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102 エンシェントタートルとの戦闘

(略しすぎています)

 自分がやるべき事は決まった。だが、突如現れたエンシェントタートルによって宿舎の防戦していた人たちは思考が停止してしまっている。それは長年ギルドで活躍してきたモリスさんも例外ではない様子だ。このままじゃ、宿舎の防戦が崩れてそこらへんの魔物に蹂躙されることになる。それはやばい。この状況をなんとかしないとな。

 周囲にいる人たちの中ではモリスさんが1番何とかしてくれそうな感じがする。そうなれば、モリスさんに何とかしてもらうとしよう。まずは、止まった思考を動き出してもらうために声をかけるとするか。


「モリスさん!とりあえず防戦を続けましょう!」

「そ、そうだな!あいつにはどうやっても歯が立ちそうにねぇ。まずはできることをしねぇとな!」


 呼びかけで思考停止から抜け出したモリスさんはこの状況を把握するために周囲を見渡した。そして、自身がやるべきことが何なのか理解したのか、短く息を吐いた後に他のメンバーに向かって声を掛けた。


「おい、お前ら!あいつはどうにもできねぇ。だが、守るべき奴らがいる!俺たちは魔物を倒す力がある!」


 突如、森の中から飛び出してきたウルフがモリスさん目掛けて攻撃を仕掛けてきた。モリスさんはすぐさま反応し、全力で振り下ろした斧でウルフを真っ二つにしてみせる。そして、慣性によって地面に突き刺さった斧は強烈な衝撃音を生んだ。その音は周囲に伝播していき、思考が止まっている人々の気を引いたように見えた。そして、雨音が響くだけとなった場所から、斧を曇天の空に掲げて声を上げた。


「ここを死守するぞ!」

「「「「「おおおおおおお!!!!」」」」」


 モリスさんの声が伝播し、思考を取り戻した人々たちは自身の役割を全うするべく行動を開始した。

 モリスさんマジパネェッス。


「モリスさん、ありがとうございます」

「カオリちゃん、それはこっちのセリフだぜ。カオリちゃんからの声がなけりゃデカブツの空気に呑まれてたところだ。おっといけねぇ。指示を出しておかねぇとだな」


 そう言うと、モリスさんは結界内から支援物資を運搬する人に声をかけた。


「そこの若いの!クソでかい亀に対する方針を決めるための会議を開くよう指揮所に通達してくれ!」

「わかりました!伝えてきます!」

「頼んだぞ!」


 モリスさんマジで頼りになります。自分が下手に指示を出すよりもモリスさんに任せて正解だったな。マジ感謝してます。


「それで、カオリちゃんはどうするよ。デカイのを考えなけりゃここにいる戦力で防戦は十分だ。遊撃して魔物の進行を見出すのは手だが...」

「自分はあれをなんとかします」


 そう言いながらエンシェント・タートルを指差す。その方向を見たモリスさんはめっちゃ驚いた声で言った。


「正気か!?国さえも滅ぼしたやつだぞ!?」


 え?そうなの?確かに規模的にもめっちゃやばい奴だと思ってたけどまさかそこまでとは思ってなかったぞ。せいぜい街一個壊滅とかかと...。それでも十分に脅威だが、自分がアレにちょっかいをかけることに変わりはない。


「ですが、あれは確実にこちらへ近づいています。気を引いて進行方向をずらさないとやばいです」

「確かにそうなんだが、流石にカオリちゃんでも無謀じゃねぇか?それに、ここ以上に魔物の数がやべえ森の中を通るんだろ?」

「策は...あります。効くかどうかはわかりませんが」


今のところ策は何も思いついてないけどね。けど、自分の力を発揮すれば何とかなる気がする。


「それに、自分は魔物が大量にいる森の中で救助もしてきました。魔物が多いことはなんとかなります。なんたって、ゴールドランクですからね」

「そりゃマジって事か?」


 モリスさんは真剣な眼差しで自分の目を真っ直ぐ見てきた。冗談を言っていないことを確認するためだろう。だが、言葉に冗談は一つもない。自分はこの状況を変え得る力があるし、それを実行する。既にそう決めた。だから自分はそれに応じて、モリスさんの目を真っ直ぐに見た。

 

「決意は固いってことか」


 モリスさんは目線を切って、息を吐くと頭をかきながら言葉を発した。


「なら俺からは1つだけだ。帰ってこいよ...!」


 そう言うモリスさんの瞳は真剣だった。

 だが、エンシェント・タートルに立ち向かうための「異常な力」を振るった後のことを考えると、それに即答することはできなかった。


 今も開眼している紅く光る瞳は魔族の象徴とされているが、普段は青い瞳である自分は魔族ではないスノウエルフだそうだ。だが、自分が何なのか今だに分からない。強大な力を出しまくった時には引き返すことができないラインを超えて、自分が自分でなくなるかもしれない。底なし沼とも言える未知数の力に少し恐怖さえ覚える。

 そんな力を行使したのを認知されれば、周りからは常識の範疇を遥かに超える理解不能な力を持つ危険な「マモノ」として認識されるだろう。そして、自分が何者か分からない以上、それを完全に否定することができない。そうなると自分は排斥されることとなり自分の居場所を失う。親しい人と思っていた人たちから敵視された記憶を持ちながら孤独に世界を生きていくことになるだろう。それは辛い。ならばせめて、再会することを諦めて良い思い出のままで別れたい。そう思ってしまった。


 だから自分はモリスさんに返答をせずに、視線を切って体を森の方へ向けた。そして森へと歩きながら片手を上げることを返事とした。


 森へ進むにつれて自分に向かってやって来る魔物が増えていく。その魔物たちをMSDで発動したアイスニードルと魔力刀を発動したナイフでスムーズに倒していく。

 普通のギルドメンバーでは前に進めないであろう状況だが、自分は障害がないかのように前に進んでいる。それが、森に近づくにつれて自分は普通のヒトではなくなっていっているように感じて、一抹の寂しさを覚えた。


 この世界に来るまではほぼ孤独な生活をしていた。だが、この世界に来て仲間がたくさんできた。知り合いもできた。ストーカーチックな変態お姉さんの標的にもなって、騒がしい毎日を送っていた。そんな生活が楽しくて充実していた。だから、呟かずにはいられなかった。


「...もし叶うのなら、またサリアたちとのんびりした学園生活を送りたいな」


 そんな呟きを拾ったのかそうで無いのか分からないが、随分と後ろから自分を呼ぶ声が聞こえた。だが、森の中へと踏み出した自分は言葉を返さず、全力の身体強化魔法をかけてエンシェント・タートルの元へと走り始めた。

_______________________

 森の中を疾走しつつ、エンシェント・タートル付近の状況を確認するために、体外に薄く魔力を放出して能動探知を行う。

 その結果、ほとんどの魔物が街の方向へと向かっているが、エンシェント・タートル付近にいた魔物はエンシェント・タートルの元へと向かっている様子だ。その魔物たちの軍団はエンシェントタートルの半径300mくらいを守っていている様子で、そこに向かっている魔物からは強力な魔力反応が感じられる。多分ハイやらエリートやら付いている魔物たちだろう。この軍団だけで街ひとつくらい滅ぼすことは造作もなさそうだ。

 だが、戦力配置としては妥当だろう。エンシェント・タートルは取り回しの効かない主砲のため、接近されると攻撃するのが難しい。一方で、比較的小型の強力な魔物を小回りの効く副砲として用いることで接近されても迎撃ができるようにしているのだろう。普通ならば容易に近づくことはできないだろうな。


 このような戦略を取るためには指示する人が必要だが、エンシェント・タートル付近にはそれらしい反応がなかった。魔力反応が返ってこない不審な点もない。だが逆に、森から離脱するように動いている点が複数ある。その中にはマニューヴェの魔力反応もあった。

 そこから察するに、エンシェント・タートルや魔物たちに指示を出すフェーズは終了したのだろう。指示を出さなければ状況が大きく動くような事もないことになる。こりゃ状況を予想しやすくて助かるぞ。なんたって、何も考えずに殴り込みに行っても大丈夫だからな。問題はどう攻撃するかだが...。


 考えながら走り続けると周囲に魔物がいない領域を通過して、エンシェント・タートルを守っている魔物の軍団に遭遇を視認した。構わずに進むと軍団にいたゴブリンエリートは自分の接近に気がついたようだ。


「色々考えても攻撃しないことには分からないよね!」


 MSDを介さないアイスニードルをゴブリンエリートに向かって放つ。目にも止まらぬ速さで飛翔する氷柱は硬く鋭く確実にゴブリンエリートの頭を貫いた。それだけでなく、ゴブリンエリートの背後にいた魔物をも貫いた。

 だが、おかしい。ゴブリンエリートの防御力から考えるとこのアイスニードルの勢いを止めるには後10体以上の魔物を貫く必要がある。しかし、現状はゴブリンエリートを含めて2体しか貫いていない。すなわち魔法防御力が高すぎるのだ。


「身体強化魔法で魔法防御を上げた?」


 そう思って軍団の魔力の流れを見た。すると、エンシェント・タートルから軍団に向かって流れる魔力パスが見える。どうやら身体強化魔法を発動している奴はエンシェント・タートルのように見える。

 異なる魔力を持つ者に魔力を渡しているってマジか?普通は魔力が反発してしまい、まともな効果が生まれることはない。だが、そうなっていない。魔法の理論が破綻したか?


 さらに邪魔となる魔物をアイスニードルと魔力刀で屠りつつ、魔力の流れを詳細に見た。その結果、エンシェント・タートルと軍団の魔物の魔力の基底が全て同じであることが判明した。

 となると、目の前のハイオークやらエリートゴブリンやらは同一基底の魔力から何らかの変換を経て生まれている感じか。普通なら考えられないが、エンシェント・タートルを守る軍団が全てエンシェント・タートルの分体であるとすれば全て納得ができる。自己防衛に魔物を生み出す能力があるとか、強すぎでしょ!


 もうちょっと弱点とかあってもいいじゃん!それに、この軍団を一掃したところでエンシェント・タートルによってまた生み出される無限ループ...。


「無限魔物ぽこぽこ編はご遠慮!」


 魔物の軍団を倒しながら進むことを放棄してエンシェント・タートルへとさらに近づいていく。魔物たちから攻撃されるが慣性に縛られない動きで全力回避の全力無視だ。上位の魔物たちも慣性がない移動に対応しきれていないうちに突き進むとしよう。


 そうして、エンシェント・タートルの空を見上げるほどの大きさに圧倒されつつも、エンシェント・タートルの右足に辿り着いた。エンシェント・タートルは自分が足元に潜り込んでも意に介することなく街へと進んでいる。奴にとっては取るに足らない存在と思っているようだ。ならば、注意を惹きつけるためにも脅威であると認識してもらわないとな。手始めにアイスニードルを打ち込むとするとしよう。多分効かないだろうけどね。


 目の前にある崖のようなエンシェント・タートルの足にMSDを介さず発動したアイスニードルを打ち込む。アイスニードルは轟音を立てて足に突き刺さり、皮膚の中に埋もれていく。だが、それだけだった。攻撃されたエンシェント・タートルは行動を変えることなく街へと進み続けているあたり、攻撃が弱すぎたのだろう。

 単一放射系魔法の基礎であるアイスニードルとはいえ、MSDで出せるアイスニードルの最高火力を遥かに超えているはずにも関わらずこの結果だ。文献通り相当な防御力とHPがあると見て間違いないだろう。過去に出現した時はどう対処したのだろうか。是非とも参考にさせていただきたい限りだ!


 そう脳内で呟いていると、エンシェント・タートルの足にできたアイスニードルによる傷跡が綺麗になっていくのが視界に映った。

 再生能力までもあるのか!この上ない防御力と再生能力も兼ね備えている上に自己防御機構もあるとかチートだチート!そんな相手にアイシクルストームを使ったとしても焼け石に水だ。


「普通の手段で残るは魔力刀だけど...」


 そう呟いた時、エンシェントタートルは進行を止めて、口を開いた。そして口元に魔力が集まり始めた。


 まずいな。クソデカビームを放つつもりのようだ。今いる場所から街を狙うとなると、ギリギリ射線上に宿舎がある。このまま放たれると宿舎に張っている結界が消滅すること間違いなしだ。なんとかしないと。


 射線上に耐魔法壁オニオン装甲100層くらいを用意して、斜線上に障害物を作って遮るか?だが、極光といい熱といい、物理的な光の性質が少しでもある。射線上に壁を配置しただけでは回折が発生して逆に被害を拡大してしまう。

 となれば、発射する方向自体を変えるしかないな。


 エンシェント・タートルの口元には巨大な魔力の玉が生成されて今にも発射されそうだ。あまり考えている時間は無さそうだ。こういう時は物理だ!防御力なんて知らない!この場を乗り切るために力でねじ伏せる!


 地面に手を置いて自身の能力、「分解」を使って10m四方の深さ10cmほど地面を分解する。自分に溜め込まれた17t分のエネルギーが自身の体に全て集まり、自分の体が重くなっていく。それを自身の能力である「エネルギー操作」でコントロールして重さを消す。

 そして、「エネルギー操作」を使って地面からエンシェントタートルの顎に向かって高速に自身を打ち出す。さらに自身を保護するために「エネルギー操作」で体にかかる衝撃を殺し、代わりに衝撃が跳ね返るようにする。

 瞬く間にエンシェント・タートルの顎下に到達したため、体を回転させて17t分の蹴りを繰り出す。すると自分の踵からエンシェント・タートルの顎に向かって凄まじいほどの力が伝わっていく。そして、突如として顎下から加えられた絶対的な力にエンシェント・タートルは抗うことができず口を閉じていく。それとともに、口に集められた膨大な魔力が暴走を始めた。


 力を伝え終えた自分はエンシェントタートルの正面に着地して事の推移を見守る。

 蹴りを加えられたエンシェント・タートルはその首を空へと向けると、口の中で巨大な爆発を生んだ。その爆発による衝撃は凄まじく、エンシェント・タートルの前足付近に集まっていた魔物の軍団を吹き飛ばすほどであった。


 これは有効すぎる一撃だろう。一般的に防御力が高すぎて攻撃が通らない時は口元を攻撃すればいい。どこかで読んだドラゴン退治ものではそう言っていた気がする。それに加えて、この規模の爆発だ。十分すぎる威力があったはずだ。


「これはいける」


 でも、目の前にいる巨大な魔物は魔石になる事なく健在している。倒すにはまだ威力が不足していたようだ。硬すぎるにも程があるだろ!

 まだまだ元気そうなエンシェント・タートルは街への歩みを止め、自分を睨み返してきた。圧倒的なまでの殺意の奔流に足がすくみそうになるも、止まっていられない。ここからが本番だからだ。自分がどれだけ足止めできるか...いや、討伐できるかが問題だ。


 エンシェント・タートルを攻撃してわかったが思っていた以上にエンシェント・タートルは硬い。自分の知る限り、エンシェント・タートルに通用する攻撃手段を持つ人を知らない。となれば、自分に気を向け続けさせたところで事態が改善しないのは明白だ。だからこの場で討つしかない。

 それに、ここまで異常な力を発揮したんだ。力の行使を誰かに知られていると見做すべきで、後戻りをすることはできない。どうせならば、出せる力を出しまくるとしよう。


 エンシェント・タートルを睨み返して行動を観察する。今は回復に専念しているようで、事態を静観しているようだ。そして、エンシェント・タートルの背後付近では魔物が増加している。失った魔物たちを補充する時間を稼ぐ魂胆だろう。それに、爆風からの難を逃れた魔物たちが自分の方へと押し寄せて更なる時間を稼ごうとしている。


 ならば、タイミングとしては今だ。では、攻撃手段を作っていくとしよう。

 自身の周囲にアイスストームを展開して魔物に邪魔されない空間を作って思考を開始する。


 攻撃手段は基本的に物理だ。高速な弾丸をぶつける。ただそれだけだ。

 しかし、それだけでは「高速」に耐えることができない。そのため、極限まで純度を高めた魔力浸透性抜群の合金と魔法である魔力刀使って乗り切る。

 弾丸の形状は40cm程度の砲弾型。素材は核が壊れたナイフ型MSDの素材を再構成して得た魔力浸透性抜群の合金だ。砲弾の中心付近をくり抜き、魔力刀を発動するための魔法陣を刻み込む。そして、その中に魔力を限界まで圧縮して注入する。恐らくそれで魔力が結晶化して魔石となるだろう。魔力刀発動に関わる情報を載せつつ魔力を注入すると、魔石自体にその情報が含まれることとなる。そのため、弾丸発射後に自分が魔力供給せずとも自動的に魔力刀が発動し続けることになる。これで、砲弾型自動発動MSDの完成だ。

 この砲弾型自動発動MSDは発動する魔力刀で砲弾全てを覆うことで、熱による影響を遮断することができ「高速」でも自壊することなく飛翔が続けられるとの目論見だ。

 全て試したことはないが、経験からなんとかなるだろう。知らんけど!


 具体的なイメージを元に自身の再構築を使って物質を生み出す。そうして、瞬時に生み出された砲弾型自動発動MSDに魔力を限界まで注ぎ込む。すると砲弾型自動発動MSDの表面にまで自身の魔力が溢れ始めた。多分成功だ。


 エンシェント・タートルは突如生まれた強力な魔力の反応に恐怖を覚えたのか、咆哮して口元に魔力を集め始めたのを感じた。


「だけど、もう遅い」


 アイスストームを解き、砲弾型自動発動MSDを「エネルギー操作」で空中に固定してエンシェント・タートルに向ける。そして、砲弾に対して「エネルギー操作」で「高速」を設定して砲弾と同じ質量を分解してできるエネルギーを投入する。つまりは光速だ。


「やっちゃえ」


 そうして光速で発射した弾丸は一瞬でエンシェント・タートルを貫いた。貫かれたエンシェント・タートルに移った膨大なエネルギーから生まれた強烈な爆発と弾丸が生み出した猛烈な衝撃波により、上位の魔物だろうが樹木だろうが関係なく辺り一帯を吹き飛ばしていく。その衝撃波は雨を降らしていた上空に漂う分厚い雲さえも吹き飛ばして、綺麗な星空にした。そうして空へと向かっていった弾丸の軌跡はしばらく光り続けた。


「わぁ...なんとかなったけど...」


 自分の想像を超えた光景に驚きながら、一言。


「自分がチートすぎる...」


 そういえば、不安視していた自分が自分でなくなることはなかったな。適当に体を触ってみてもツノが生えてきたり四肢に鱗が生えてきたりはしていない。変わらないロリエルフのままだ。今は開眼しているものの外見が大きく変わっていないあたり、とりあえず安心だ。

 だけど、異常すぎる力を発揮しすぎた。誰に見られているかわからない現状では、予定通りサリアたちと合流しない方がいいだろう。とりあえず、雲隠れして様子見するのが1番いいか。


「また森生活が始まる...せめて簡易トイレくらいは作っておこう」


 自身に残る余剰なエネルギーを土を生成することで発散させ、魔力の放出を抑え込みながら森の中へ消えることにした。

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