2-2 転校生の噂と身の回りの出来事
(略しすぎています)
自分の弁当に入っている唐揚げを求めてサリアとリナ、シルフィアで生まれた戦争は、自分が唐揚げを全てを3人にあげることで終戦を迎えた。揚げているだけにってな...さらば、自分の唐揚げ...。
少ししょげていた自分を見た3人は視線を合わせて頷いたあと、唐揚げの代わりと言って弁当の一部を分けてくれた。問題はその分けてくれた料理で、エビフライにナポリタン、ミニサイズハンバーグだった。自分の弁当に残っていたのはサラダとオムライスだったので、分けてくれたものを合わせると完全なお子様プレートとなってしまった。もしかして示し合わせていたりする???
こんなくらいじゃ、嬉しくならないんだからねと思いながら3人がくれたものを食べてみるとこれまた美味しかった。そのため、しょげた気分は消え去り、食べるのに夢中になってしまった。我ながらチョロすぎる。
そんな騒動があったランチタイムは過ぎ去り、仲良く机を囲んでのんびりおしゃべりタイムに突入した。そんな中、リナが特大の噂と言って話を振ってきた。
「みんなは転校生が来るの知ってる?」
「初めて聞いたかな」
「でも、こんな時期に来るなんて不思議だね」
「家のゴタゴタで...間に合わなかったとかないですか?」
「「ありえるー」」
そんな、サリアと自分とシルフィアの何も知らない反応を見たリナはニヤニヤしながら手招きしてきた。自分を含む3人はリナの手招きに応じ、リナの近くに顔を寄せ合う。
「普通はそう考えるよね。でも、1人だけじゃないみたい。1つの教室が埋まるくらいの人数なの」
「「「それ本当?」」」
「今回は結構自信あるよ。校舎の空きスペースが改装中になってるのは知ってると思うんだけど、その中を除いてみたら教室の作りだったからね」
「転校生が2、3人だったらクラスに入れれるけど」
「それ以上の人数が転校してくるから」
「新たに教室を用意した...というリナちゃんの推理ですね」
と息を合わせたようにサリア、自分、シルフィアの順番で考えを言っていく。
「そうなの!しかも作りが豪華!わたしたちの教室はともかく、貴族ばかりいる教室よりも豪華になってるの!」
まじで?貴族よりも豪華な教室を用意しなければいけない状況って何よ?王族?大統領の子息とか?いやいや、それだと転校してくる人数が少なすぎる。
「貴族というわけでもない、よね?」
「そうだと思う。国の貴族たちが代移住してくるとか考えられないし」
「王族がやってくるなんてこともないでしょうし、一体どんな人たちなんでしょうか...?」
「私もそれが分からないの。でも、普通じゃないから気になるよねー」
「「「そうだねー」」」
そうだとすると、そこら辺の貴族よりも地位の高い人たちが同じ時期に大勢転校してくるということになる。するとただでさえ貴族と非貴族の間の溝がある学園の治安はどうなるだろうか?貴族と転校生たちの間で問題が発生する未来しか見えない。もしかすると非貴族である自分たちにも問題をふっかけられかねない。うわ、面倒な臭いがぷんぷんしてきた。
「転校してくる人たちが実は自分たちみたいな一般人だったりしたらいいなぁ」
「「「ないない」」」
「だよねー」
ゲセスターとマニューヴェの問題が過ぎ去って面倒ごとを考えなくて良くなったというのに、頭痛の種が新たに生まれるようだ。気分も晴れているというのに、これからを考えると気分がしょげちゃうよ。
「ふぅ...」
一息溜息をついていると教室の外から謎の視線を感じた。視線からは敵意を感じられないのだけど、一体なんの用なんだろうか?最近何かと視線を向けられることが多くて気になってしまう。自分の外見ってそんなにおかしいかな?いや、自分からすると外見がロリエルフになっている時点でおかしい...けどそれは一旦置いておくか。となると、今の銀髪ロリエルフの外見上の問題だ。もしかして、前髪に芋けんぴでも付いてたりする?
気になったので、前髪を弄りながら視線を感じた方向を見ると女生徒がこちらを見ていた。女生徒は自分の視線に気がつくとすぐに視線を外して隠れてしまった。普通、視線を向けると隠れる?視線を逸らすくらいならわかるんだけどなぁ。もしかして、対象に気づかれずに観察を実行せよとの命令でも受けてたりする?自分に見えない芋けんぴを取ってくださいな、スパイさん?でも、どこかで見たような気がする。あれはどこだったっけ??うーーーん?
「カオリちゃん、難しい顔してどうかした?」
サリアが自分の行動に疑問を抱いたような表情でそう聞いてきた。
実はこのような視線を受けるのは今回が初めてではない。なんなら、戦闘能力評価演習で変態言動ゲセスターを倒してから時折感じている。それが最近になってめちゃくちゃ視線を感じることが多くなってきた。そんな前から芋けんぴファッションをやっているなんてことはない。謎の謎だ。
この際、せっかくなので自分の疑問をみんなに聞いてみることにする。
「最近、女生徒から視線を向けられることが多くて気になってきた感じ。なんなんだろうって思って」
「「「あー」」」
サリア、リナとシルフィアの3人全員が思い当たる節があるみたいだ。でも、3人とも視線が自分から僅かにずれていっている。さては何か隠し事をするつもりだな?
「あれじゃないかな?ほら、決勝戦で優勝したし」
「そ、それに魔物狩りの時に学生だけどインストラクターやったし」
「知名度が上がったから...?ではないでしょうか」
「そうかもだけど...本当にー?」
白々しく視線を逸らし続ける3人にジト目を向けてみる。自分の視線を受けた3人は一瞬自分と目が合うものの、すぐに逸らされてしまい目線が合わない。隠し事をしていることに間違いない。いや、待てよ?ここまで分かりやすいと逆に揶揄われているのでは?
「怪しいなぁ」
「「「ほ、本当、ホント」」」
マジで息ぴったりすぎるな。隠していることは反応から明らかだけど、ここまでして答えてくれないなら自分には言いたくないことなんだろう。ただ、3人からは嫌な感じを受けることはない。そのことから自分には実害が及ばないような隠し事なのだろう。この件は一旦放置しても良さそうだな。
「ならそう言うことにしておく」
自分がそう言うと、3人は肩の力を抜いて一息ついた。そんな反応されたらなんなのか、めっちゃ気になるじゃん。皆が話してくれないなら自分を観察?見てくる人を観察する人になろうかな?




