している。ドジをやらかすタイプなので存在するだけで賑やかになる存在だ。確か、剣道部に所属していた気がするのだが、なんかの大会で優勝していたのを覚えている。よくドジをするのに優勝できるんだーっていう超失礼な感想を覚えたのも記憶している。もちろん、自分はずっと睡眠していたの(略)。


「私は吉本沙耶と言います~。戦闘は遠距離から魔法を使った火力支援や回復になります~。よろしくお願いしますね~」


 吉本さんは腰ほどある深い焦茶色の髪でおっとりとした顔立ちが特徴的な女子生徒だ。あらあら~とニコニコしながら喋っているのをよく見かけた記憶がある。性格もそんな感じで大らかで優しそうな印象を受ける。だが、時折見せる刃のような致傷性のツッコミをしていたような記憶があることから考えると腹黒タイプなのかもしれない。わからんけど。華道部に所属していてなんらかの賞を得まくっていたような気もする。わからんけど。もちろん、自分(略)。


「個性的な3人組じゃが、戦闘面はかなり強いんじゃよ。こちらの世界に来てから日が浅く戦闘経験も十分ではないが、既にこの学園の3年生レベルを優に越しておる。伸び代が十分あって、カオリちゃんとしても鍛え甲斐があると思うのう」

「ソレハ、タノシミデスネー」


 まさかよ?勇者たちの面倒を見ることになった上に、それが元クラスメイトだと誰が予想するだろうか。しかもよ?転生してきた時の記憶では、クラス全員が転生か転移の何かに巻き込まれている。元クラスメイトの3人組が目の前にいることを考えると、他のクラスメイトもこの世界に来ている可能性が十分に高い。

 あ、そういえばリナが1クラスくらいの人数が転校して来るなんて事を言っていたような気がするな。もしかして、転校してくる全員が勇者ということになるのだろうか。勇者はかなりの立ち位置のはずだし、教室の装飾が豪華なのも納得できる。なんかめっちゃめんどくさそうになる予感がしてきた。今の所、勇者関係は絶対関わりたくないランキング1位にめでたくランクインしているくらいだ。


「善は急げということで、早速じゃがカオリちゃんに学園の案内をしてもらうことにしようかの。皆はそれで良いかの」

「「「はーい」」」


 3人組が声を出して返事をする一方で、自分は首を縦に振ることで了承することを伝える。声を出すと絶対嫌そうなのが伝わってしまいそうだからな。自分も面倒を見ると伝えた以上はやる事をやらないとな。ってあれ?自分は戦闘面の面倒を見ることだけを了承したのでは...?これじゃ、3人の面倒を見てやってくれと言わんばかりだ。嵌められた?おのれ学園長、3年間くらい微妙に面倒な仕事がひっきりなしにやってくる呪いにかけてやろうか...。


 そんな内心を知る由がない学園長のアルバートは了承の声を聞くとニコニコしながら勇者3人組と自分を学園長室から廊下へと連れ出した。そして、学園長は3人組に案内後は自由にして良い事、自分にいい感じに案内してあげてくれとの旨を伝えると部屋の中へ帰っていった。いい感じってなんなんだろうか...?


 学園長が重厚そうなドアを閉めると、今まで我慢していた3人組が爆発するように喋り始めた。


「カオリちゃんが可愛すぎて無理。抱きしめていいですか」

「こら絵梨花、まだあったばかりでしょうに。カオリちゃん、ごめんなさいね。これは聞いてみたいのですが、何歳ですか?」

「12歳くらいです」

「「「じゅ、12歳!!!」」」


 おい、苗字が本が付く3人組、そんなかわいいマスコットを見るような目を向けるんじゃない。3人は上から下へと視線を動かしてジロジロと観察すると、顔を突き合わせて会議を始めた。


「私たち、12歳のころってこんなに可愛かったっけ?」

「ここまでではないよね~」

「しれっとかわいいのを否定しないのね」

「それは乙女ですもの~」

「その私たちをも上回る可愛さ、お近づきになりたくない?」

「「わかりみ~」」


 それ、全部聞こえてるよ。というか顔を突き合わせた姿勢のまま、顔だけこっちに向けないでいただけますか?普通に怖いです。ホラー的展開ですこれ!

 そんなグイグイ距離を詰めてくる3人に思わず、一歩引いてしまう。3人はそれを見逃すはずもなく、1.5歩ほど詰めてくる。


「ねえ、カオリちゃんってどこ住んでるの?」

「生まれは?この辺だったりする?」

「てか、SNSやってる?」


 やってねーよ!おじさんか!というツッコミが口から出そうになるのを抑えて、


「え...えすえぬえす?ってなんですか?あとちょっと怖いです」


 という精一杯の言葉を返した。こんな3人組とやっていけるんだろうか?そんな言葉が脳裏をよぎる。とりあえず、今を無事で乗り切ることを考えるとしよう...。ふぇぇ...。

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